三菱ケミカルホールディングス
三菱ケミカルホールディングスは何がやりたいのかよく分からないし、医薬・ヘルスケア分野に注力するといっても既に遅すぎて、ダウxデュポンに勝てる気がしない。田辺三菱製薬がグループ傘下にいるので何とかなっている感を受けます。
このままだと国内・海外ともにジリ貧の予感。
ジリ貧になることが分かっているので医療だヘルスケアだと言っていますが、果たして現社長の体制でどこまで出来るでしょうねぇ。
*追記;現社長に交代してからM&A加速。加えて、三菱レーヨンのコアビジネス深化などを進めており、これまでの弱みを解決しつつある。
ただし相変わらず稼げもしない汎用ビジネスを多く抱えすぎている。分社化してごまかすばかりじゃ成長しない。もっと事業をリストラする必要がある。
住友化学
住友化学は信越化学が米国に賭けたのとは逆に、中東(サウジアラビア)に巨額投資したのが今のところ裏目にでていて苦しい状況。今後も上手くいくのか疑問に残る部分があるので、イマイチ。
旧3大財閥の中では最も将来性に期待している会社だが、中東プロジェクトの賭けに勝つかどうかが分かれ目。個人的には応援したい会社のひとつ。
- 参考|住友化学の企業研究
三井化学
三井化学はエチレンなどのコモディティー商品から機能樹脂製品にシフトする戦略。アドマーとタフマー、眼鏡レンズ原料という新たな高機能商品を生み出したが…
リストラを嫌う会社のため、儲からない事業も整理せずダラダラ続けて現在に至る。すばらしい機能樹脂と眼鏡レンズ原料があっても、他の不採算事業でチャラという構図。
収益を確保するためには思い切った構造転換と事業縮小が必要。←すでに国内は動いているが、サラリーマン社長にどこまで徹底的にできるだろうか??
- 参考|三井化学の企業研究
旭硝子
旭硝子は「米国をむく信越」「中東をむく住友化学」と違って東南アジア途上国を中心に投資を拡大している。
まだ投資段階で成果が出てくるのは2020年以降と思われるが、東南アジアは様々な政治的課題と向き合わなければならず、また海外競合たちの投資も活発で信越化学の米国ように上手くいくとは思えない。
- 参考|旭硝子の企業研究
富士フィルム
富士フィルムは「アスタリフト」を始めた時からおかしくなってきた。カメラ・写真に続く事業を化粧品・ヘルスケアで目指しているのでしょうが、打って出るのが遅すぎる。BtoBの医療機器と医薬の原料だけやってればいいのにねぇ。
世間では「カメラ写真からの事業転換」といって、あたかもサクセスストーリーかのようにもてはやされたが、実態はぜんぜん違う。単に買収によってヘルスケア事業を後付けし、そこに無理やり「アスタリフト」という自社商品を持ってきて、消費者・投資家が分かりやすいように売上と利益を水増ししただけ。
事業転換を図った時、大リストラの煽りを受けて優秀な技術者がSamsungを始めとする海外メーカーへ数多く流出したため、いつかしっぺ返しを受けて然るべきの会社。
化粧品を売ることに賭けただけあってか、そのやり方も汚れた本来の顔に化粧をしたかのような取り繕い方。見た目だけは良いが、そのうち化粧が剥がれて報いを受けるでしょう。
- 参考|富士フィルムの企業研究
昭和電工
昭和電工は総合化学メーカーなので売上規模が大きいだけで、光る事業がない。潰れはしないが、大ブレークする可能性も薄く現状維持が精一杯の会社。
- 参考|昭和電工の企業研究
東ソー
東ソーはコモディティーと機能商品のバランス良い会社。経営も堅実でトップ3に入れても良いかなぁと思ったのですが…普通すぎて入れませんでした。←個人的な好みです。
国内VCMプラントの大事故にもめげず、よく頑張っていると思う。メインのクロルアルカリ事業も機能商品も上手くいっている。汎用ビジネスではどこまで収益を維持し続けられるかは疑問だが、待遇も含めて超優良企業。
- 参考|東ソーの企業研究
積水化学工業
積水化学は住宅と化学品の両方の事業があって、分析が難しいが住宅は国内の住宅市場の状況次第。
化学品は高機能プラスチックカンパニーの取り扱いで、ポリビニルブチラール樹脂およびフィルムと高耐熱塩ビ(塩ビの中でも特殊品)がメインの商品。どちらも将来性と安定性は抜群。
特にブチラールフィルムの自動車分野については文句なく世界一で今後も手堅く収益を上げられるが、住宅やその他の事業がイマイチなためにトップ3には入れていない。
- 参考|積水化学工業の企業研究
東レ
東レはユニクロとタッグを組む戦略で繊維分野が大ブレークしたが、どこまでユニクロで引っ張れるか微妙。炭素繊維は現時点では大した利益を計上していないが将来性はある、また水処理関連も将来有望。
もともと東レはトヨタ自動車やユニクロのような消費者に近い巨大会社にべったりくっついて、粘りつよく開発した商品で大ブレークするという開発・営業戦略。他の化学メーカーとは一線を画している。
炭素繊維分野で韓国や中国メーカーの追随をどこまで跳ね返せるのか?が課題のためトップ3には入れていない。
- 参考|東レの企業研究
帝人
帝人は堅実で優良企業だが、今まで稼いできたポリカがコスト競争力で勝てなくなってきて、しんどい状況。昨今は赤字決算が目立つ。
課題は明白、将来有望な事業が育っていないことが問題。これまでと何か違う戦略が必要なのは経営陣も分かっていて、頑張ってはいますが…
- 子会社の炭素繊維事業(世界No.2)がうまくいく?
