「お忙しいところ恐れ入りますが」について、意味と目上の人への正しい使い方、注意点をビジネスメールの例文つきで誰よりもくわしく解説していく記事。
まずは結論として、
「お忙しいところ恐れ入りますが」の意味は「忙しいのに申し訳ないけども~」であり、ビジネスメールではシーンを問わず活躍する表現です。相手が忙しいとかそうでないとかを関係なく使えます。
使い方としては例えば、
- 例文「お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願い致します」
- 例文「お忙しいところ恐れ入りますが、ご対応のほどお願い申し上げます」
- 例文「お忙しいところ恐れ入りますが、お取り計らいのほどお願い申し上げます」
※「お忙しいことろ」の部分は「お忙しい中」「お忙しいとは存じますが」で言い換えできます。
などがあり、どの例文も社内メールで目上の人(上司や先輩)に使っても、社外のビジネスメールに使ってもよい、丁寧な敬語表現です。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、くわしくは本文中にて意味と使い方、注意点を述べていきます。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。
「お忙しいところ恐れ入りますが」の意味
「お忙しいところ恐れ入りますが~」の意味は「忙しいのに申し訳ないけれども~」となります。
たとえば「お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願い致します」とすれば、「忙しいのに申し訳ないけども、よろしく」となります。
「お忙しいところ」はそのままの意味でいいものの、「恐れ入ります」の部分がわかりにくいため、念のために解説しておきます。
「恐れ入りますが」の意味は「申し訳ないけれど」
「恐れ入る」の意味は辞書によると「①ありがたいと思う」「②申し訳なく思う」とあります。①感謝と②すみません、の2つのまったく逆の意味をもちます。
たとえば、
- 例文①お取り計らいをいただき、恐れ入ります。
- 例文②ご厚情をたまわり、恐れ入ります。
このような使い方は、どちらかというと「①ありがたいと思う」という意味で使われます(申し訳なく思う、の意味ともとれますが・・・)。
いっぽうでたとえば、
- 例文③お忙しいところ、恐れ入ります。
- 例文④ご多忙のところ、恐れ入ります。
としたときには「②申し訳なく思う」の意味で使われます。
ということで、「恐れ入る」は感謝の気持ちと、申し訳なく思う気持ちの両方を表すことができるため、ビジネスシーンにおいては使いやすい言葉です。
「ありがとう」なのか「申し訳ない」なのか、どっちつかずの感じがいいですよね。
【シーン別】「お忙しいところ恐れ入りますが」の使い方
つづいて「お忙しいところ恐れ入りますが」の使い方について。使えるシーンはたくさんありますが、代表的なものを箇条書きにしてまとめます。
とくに「お願いメール」「問い合わせメール」のビジネスメール文末に、締めくくりとして使います。ほんの一例ですが・・・。
①お願いメール・問い合わせメール
「お願いメール」のなかには、アポイントをお願いする、面接日程調整をお願いする、企業に問い合わせをする・・・などがあります。
このようなビジネスメール(就活・転職メールふくむ)では、文末の締めくくりに「お忙しいところ恐れ入りますが、~」としてお願いをすると、相手への配慮が感じられて好感がもてます。
◎「お忙しいところ恐れ入りますが」例文:
- 例文「お忙しいところ恐れ入りますが、ご対応のほど何卒よろしくお願い申し上げます」
- 例文「お忙しいところ恐れ入りますが、ご調整いただければ幸いです」
- 例文「お忙しいところ恐れ入りますが、ご連絡のほど何卒よろしくお願い致します」
※メール文末の結びに使うことを想定しています。
②商談・電話(ビジネス会話)
ところで「お忙しいところ恐れ入りますが、~」は電話対応や商談にも使えます。ビジネスメールならではの表現、「ご査収ください」といった言葉とは違いますね。
使い方は同じように、申し訳なく思う気持ちをしめしたいシーンで使うと丁寧です。
◎「お忙しいところ恐れ入りますが」電話対応例:
~前略(問い合わせ電話)~
取引先:
承知いたしました、それではご依頼のサンプルを手配いたします。
お届けには1週間ほどいただいておりますが、あらかじめご了承ください。
あなた:
お忙しいところ恐れ入ります。失礼致します。
取引先:
失礼致します。
注意点!「お忙しいところ恐れ入りますが」はこう使う
つづいて「お忙しいところ恐れ入りますが、~」を使うときの注意点を解説します。
注意①「お忙しいところ~」はヒマな相手にも使える
「お忙しいところ恐れ入りますが、~」は本来の意味とは違い、相手への配慮をしめす言葉として使われます。
したがって実際にはヒマな相手にメールするときに使ってもOK。
この採用担当者はヒマそうだから「お忙しいところ~」はメールに使えないよなぁ…。この取引先は忙しそうだから「お忙しいところ~」をメールで絶対に使うべきだ!。
とか、そういう使い分けは必要ありません。
ビジネスメールでは、相手が誰であろうと「お忙しいところ恐れ入りますが」を等しく使えますのでご安心ください。「お忙しいところ~」は相手を気遣うときに使う表現=社交辞令です。
注意②ビジネスでは何かと「お願い」ばかり。だから「お忙しいところ~」をよく使う
ビジネスは一人では成り立ちません。私たちは、社内の先輩や上司、社外のパートナーなど、まわりの人々にいつも助けてもらいながら仕事をしているのです。
そういう意味で、ビジネスメールでは「お願い」ばかりすることになります。
そんなお願いをするときのちょっとした気遣い、心遣いに「お忙しいところ恐れ入りますが、~」とすると好感がもてます。
たとえば、相手にアポイントをとるときには「○月○日に貴社へ伺いたく存じますが、ご都合いかがでしょうか。~中略~ お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます」とします。
