激務な仕事の基準ってなんでしょうか?
- 残業が多かったら激務?
- 飲み会が多かったら激務?
- 月に4日しか休みがなかったら激務?
- 出張ばかりで家に帰れなかったら激務?
先に答えですが「激務な仕事の基準」って誰も決めていません。同じ仕事をしていても個人の主観によって激務と感じたり、激務じゃないと感じたり…
そこで客観的に「激務な仕事の基準」について考えていきます。
激務な仕事の基準①過労死ライン月80時間以上の残業
過労死ライン=これを越えたら過労死の危険がある残業時間のこと。厚生労働省によると、月80時間超の残業が過労死ラインと言われている。過労死ラインまで働く必要のある企業は間違いなく激務と言える。普通すぎてすみません…
この過労死ラインを超える残業が常態化している企業って一部の業界に集中している。もう常識かもしれないが、総合商社業界、放送業界、広告業界、銀行・証券・保険業界、コンサル業界が代表的な例。
ただ最近は厚生労働省が本気になって残業の規制に取り組んでいるため今後は改善の余地あり。もしくは残業規制で会社での残業はできなくなったけど家に帰って残業しなければいけない(サービス残業=法律違反)…というもっと悲惨な状況になってしまう会社もあるかも…
激務な仕事の基準②労使協定(36協定)の限度を超える残業
労使協定(通称36協定)とは…
従業員に時間外労働(残業)、休日出勤(残業)をさせるとき、企業側は労使側(≒労働組合)と話し合って「残業に関する決まりごと」を作らないといけない。その残業に関する企業と労使の間での決めごとを「労使協定」と呼ぶ。だから内容は企業によって異なる。
ちなみに労使協定は大企業のほとんどが結んでいる一方、中小企業・ベンチャー企業の約6割は結んでいない(厚生労働省しらべ)。
労使協定(36協定)を結んでない中小企業は残業ゼロ!?
労働基準法によると、労使協定を結んでいない企業は従業員に時間外労働や休日出勤をさせることができない…ということは労使協定を結んでいない中小企業は残業ゼロなのか!?
そんなことは全くない。単に経営者が労使協定の存在をしらなかったり、知っていてもめんどくさくて作っていなかったりするだけで実際には、中小企業・ベンチャー企業の労働環境は大企業よりもっと悪い。※ちなみに労使協定を結んでいない企業で残業をさせられた場合「違法残業」にあたり裁判で訴えることができる。
中小企業の違法残業の実態については厚生労働省がレポートにまとめている。ご興味ある方はご一読いただきたい。
労使協定(36協定)を結んでいたら残業をどれだけさせても良いの?
そんなことはなく、労使協定で定めても良い残業時間の上限を政府が決めている。いったい何時間の残業まで許されているのだろうか?ポイントだけをわかりやすくまとめる。
一般の労働者の残業時間規定:
- 1週間:最長15時間
- 2週間:最長27時間
- 4週間:最長43時間
- 1ヶ月:最長45時間
- 2ヶ月:最長81時間
- 3ヶ月:最長120時間
- 1年間:最長360時間
特別条項の残業時間規定:
- 納期がひっ迫している場合に限り、
- 労使の協議を得たうえで、
- 6回を限度として、
- 1ヶ月60時間まで、
- 1年420時間まで、
残業を延長できる
これを考えると最も企業側にとって都合の良い条件を適用した場合、1ヶ月60時間、1年間で420時間が残業の限度ということになる。だから月80時間の残業とかは基本的に禁止されていて「違法残業」にあたるのだけど…
実態とかけ離れすぎていて書くのが虚しくなってきた…
もしあなたの企業が違法残業をさせていたら、証拠を集めてすぐに訴訟するべきだ。違法残業をさせる企業は従業員を詰めることでしか利益を出せない体質になっているため、そもそも存在意義がない。みんな訴訟して企業を潰してしまったほうが日本全体のためになるでしょう。
激務な仕事の基準③残業以外にも飲み会・付き合いゴルフあり
これは特に営業職に当てはまる事項。多くの企業では残業時間としてカウントされるのは「会社のデスクにいる時間」と定義される。会社の外で必要とされる顧客との付き合いの部分は残業代としては支給されない。営業手当てとか、裁量労働手当てとか、出張手当てとか、別の形で支給される。
※最近、ちゃんとした化学メーカーは営業職の手当てを廃止して自己申告で残業代を申請できるような流れになってきている。
営業職の残業時間は標準的に労働基準法違反だ…
社員の平均残業時間が月30時間だとしたら、営業職はプラスアルファで「付き合い」という名の残業が発生。付き合いの残業時間は正確にカウントすることが不可能。なぜなら証拠がないから。誰もレストランに入った時間と終わった時間をチェックできないし、付き合いゴルフの時間もチェックできない。
たとえば毎週・1回の飲み会(残業3時間 x 4回)、月1回の付き合いゴルフ(残業12時間 x 1回)があったとしたら残業時間はどうなるか?これだけで月に30時間弱の残業時間が追加される。つまり本当の残業時間は「会社内30時間+付き合い30時間=月60時間」となってしまい、労使協定で決められた一般労働者の残業時間を越える。
もし私が訴えたら会社側は何て言い訳するのだろうか…おもしろそうだから一度やってみようか!?
