3分でわかる化学業界。今後の動向と将来性まとめ【2017年版】

就職活動と転職に必要な業界分析の話題。今回は「化学業界の動向と将来性」について語っていきます。

化学素材メーカーはグローバルにビジネスを展開していて国内ばかり見ていても無意味。世界全体の話から入ろうと思います。

※2017年4月更新:2018卒就活生のために最新の情報に更新しました。
※3分でわかるようにまとめたつもりでしたが、5分ほど必要です。ご了承ください。

化学業界の現状と今後(世界)

◎化学品マーケットの世界規模【2012年】:約300兆円 *為替1$=100円

◎地域ごとの売上シェア:

  • 中国:27%(成長率6%前後)
  • 中国以外のアジア:25%(成長率7%前後)
  • 北米、中南米:24%(成長率2%前後)
  • 欧州:24%(成長率1%前後)

*医薬品除く。
*出典;ICISデータを参照、翻訳

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全世界の化学素材マーケット成長率は世界GDPの成長率と同じで3%前後くらいになる。人がいるところには必ず化学素材の需要があり、それはどこの国であっても同じ。GDPが伸びる国は同じくらい化学素材メーカーの売上げも伸びる。

世界を見ると有力化学メーカーは高機能商品へのシフト、M&A、原油が安い国への生産拠点拡大を実施している。*DupontとDaw Chemicalの事業統合発表が記憶に新しい。一つの国に総合化学メーカーは1社で十分。

事業領域の重なる会社は統合が進み規模拡大と利益率改善の両方を達成していくだろう。

【参考:化学素材メーカーの売り上げ世界ランキング2016年版】

化学業界の現状と課題(日本)

◎日本の化学業界概要【2015年】

  • 産業規模:約27兆円(自動車産業に次いで2位)
  • 経常利益:約2兆円
  • 従業員数:約16万人
  • 平均年齢:約41歳
  • 平均年収:約610万円
  • 業界成長率の見込み:2.5%年

*主要化学メーカー195社の合計です。

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日本は化学メーカーの数が多すぎることが課題。これは財閥解体と独占禁止法の歴史まで辿らないといけなくなるので控えておく。

営業をしていると分かるのだが、私たちの競争相手は中国・台湾・韓国メーカーではなく日本メーカー。日系メーカー同士で競合して値段を下げあっているというどうしようもない状況…

喜ぶのは高品質の素材が安く買える海外のお客さんだけ…

とにかく国内独占禁止法と労働基準法があるせいで日系化学メーカーの統廃合がなかなか進まない課題を抱えている。国内メーカー数が半分になるだけで各社の利益率は倍以上になると思う。もちろん雇用もかなり失われるが…

参考:化学素材メーカー国内の売り上げランキング

化学業界の今後の動向①日本

つづいて、化学業界の今後の動向をざっくりと解説。まずは日本国内の動きから。

【今後の動向】国内市場は頭打ち、輸出も限界がある

まずは逃れられない運命として、国内市場は頭打ち〜減少に転じる。これは分野によっても違うのだが、長期的にみると日本の人口は減っていくわけだから仕方ない。

そうすると国内のあまった生産能力を輸出で埋める必要がある。化学メーカーは巨大な設備で生産するため、キャパを埋めることがもっとも重要。商品にもよるが90-100%稼働じゃないと利益でないことが多い。

ここ数年の決算では業績好調な化学メーカー。

2012年以降、日系化学メーカーの業績が上向いたのは円安による輸出好調が大きい。しかし国内生産で輸出というのは付加価値商品にだけ通用する方法。

旧三大財閥が手がけるエチレンやその他ポリオレフィンなどの汎用樹脂には通用しない手段。付加価値商品を国内で生産し輸出するか、原油の安い地域で汎用樹脂を生産する方向が正しい。

結論として、輸出は円安ならまだペイするが為替次第のビジネスでは危うい、いずれ限界がくる。

【今後の動向】国内余剰キャパの整理・縮小

上述したように、「輸出でキャパを埋める作戦」には限界があり、国内縮小がぜったいに必要である。

実際に各企業は国内事業所の統廃合、不採算事業の整理・撤退などを積極的に進めている。そこで、1990年からの主な事業再編ニュースを以下にまとめておく。

◎1990年~2017年の主な事業統廃合ニュース:

