平均年収ランキングをみて、高い企業から志望度を上げていく就職活動生や転職者へ。ちょっと待った!隠れ高年収の企業を探してみては如何でしょうか?
年収ランキング上位の企業は激務なので年収が高いのは当たり前。ただ少し視野を広げてみるだけで、高年収で激務じゃない企業・業界を発掘することができます。
そこで今回は化学メーカー総合職って実は高年収・高待遇の業界じゃないか?という仮説を立てて検証してみました。
※2016年8月更新: 各社の年収事例を追記。
※2016年9月更新: 旭硝子の年収を最新情報に更新。日東電工、日本碍子、日本特殊陶業、三菱樹脂を追加。
※2016年10月更新:DIC追記
※2017年1月更新:三井化学を修正
※2017年4月更新:年収の特徴を全改定・福利厚生なども追記
この記事の目次
平均年収が高い企業ランキングによると…
「就職四季報2017年版ー東洋経済」の記事によると、最新の年収が高い企業ランキングのトップ10は以下のようになっていました。当然、われらの大手化学メーカーがランキング入りするわけがないですね。
全体 | 社名 | 業種 | 平均年収 | 平均年齢 |
1 | キーエンス | 電機・事務機器 | 1,648 | 35.6 |
2 | 朝日放送 | テレビ | 1,518 | 41.9 |
3 | 伊藤忠商事 | 商社 | 1,395 | 41.5 |
4 | 三菱商事 | 商社 | 1,376 | 42.6 |
5 | 三井物産 | 商社 | 1,361 | 42.5 |
6 | 毎日放送 | テレビ | 1,326 | 43.4 |
7 | 丸紅 | 商社 | 1,306 | 41.5 |
8 | 住友商事 | 商社 | 1,300 | 42.8 |
9 | ファナック | 機械 | 1,277 | 43.7 |
10 | 電通 | 広告 | 1,272 | 39.5 |
出典:東洋経済ONLINE
まぁ、誰もが知る有名企業ばかり。5大総合商社が全てトップ10に入っているのが驚きではありますが、2015年までの資源高で業績が良かったからでしょうね。
おそらく総合商社マンの年収は2016年以降、業績悪化でボーナスが減る影響で下がっていくでしょう。
大手化学メーカー総合職の年収ランキングは?
ところで、「就職四季報2017年版ー東洋経済」を使うメリットは総合職だけの平均年収が集計されているところです。
工場の一般職を平均年収の集計に含めてしまうと、一般職の年収に限りなく近づいてしまい、総合職として就職や転職を希望するかたには全く意味のないランキングになりますからね。
上記の年収ランキングで調べていくと、化学メーカーで一番最初に出てきたのが全体ランキング25位の旭硝子。
続いて全体順位55位の積水化学工業。業績のイマイチな旧財閥系は思ったより下のほうにいますね…
全体 | 社名 | 年収 | 年齢 | 業種 | 職種 |
---|---|---|---|---|---|
25 | 旭硝子 | 1,073 | 41.0 | ガラス土石 | 総 |
55 | 積水化学工業 | 959 | 43.1 | 化学 | 平均 |
74 | 住友化学 | 913 | 39.5 | 化学 | 総 |
77 | 日本ガイシ | 909 | 40.3 | ガラス土石 | 総 |
84 | 旭化成グループ | 902 | 41.2 | 化学 | 総 |
102 | 昭和電工 | 877 | 41.6 | 化学 | 総 |
104 | 日産化学工業 | 875 | 40.7 | 化学 | 総 |
108 | 日本パーカライジング | 873 | 42.5 | 化学 | 総 |
121 | 三菱化学 | 864 | 42.6 | 化学 | 総 |
123 | クラレ | 860 | 40.9 | 化学 | 総 |
133 | 花王 | 853 | 42.2 | 化学 | 総 |
134 | 日油 | 852 | 41.9 | 化学 | 総 |
138 | 富士フィルム | 850 | 41.9 | 化学 | 平均 |
164 | 信越化学工業 | 836 | 42.5 | 化学 | 平均 |
178 | 大陽日酸 | 824 | 42.5 | 化学 | 総 |
186 | 三井化学 | 819 | 40.0 | 化学 | 総 |
191 | 東レ | 816 | 39.8 | 化学 | 総 |
219 | 帝人 | 804 | 42.5 | 化学 | 総 |
226 | 日本ペイントH | 800 | 41.2 | 化学 | 総 |
236 | DIC | 797 | 41.7 | 化学 | 総 |
240 | 日立化成 | 796 | 42.2 | 化学 | 総 |
257 | 住友ベークライト | 789 | 43.8 | 化学 | 総 |
257 | 東亞合成 | 789 | 46.8 | 化学 | 総 |
*総=総合職
*出典:東洋経済ONLINE
このランキングだけみると、化学メーカーは大手であろうと下位のほうに位置していて惨敗という結果に…ところが実際は違うのですよ!!