- 新規事業のガラス代替プラスチック(ポリカ・アクリルのアロイ)がうまくいく?
残念ながら、どちらもすぐには想像ができません…
旭化成
旭化成はサランラップみたいな商品を作り続ける限り将来性はほとんどない。潰れることはまず無いが、現状維持が精一杯。30年後に今の実力を維持できているか微妙。
*2016年7月追記;旭化成は過小評価していました…すみません。ここ数年、M&Aや設備投資を積極的に実施。ヘルスケア事業を本気でなんとかしようとする姿勢が見られるため、以下の記事にて修正。
- 参考|旭化成の企業研究
クラレ
クラレはポバールフィル(液晶ディスプレー向けと洗剤向け材料)に収益のほとんどを頼り過ぎていて、潰れはしないが10年後には鳴かず飛ばずの会社になっている。つまり将来性なし。
テレビ、スマホ、タブレット、パソコンはなくならないが技術が変わった時に対応できない。
有機ELへのシフトはあり得ないので問題ではなく、もっと違う根本的な問題を抱える会社。
《最近の決算では毎年のように過去最高利益を更新していますが…10年後には間違いなく落ちる》
- 参考|クラレの企業研究
日本ゼオン、JSR
クラレと同じく収益を液晶ディスプレーに頼りすぎていることが問題。
- 参考|JSRの企業研究
カネカ
カネカは堅実で優良。ダイセルと同じようにどの事業でも安定的な利益を上げているが、どれもちょこちょこ稼ぐ感じでダイナミックさに欠ける。
「ちょこちょこ化学メーカー」の領域を脱出するには、豊富にあるキャッシュを使って大規模なM&Aを実施する必要がある。また新規事業へのモチベーションが化学メーカーの中では最も高く、何かがブレークして脱出できる可能性もある。
現時点ではトップ3に入れていないが勢いはあり、今後に期待したい企業のひとつ。
- 参考|カネカの企業研究
日本ペイント、関西ペイント
日ペはアジア地域に早くから進出していたのが功を奏し業績好調。国内は微妙だがまぁ問題ないだろう。
関ペは特に自動車塗料に強く安定感抜群。
どちらもおすすめでトップ3に入れても良いと思ったのですが、普通すぎてつまらないのでトップ3には入れていません。←こちらも東ソーと同じく個人的な好みです。
東洋紡
クラレのように繊維からの業態転換を目指しているが技術がしょぼく、他社の後追いをしているだけで大したことはない。このような方法で上手くいくのは、技術と体力のあるトップメーカー、もしくは中国メーカーだけ。
中堅クラスの化学メーカーは、他社が驚くような技術で巻き返すしか方法はないが、それをまるで分かっていない。
潰れそうなユニチカよりは全然よいが、クラレよりは全然ダメ。
宇部興産
化学メーカーというよりセメントメーカーという認識の会社ですが、商売自体は国内メインで手堅い。ただし付加価値商品が少ないため化ける可能性は少ない。潰れる心配は無いが、現状維持できれば十分でしょう。
日産化学工業
マニアックな化学メーカーだがここ10数年、営業利益率10%前後を継続している高収益企業の代表各。
農薬・医薬品原料・液晶&有機ELディスプレー材料がメインでどの商売も手堅いの一言。仮に稼ぎ頭の液晶ディスプレー(配向膜メイン)がなくなったとしても他分野でカバーできる。
売上と規模だけで就職・転職先をえらぶ人には見つけようのない、隠れ優良企業のひとつ。
日油
売上・利益ともに小規模。これは添加剤ビジネス主体のためであり、やむを得ない。
キャッシュが豊富にありすぎて遊びのような研究開発ばかりやっているが、技術力自体はすばらしい。大きく伸びることはないが、大きく凹むこともない。
今後30年は安定的に経営できるだろう。
売上と規模だけで就職・転職先をえらぶ人には見つけようのない、隠れ優良企業のひとつ。
《添加剤=色々な材料にほんの少しだけ混ぜる、たとえるなら「味の素」的な化学品》
トクヤマ
10年前まで隠れ優良企業の代表的な存在だったが…
今の経営状況は非常に苦しい、有利子負債が多すぎる。
その理由は太陽光発電バブルのとき多結晶シリコンの工場をマレーシアに建設したから。借金して投資を拡大したのだが、よくある中国勢の投げ売りが始まり価格崩壊して終了。その後は毎期のように減損損失を計上。
そのうち融資元の銀行に見切りをつけられるかもしれない…
そんなことがあっても従業員は「のほほん」としてるから凄いと思う。
偉そうに企業分析してみましたが…
偉そうに語っちゃいましたが本当は、根拠となる数字を示したほうがよいのでしょうね。
というわけで客観的な数字は記事を別で作成しました。ご参考にしてください。
まとめ
この3社が将来潰れるようなことがあれば、日本のものづくりの終わりを意味すると思います。それくらい安定感抜群で、将来性もあります。
ダイセルの営業利益率は10%を超えていますよ