【就活】勤務地の希望は通る?新卒の配属先をぶっちゃける

大企業に就職したら勤務地の希望って通る?通らない?新卒の配属先を見ていて思うことを、ぶっちゃけトークします。なぜこんな記事を書くかというと…就活生より以下のようなご質問を頂いたからです(プライバシー保護の観点から内容を少し変えています)。

18卒・就活生(理系の大学院)からのご質問:

「自分も化学業界や電子部品業界の理系職を考えているのですが、会社を選ぶ基準の一つとして勤務地を挙げています。 大企業の理系職は配属先が山口/三重/滋賀などの田舎になることが多いのですが、関東出身の自分としては、正直遊べて友だちも多くいる首都圏にとどまりたいという思いがあります。

出張や数年赴任するくらいであれば大丈夫なのですが、現実的な話、将来親の介護などもあるので、最終的には戻ってこれれば良いと考えています。 そこで、基本的には関東に事業所がある会社を選ぶつもりなのですが、

  1. そもそも勤務地の希望は通るのか、通らないのか?
  2. (希望しない勤務地になったとして)首都圏に帰るのは困難であるのか?
  3. (希望しない勤務地になったとして)キャリアを経て本社勤務できるような理系職がいるのか?
  4. (希望しない勤務地になったとして)関東勤務を望むならば初めから営業などで受けた方が良いのか?

などをお尋ねしたいと思っています。」

ご質問に対する回答は以下の通りです:

  1. そもそも新卒の勤務地の希望は通るのか、通らないのか?
    → 人事担当のクセがあります。新卒で配属希望が通る人もいれば通らない人もいます。最近は勤務地のトラブルで会社を辞めてしまう新人がいるため、人事部も希望通りになるように気を遣っているとは思いますが、それも人事担当によります…。
  2. 首都圏に帰るのは困難であるか?
    → 総合職入社の場合、よほどのことがない限り数年で転勤があります。したがって異動して首都圏に帰るのは可能です。ただし首都圏→田舎というパターンもあります。転勤がなく会社人生を終える人は稀です。
  3. キャリアを経て本社勤務できるような理系職がいるのか?
    → はい、本社勤務の技術職もいます。コーポレートR&D(新規事業開発)の本社勤務、技術営業、技術サービスなどの職種です。会社によっては知的財産部も本社にあります。
  4. 関東勤務を望むならば初めから営業などで受けた方が良いのか?
    → 何とも言えません。なぜなら営業拠点は東京・大阪などに分散しているから。結局のところ100%関東勤務になる確証はありません。単に田舎が嫌いであれば営業職などの枠に応募しても良いでしょう。

これにて答えは出ていますが、あまりに不親切なため、背景などにつき詳しく解説していきますね。

新卒の勤務地の希望は通るのか、通らないのか?

先ほど述べた通り、人事担当のクセがあります。新卒で配属希望が通る人もいれば通らない人もいます。

ところで突然ですが「新卒の勤務地 = 配属先」はどうやって決まるでしょうか?

答えは、

人事部が新卒のいろいろな希望をアンケートで集め、面談をして、適材適所に割り振っていくのです(特例を除く)。このアンケートにはおおむね、希望職種〜希望の勤務地〜海外志望度〜その他特記事項(両親が要介護など)で構成されます。もちろん、ここには理由を書く欄もあります。

ところが、この配属アンケートは形式上のものであって、実際には本人の希望通りになることは珍しい(苦笑)。つまり、一応意見は聞くけど志望通りにならなくても勘弁してね、という性格のものです。希望の勤務地に「東京本社」って書いたのに、なんで四日市の研究所に配属なんだよ!?ってことは多々あるわけで。

それもそのハズ。

人事部は新卒全員の希望をいちいち叶えていたらキリがないわけで、みんな花形事業になって、勤務地も東京本社になってしまいます。ということですので、これはヤバい(辞めちゃいそうだ)という新卒には気を遣いますが、ほとんどの場合、そういう人は採用されません。

