理系の就職偏差値ランキング|なぜ製薬会社が自動車や化学より上?

2chの理系就職偏差値理ランキングを見ると製薬会社(R&D部門)が上位にいますが、なぜでしょうか?

「化学」という分野においては製薬も化学素材も鉄鋼も大した違いはありません。ところが就職の人気度合いは全く違います。

理系男子・理系女子のために、就職活動・転職のちょっとした疑問を解決してみます。

理由①理系の職業では製薬業界の年収が高い

シンプルに給料が高い業界は人気も高くなります。

文系では総合商社が最も年収ランキングが高く、人気No.1。

理系では製薬業界・研究開発が最も年収ランキングが高く、人気No.1。人間ですから給料の高い会社に入社したいと思うのは当たり前ですね。

理由②学歴フィルターが厳しい

理系の場合、医薬業界の学歴フィルターは化学素材や自動車よりとてつもなく厳しいです。その上、TOEIC800点未満はすべて足きりという訳の分からない企業も存在。

製薬メーカーのようなドメスティック産業に英語なんてあまりいらないと思うのですが、TOEICスコアで足きりする企業の目的は英語のできる人材がほしい、という訳ではなく応募者が多すぎるから。学歴フィルターをかけてもまだ応募者を振るいにかける必要があるのですね。

高学歴を採用する=競争倍率が高い。就職難易度の高い企業は就職偏差値ランキングが上にきます。

理由③将来性・安定性がそれなりにある

これは会社によると思うのですが、一般的な見解として製薬業界は将来性や安定性に優れるため人気が高くなります。グローバルでは大したことのない日本の大手製薬メーカー(武田薬品工業)も、国内では成長産業との位置づけ。

2016年の薬価改定・安いジェネリック医薬品の普及で今後、あまり稼げない業界になるのでは?

化学素材メーカーがどんどん医薬・製薬業界に参入していき競争過多に陥るのでは?

と危惧していますが、わるい状況の中でも各社それなりには利益を上げています。今のところは大丈夫そうですかね…。

それでは最後に、仕事内容という面で見たときの製薬メーカーと他業界の比較をします。

理由④仕事のやりがいが大きい。製薬メーカーには予算の制約がない

製薬メーカーの研究開発(R&D)というのは、理系の人にとって本当に楽しいでしょう。なぜなら「予算の制約が少ない・もしくは無いに等しい」からです。

他業界はR&Dといっても予算面での制約が多すぎて、せっかく画期的な発明をしても価格があわなくて売れないケースが多いのです。

製薬会社の開発難易度は約3万分の1、でも成功すると見返りがすごい

製薬会社のR&Dは、探索フェーズが3万件あったとしたら、そこから上市できるのは1つあればいいほうだと言われています(約3万分の1の確率)。その代わり、ひとつでも売れる新薬を開発できれば10年くらいは会社が成り立ちます。

たとえば、ひとつの医薬品で売上5000億円!なんていうことが普通にあるのです(これを業界用語でブロックバスター医薬品といいます)。化学メーカーでは40年研究開発しても、こんなことに巡りあうことは決してありません(断言)。

もちろん製薬会社でも売れる新薬開発に携われる、なんてことはそうそうないでしょうが…。それでも化学メーカーよりも機会は多いと思われます。仕事のモチベーションを保つ、仕事に夢を追えるのは化学よりも製薬会社の研究開発ですね。

化学素材・自動車メーカーのR&Dにおける制約(とくに予算)

  1. 予算の制約 → R&Dに多くの人と費用をかけられない
  2. 製造コストの制約 → 高すぎると売れない
  3. 製造技術の制約 → 自社工場で作れなかったら売れない
  4. 数量の制約 → 見込み数量が少なすぎると作る価値がない

などなど、メーカーのR&Dは自分の力ではどうしようもない問題に直面します。この中で最もつらいのは予算の制約。人もお金も潤沢に使った開発をできるのは、製薬メーカーだけでしょう。

私の所属する化学メーカーの場合、何も生み出していなければ5年も経たずに開発テーマ打ち切りになります。そしてたかだか1億円の設備投資をするのでも、あぁでもない、こうでもない…と悩みまくります。「ぐちゃぐちゃ悩まずにやればえぇやん!」といつも言うのですが、それは許されない。コストにはかなり厳しいのです。ちなみに、原料や投資コストが高すぎて製品にできずお蔵入りになる新規開発商品が多数あります。

一方の製薬業界のR&Dは何も生み出さなくて当たり前なので、0.00001%でも可能性のありそうな開発テーマには予算と人をちゃんと割り当てます。

予算がある・なしの差は、仕事のやりがいという面で大きいといえますね。

研究開発費の比較(化学大手vs.製薬会社大手)

参考データとして、2016年の製薬メーカー大手の研究開発費vs.化学メーカー大手を比較してみましょう。製薬メーカーは売上規模のわりに、研究開発費の多い企業ランキングの上位にきます。

  • 3459億円|武田薬品工業(製薬)
  • 2256億円|アステラス製薬(製薬)
  • 2010億円|大塚ホールディングス(製薬)
  • 1630億円|富士フィルムHD(化学)
  • 1384億円|三菱ケミカルHD(化学)

もちろん、トヨタ1兆円、ホンダ7000億円、日産5000億円などに劣りますが、自動車メーカーは売上規模でいうと日系製薬会社の10倍以上はあります。売上にたいする研究開発費のかけ方をみると製薬会社が圧倒的に多いです。

また世界の外資系製薬会社の研究開発費をみると、米ファイザー約8000億円、米メルク1兆円ごえ、スイス・ロシュ1兆円ごえ…。とやはり研究開発の予算はけた違いに多い。

製薬会社の将来性・安定性には「?」も残る

先ほど製薬会社は安定・将来性ありとしましたが…。今後はどうかと思ったので書いておきます。製薬大手は各社、利益をそれなりには出していますが製薬業界の先行きには「?」が残ります。

そこで製薬会社は不要な人材のリストラを実施しています。MR職は毎年のようにリストラされています。研究開発職も会社によっては早期退職という名のリストラを実施している企業もあります。

若いうちは問題ないでしょうが、40代を過ぎてからの雇用に不安が残る業界に変わりつつあります。ご留意ください(くわしくは以下の記事にて解説)。

これは製薬業界に限った話ではなく、どんな企業でも同じですけど…。私の勤める化学メーカーも絶対にリストラしない会社で有名ですが、今後どうなるかなんてわかりません。

3分でわかる製薬業界。現状と課題、今後の動向【2017年版】

【製薬業界の今後2017年版】-ジェネリックは? -MRの将来性は?

まとめ

以上、4つの理由でしたが化学も製薬業界も、やっていることの根本はそこまで変わりません。ただしR&Dの難易度は製薬業界のほうが遥かに難しく、化学素材メーカーは簡単です。それは、新しい商品が上市されるスピードを比較してみればすぐに分かることでしょう(残念ながらB to Bのため、まったくニュースにはなりませんが…)。

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