「いただく」「くださる」の違い、使い分け【ビジネス敬語】

「いただく」と「くださる」の違いと使い分け方について、例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。

まずは基本として、

「いただく」の意味は「(自分が)もらう」であり、「もらう」の謙譲語です。

「くださる」の意味は「(相手が)与える・くれる」であり、「くれる」の尊敬語です。

そもそもの意味が違いますので、使い分け方は簡単。

自分が主語になるのであれば「いただく」を使い、相手が主語になるのであれば「くださる」を使います。

これで終われば一件落着なのですが…

「いただく・くださる」の使い分けがややこしく感じるのは、自分を主語にしても相手を主語にしても、文章が成り立ってしまうから。

たとえば、

  • 例文①社長から(私が)ボーナスをいただいた
  • 例文②社長が(私に)ボーナスをくださった

これは結局のところ、同じく「ボーナスをもらった」という事実を表しています。ところが誰を主語にするかで、使う敬語が違います。

自分が社長からもらう」とすると「いただく」を使い、

社長がくれる」とすると「くださる」を使います。

いろいろ考え始めると、ドツボにはまってしまうのでシンプルに結論づけしておきます。

  • 「くださる」はビジネスシーンでは使わない(使わない方が無難)。
  • 「いただく」を使った表現にすべて言い換える。

このように考えると、もはや使い分ける必要などないのですが、念のため根拠を述べていきます。

※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。

「くださる」より「いただく」を使うのは、なぜ?

冒頭で「いただく」「くださる」の使い方をみてきましたが、どちらも同じような例文を使っています。主語を誰にするか、というだけで言い換えできるからです。

主語を自分にすれば、謙譲語「いただく」を使い、主語を相手にすれば尊敬語「くださる」を使います。

ただし実際のビジネスシーンでは、結構な確率で「いただく」を選ぶ人が多いですね。

これって、なぜでしょうか?

くださる=くれる”を強調、いただく=“もらう”を強調

「くださる」は「相手がくれた」という意味ですから、別に要求したわけじゃないけど相手が勝手にくれたんだ、というニュアンスを含みます。「くれた」という部分が強調されます。

「いただく」は「自分がもらった」という意味ですから、相手からの気づかいを自分が受けたというニュアンスを含みます。「もらった」という部分を強める意味で「いただく」という表現が使われます。

さて、どちらがより申し訳ない気持ち、感謝する気持ちが表れているでしょうか?

常に下手(したて)にでるのが日本の商習慣

ビジネスパーソンであれば迷いなく「いただく」を選ぶでしょう。

なぜならビジネスパーソンは通常、自分をへりくだる(低くする)ことに重点を置くから。「常に下手(したて)にでる」が日本の商売のやり方なのです。

ということで、まったく論理的じゃない説明でしたが「しょうもない自分にまでお気づかい頂いて…」と恐縮する気持ちから「いただく」という表現が好まれます。

「くださる」「いただく」を使い分ける必要などなく、常に「いただく」を使う意味をなんとな〜くでも、ご理解いただければ幸いです。

少なくとも私にはロジックで「使い分け」を説明できません…申し訳ありません。

あとは蛇足ですが、一般的な「いただく」と「くださる」の使い分けを解説します。ご興味のある方だけどうぞ。

使い分け|自分が主語=いただく、相手が主語=くださる

何度もくどいのですが「いただく・くださる」の違いを復習します。

「いただく」は「(自分が)もらう」の謙譲語であり、自分が主語のときのみ使う敬語。

「くださる」は「(相手が)与える・くれる」の尊敬語であり、相手が主語のときのみ使う敬語。

例文で2つの使い分けを復習しておきましょう。

  • 例文①社長から(自分が)ボーナスをいただいた
  • 例文②社長が(私に)ボーナスをくださった

例文①は社長から(自分が)もらう。自分に対する行為であるために、“もらう”の謙譲語「いただく」を使って敬語にしています。

例文②は社長がくれる。相手が「くれる」わけですから、“くれる”の尊敬語「くださる」を使って敬語にしています。

結果的には同じことを表しているのですが、使い方や意味は全く違いますので気をつけましょう。念のため、NGとなる例文もまとめておきますね。

  • ×NG例①社長からボーナスをくださった(意味不明)
  • ×NG例②社長がボーナスをいただいた(社長がボーナスをもらうことになってしまう)