業界・企業・役職にもよるけど…営業職の残業時間は青天井
これはモデル計算であって、実際に必要な会社外の「付き合い」はもっと多い(会社での役職と扱っている商品、顧客の業界によるため平準化できない)。商社マンや広告代理店であれば週3回飲み・月1回ゴルフなんてあたり前だし、メーカー営業ですら週1回飲み、月1回の付き合いゴルフは標準的だ。
だから営業職の残業時間は青天井になる(苦笑)。誰がどう考えても営業職は激務だ…人付き合いが苦にならないタイプでないとやってられないだろう。
激務な仕事の基準④残業以外のストレス過多
残業が多いことだけが激務の基準ではない。ダラダラと仕事をすれば残業時間は簡単に月60時間を越えられる。この場合、残業時間だけは多く稼いでも疲労感はたいしたことがない。
いっぽうで例えば分刻みのスケジュールに追われる、ノルマに追われる、上司からのプレッシャー過多とか、いろいろなストレスのかかる仕事をこなした場合、定時退社であっても疲労感は月60時間残業の比ではない。
まぁ、往々にしてこのようなストレス過多の状況になると長時間労働があたり前になるのだけど…
激務な仕事・職種・業界
それでは最後に一般的に激務だと言われている仕事・職種・業界についてまとめる。
営業職全般
人付き合いの必要ない営業職であれば、何も問題ない。だが多くの場合、人付き合いするのが営業職の仕事だと思われている。人付き合いは答えがない分、とても難しい。金品を要求する客、飲み会を要求する客、ゴルフを要求する客、合コンを要求する客、何も必要としない客…とにかく相手の好みに合わせて色々と考える。
そして上述したように付き合いのほとんどが、会社の時間外での活動になる。どう考えても激務だ…だが業界・企業によっては会社外の付き合いを一切禁止しているし、今後はもっと厳しくなっていくだろう。いちおう参考になりそうな記事を紹介しておく。
参考 → 営業職は激務で離職率高いなんて嘘!ホワイト業界をこっそり教えます
参考 → 営業職で離職率の高い業界ランキング。5割が3年以内に辞めるってどうよ…
激務な業界
以下に記載する業界は一般的に激務だと言われる。この中には薄給・激務業界と高給・激務業界のどちらも含む。根拠としては離職率の高さを目安に考えている。
- SE、SIer職
▼平日は22時まで会社にいないと仕事が終わらないなどの報告あり - 営業職(テレアポ/訪問販売/不動産/消費者金融)
▼押しの強さが必要でノルマもキツイ。精神的に追い詰められるなどの報告あり - ベンチャー企業
▼人手が足りず雑務多し。残業管理などの労務関係が弱く長時間労働になりがちとの報告あり - 金融業界(銀行/証券/生命保険業界)
▼不要な金融商品の押し売りが精神的につらい。またノルマもキツイ - 百貨店業界
▼開店前から閉店後まで見なければならず長時間労働が横行する。土日祝も営業しているため休みも少ない - 小売業界
▼開店前から閉店後まで見なければならず長時間労働が横行する。土日祝も営業しているため休みも少ない - 飲食業界
▼開店前から閉店後まで見なければならず長時間労働が横行する。土日祝も営業しているため休みも少ない - 旅行代理店業
▼ネットサービスに押されて業界不況。業界自体が不振なので満足に人を雇えない - 教育関連
▼少子高齢化、人口減少時代をむかえ業界不況。業界自体が不振なので満足に人を雇えない - 宿泊業
▼ネットサービスに押されて業界不況。業界自体が不振なので満足に人を雇えない。 - 運輸業、郵便業
▼労働時間ワーストNo.1の業界(厚生労働省調べ) - 外資金融(高給・激務)
▼プレッシャー過多、長時間労働、上司への激しいゴマすり必須 - 商社(高給・激務)
▼プレッシャー過多、飲み会過多 - 広告代理店業界(高給・激務)
▼飲み会過多、業界不況。業界自体が不振なので満足に人を雇えない - テレビ、新聞、マスメディア業界(高給・激務)
▼飲み会過多、業界不況。業界自体が不振なので満足に人を雇えない
参考 → 離職率の高い業界ランキングと理由。最もブラックな業界8選!!
参考 → 離職率の高い業界・企業における10の特徴。なぜ3年で5割も辞めるのか?
参考 → 商社業界:商社マンの激務な実態と理由。商社業界はとんでもなく激務だった!
まとめ
こうしてみてみると仕事が楽で給料もそれなりに高い企業なんてほとんどないのですね…年収ランキングで上位にいる企業はやっぱり激務なんだなぁ…と、あまりに普通なまとめをしてみます。
いっぽうで化学メーカーとか、食品メーカーとか、激務度が低く年収もそれなりに高い業界もあるにはありますね。ただ就職難易度はその分、高くなるのですけど…みなさんよく調べています。