「ご尽力(読み:ごじんりょく)」「お力添え(読み:おちからぞえ)」の意味と違い、
ビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上)で使うときの正しい使い方について、
例文つきで誰よりもくわしく解説していく記事。
まずは要点のまとめから。
ご尽力 の意味は
力を尽くすこと、
力を出し尽くすこと
「ご尽力いただき、ありがとうございました」とした場合、
力を尽くしてもらい、ありがとう の意味となる。
お力添え の意味は
手を貸すこと、
他人を手助けすること
「お力添えいただきたく存じます」とした場合、
相手に手を貸してもらいたいと思う=手を貸してほしい の意味となる。
それぞれの意味はこんな感じであるため、
使い方が違ってきます。
違いをざっくりとまとめると以下のとおり。
ご尽力 と お力添え の違い
1.意味の違い
・ご尽力 =力を尽くすこと
・お力添え=手を貸すこと、手伝うこと
2.使い方の違い
・ご尽力 =①お礼、②お詫び、③自分が尽力する
例文①「ご尽力を頂きありがとうございました」
例文②「ご尽力を頂いたにも関わらず申し訳ありません」
例文③「尽力いたします」
・お力添え=①お礼、②お詫び、③自分が力添えする
+ ④お願い、要望
例文①「お力添え頂きありがとうございました」
例文②「お力添え頂いたにも関わらず申し訳ありません」
例文③「力添えいたしましょうか?」
例文④「お力添え頂きたく存じます」
※くわしい解説は本文にて
ここで2つ、重大な注意点を。
【注意①】
ご尽力は お願い・要望のビジネスシーンでは使わないこと。
たとえばこんな例文はNG。
NG例文「ご尽力いただきますようお願い申し上げます」
このシーンでは「お力添え」が正しい敬語となります。
【注意②】
自分の行為につかうときは「尽力」「力添え」とする
「ご尽力・お力添え」はどちらも尊敬語「お・ご」をつかって敬語にしています。
尊敬語は相手をうやまうために使う敬語で、
相手の行為につかうのが基本。
「尽力する」「力添えする」のが自分であれば、
尊敬語ではなく謙譲語にして以下のような例文でつかいます。
- 例文(私が)尽力して参ります
・参る は「行く・来る」の謙譲語 - 例文(私が)尽力いたします
・いたす は「する」の謙譲語
・丁寧語「ます」 - 例文(私が)力添えいたしましょうか?
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
本文中では、いろいろな例文を使いながら意味、使い方、注意点について説明していきます。
ご尽力 の意味・使い方・例文
冒頭で解説したことの繰り返しにはなりますが…
お力添え の意味と使い方・ビジネスシーン(メール・手紙・目上・上司)で使える例文をまとめます。
ご尽力 の意味は
力を尽くすこと、
力を出し尽くすこと
「ご尽力いただき、ありがとうございました」とした場合、
力を尽くしてもらい、ありがとう の意味となる。
ご尽力 の使い方は
① お礼のビジネスメール
例文「ご尽力をいただきありがとうございました」
例文「ご尽力をいただき厚くお礼申し上げます」
※ビジネスメールの冒頭・あいさつ文
② お詫び・謝罪のビジネスメール
例文「ご尽力を頂いたにも関わらずこのような結果となり、誠に申し訳ございません」
例文「ご尽力いただいておきながら、このような結果となりましたこと、深くお詫び申し上げます」
※ビジネスメールの冒頭・あいさつ文
③ 自分が尽力する
例文「尽力いたします」
例文「尽力して参ります」
※ いただき・いただく は「賜り・賜る」で言い換えできる
ご尽力 は例文のようにして
ビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上)に使うと、素晴らしい敬語になります。
また補足として、
ここで登場した敬語の種類を復習しておきましょう。
【補足:敬語の種類】
- 尽力 に尊敬語「お・ご」
- いただく は「もらう」の謙譲語
- 賜る も「もらう」の謙譲語、よりかしこまった表現
- ~のほど は「~していただくよう」の意味
- いただければ は「もらう」の謙譲語「いただく」
+仮定の「れば」 - 申し上げます は「言う」の謙譲語「申す」
+丁寧な表現の「あげる」
+丁寧語「ます」 - 丁寧語「です・ます」
お力添え の意味・使い方・例文
冒頭で解説したことの繰り返しにはなりますが…
お力添え の意味と使い方・ビジネスシーン(メール・手紙・目上・上司)で使える例文をまとめます。。
お力添え の意味は
手を貸すこと、
他人を手助けすること
「お力添えいただきたく存じます」とした場合、
相手に手を貸してもらいたいと思う=手を貸してほしい の意味となる。
お力添え の使い方は
① お願い、要望、要求のビジネスメール
例文「お力添えいただきたく存じます」
例文「お力添えのほど何卒よろしくお願いいたします」
例文「お力添えいただければ幸いです」
※ビジネスメールの結び・締めくくり
② お礼のビジネスメール
例文「お力添えいただきありがとうございました」
例文「お力添えいただき厚くお礼申し上げます」