【実態はどう?】化学素材メーカー総合職の年収
先ほどまで、東洋経済の出版する「就職四季報2017年版」データに基づいて解説しましたが、上記の平均年収は結構適当…
平均年齢が仮に40歳だとすると業績のよい化学メーカー総合職は確実に年収1,000万円越えします。その根拠を3つ示しましょう。
- 三菱ケミカルHDの公開年収:総合職主体のホールディングス会社で平均年収1,000万円を超えている
- 富士フィルムHDの公開年収:総合職主体のホールディングス会社で平均年収1,000万円を超えている
- 同クラス年収の会社は三菱ケミカル、富士フィルムの他にもいくつかある。この2社が特別年収の高い会社というわけではない。
また私の給与明細を証拠として載せたいのですが、会社をクビになるので控えます。←クビになったら年収だけじゃなく、談合のこととか、ワイロのこととか、商社マンとの癒着のこととか、営業のヤミとなっている部分の全てを企業名つきで公表しますね。
代わりに化学業界の年収特徴と、代表的な化学メーカーの管理職年収を紹介します。今のところはここまでの情報でご了承ください。
化学業界の年収特徴
- 20代:ゴミみたいな給料。大学の同窓会でバカにされるレベル。
- 30歳:年収550-600万円。月30時間残業して620-660万円くらい。
・それでもなお他の業界と比べると低く、大学の同窓会でバカにされる。会社ごとに年収の差があるのはボーナスによる差であり、三菱ケミカルであろうと、カネカであろうとベースはほとんど変わらない。 - 30代中盤:年収800万円前後。残業おおい人は30代中盤でも年収1,000万円超える。ただし問題は30代中盤・主任クラスになると、ほとんどの企業が「裁量労働制」であり残業代は「みなし労働手当」で一定額しかでないこと。
・この辺りで大手金融・証券・保険業界・メーカー業界の負け組を抜くが総合商社には到底およばない。会社ごとの差が大きくなってくるのも30代中盤あたりから。 - 30代中盤~30代後半:たいていの大手企業は管理職になるまで年収800万円前後。給料高いメーカーだと年収1,000万円を超える(管理職前提)。
・低学歴組だと同級生を完全に越える。高学歴組だとまぁ、中の上くらいかな… - 40歳±2歳:普通にやっていれば部下なし管理職となり年収1000万円±10%。部下なし管理職の年収はケチな大手企業で年収900万円〜気前のよい企業で年収1200万円まである。仕事のヌルさを考えると給料もらいすぎ。管理職でようやく収穫期に入る。
- 40歳〜:は運と実力次第。部下ありの課長職、さらにその上になるかどうかで年収が決まる。管理職からの降格は一切ないが、部下なし管理職から出世しないと年収は頭打ちになる。
●部下あり管理職(=課長)の年収はケチな大手企業で年収950万円〜気前のよい企業で年収1500万円まである。 - 45歳〜:順調に部下なし管理職 → 課長 → 次長 → 部長まで昇格するかで年収は大きく変わる。
●部長の年収はケチな大手企業で年収1200万円〜気前のよい企業で年収2000万円まである(もっとあるかも)。部長までなると自身と組織のパフォーマンスが年収におおきく影響する。部長になれるのは同期入社10%くらい。ちなみに部下あり課長以上になると降格人事も普通にある。 - 50歳くらい:順調に部長 → 理事 → 役員まで昇格するかで年収は大きく変わる。
●理事の年収はケチな大手企業で年収2000万円〜気前のよい企業で年収3000万円まである。理事になれるのは同期入社3%くらい。役員報酬は企業によってまったく違う(公開されている)。役員は同期入社~1%くらいだが、バラつきある。 - 生涯年収:では大手銀行マン(9割の負け組限定)を大きく上回るが、総合商社には全く及ばない。石油元売など年収高いメーカーにも及ばない。ただし時給換算すると三菱商事と同じくらいの給料だという意見もある(働いていた人からのコメント)。
- 楽な仕事でそれなりの給料が欲しい人むき
福利厚生などの特徴
福利厚生
- ほとんどの会社は独身寮 or 社宅 or 家賃補助あり(基本給と別カウント)。上記に概ね100万円/年を加算した額が本当の年収。
- ただし管理職以降は住宅手当が打ち切られる会社多い(その代わり家を買っていれば住宅購入補助が多少はでる)。
- 「管理職になるまでには家を買ってるから、住宅手当はもういらないでしょ」という思想。
- その他、都市手当て・出張手当・通勤手当・外勤手当てなどなど。大企業であれば一通りはそろう。
- 最近の傾向としては「手当てを削減して給与を増やす」or「単純に手当てだけを削減する ← 儲かっていない企業にありがち」がふえている。社宅や独身寮は流行らないため、どんどん減って、その分を現金化していく方向。
出世・キャリアパス
- 管理職までの出世は年功序列。形式上の試験はあるがほぼ自動的。管理職にもまぁ普通にやっていれば誰でも昇格する。差が出るのは管理職になってから。