・1994年 三菱化成と三菱油化が合併し三菱化学が発足
・事業統合会社(ジョイントベンチャー)の設立;
塩ビ樹脂→大洋塩ビ、新第一塩ビ
ポリオレフィン→日本ポリオレフィン、グランドポリマーなど
・1997年 三井東圧化学と三井石油化学工業が合併し三井化学か発足
・2004年 出光石油化学と出光興産が合併
・2005年 三菱化学と三菱ウェルファーマ(現・田辺三菱製薬)が三菱ケミカルホールディングスを設立。その後、三菱樹脂、三菱レーヨンを傘下におく。
・2014年 鹿島コンビナート、三菱化学エチレン2基中1基停止
・2015年 京葉コンビナート、住友化学がエチレンプラント停止、撤退
・2016年 水島コンビナート、旭化成エチレン停止、三菱化学と共同運営

化学業界の今後の動向②世界

【今後の動向】海外市場は途上国が急成長

中国は頭打ちでインド、アフリカ、東南アジアが成長著しい。繰り返しにはなるが、GDPが伸びる地域では化学素材の需要も同じように伸びる。

このマーケットにどこまでプレゼンスを発揮できるかが各社業績の鍵を握る。

とくに中堅〜大手は海外売上比率・50%前後のところが多く、まだ伸び白を残している。国内マーケットばかり見ていても先細りはわかりきっているため、仕方なくでも海外ビジネスを拡大しなければいけない。

【今後の動向】外資系メーカーは相変わらず「くだらない」

外資系メーカー(とくに欧米企業)は昔から、やっていることは何も変わっていない。

図式化するとこんな感じでM&Aを繰り返し、事業を切ったり貼ったりするだけで生産的じゃない仕事ばかりしている。BASFもそうだし、バイエル、Akzo、Dupon、Dawもそうだった。

  1. 事業を買う
  2. リストラする、事業整理する
  3. 収益性が改善する
  4. 買った時よりも高く売る
  5. また新たな事業を買う
  6. 無限ループ

こうして消滅した名門の巨大メーカーもある(ドイツ旧:へキスト)。

何も生み出していないのだから、この戦略は日系メーカーのマジメなものづくり戦略よりもっとヒドい。ハゲタカファンドみたいで見るに堪えない。もはやメーカー失格である。

と、これまではこんな感じだったけど革新的なことが一つだけあった。

それがDupontとDawの統合である。ついに行くところまで行ったなぁ…という感じ。

【今後の動向】中国メーカーは倒産・工場閉鎖が相次ぐ

他業界と同じように、化学業界も中国メーカーの大増産により、世界需要あまりが深刻になっているアイテムがある。

これは特に汎用化学品に当てはまる。中国では一国だけで世界需要と同じくらいのキャパを持っている化学品が多くある。具体的には以下の化学品、数字は感覚的に作っているため正確性に欠ける(申し訳ありません)。

  • 塩ビ樹脂(建築の配管などに使う化学品)
    中国のキャパで全世界の需要をまかなえる。が、実際には売れていなくて平均稼働率は50%。
  • ポリエチレン(容器など)
    中国のキャパで全世界の需要をまかなえる。が、実際には売れていなくて平均稼働率は50%。
  • ポリプロピレン(容器や自動車バンパーなど)
    中国のキャパで全世界の7割の需要をまかなえる。が、実際には売れていなくて平均稼働率は70%程度。
  • ポリスチレン(発泡スチロールなど)
    中国のキャパで全世界の7割の需要をまかなえる。が、実際には売れていなくて平均稼働率は70%程度。

どんな商品においても世界需要の50%が中国であることを考えると、能力の拡大は妥当かもしれない。でも稼働率50%ではどんなに頑張っても大赤字になる。

これを日系メーカーの脅威と考える評論家が多いが、実際には日系メーカーだけでなく欧米の会社も困っているし、韓国・台湾の企業も困っている、中国人ですら困っている。この問題で真っ先にやられているのは韓国・台湾企業でその次に欧米企業。最後に日系メーカー(特殊品が多いため影響少ない)ということになる。

結論としては、何もしてなくても中国勢はいずれ自滅する。

なぜなら環境問題、稼働率低い問題、ワイロ問題、などなどあり国が粛清を始めたから。

最終的に、中国企業の中でも稼働率90%の会社もあれば稼働率10%の会社もあるので、中国の中でも業界再編がすすみ、まともな数社だけが残ることになるだろう

化学業界は中国のせいで明らかに供給過剰になっている。

※化学業界だけでなくほぼ全ての業界に当てはまる。

>> 3分でわかる鉄鋼業界。今後の動向と将来性まとめ2016年①世界情勢

化学素材メーカーの将来性(日系企業)

ビジネスの本質を捉えている企業が生き残る。化学業界自体はまだまだ伸び白があり、将来性がある。

普通すぎるコメントですが、具体的には次項より説明するような戦略を展開する企業(実際の企業名も出します)は将来性あり。

化学素材メーカーは、ビジネスの中身がわかりにくいため分析が難しい部分もあるが、私の知る限りで「いい商品もってるなぁ」と思う企業を、次項より挙げていく。

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