現役メーカー営業が作る隠れ優良企業ランキング2017卒&2018卒用。
《2017年から2027年まで有効です》
普通の優良企業ランキングを作ってもあまり意味がないと思われるので、隠れ優良企業にスポットを当ててみました。
「隠れ優良企業 = 9割の人が知らないけど、長く安定的に経営できる企業 + 仕事まったり」
と位置付けしています。優良企業は必ずしも成長する必要はありません。従業員が安心して働けるような基盤を持っていればオッケー。
また、ここに挙げる優良企業は「仕事まったり」であることが必要条件。優良企業でも従業員に厳しい会社は極力、除外しています。
就活や転職のご参考になりましたら嬉しい限りです。
※数字はすべて2016年3月期 or 2016年12月期のものです
※2016年11月追記:日本化薬
※2017年4月追記:東亞合成
1. 日産化学工業(化学)
- 売上: 1769億円
- 営業利益(率): 286億円(16.2%)
- 自己資本比率: 68.1%、実質無借金
- 平均年収: 784万円(平均40.6歳)
- 出所:2016年3月期の有価証券報告書より
明治創業、日本初の化学肥料企業として発足。一時は日産グループに属していたが現在は独立している。
強みは以下の2分野。
- 液晶ディスプレイの材料(配向膜)
JSRと世界No.1とNo.2を争う。日産化学工業は電卓の時代から半世紀以上も技術・特許の蓄積があり、真似される可能性は極めて薄い。液晶ディスプレイが無くなるまで安泰。
Solvayから有機ELの特許・技術を買収。これからどう育てていくかに期待したい。 - 農薬・医薬
農薬は食料需要の増加に合わせて世界的に需要が伸び続ける。昔の財産だけでも当面は何も問題ないだろう。
医薬品はよくわからない…ライバルの巨大企業たちと資金力・開発力で戦えるのか?疑問残る。
《2015年採用実績:学卒文系5人、学卒理系1人、院卒理系28人》
2. ナミックス(化学・非上場)
新潟にあるオーナー企業で売上は年間250億円程度の中小企業。電子材料むけがメイン。
「ニッチ分野トップ」という言葉がこれほどふさわしいメーカーはいない。大企業がやらないニッチ分野での高シェアを狙う戦略を徹底している。具体的にはスマホむけの超特殊接着剤や電子部品で使うペースト材料など、ニッチと思われる分野なら何でもやる姿勢がすごい。
大企業のM&A候補リストの上位に必ずいるが、オーナーは売却を頑なに拒否している。
会社を売れば一気に金持ち番付けの上位にランキングされると思われる(笑)。でも現オーナーであるうちは絶対にしないだろう。
製品もすごいし利益率も高い。隠れ優良企業。
3. 日油(化学)
- 売上: 1704億円
- 営業利益(率): 193億円(11.4%)
- 自己資本比率: 65.2%
- 平均年収: 723万円(平均42.2歳)
- 出所:2016年3月期の有価証券報告書より
「バイオから宇宙まで」というスローガンにある通り多角化していて、何かがダメでも何かで補う事業形態。いろいろな分野に入りすぎていて何が圧倒的に強いか?と聞かれても答えられない…
でも基本は油脂・化薬(ダイナマイト)・その他の有機合成から派生した商品で成り立つ。
技術力は申し分ないので、安定的に稼げる化薬・機能化学品事業を中心に、ライフサイエンス事業を拡大して今後も成長を続けるだろう。
《2015年採用実績:学卒文系5人、学卒理系1人、院卒理系17人》
4. 日本曹達(化学)
- 売上: 1427億円
- 経常利益(率): 189億円(13.2%)
- 内、持分法投資利益117億円
- 自己資本比率: 58.5%
- 平均年収: 719万円(平均44.7歳)
- 出所:2016年3月期の有価証券報告書より
「曹達(ソーダ)」と名前がついている通り、東ソーや信越化学と同じく電解法で苛性ソーダやその他の派生品を作っていた。その後、技術を応用して農薬関連へ多角化。成功して今の姿に至る。
日本曹達は海外合弁会社からの利益が大きいため、営業利益よりも経常利益を見た方が実態に近い。事業内容は以下の2つ。
- 化学品事業
中身はクロルアルカリ系、苛性ソーダなど派生品。これといって強みはない。けど農薬事業の原料にもなるので簡単には止められない。 - 農薬事業
早くから海外展開を進めていたことが功を奏している。今後もマーケットは年率5%前後で伸び続けるため、安定成長するだろう。ただ、どんな技術が強くて売れているのか、肝心な所はまったく分からない…
《2015年採用実績:学卒文系5人、院卒理系16人》
5. 日本農薬(化学)
農薬専業メーカーの高収益企業。
農薬メーカーばかり挙げているのですが…中堅以下クラスで優良企業を探すとどうしても「農薬」「電子材料」「自動車」といった分野で存在感のある企業に限定されてしまいますね。
実は農薬のマーケットはNo.1ブラジル、No.2米国、No.3中国につづき日本が4番目。ニッチ市場ではあるが、中堅クラスのメーカーには十分。そして国内は「農薬取締法」によって新規参入が容易ではない。だから国内でそれなりにやっているだけでも安定して稼げる。
ちなみに日本農薬の海外売り上げ比率は約50%。
ただ、農薬マーケットは今までニッチ市場だったのが、海外大企業ふくめ本格的に展開しだして競争激化…さらにはジェネリック農薬の話もあり…。日本農薬の利益は減少傾向にあります。でもしばらくは高収益を維持できるものと考えます。
《2015年採用実績:学卒文系6人、学卒理系5人、院卒理系14人》
6. 東京応化工業(化学)
半導体業界では有名な高収益企業。無借金経営。
フォトレジスト関連ではJSRと世界No.1, No.2の争奪戦を繰り広げている。
不安材料は半導体市場の先行き。末端製品がパソコンやデジカメ、スマホのメモリであるために需要動向に大きく業績が左右される。
ただし競合と言えるプレイヤーは世界を見ても日系メーカー5社しかいない寡占市場で値崩れしない。東芝など末端製品に近いメーカーは激しい価格上下で苦しみますが、材料メーカーには関係なく単に需要動向に左右されやすいビジネスというだけ。
関係者以外は誰も知らないと思われるけど優良な企業。
《2015年採用実績:学卒理系4人、院卒理系6人》
7. 村田製作所(電子部品)
数あるベンチャー企業のひとつに過ぎないと思っていた村田製作所。ところが経営者の先見の明により(完全に後づけ)、グングン成長。
10年前までは隠れ優良企業の代表的な存在だったのですが、今ではもう隠れられていません(苦笑)。完全に大手企業ですね…
ご存知の通り、スマホむけ電子部品で圧倒的に世界No.1。超小型MLCCと超小型インダクタを作る技術は今の所、日系メーカー含めて誰にも真似できない。アップル社に対して唯一モノを言えるサプライヤーです(村田製作所の超小型MLCCがないとiPhoneが成り立たないため)。–次項へつづく–
こんばんは。
いつも化学メーカーに関するマニアックな話題を楽しみに見ております。
業績・規模を考えると日本化薬は日油、日産化学と同等の隠れ優良企業だと思うのですがいかがでしょうか。