「恐縮です」「恐れ入ります」
「恐れ入ります」「恐縮です」の意味はどちらも「①ありがたく思う」「②申し訳なく思う」です。
①感謝と②すみません、の2つのまったく逆の意味をもちます。これは状況によってどちらともとれます。
たとえば、
- 例文「お取り計らいをいただき、恐れ入ります(恐縮です)」
- 例文「たいそうなお品をいただき、恐れ入ります(恐縮です)」
このような使い方は、どちらかというと「①ありがたいと思う」という意味で使われます(申し訳なく思う、の意味ともとれますが・・・)。
いっぽうでたとえば、
- 例文「お忙しいところ、恐れ入ります(恐縮です)」
- 例文「ご多忙のところ、恐れ入ります(恐縮です)」
としたときには「②申し訳なく思う」の意味で使われます。
ということで、「恐れ入ります」「恐縮です」は感謝の気持ちと、申し訳なく思う気持ちの両方を表すことができるため、ビジネスシーンにおいては使いやすい言葉です。
「ありがとう」なのか「申し訳ない」なのか、どっちつかずの感じがいいですよね。
◎参考となる記事:
「いただく」
「いただく」の意味は「(自分が)もらう」であり、「もらう」の謙譲語。
以下の例文のように使います。
◎例文:
- 部長から年賀状をいただいた(話し言葉)
- 早々にご連絡いただき、誠にありがとうございます(感謝・メールの冒頭)
- ご検討いただきますよう、お願い申し上げます(お願いメール・文末)
- ご了承いただきたく存じます。何卒よろしくお願いいたします(お願いメール・文末)
- ご了承いただければ幸いです。何卒宜しくお願い申し上げます(お願いメール・文末)
- 傘を貸していただけますか?(話し言葉)
◎参考となる記事:
「伺う」
「伺う」は「行く・聞く・訪ねる」の謙譲語。
とても間違いやすい敬語なので、正しい使い方をマスターしておきましょう。
- ◎正しい敬語:伺います/伺いたいです/伺いたく存じます
- ×間違い敬語:お伺いいたします/お伺いさせて頂きます/お伺いしたい
- 間違いだけど慣例でOK:お伺いします
◎参考となる記事:
「お取り計らい」
「お取り計らい」の読みは「おとりはからい」。
「お取り計らい」の辞書的な意味は「ものごとがうまく運ぶように考え、処理をすること」 。
ここで「お」は尊敬語であり、「取り計らう」を敬語にして目上の方へも使えるようにしています。決して「相手へ気づかい、配慮、心配りをすること」という意味ではありません。
◎参考となる記事:
その他
【注意】メール・電話の両方で連絡するのが確実!
時間変更(時間調整)のお願いは電話とメール、両方で連絡するのが確実です。
このようにする理由は、メールだと読まれない可能性があるから。ココだけの話、採用活動時期の人事採用担当はとても忙しいのです(採用担当のところだけ、まるでブラック企業みたいになってます)。
2~3日まってメール返信がこなかったら電話してみる、というのでもよいですが、どうせなら電話もしてしまいましょう。
たとえば、
①メールをまず送り、電話では以下のように対応すればOK。
「お世話になっております。先ほどメールにてお送りいたしましたが諸事情により、面接の時間変更をお願いしたいのですが…。大変申し訳ありません・・・。14時からに変更していただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
②まず電話をし確認メールを送るときは、以下のように電話します。
「お世話になっております。二次面接日時の件、諸事情により面接の時間変更をお願いしタイのですが…。大変申し訳ありません・・・。14時からに変更していただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
電話で調整したあとに「確認+お礼メール」を入れましょう。
忙しい採用担当には「①メールをした後に電話」の方が、相手への気づかいとしては正解です。突然の電話だと「その場で調整しなきゃ!」みたいになってしまうので…。
お願いメールの連絡手段、丁寧ランクごと
次に普通のビジネスシーンにおいて、丁寧な「お願いのやり方」をランクしていきます。
- 丁寧レベルMax|電話で連絡&調整し、お礼メールも+確認メールを送る
→ もっとも素晴らしい「お願い」の方法です。電話で確実に伝え、さらに念押しとしてお礼メールを送っておけば完璧。 - 丁寧レベルMax|メールをまず送り、後で電話連絡もする
→ 順番をかえただけです。電話連絡だと営業時間外になってしまうことがあります。そんな時はまずメールを送り、その後、営業時間内に電話をするとよいでしょう。
- 丁寧レベル中|電話のみで連絡する
→ 相手が社内だったり、仲のよい取引先であれば電話連絡のみで十分です。 - 丁寧レベル中|メールで連絡する
→ メールだけでお願いするのも、マナー違反ではありません。
参考になる記事:
【パターン別】日程調整メールの書き方
その他にも、日程調整メールにはいろいろなパターンがあるかと思われます。
たとえば、面接日程が「いつでもいい」ときにはどうメール返信する?複数の候補日程のなかから一枠を指定するにはどう返信する?まったくゼロから時間指定メールを作るにはどうする?などのパターンがあります。
代表的なパターンを抑えて例文を作成していますので、ご参考にどうぞ。
面接日程が「いつでもいい」とき
面接メール返信、鉄板の5つの書き方
【注意】ビジネスメールは補助であり、さほど重要でない
最後に社会人である筆者からのビジネスメールに関する一言。
ビジネスにおけるコミュニケーションの基本は会話(商談・会議・プレゼン・電話)であり、ビジネスメールではありません。
なぜなら、ビジネスで重要なことは決してメールでは済まさないからです。メールでコミュニケーションが全て済むなら、企業は人を採用するのにわざわざ面接を設けたりしません。
ビジネスメールが重要なのであれば「メール・コンテスト」で人を採用すればよい
もしビジネスメールがそれほど重要であれば、メールのやりとりだけでビジネスレベルを図って人を採用すればいいだけです。
でも実際には、メールは補助的な役割であって重要でないため、企業は面接をして、会話をして、就活生や転職者を採用するのです。
ですから、ビジネスメールは最低限のマナーだけを抑えておけばよく、変に気をつかいすぎる必要はありません。
それよりも会話やプレゼンのスキル(就活だと面接のスキル)を磨くほうが重要ですね。
まとめ
結局のところ、就活・転職におけるメールのやりとりって、誰もそこまで気にしてません。採用担当者はシーズンになると激務になるため、就活・転職者の返信メールを隅々まで読む暇などないのですよ。
ただ、明らかに敬語の使い方がおかしかったり、カジュアルすぎたり、メールマナーを守っていなかったりしたら、メールが読みにくいから一瞬で気付きます(苦笑)。
たとえばメール本文の最初に必要な、“お世話になります”が抜けているメールとか…これは流石にマズイ。心の狭い人事採用担当がみた場合、減点の対象になってもおかしくありません。私なら確実に“もっと勉強しとけよ!!!”と思いますね。
※私は心が狭いです
したがって、就活・転職におけるメール返信のポイントは“うまい文章を作っても加点されることはないが、マナー違反してると減点されることはある”ということです。
よく心得ておきましょう。