※ビジネスメールの冒頭・あいさつ文
③ お詫び・謝罪のビジネスメール
例文「お力添え頂いたにも関わらずこのような結果となり、誠に申し訳ございません」
※ビジネスメールの冒頭・あいさつ文
④ 自分が力添えする
例文「力添えいたしましょうか?」
※ いただき・いただく は「賜り・賜る」で言い換えできる
お力添え は例文のようにして
ビジネスシーン(メール・手紙・上司・目上)に使うと、素晴らしい敬語になります。
また補足として、
ここで登場した敬語の種類を復習しておきましょう。
【補足:敬語の種類】
- 力添え に尊敬語「お・ご」
- いただく は「もらう」の謙譲語
- 賜る も「もらう」の謙譲語、よりかしこまった表現
- ~のほど は「~していただくよう」の意味
- いただければ は「もらう」の謙譲語「いただく」
+仮定の「れば」 - 申し上げます は「言う」の謙譲語「申す」
+丁寧な表現の「あげる」
+丁寧語「ます」 - 丁寧語「です・ます」
ご尽力・お力添え の違い
お力添え と ご尽力 はそもそもの意味が違うために、使い方も違います。
繰り返しにはなりますが詳しく解説します。
「お力添え」の意味は
手を貸すこと、
他人を手助けすること
「お力添えいただきたく存じます」とした場合、
相手に手を貸してもらいたいと思う=手を貸してほしい の意味となる。
「ご尽力」の意味は
力を尽くすこと、
力を出し尽くすこと
「ご尽力いただき、ありがとうございました」とした場合、
力を尽くしてもらい、ありがとう の意味となる。
もともとの意味が違うため、使い方も若干ですが違います。
ポイントとなる使い方の違いをまとめておきます。
【違い①】ご尽力は お願い・要望には使わない
NG例文「ご尽力いただきますようお願い申し上げます」
→ このシーンでは「お力添え」が正しい
【違い②】ご尽力は お礼・お詫びのみ
正しい例文「ご尽力いただき、ありがとうございます」
正しい例文「ご尽力いただいたにも関わらず申し訳ありません」
ご尽力 を「お願い・要望」のビジネスシーン(手紙・メール・上司・目上)に使わない理由について。
たとえば
NG例文「ご尽力いただきますようお願い申し上げます」とつかった場合、
「力を尽くしてもらうよう、お願い!」
の意味となります。
もっというと
「力を尽くしてくれ!」
というニュアンス。
ところがビジネスシーンで「力を尽くしてくれ!」っておかしくない?
もし相手が目上のひとだったら、
「なんでオレがお前のために力を尽くさなきゃいけない?」
と思われることでしょう。
ということで、
お願いするときのふさわしいフレーズは「お力添え=力を貸すこと」が正しいと言えます。
【注意点】ご尽力・お力添え はこう使う!
つづいて「ご尽力」「お力添え」を使うときの注意点を解説します。
なんでもかんでも使うのではなく、
ふさわしいビジネスシーンを考えて使いましょう。
お力添え の前に気の利いたひと言を入れるとベター
お力添え を使うビジネスシーンは「お願い・要望・お礼・お詫び」と解説しました。
お礼・お詫びであればそのままでも使えますが、
お願い・要望・要求をするシーンでは、
「お力添えいただきますようお願い申し上げます」だけだと相手への配慮が足りていません。
なぜなら、
完全にこちらの視点でものごとを見ているから。
- (私があなたに)力を貸してもらいたい!
というニュアンスなので実は結構あつかましいフレーズ。これだけでは、相手の事情などおかまいなしになってしまいます。
敬語にしたからといって「あつかましさ」においては何も変わりません。
そこで、
何か気の利いたひとこと・申し訳なく思うひとことを添えるとよいでしょう。
たとえばこんな感じ。
▼ 気の利いたひと言を添えた例文
- お手数おかけし申し訳ありませんが、
お力添えいただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます - 大変お手数おかけいたしますが、
お力添え賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます - 大変恐れ入りますが、
お力添えのほど何卒よろしくお願いいたします
・お手数おかけいたしますが の意味は「手間をかけるのですが…」
・恐れ入りますが の意味は「申し訳なく思うのですが…」
お力添え の類語・例文
お力添え を言い換えできる類語を例文で紹介しておきます。
- ご支援をいただき、誠にありがとうございました。(お礼)
- この度は選挙活動にご協力いただき、心よりお礼申し上げます。(お礼)
- この度はお手伝いいただき、誠にありがとうございました。(お礼)
ほかには「手助け・援助・補助・一助」なども類語。
う~~ん、どれも微妙な表現です…。
「ご支援」「ご協力」くらいは使えるかもしれませんが「お力添え」に勝る言い回しはないですね。
ご尽力 の類語・例文
ご尽力 を言い換えできる類語を例文で紹介しておきます。
- 努めてまいります(自分の意思)
- 勤めてまいります(自分の意思)
- 務めてまいります(自分の意思)
う~~ん、どれも微妙な表現です…。