ブロックバスター医薬品の売上ランキング2017年版、世界TOP15をご紹介。
まずは基本として、ブロックバスター医薬品(Blockbuster drug)とは製薬業界の用語で「めちゃくちゃ売れた医薬品」のことを指します。どれくらい売れたらブロックバスター医薬品として認められるか、という基準はとくにないのですが、一般的には年間1億USドル(約1100億円)以上を売り上げた医薬品に用いられます。
製薬メーカーの将来性を考える指標になるかと思います。就活・転職のご参考にどうぞ。
※データは各企業のアニュアルレポート・決算説明会等の資料より引いてます(2016年度・実績)
この記事の目次
15位 43億㌦|Advair/アドエア(国内)
一般名:サルメテロール・フルチカゾン – Salmeterol/Fluticasone
製薬メーカー【英グラクソ・スミスクライン(GSK)】
世界15位のブロックバスター医薬品は、英グラクソ・スミスクライン(GSK)のAdvair(一般名:サルメテロール・フルチカゾン – Salmeterol/Fluticasone)。日本国内では「アドエア(Adoair)」という商品名で、GSKの日本法人が販売元。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に用いられます。
●2016年の世界売上:
43億2500万ドル(£34億8500万)
●2015年の世界売上:
45億6800万ドル(£36億8100万)
●成長率:▲5.3%(2015年対比)
14位 47億㌦|Neulasta/ジーラスタ(国内)
製薬メーカー【米アムジェン】
世界14位のブロックバスター医薬品は、米アムジェンのNeulasta。日本では「ジーラスタ」の商品名で協和発酵キリンが販売元。がん化学治療法の持続型G-GSF製剤として使われます。※G-CSF製剤とは(Granulocyte-Colony Stimulating Factor)の略で、遺伝子組換え技術によって生産されるタンパク質製剤。
※アムジェン inc (Amgen inc.) は、米国に本社をおく世界最大のバイオテクノロジー企業。
●2016年の世界売上:
47億100万ドル
・アムジェン:46億4800万ドル
・協和発酵キリン:5.3億ドル[59億円]
●2015年の世界売上:
47億5200万ドル
・アムジェン:47億1500万ドル
・協和発酵キリン:3.7億ドル[41億円]
●成長率:▲1.1%
13位 49億㌦|Lyrica®/リリカ(国内)
一般名:Pregabalin – プレガバリン
製薬メーカー【米ファイザー】
世界13位のブロックバスター医薬品は、米ファイザーのLyrica®(一般名:Pregabalin – プレガバリン)。日本では「リリカ」の商品名でファイザー日本法人が販売元。主に神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)に用いられます。
●2016年の世界売上:
49億6600万2ドル
●2015年の世界売上:
48億3800万2ドル
●成長率:+2.6%
12位 50億㌦|EYLEA®/アイリーア(国内)
一般名:aflibercept – アフリベルセプト
製薬メーカー【米リジェネロン & 独バイエル】
世界12位のブロックバスター医薬品は、米リジェネロン & 独バイエルのEYLEA®(一般名:aflibercept – アフリベルセプト)。日本国内での商品名は「アイリーア」。AMD治療(※注1)、DME治療(※注2)などに用いられます。
※リジョネロン(Regeneron Pharmaceuticals)は米国のバイオ医薬品メーカー。Eylea®は独バイエルとの共同開発で生まれた商品です。
※リジョネロン社は他にも、アフリベルセプト(aflibercept)を用いた「がん治療」の分野で仏サノフィ(Sanofi)と共同開発をしています。
●2016年の世界売上:
50億4500万ドル
・独バイエル:17億2200万ドル[€16億2500万]
・米リジョネロン:33億2300万ドル
●2015年の世界売上:
39億7700万ドル
・独バイエル薬品:13億100万ドル[€12億2800万]
・米リジョネロン:26億7600万ドル
●成長率:+26.9%
※注1) AMD – 加齢黄斑変性
AMD – 加齢黄斑変性とは、網膜の黄斑部が加齢等の原因で変化し、「物がゆがんで見える」「暗く見える」「視力が低下する」などの症状が表れる疾患。発症の初期では症状が軽いために気にしなかったり、あるいは片方の目が正常であれば、無意識のうちに見え方が補われるので気付き難いことがあります。そのため、見え方の異常を自覚して眼科を受診した時には、症状がかなり進行している場合もあります。
