化学メーカーの年収ランキングを見ると、年収の高い会社とそうでない会社があります。日系企業の給料体系は大手であれば、業界の平均や同じクラスの企業を見て決める会社が多く、なぜこのような違いがあるのかを分析する必要があります。
今回はAGC(旭硝子)の総合職文系&理系について解説します。
この記事の目次
旭硝子AGCの平均年収(全従業員ベース)
有価証券報告書に公表されている平均年収(全従業員ベース)は以下の通り。
【2015年度の平均年収:793万円】
【平均年齢:41.9歳】
【平均勤続年数:17.9年】
【年収=給与+残業代+賞与+基準外賃金】基準外賃金とは通勤手当、家族手当、住宅手当などのことを指す。
この平均年収というのは圧倒的に母数の多い工場の一般職勤務も含んでいるので、総合職には全く当てはまらない。そこで総合職のデータも確認しておく。
旭硝子AGCの平均年収(総合職文系&理系)
東洋経済の発表している年収ランキング2016年を参照してみると以下の通り。
業界順位 | 全体順位 | 社名 | 業種 | 平均年収 | 平均年齢 | 職種 |
1 | 25 | 旭硝子 | ガラス・土石 | 1,073万円 | 41.0 | 総合職 |
出典:東洋経済ONLINE
ここまでわかったところで、彼らの年収がなぜ高いかを分析してみよう。
理由:住宅手当が厚い
旭硝子には以下の住宅手当が支給される。
- 首都圏7万5千円/月
- その他地域6万円/月
この家賃補助を独身者は35歳まで、既婚者は45歳まで受けられる。
これだけで平均年収を70-90万円押し上げる要因となる。
ただし他大手化学メーカーも同じような手当があるため、これだけでは旭硝子がトップの要因にはならない。
そこでわかりやすく年収事例を出してみよう。
旭硝子AGCの年収事例まとめ
標準給与体系(ボーナスにより変動)
【23歳学卒/25歳院卒入社】公表の年収+ボーナス+残業代
【27歳】年収550万円(残業代、住宅手当別)
【30歳】年収650万円(残業代、住宅手当別)
【34歳・管理職ぺいぺい】年収800万円(ほぼ全員昇格)
【35歳・管理職ぺいぺい】年収850万円
【38-40歳・管理職中級】1,000-1,200万円(ほぼ全員)
【41-43歳・管理職上級】1,200-1,400万円(3-5人に1人)
【部長】1,400万円以上(狭き門)
給与制度の特徴と各種手当
- 独身寮:35歳以下権利あり、家賃1-2万円/月程度。
- 住宅手当:独身35歳、既婚者45歳まで7.5万円/月を補助。
- 世帯手当:なし
- 34歳から裁量労働制になり残業をどれだけしようが一定額の手当のみ。
- ボーナスは5-7ヶ月分。
- 給料と手当は下落傾向。
まとめると、あまり特筆すべき点のない給与体系。
30歳で住宅手当込み年収740万円(月30時間残業で年収840万円、月70時間残業で年収1,000万円)。
35歳で住宅手当込み年収940万円。
38歳でようやく年収1,000万円突破。
化学メーカーの中でトップクラスではあるが、トップではない。
旭硝子の年収は下落傾向
年収の高い状況は長続きしないだろう。
これまで異常とも言えるほどの好業績によって高年収企業に入っていたが、業績は2013年3月期を境に低迷、というか普通の大手総合化学メーカー並みになっている。
ということで今後は大手化学メーカー並みの平均年収となり40歳平均年収1,000万円くらいが期待値。
それでも下を見れば年収1,000万円にすら到達しない企業もあるため、依然として高年収。
やはり就職・転職先を決めるには、将来性を見極めることが最も重要ということでしょう。