「ご査収」意味と目上の人への使い方【例文あり】

「ご査収(読み方:ごさしゅう)」について、意味と目上の人への使い方、メール返信のやり方、注意点をビジネスメールの例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。

まずは基本として、

「ご査収(ごさしゅう)」の意味は「(書類などを)よく調べて受け取ること」であり、報告メールや資料送付メールなどのビジネスシーンで使われます。

使い方としては例えば、

  • 例文①「ご査収ください」「ご査収願います」
  • 例文②「ご査収のほど、何卒よろしくお願いいたします」
  • 例文③「ご査収くださいますよう、お願い申し上げます」
  • 例文④「ご査収いただきますよう、お願い申し上げます」
  • 例文⑤「ご査収いただければ幸いです」
  • 例文⑥「ご査収の上お取り計らいのほど、何卒宜しくお願い申し上げます」

などがあります。例文①は社内メールで目上の人(上司や先輩)に対して使うくらいの丁寧レベル。例文②~⑥は社外の人に対して使う丁寧レベルです。

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、くわしくは本文中にて意味と使い方、注意点を述べていきます。

※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。

「ご査収」の意味は「よく調べて受け取ること」

「ご査収(ご査収)」の意味は冒頭で述べたように「(書類などを)よく調べて受け取ること」。

単に受け取るではなく、中身を確認(検査)したうえで、受け取る(収める)ということですね。単語をバラして意味を考えてみると、査収の「査」は「調査・検査・精査」などで使われる通り、何かをよく確認することを示します。

査収の「収」は「収集・収める」などで使われるように、何かを受け取ることを意味します。

したがって「ご査収」の意味は「(書類などを)よく調べて受け取ること」となります。尊敬語「ご」を使っていますので、目上の人(上司・先輩)に使う敬語として正しいです。

【シーン別】”ご査収”の使い方

つづいて「ご査収」の使い方について。使えるシーンはたくさんありますが、代表的なものを箇条書きにしてまとめます。

とくに「報告メール」「資料送付メール」のビジネスメール文末に、締めくくりとして使います(メール冒頭や文中で使ってもよい)。

この項では①ビジネスシーンごとのまとめ、次項より②表現ごとのまとめ、と2段階で解説します。

使い方①添付資料を送付するビジネスメール

まずは添付資料を送るビジネスメール。添付資料を送った相手に「(添付ファイルの)中身をよく確認して受け取ってください」という意味で「ご査収~~」を使います。

「ご査収」を使うのに深い意味はないのですが・・・他にいい表現がないために必然的にそうなってしまうのです。

◎「ご査収をつかった資料送付メール」例文:

  • 例文①お見積もりの件、添付にて送付いたします。ご査収の程、よろしくお願い申し上げます。
  • 例文②履歴書を添付ファイルにて送付いたします。ご査収くださいますよう、よろしくお願い致します。
  • 例文③会議資料を添付にて送付いたします。ご査収いただきますよう、よろしくお願い致します。

使い方②メールで上司に報告・連絡

つづいて、メールで上司に報告や連絡をするビジネスシーン。メールを読んでほしいだけでなく中身についてもよく吟味してもらいたい、という意味で「ご査収」を使います。

◎「ご査収をつかった報告メール」例文:

  • 例文①開発進捗の件、以下の通りに報告いたします。ご査収ください(部下→上司)
  • 例文②値上げ進捗の件、以下の通りに報告いたします。ご査収くださいますよう、お願い致します(部下→上司)
  • 例文③会議のアジェンダ案につき、以下の通りに提案いたします。ご査収のほどお願い致します(部下→上司)

使い方③その他(お知らせメール、連絡メールなど)

つづいて、その他のお知らせメール、連絡メールをするビジネスシーン。社内・社外を問わずよくあるケースですね。こちらも、メールを読んでほしいだけでなく中身についてもよく吟味してもらいたい、という意味で「ご査収」を使います。

◎「ご査収をつかった報告メール」例文:

  • 例文①次回お打ち合わせのアジェンダにき、以下の通りに連絡いたします。ご査収いただきますよう、よろしくお願い申し上げます(お知らせメール)
  • 例文②研修の仔細につき、以下の通りに報告いたします。ご査収の程、何卒よろしく御願い致します(報告メール)
  • 例文③本社移転につき、以下の通りにご案内申し上げます。ご査収の程、何卒よろしくお願い申し上げます(お知らせメール)

【表現別】”ご査収”の使い方

「ご査収」に限らず、ビジネスメールに使う表現というのは数に限りがあります。

丁寧レベルごとに「ご査収」をつかった表現をまとめますので、社内で目上の人(上司や先輩)に使うとき、社外のビジネスパートナーに使うとき、と相手によって使い分けしましょう。

※敬語には「上司に送るメールはこの表現にしろ!」といった決まりがありません。相手の性格や立場を十分に考慮し、失礼に当たらないように心がけしましょう。

①丁寧ランク低〜中|ご査収ください/願います

「ご査収ください」「ご査収願います」は社内メールで使う丁寧レベル。

目下から目上(先輩・上司)へメールを送るときには、この敬語表現で十分です。ただし役員クラスにメールするときには、もっと丁寧な表現が必要な会社もあります。これは、業界や企業の文化によりますので、何ともいえません。

◎例文:

  • 例文「ご査収ください」「ご査収願います」

◎丁寧ランクが低い根拠:

  1. 「ご査収ください」
    命令形「しろ」の丁寧語「してください」を使っているため丁寧度がひくい。命令形は丁寧語に直したとしても命令形であって、ビジネスシーンで使うには一般的ではありません。ただし社内で上司に使うレベルであれば許される範囲。
  2. 「ご査収願います」
    「願う」に丁寧語「ます」を使っているのですが、丁寧語は社内で使うくらいの丁寧レベル。社外のコミュニケーションでは通常、できるかぎり尊敬語や謙譲語を使います。

