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「花王ショック → 電通の報復」が大ウソである6つの理由

過労死事件などで何かと話題の電通。でも今回は電通をかばう記事「花王ショック → 電通の報復は完全にデマだった件」について、その6つの根拠を示します。

そもそも花王ショックとは?

花王ショックとは「wikipedia(現在は記事削除ずみ)」によると、

2003年度に花王が過去最高益を達成(当時)したのは、テレビCM広告費を大幅にカットし店頭販促にシフトしたからだ!つまりテレビCMなんて効果がなかったんだ!

なんだ、テレビCMっていらなかったのか。じゃあ花王のやり方をみんなで真似しよう!

電通(大手広告代理店)の広告収入が減り、テレビ局もスポンサーが減りピンチに!

電通が激オコ!報復したる!

という実際には大ウソの事件です。わかりやすく時系列にして図式化すると以下の通り。

▼▼▼

  • 花王がTVCMへの広告費を大幅にカットし、店頭販促などにシフト!
  • 2003年度の決算で過去最高利益を達成!(当時)
  • TVCM広告は要らなかった!?
  • 他社もマネしてTVCM広告費をカット、他へ予算をシフト
  • 広告収入が激減した、TVCMの広告代理店業界&テレビ業界が不振に!
    (特に花王の仕事が多かった電通、フジテレビ)
  • 電通・テレビ局が激オコ!花王へ報復
    (花王製品の健康被害を訴えるニュースを流した…)
  • 今度は花王が大ダメージ?

2003年度って10年以上前のことだけど、なぜ今さら記事にするの?

というご質問を頂くのですが、単に検索エンジンで「花王」と入れると予測キーワードに「花王ショック」と出るから(失笑)。化学素材メーカーの営業マンとして説明しておかずにはいられないため、興味本位で記事を書いています。

特に「電通の過労死事件」が明るみに出てから、TV広告代理店業界の「黒いウワサ的」なのが流行っているような…。

花王ショックからの電通による報復

この「花王ショック」話のオチは、

広告費を減らされて怒り狂った電通(最大手広告代理店)が、花王製品(食用油エレナ)の健康被害を大々的に報道するよう、テレビ局へ圧力をかけた。結果として花王の商品が売れず、電通が報復をした。

というように書かれています。

実際にはこの「花王ショック→電通の報復」は完全にデマ!!その根拠を示します。

※電通は単なる仲介業者ですが、テレビ局へ大きな影響力を持つ

花王ショックは完全にデマ!3つの根拠

ひととおり概要を説明したところで、「花王ショック=デマ説」の根拠を示していきます。

①TVCM回数で花王は不動のNo.1(~2016年上半期)

TVCMのオンエア回数を統計する会社「株式会社ゼータ・ブリッジ」のデータによると、花王はここ数年、ず~っとCM回数の首位を独走しており、他企業よりも群を抜いてTVCMが多い企業だといえます。

「花王ショック」の2003年度から現在に至るまで、花王はテレビ局と広告代理店にとって無くてはならない存在であることがわかります。

~2016年度7月度テレビCMランキング~

  • 1位 花王
  • 2位 日本コカ・コーラ
  • 3位 P&Gジャパン
  • 4位 リクルートHD
  • 5位 サントリー
  • 6位 興和
  • 7位 武田薬品工業
  • 8位 トヨタ自動車
  • 9位 アサヒビール
  • 10位 小林製薬

出所:ゼータ・ブリッジ

※「ゼータ・ブリッジ」では関東民法のCM回数のみを集計

花王のライバルである「P&G ジャパン」は上位にいるものの、花王の比ではなく、同じくライバル企業の「ユニ・チャーム」「ライオン」などはトップ10にすらいない。

②2003年度、花王は確かに過去最高利益を達成した

これは2003年度時点での話であって、花王はその後、過去最高利益を何度も更新しています。ご参考までに、2003年度と2015年度の売上・利益を比べてみましょう。

  • 2003年度:売上9,026億円/営業利益1,197億円
    vs.
  • 2015年度:売上1兆4,718億円/営業利益1,644億円

ただし「TVCMを減らしたから、利益でました!!」なんていう記述はどこにも見あたりません(失笑)。

もしそうであれば、花王はちゃんと説明しています。大企業は株主にちゃんと報告する義務があるのですから…。

③2003年度、花王の広告宣伝費はむしろ増えている

次に花王の「広告宣伝費=TVCMや、その他の広告費用」もみていきましょう。

  • 2001年度:広告宣伝費512億円
  • 2002年度:544億円
  • 2003年度:588億円
    〜〜
  • 2015年度:944億円

なんと2002年度vs.2003年度で広告費は増えています。この時点で「2003年度にCMにかける費用を減らしたから最高利益だった」は完全にデマ。

そして、花王は広告宣伝費をず~っと増やしてきています。こちらも、2003年度と2015年度で比べてみましょう。10数年の間に広告宣伝費をなんと、1.7倍に増やしています。

それがテレビむけなのかネット広告なのか、詳細はノウハウなので開示されていませんが…。「①TVCM回数が不動のNo.1」であることと合わせて考えると、CMへの予算もそこまで大きく減らしていないでしょう。むしろ、増やしていると予測します。

▼▼▼▼▼▼

以上3つの理由から「CM広告費を大幅にカットして他の販促を強化したから利益が出た」は大ウソだということになります。

電通の報復説も完全にデマ!3つの根拠

①電通は花王に報復しても「いい事なし」

電通は、たとえTV広告費を減らされてもスポンサーに報復する意味がないです。

それは花王の広告宣伝費をみればすぐに分かります。

花王が2015年度に使った広告宣伝費は、

なんと944億円です!!