いただく”の使い方・例文

この「いただく」という表現はとても便利で、ビジネスメール、商談、目上の方へのメールなど、どんな場面でも活躍します。お礼、謝罪、お願い、依頼etc…とにかく使える幅が多すぎて網羅できません。

特に代表的な使い方だけを、例文つきで紹介します。

使い方①シンプルに「いただく」

  • 部長から年賀状をいただいた(話し言葉)
  • 結婚式で引き出物をいただいた(話し言葉)
  • 送別のお品を頂いた(話し言葉)
  • 早々にご連絡いただき、誠にありがとうございます(感謝・メールの冒頭)
  • お取り計らいをいただき、〃 同上

使い方②「いただきますよう、〜」

  • ご検討いただきますよう、お願い申し上げます(お願いメール・文末)
  • ご承諾いただけますよう、〃 同上
  • ご承認いただけますよう、〃
  • ご了承いただきますよう、〃
  • お取り計らい頂きますよう、〃

▼「頂きますよう・頂けますよう」の違いは、可能形かそうでないか。「頂けますよう」は可能形であり、「いただく=もらう」+「できる」からなります。可能形を使った方が、より丁寧な印象を与えますが、ビジネスシーンではどちらを用いても構いません。

使い方③「頂きたく存じます」

  • ご了承を頂きたく存じます。何卒よろしくお願いいたします(お願いメール・文末)
  • ご検討いただきたく存じます。〃 同上
  • ご承諾いただきたく存じます。〃
  • ご承認いただきたく存じます。〃
  • ご了承いただきたく存じます。〃
  • お取り計らい頂きたく存じます。〃

使い方④「頂ければ幸いです(丁寧レベルmax)」

  • ご了承をいただければ幸いです。何卒宜しくお願い申し上げます(お願いメール・文末)
  • ご検討いただければ幸いです。〃 同上
  • ご承諾いただければ幸いです。〃
  • ご承認いただければ幸いです。〃
  • ご了承いただければ幸いです。〃
  • お取り計らい頂ければ幸いです。〃

使い方⑤「頂けますか?頂いても宜しいでしょうか?」

  • 傘を貸していただけますか?(話し言葉)
  • メニューをいただけますか?(話し言葉)
  • 傘を貸していただいても宜しいでしょうか?(話し言葉)
  • メニューをいただいても宜しいでしょうか?(話し言葉)

▼丁寧レベルは「頂いても宜しいですか > 頂けますか」

“いただく”を使ったビジネスメール例文【全文】

つづいて「いただく」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。とくに何かのお願い・依頼・謝罪をするビジネスメールにおいて活躍する表現です。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。

※「くださる」は先に述べたとおりビジネスシーンではあまり使われないため、「いただく」のみとしました。

内定辞退(謝罪メール)

件名:内定辞退のご連絡(就活大学・就活)

転職株式会社
人事部
◯◯ 様

平素よりお世話になります。
就活大学の就活太郎です。

さて、先日貴社より内定のご連絡をいただいておりましたが諸事情により、内定を辞退いたします。貴重なお時間をいただいておきながら、このような返事となり誠に申し訳ございません。

また、本来であれば直接伺いお詫びするべきところ、メールでのご連絡となりましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

ご了承を頂ければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

メール署名

まとめ

これでもかというくらい「いただく」について語ってみました。これはとても便利な表現で、「お礼、謝罪、お願い、依頼etc…」とにかく使える幅が多すぎて網羅できません。とくにメールの締めくくりに使うと、グッとメールが引き締まります。

また「いただければ幸いです」も合わせて使い分けできるようになると、営業マンとしてはパーフェクトです。

慣れないうちは、使うのがちょっと気持ち悪く感じますが、慣れると便利すぎてどんどん使っちゃいます。ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。

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