【製薬業界の今後2017年版】-ジェネリックは? -MRの将来性は?

製薬業界(=医薬業界)の今後と将来性について考察する記事。

とくに以下の点につき詳しく解説していきます。

  1. 製薬メーカーの今後と将来性は?
  2. ジェネリック医薬品の登場で製薬業界は今後どうなる?
  3. 営業職(MR)の今後は?リストラが不安だ…
  4. 研究開発職の今後は?リストラが不安だ…
  5. 武田薬品工業(あるいはエーザイ、アステラス製薬、第一三共、大塚HD)が第一志望なんだけど将来性ってどう?

製薬業界(=医薬業界)の基礎的な部分についてはひととおり学習ずみであることを想定して、進めていきます。

「そもそも製薬業界ってなに?」という知識ゼロのあなたは、まずこちらの記事でざっくりと理解しておきましょう。→ 3分でわかる製薬業界。現状と課題、今後の動向【2017年版】

「①製薬・医薬業界全体の今後  ②MR職・研究開発職の今後 → ③個別企業ごとの今後」と順を追ってわかりやすく解説していきます。

2018卒/19卒の就活、転職のご参考にどうぞ。

製薬業界の今後 – 安価なジェネリック医薬品の普及

今後の動向としてまず挙げておかなければいけない「ジェネリック医薬品(=後発医薬品)の拡大」。これは日本に限った話ではなく、グローバルにジェネリック医薬品は拡大していく。

先進国ではとくに、国の医療費負担が増え続けることに頭を悩ませている。それを解消するための手段として、安価なジェネリック医薬品の拡大は必須なのである(すでに先進国のジェネリック医薬品導入比率は日本よりも高い)。

2020年末までに55% → 80%目標

日本にスポットをあてると、ジェネリック医薬品へのシフトは国策なので避けられない運命にある。ジェネリック医薬品は今後、2020年末までに数量ベースでのシェアを80%にすることが目標(by 厚生労働省)。ちなみに2015年は55%だった。

また主要国のジェネリック医薬品の比率をまとめると以下のとおり(出所:厚生労働省、2015年集計)。

  1. 55% 日本
  2. 92% 米国
  3. 85% ドイツ
  4. 75% イギリス
  5. 58% イタリア
  6. 66% フランス
  7. 65% スペイン

ただこれにはマジックもあって「数量ベースのシェア」であること。これでは何も意味をなさない。「国の医療費削減」について論じるのであれば、金額ベースで見るべきである。

先発医薬品メーカーは苦しく、かといってジェネリック医薬品も…

これによって今後、ダメージを受ける企業には先発医薬品メーカー(=新薬開発メーカー)がある。

一方でジェネリック医薬品メーカーにとっては追い風であり、今後も売上を伸ばしていくものと推測。ただ注意点として、ジェネリック医薬品は簡単に作れるためすぐに市場は飽和する。製薬大手も本格的に参入しはじめており最後は体力勝負になる。

ジェネリック医薬品メーカーも今後、厳しくなっていくだろう。

先発医薬品メーカー&ジェネリックメーカー

●先発医薬品メーカーの一覧

武田薬品工業、アステラス製薬、大塚HD、第一三共、エーザイ、中外製薬、田辺三菱製薬、大日本住友製薬、協和発酵キリン、塩野義製薬、小野薬品工業、ほか

●ジェネリック医薬品メーカーの一覧

日医工、沢井製薬、ニプロ、ニプロファーマ、東和薬品、日本ケミファ、ダイト、富士製薬工業、鶴原製薬、テバ製薬、サンド、マイラン製薬、エルメッドエーザイ、第一三共エスファ、日本調剤グループ、長生堂製薬、共和薬品工業、キョーリンリメディオ、大原薬品工業、陽進堂、辰巳化学、大興製薬、日新製薬、田辺製薬販売、東亜薬品、富士フイルムファーマ、シオノケミカル、Meiji Seika ファルマ、健栄製薬、日本点眼薬研究所、小林化工、あすか製薬、あすかActavis製薬、ケミックス、科研製薬、日本薬品工業、全星薬品工業、ほか多数

●バイオ医薬品メーカー:ベンチャー企業多数

●一般用医薬品(OTC)メーカーの一覧

大正製薬、久光製薬、小林製薬、興和ロート製薬、参天製薬、 ほか

製薬業界の今後 – 国内の薬価制度改定(値下げ方向)

つづいて製薬業界の今後に大きく影響を与えるのが「国内の薬価制度改定」。これは厚生労働省が主体となって進めている案件であり、製薬メーカーがどうこうできるものではない。薬価制度改定の背景には「増え続ける国の医療費負担」がある。

国は少しでも予算を抑えるために、先ほどの「①安価なジェネリック医薬品」と「②薬価制度の見直し」をかなり強引に進めている。

薬価制度の見直しは新薬の値下げにつながるため、製薬業界(とくに先発医薬品メーカー)にとっては厳しい状況である。

2016年度、大幅に見直された薬価制度

これまでも薬価制度の見直しはあったものの、2016年度にはとくに大幅な改定(要は値下げ)があった。その内容がヤ○ザとしか思えないほど先発医薬品メーカーにとってかわいそうな内容なので、シンプルにまとめておく。

※ちなみに薬価制度に基づいて医薬品(新薬・ジェネリック・バイオ)の値段はきまる。

  1. 年間売上1000~1500億円の医薬品

    かつ想定売上の1.5倍以上 → 薬価をMax25%下げる
  2. 年間売上1500億円~の医薬品

    かつ想定売上の1.3倍以上 → 薬価をMax50%下げる

ようは「従来の薬価制度をきびしくして、予想を超えた大ヒット商品ほど大幅値引きするよ」という内容であった。そして今後も見直し(値下げ)される可能性が十分にある。

今後もさらなる「薬価制度の見直し」がありえる

これはまだ、先発医薬品メーカー vs. 厚生労働省のバトル幕開けにすぎない。ずぶずぶの関係だった先発医薬品メーカーと厚生労働省の間になにが起きたのか?は推測にお任せする。

いずれにせよ厚生労働省は、先発医薬品メーカーを徹底的に痛めつけるつもりだ。したがって先発医薬品メーカーは今後、さらに厳しい状況におかれるだろう。

いっぽうでジェネリック医薬品メーカー・バイオ医薬品メーカーは、すでに厳しい状況におかれている(競争激化)ため、今後もしばらくは放置プレイで済まされるだろう。

製薬業界の今後 – 製薬メーカーの動向