②丁寧ランク高|ご査収くださいますよう・頂きますよう・の程

つづいて「ご査収くださいますよう、ご査収いただきますよう、ご査収のほど」は、社外のビジネスメールに使える丁寧レベル。

目上の人へのメールはもちろん、目下の人へのメールでも、取引先に対しては、これらの表現を使うのが無難です。

◎例文:

  • 例文「ご査収くださいますよう、お願い申し上げます」
  • 例文「ご査収いただきますよう、お願い申し上げます」
  • 例文「ご査収のほど、何卒よろしくお願いいたします」

◎丁寧ランクが高い根拠:

  1. 「ご査収くださいますよう~」
    命令形の丁寧語「ください」を「~ますように」でつなげ、「お願い」で結んでいます。命令形ではあるものの「お願い」とすることで、丁寧な表現にしています。こちらも、目上の人にも使える素晴らしい敬語表現と言えます。
  2. 「ご査収いただきますよう~」
    命令形の丁寧語「ください」を自分が「~してもらう」の意味である「いただきますよう」に言い換え、「お願い」にすりかえています。ビジネスメールでは命令形の使用を極力さけることから、目上の人にも使える素晴らしい敬語表現と言えます。
  3. 「ご査収のほど~」
    命令形の丁寧語「ください」の代わりに「~のほど」を使い、さらに「お願い」として使っています。ビジネスメールでは命令形の使用を極力さけることから、目上の人にも使える素晴らしい敬語表現と言えます。

③丁寧ランクMax|ご査収いただければ幸いです

もっとも丁寧な敬語表現は「ご査収いただければ幸いです。何卒宜しくお願い申し上げます」となります。

「~をもらえたら嬉しいなぁ」というとても回りくどい表現なので、上司に使うには丁寧すぎます。重要な取引先に対する重要なメールや、本当に本当に丁寧にメールをしたいときに使いましょう。

◎例文:

  • 例文「ご査収いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます」

◎丁寧ランクMaxの根拠:

命令形の丁寧語「ください」を「いただければ幸いです」に言い換え、「お願い」にすりかえています。ビジネスメールでは命令形の使用を極力さけることから、目上の人にも使える素晴らしい敬語表現と言えます。

参考となる記事:

それぞれの敬語について、くわしい解説は以下の記事をご参照ください。

「ご査収」と「ご確認」はどう違う?

「ご査収」の類語として、かろうじて当てはまりそうなのが「ご確認」。

この2つの違いってなんでしょうか?

答えは、どのくらい受け取るものの中身を吟味するかという違い。

「ご確認ください」だと、メールを受け取ったことを確認すればいいのか?メールの中身を読んで確認すればいいのか?いろいろな解釈ができます。ニュアンスとしては、そこまでガチで中身を読まなくてもよい印象です。

ところが「ご査収ください」だと、「メールの中身をよく確認して受け取ってね」の意味ですので、よりガチになってメールの中身を吟味しないといけないことになります。

したがって、より真剣になってメールの中身を読んでほしいなら「ご査収」を使えばいい、ということになります。

※実際には「ご確認」でも「ご査収」でも中身をしっかりと読む

「ご査収」に対するメール返答はどうする?

そもそも「ご査収」の意味は「中身をよく確認し(検査し)、受け取る(収める・収集する)こと」です。

したがってメールの返事として「メールを受け取りましたよ~」だけでは不十分で、中身をちゃんと確認したことも相手に伝える必要があります。

メール返信例文を出したほうがわかりやすいため、例文でまとめていきます。

①添付ファイル送付メールへの返信

返答例①添付ファイルを確認し、拝受いたしました。

返答例②添付ファイルを確認しましたところ内容に不備がございましたので、ご修正のほどお願いいたします。

②報告メールへの返信

返答例①ご報告いただきありがとうございます。受領し、内容を確認いたしました。

返答例②内容につき確認しましたが、気になる点がありましたので以下、ご確認ください。

参考となる記事:

「ご査収」を使ったビジネスメール例文【全文】

つづいて「ご査収」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。どんなメールであれ、文末の締めくくりとして使える、とても便利な表現です。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。

①見積もり送付メール(ビジネス・社外)

メール件名:見積送付の件

転職株式会社
転職 様

平素はお世話になっております。
株式会社就活の就活です。

さて、先ほどお問い合わせ頂きました見積もりの件、
添付ファイルにて送付いたします。

ご査収のほど何卒よろしくお願い致します。

メール署名

②報告メール(社内メール)

メール件名:開発進捗のご報告

○○ 課長

お疲れ様です。

さて首記の件、開発の進捗状況を以下にて報告いたします。
ご査収ください。

  • 三菱化学むけ開発品A:ラボ試作完了。4月中に実験データを採り、先方へ報告予定。
  • 三井化学むけ開発品B:先方と打ち合わせの結果、スペックの再調整が必要のため、4月中に改良サンプル試作予定。
  • 住友化学むけ開発品C:ラボ試作品の評価良好。実機試作の時期を調整し、サンプリング予定(時期調整中)。

なお実験結果等、仔細に関しましては、次月の開発会議に改めて報告いたします。

よろしくお願い致します。

メール署名

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「ご査収願います」「ご査収ください」はやはり、ラフな印象のメールになってしまいますので目上の人に使うには、言い換えが必要かと思われます。※上司のポジションや性格に合わせて使い分けてください。

まとめ

これでもかというくらい「ご査収」について語ってみました。

これはとても便利な表現で、「報告・連絡・資料送付」をするシーンだけでなく、どんなビジネスメールの締めくくりにも使えます(重要なメールで査収してほしいのであれば・・・)。

ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。

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