注意③「忙」は忌み言葉だけどビジネスメールで使える
ビジネスマナーを教えるサイトで「お忙しいところ」「ご多忙」という表現は、ビジネスメールに使わないように。としている人が結構います。
たしかに「忙」という字には「亡くなる」という文字がふくまれるため、縁起の悪い言葉として考えられます。※これを「忌み言葉」といいます。
でもビジネスシーンでは「忙しい」「ご多忙」を使っても何ら問題はありません。なぜなら、「忙しい」「ご多忙」にはよい意味もあるから。
「忙しい・ご多忙」という言葉のニュアンスには2つあり、相手への配慮の他に「ビジネスが上手くいっているからこそ忙しい = よい意味」もふくみます。
したがってビジネスメールで「忙しい」を使うのは、しごく当たり前のことなのです。
よく昇進のお祝いメールで「何かとお忙しいことと存じますが、くれぐれもご自愛ください」などといった表現を見ますよね。
これは、「昇進することによって仕事がより増えるだろうけど、お身体を大切にしてください」の意味。相手への配慮と、ビジネスが上手くいった(昇進した)ことに対するお祝いをニュアンスとして含んでいるのです。
※ただし、お見舞い・結婚・出産のシーンでは「忙」を使ってはいけません。
参考になる記事:
言い換えOK!「お忙しいところ~」の類語例
つづいて「お忙しいところ恐れ入りますが~」の類語を例文でまとめます。ビジネスメールでは、これらの表現に言い換えすることもできますので、お好みの表現を用いてください。
もちろん目上の人(上司・先輩)にも使えます。
- 言い換え①ご多用中(ご多忙中)、恐れ入りますが~
- 言い換え②ご多用のところ(ご多忙のところ)、恐れ入りますが~
- 言い換え③お忙しいかと存じますが、~
- 言い換え④ご多忙の折(ご多用の折)、恐れ入りますが~
- 言い換え⑤お忙しい中、恐れ入りますが~
※「ご多用」「ご多忙」はほとんど同じ意味で使われる。
※※「恐れ入りますが」をより畏まった言い方にするには「大変恐れ入りますが」「誠に恐れ入りますが」とする。
参考になる記事:
ビジネスメールよりも会話重視!
ビジネスにおけるコミュニケーションの基本は会話(商談・会議・プレゼン・電話)であり、ビジネスメールではない。
なぜなら、ビジネスで重要なことは決してメールでは済まさないからです。メールでコミュニケーションが全て済むなら、企業は人を採用するのにわざわざ面接を設けたりしません。
メールのやりとりだけでビジネスレベルを図って人を採用すればいいだけです。
ですから、ビジネスメールは最低限のマナーだけを抑えておけばよく、変に気をつかいすぎる必要はありません。それよりも会話のスキルを磨くほうが重要です。
【例文】「お忙しいところ恐れ入りますが」ビジネスメール全文
つづいて「お忙しいところ恐れ入りますが」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。どんなメールであれ、文末の締めくくりとして使える、とても便利な表現です。
目上の方(上司・先輩)や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。
例文①OB訪問お願いメール(就活メール)
メール件名:OB訪問のお願い(就活大学・就活)
転職株式会社
人事部
転職 様
突然の連絡にて、大変失礼いたします。
就活大学・就活学部の□□と申します。
大学のキャリアセンターからの紹介で連絡いたしました。
さて、私は現在、◯◯業界を中心に企業研究をしており貴社に大変興味を持っております。そこで是非、現場でご活躍されている△△様のお話を伺いたく存じます。
よろしければ下記日程のいずれかで伺いたく存じますが、
ご都合のほどいかがでしょうか。
・x月xx日〜x月xx日 13:00-19:00
・x月xx日〜x月xx日 11:00-16:00
△△様のご都合のよろしい日時・場所をご指定頂ければ幸いです。
お忙しいところ恐れ入りますが、
ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
メール署名
参考となる書き方:
②問い合わせメール(ビジネス・社外)
メール件名:貴社製品に関する問い合わせ
転職株式会社
転職 様
突然の連絡にて、大変失礼いたします。
株式会社就活・営業担当の就活と申します。
貴社ホームページを拝見し、連絡いたしました。
さて、現在弊社では貴社製品「iphone7」の注文を検討しております。
そこで、下記内容につきご教示いただきたく存じます。
①支払い方法
②価格(個数1000台)
お忙しいところ恐れ入りますが、
ご対応のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
メール署名
③資料取り寄せのお願いメール(ビジネス・社外)
メール件名:資料送付のお願い
転職株式会社
転職 様
突然のご連絡、大変失礼いたします。
株式会社就活・営業担当の就活と申します。
このたび、御社ホームページを拝見し掲載されている「iPad Pro」に関して、
スペック・データ等の詳細を確認いたしたく存じます。
つきまして、大変お手数ではございますが
カタログなどがございましたら下記宛に2部、送付いただいてもよろしいでしょうか。
送付先:
〒123-4567 東京都港区品川1-1
株式会社就活
就活一郎 あて
お忙しいところ恐れ入りますが、
お取り計らいくださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。
メール署名
まとめ
今回は「お忙しいところ恐れ入りますが」の意味と使い方、注意点について、これでもかというくらい語ってみました。
この表現はとても便利で、ビジネスメールでは万能に活躍します。
ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。