※注2) DME – 糖尿病黄斑浮腫
「DME – 糖尿病黄斑浮腫(とうにょうびょうおうはんふしゅ)」は、糖尿病網膜症(糖尿病性網膜症)の合併症として網膜にある黄斑という部分がむくみ(浮腫)、網膜症の初期段階でも視力障害が起こる病気。糖尿病三大合併症の一つで失明に至ることもあります。
11位 53億㌦|Xarelto®/イグザレルト(国内)
一般名:Rivaroxaban – リバーロキサバン
製薬メーカー【独バイエル & 米ジョンソン・アンド・ジョンソン】
世界11位のブロックバスター医薬品は、米ジョンソン・アンド・ジョンソン、独バイエルの共同開発で生まれたXarelto®(一般名:Rivaroxaban – リバーロキサバン)。日本国内での商品名は「イグザレルト」でバイエル薬品(バイエルの日本法人)が販売元。脳梗塞が起こるのを抑える医薬品として用いられます。
●2016年の世界売上:
53億9000万ドル
・バイエル:31億200万ドル[€29億2800万]
・J&J:22億8800万ドル
●2015年の世界売上:
42億5400万ドル
・バイエル:23億8600万ドル[€22億5200万]
・J&J:18億6800万ドル
●成長率:+26.7%
10位 57億㌦|Prevnar13®/プレベナー13(国内)
製薬メーカー【米ファイザー】
世界10位のブロックバスター医薬品は、米ファイザーのPrevnar13®。日本国内での商品名は「プレベナー13」で、肺炎球菌のワクチン(※注1)として用いられます。
※注1)「プレベナー13」は生後2か月から6歳未満の小児に対する肺炎球菌(血清型1、3、4、5、6A、6B、7F、9V、14、18C、19A、19F及び23F)による侵襲性感染症を予防するワクチンとして、7価の肺炎球菌結合型ワクチン「プレベナー」に替わり2013年11月から定期接種の対象となっています。
●2016年の世界売上:
57億1800万ドル
●2015年の世界売上:
62億4500万ドル
●成長率:▲8.4%
9位 60億㌦|Lantus®/ランタス(国内)
一般名:insulin – インスリン
製薬メーカー【仏サノフィ】
世界9位のブロックバスター医薬品は、仏サノフィのLantus®。日本国内での商品名は「ランタス」で、糖尿病のインスリン注射に用いられます。
●2016年の世界売上:
60億5400万ドル[€57億1400万]
●2015年の世界売上:
67億7000万ドル[€63億9000万]
●成長率:▲10.6%
8位 67億㌦|Herceptin®/ハーセプチン(国内)
一般名:Trastuzumab – トラスツズマブ
製薬メーカー【スイス・ロシュ】
世界8位のブロックバスター医薬品は、スイス・ロシュのHerceptin®(一般名:Trastuzumab – トラスツズマブ)。日本国内での商品名は「ハーセプチン」で、ロシュ・グループの中外製薬が販売元。乳がん・胃がんの抗がん剤に用いられます。
●2016年の世界売上:
67億5100万ドル[CHF 67億8200万]
●2015年の世界売上:
65億900万ドル[CHF 65億3800万]
●成長率:+3.7%
7位 67億㌦|Avastin®/アバスチン(国内)
一般名:Bevacizumab – ベシズマブ
製薬メーカー【スイス・ロシュ】
世界7位のブロックバスター医薬品は、スイス・ロシュのAvastin®(一般名:Bevacizumab – ベシズマブ)。日本国内での商品名は「アバスチン」でロシュ・グループの中外製薬が販売元。分子標的治療薬の一つであり、抗がん剤として使用されるほか、加齢黄斑変性や糖尿病性網膜症の治療薬として期待されています。
●2016年の世界売上:
67億5200万ドル[CHF 67億8300万]
●2015年の世界売上:
66億5400万ドル[CHF 66億8400万]
●成長率:+1.5%
6位 69億㌦|Revlimid®/レブラミド(国内)
一般名:Lenalidomide – レナリドミド
製薬メーカー【米セルジーン】
世界6位のブロックバスター医薬品は、米セルジーンのRevlimid®(一般名:Lenalidomide – レナリドミドまたはレナリドマイド)。日本国内での商品名は「レブラミド」でセルジーン社が販売元。多発性骨髄腫の治療に用いられます。
セルジーン社は米国のバイオ医薬品メーカー。
※セルジーン社は「レブラミド」に関する副作用報告の遅延により2017年、行政処分を受けている。→ 厚生労働省
●2016年の世界売上:
69億7400万ドル
●2015年の世界売上:
58億100万ドル
●成長率:+20.2%
ブロックバスターの説明が年間1億ドルになっていますよ。おせっかいですみません。