製薬業界(=医薬品業界)について知識ゼロの状態から、製薬メーカーの社員と話ができるレベルまで持っていくための記事。
製薬業界の「基礎→現状→課題→今後の動向→将来性→年収」について順番にまとめていきます。
就活・転職のご参考にどうぞ。
この記事の目次
そもそも製薬業界とは?
まずは基本の復習から。
製薬業界の基礎①ざっくりとした業界マップ
製薬業界(=医薬品業界)とひとくくりにしても、その中には実に多くの企業がある。製薬メーカーは大きく以下4つに分類できる。
武田薬品工業、アステラス製薬、大塚HD、第一三共、エーザイ、中外製薬、田辺三菱製薬、大日本住友製薬、協和発酵キリン、塩野義製薬、小野薬品工業、大正製薬HD、参天製薬、久光製薬 ほか
世の中にない「新薬」を生み出す会社
日医工、沢井製薬、ニプロ、ニプロファーマ、東和薬品、日本ケミファ、ダイト、富士製薬工業、鶴原製薬、テバ製薬、サンド、マイラン製薬、エルメッドエーザイ、第一三共エスファ、日本調剤グループ、長生堂製薬、共和薬品工業、キョーリンリメディオ、大原薬品工業、陽進堂、辰巳化学、大興製薬、日新製薬、田辺製薬販売、東亜薬品、富士フイルムファーマ、シオノケミカル、Meiji Seika ファルマ、健栄製薬、日本点眼薬研究所、小林化工、あすか製薬、あすかActavis製薬、ケミックス、科研製薬、日本薬品工業、全星薬品工業、ほか多数
(ジェネリック医薬品メーカー) 特許切れ医薬品のコピーを製造・販売するメーカー
先発医薬品メーカー、サンバイオ、シンバイオ製薬、ペプチドリーム、ジーエヌアイグループ、ジーンテクノサイエンス、グリーンペプタイド、カルナバイオサイエンス、ほか多数
バイオ医薬品をメインとする会社
ツムラ、興和、ロート製薬、エスエス製薬(OTC医薬品に特化) ほか
漢方薬などの「東洋医学」で勝負するメーカーや、OTC医薬品(一般用医薬品)メーカーなど
製薬メーカーはざっくりと先発医薬品・後発医薬品・バイオ医薬品・その他医薬品とにわけられるが、大企業であれば一通り何でもやっており、ジェネリックの製造・販売は子会社化している。上記は理解しやすくするための一般的な区分けである。
製薬業界の基礎②そもそも「先発医薬品」とは?
先に挙げた「先発医薬品メーカー」とは、世の中に今までなかった「新薬」を生み出すメーカーのこと。研究開発をマジメにやり、特許をだし、臨床実験し、国からの承認を得る…という一連のプロセスから新薬は生まれる(簡単に書いたが少なくても10年はかかる)。
これにはもの凄い研究開発費が必要であり、体力のある大手メーカーでないとできない。
例として、先発医薬品メーカーがどれだけの研究開発費を使っているか?以下にまとめておく(数字は2014年度)。
●3820億円/年|武田薬品工業
●2066億円/年|アステラス製薬
●1907億円/年|第一三共
●1319億円/年|エーザイ
●713億円/年|大日本住友製薬
開発に時間とカネはかかるくせに、特許は20年で切れてしまう(医薬品は特例で+5年延長もできる)。しかも開発の成功率は約3万分の1っていう…。ジャンボ宝くじで一等になる確率よりはぜんぜん高いけど、働くほうとしてはなかなかツライ。その代わり成功したときの見返りは大きい。
製薬業界の基礎③ジェネリック医薬品とは?
医薬品・製薬業界をみていく上で切り離せないのが「ジェネリック医薬品」の存在。テレビCMなどでよく見かけるため、あまりくわしく説明する必要もないかとは思われるが…。
ジェネリック医薬品とは、
先発医薬品メーカーの作った「新薬」をコピーした医薬品。どれだけ優れた新薬を開発しても、特許は20年(医薬品の場合は+延長5年が認められる)で切れてしまう。そうすると他社が特許をみてコピー商品を作れるようになる。これは国の決まりだから仕方ない。
ジェネリック医薬品は3~7割くらい値引きしているため、国の医療費負担が減ることになる(国民負担はもともと少ないため、大きく変わる印象は無い)。
ただ、特許切れ → 他社参入なんていうのはメーカーであれば、誰でもあたり前のようにやることである。自動車メーカーだって、化学メーカーだって同じである。他社の特許切れで参入することに「コピー商品」もへったくれもなく、医薬品は医薬品。
あえて「ジェネリック医薬品」と呼ぶ意味が私には理解できない。→ジェネリック医薬品とは?わかりやすくデメリット、問題点を解説
製薬業界の基礎④そもそもバイオ医薬品とは?
バイオ医薬品とは、名前のとおり生物から作る医薬品のこと(厳密には生物に作らせる)。
先発医薬品メーカーはもちろん手がけているが、最近になってベンチャー企業がどんどん出てきている。
製薬業界の基礎⑤将来性・今後を知るのに重要「パイプライン」
パイプラインとは製薬業界用語で「新薬候補」のこと。「当社のパイプラインは○個あり、それぞれの開発フェイズはこんな感じです」といった使われ方をする。
パイプラインがゼロ個であれば当然、新薬開発成功の見込みはゼロである。
したがって、とくに先発医薬品メーカーの今後や将来性を知るうえで重要な判断材料となるが、パイプラインに乗っているからといって、必ずしも成功するわけではない。開発中止になることもしばしばある。製薬大手企業では一般的に30~40個のパイプラインを常時、もっておきたいところ。