- まるで共産主義のよう。
- 頑張っても報われないような気もするが…私のように頑張らない人はやはり、管理職どまり。逆に少しでも頑張る人はすごく目立ち、すぐに出世する。みんなあたり前のように頑張る「商社マン」「銀行マン」「証券マン」「コンサル」「ベンチャー」の世界とまったく違う。95%の社員が「のほほ〜ん」としていて、残り5%は頑張って上を目指すべく「のほほ〜ん組」のケツを叩いて無理やり働かせる役割になっている。結果として「暇すぎず、忙しすぎず」でバランスしている。
- 出世のライバルが弱いし少ないため相対的に出世しやすい。そもそも出世したい人が少ない。「管理職になったらもういいだろ、あとは定年までそれなりにやろう」という意見がメジャー。そんなやる気のない姿勢でもクビにならないし、降格もしないし、年収1000万円前後あるのだから凄い。世の中なめきっている。これがベンチャー企業だったら確実に降格し、居場所をなくして退職している。
- 仕事のできない人はゴマすり能力だけを徹底的にみがけば、部長くらいまでには出世する(部長だと年収1200-1600万円)。仕事のできる人は、プラスαでゴマすり能力を身につければ理事(年収2000-3000万円)になり、役員(役員報酬は公開されている)になるチャンスも多い。私のように出世意欲のない人は「部下なし管理職 ⇔ 部下あり課長」のあいだを行ったりきたりする。「お願いだから早く窓際ポジションにとばしてくれよ~!!色々めんどくせぇよぉ…」と最近よく思う。が、なかなか許してくれない。とにかく私のような、しょうもないおっさんがマネージャーをしても会社は潰れるどころか、どんどん成長している。これはこれで凄い。
残業・ワークライフバランス
- 【残業代】ちゃんと支給されサービス残業は(部署・上司によるが)少ない。そもそも激務になる部署や仕事は少なく、残業代はそこまで気にする必要ない。残業時間にすると30時間/月未満くらいのレベル。ただし明らかに激務な職種もあるため(たとえば機電系の職種)、「化学メーカーの激務度・文系」「化学メーカー激務度・理系」の記事をご参照のこと。
- 【裁量労働】会社によっては30歳前後で裁量労働制に移行する。係長〜主任クラスで裁量労働制を推進する会社はサービス残業が多くなりがち(富士フィルムがそれに当たる)。重要なので個別に確認しておくべき。普通の大企業なら32~34歳くらいの主任クラスから裁量労働となる。
- 【研究開発職】「コーポレートR&D」に所属した場合、ほとんどの企業は裁量労働制となる。ボーナス計算に含まれていればラッキーだが、そうでないことが多い。残業時間が「みなし残業手当」よりも少なければ得をし、多ければ損をする。仕事がスムーズでない若手のうちはたいてい、損することになる。
- 【営業職】会社によっては営業職も裁量労働となる。
- 【裁量労働】深夜残業・早朝残業・土日出勤は「裁量労働」の枠外。つまり裁量労働でも左記にあたる場合は残業代がでる(そんな状況になることはほとんどないが…)。
管理職までの年収
- 管理職までの年収はどこも大差なく業績の良い会社ほど年収が高い(ボーナス影響)。ただ、帝人のように業績がふるわなくても高給な会社もあり。「一般的な傾向として」ということ。
- 会社の規模は年収にそこまで大きく関係しない(たとえば三菱ケミカル・住友化学は規模の割にイマイチな年収)。気前のよい会社か、ケチな会社かというだけ。
管理職以降の年収
- 管理職には年棒制を導入することがトレンドになっている。年棒制だと毎年の昇給はほとんど見込めず、年収を上げるには自身と組織のパフォーマンスを上げるか、役職を上げていくしかない。
- 年棒制にシフトする主な目的は、バブル期に大量採用した層の年収カット。年棒制でない場合と比べ、高年齢層では年収ダウンとなり、低年齢層の管理職は年収アップになる。
結局、生涯賃金は大して変わらず、損をしているのは高年齢層のバブル組である。このあたりの事情は化学メーカーに限らず、大企業に共通する。 - 50代中盤~後半で課長以下ポジションだと役職定年となる会社多し。そうなったら年収は2〜3割カットになる。これも、ほとんどの大企業に共通する(銀行は50歳定年)。
化学メーカーの年収ランキング(自作)
一応ランキング形式で各社の年収を紹介します。管理職までは大して差がないので、管理職年収でランキングを作成。上に位置するほど年収期待値が高くなります(ただし、その年のボーナスにより変動します)。–つづく–
理系院生の就活生です。非常に参考になりました。
ところで、トップの化学メーカーとはどのくらいまででしょうか?
よくネットで上がっている化学メーカー就職偏差値で答えていただきたいです。
東洋紡はどうでしょうか?総合職を四季報で見ると780万ほど。ネットだと600万ほど・・・このくらいの違いがある企業に行くのが怖いです