もちろん、これのいくらかはチラシやネット広告、新聞広告になるため、TV広告の額はもっと少ないです。が、さすがに半分以上(500億円くらい?)はテレビCMに使っているものと推測します。

※電通だけにすべての広告を依頼するわけではなく博報堂など他企業もあります。実際に電通に流れるお金は400億円くらいと推測。

もし電通が本当に報復していたとしたら、とんでもなくアホな行動といえます。なぜなら、この喧嘩は電通にとってまるで勝ち目がないから。花王が「じゃぁ、スポンサー全て降りて博報堂に頼むことにするよ。電通さん、さよなら」と言えば終わりです。

ネット広告に押されて不振のTV広告業界において、

この巨大スポンサーを失うことがどれだけ「電通」という企業にとって痛いか?

小学生でもわかる話でしょう。

そんなこともわからない電通マンであれば、即クビになります(失笑)。

②食品を作っていれば健康被害もある

電通が報復として、花王のエコナ(食用油)の健康被害を「あえて」報道したという話。そして、電通が花王を潰すためにウソの情報も含み、テレビ局や他の報道機関に「やらせた」。というガセ情報。

〜「エコナ クッキングオイル」販売中止の波紋〜

花王は2009年9月16日、特定保健用食品(トクホ)の『エコナ クッキングオイル』に発がん性物質が含まれていたとして出荷停止を発表し、スーパーなどに販売自粛を要請した。

出所:日経BP

でも、よく考えてみてください。

健康被害に関する報道をテレビ局がするのは、あたり前の行為です。

それに健康被害なんて食品メーカーには必ずある話です(花王は化学メーカですが、多角化で食品・健康飲料もやっています)。ライバル企業は常にネガティブ・キャンペーンの機会をうかがっているのです。

グリコだって、キューピーだって、日清食品だって、サントリーだって、キリンだって、いつどんな問題がでても不思議ではない。食品や飲料には多くの添加物・化合物が使われているのですから…。

③花王は何もダメージを受けていない

「報復」っていうと、いかにも怖そうなイメージありますね…。

もし電通による花王ショックへの報復が本当だったとしても、何も意味がない「報復」だったということになります。なぜなら、花王は何もダメージを受けていないから(苦笑)。

過去の決算をご覧ください。

  • 2003年度:売上9,026億円/営業利益1,197億円
    vs.
  • 2015年度:売上1兆4,718億円/営業利益1,644億円

「花王ショック」の後も業績はおおむね右肩上がりで成長し、2015年度の決算で花王は過去最高売上・過去最高利益を達成しています。

花王ショックを起こすことで、誰が得をするのか?

以上のことから「花王ショックと電通の報復」は完全にデマだとわかりました。

さて、ここで質問です。

花王や電通の黒いウワサがたって喜ぶのは誰でしょうか?

答えはライバル企業です。※これをネガティブキャンペーンといいます。

「ぐるなび」でライバル店の悪口レビューを投稿するのと、同じことですね。こんな根も葉もないウワサであっても、消費者はすぐにデマを信じてしまうのです。

自分で確かめることもせず…。

そしてもっと悪いのは、情報の質を確かめもせずにTwitterで拡散させてしまう人々、ゴミのようなブログを書く人々…(自己否定)。wikipediaの記事はさすがに削除されていましたが、今でも「花王ショック」の本質を理解せずにゴミ記事を書く人がいます(私もか?)。

普通の人だったら、花王の決算報告書を1999年度~2015年度分まで読んで、情報を確かめるなんてことはバカらしくてやりません(ここにバカが1人います)。

まとめ

就活・転職者にとっては、何も役に立たない記事でしたね…。

「花王」の企業研究でもしようかと思ったら、おもしろそうなネタがあったので、横道にそれてしまいました。申し訳ありません。

そして、これまで書いてきた記事によって私が「アンチ電通」だと思われているので、そんなことはないよ!という意味もこめて今回の記事を書きました。

念のため申しておきますが、電通がブラック企業だろうと、電通の年収がいくらであろうと、電通の社員が過労死しようと、私にはどうでもよいことなのです。

ただ就活生や転職者に世の中の真実を知ってもらいたい、というだけです。

※「花王ショック」以外にも「花王不買運動」があるので、そちらも記事にします。

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