で、当の私はどうだったかというと「職種=営業職、事業=新規事業、海外志望度=絶対に行きたい、勤務地希望=今まで住んだことのない場所」ということでアンケートに答え、面談でも「志望通りにならなかったら辞める」という勢いでゴリ押ししました。

結果は、

「新規事業は営業いらないらしいから、既存事業でもグローバルにやっていてかつ、新しいチャレンジも必要な配属先だから我慢してね」となりました。今思うと、かなり配慮された結果であると思います。

なんで今の配属先にしたのか?

当時の人事担当に尋ねたところ「いや、お前にはココしかないだろ。採用した時からほとんど決まっていた」と言われたものです。つまり採用前から人事担当はなんとな〜く本人の適正を考え、部署の雰囲気にマッチするかを考え、すでに配属する先の候補まで決まっていたのですね。

ということなので、勤務地を自分でコントロールすることは結構難しく、勤務地や配属先が希望通りになってもならなくても運命だと受け入れましょう(投げやり)。

新卒で希望の勤務地にならなくても首都圏に転勤は可能か?

こちらも冒頭で述べた通り、総合職入社の場合、よほどのことがない限り数年で転勤があります。したがって異動して首都圏に帰るのは可能です(逆パターンもあり)。

「両親の介護が必要」などの理由で、しかもちょうどよく空きポジションがある場合には、運よく地元の近くに戻れます。ただしこちらも大部分は運に左右され、自分でコントロールするのは難しいかと…。

さて、これは誰が決めるのか?

というと今度は人事部ではなく上司、その上の上司です。

新卒の配属は人事部が決めますが、人事部の責任はココまで。それ以降は上司、そのまた上司、さらに上の上司に決定権があります。

つまり上司と仲が良かったり、上司が家庭に気遣ってくれるような人であれば、十分に可能性はあります。気配りしない上司に当たれば、お終いです。これも残念ながら、どんな上司にあたるかで決まっちゃいますね(苦笑)。

ところで私は過去に一度、転勤を拒否したことがありますが、会社を辞めるつもりで戦った結果であり、あまりオススメはできません。

いろいろと散りましたがこちらも結論は「運」です。

キャリアを経て本社勤務できるような理系職がいるのか?

はい、本社勤務の技術職もいます。コーポレートR&D(新規事業開発)の本社勤務、技術営業、技術サービスなどの職種です。会社によっては知的財産部も本社にあります。

ただしこちらも結局は上司、そのまた上司が決めますので「運」に左右されます。

関東勤務を望むならば初めから営業などで受けた方が良いのか?

何とも言えません。なぜなら営業拠点は東京・大阪などに分散しているから。結局のところ100%関東勤務になる確証はありません。単に田舎が嫌いであれば営業職などの枠に応募しても良いでしょう。

これは確率の問題ですので営業職と研究職、どちらが関東圏に勤務できる可能性が高いか?決めるのは、なかなか難しいかと思われます。

どうしても「勤務地:関東」になりたい!時の対処法

首都圏に工場・研究所を持つ企業を志望する

そもそも拠点がなければ、勤務地=関東になり得ないためです。ご質問者様にまとめていただいたので、補足しつつ候補となりそうな企業を挙げてみましょう。

「ちなみに、2015年入社の技術職の配属先を以下のようになんとなくまとめて首都圏率を調べてみました(人数を出してるところで関東配属があるところ)。

高砂香料・日本化薬の理系職の倍率が東レ・日東電工などより高いのは募集人数が少ないこともありますが、関東勤務率が高いからではないかと個人的に予想しています。他にも食品・製薬は関東勤務が多かったです。」

  • ソニー(首都圏率:140/140)|品川、厚木
  • 高砂香料工業(首都圏率3/3)|平塚3
  • ライオン(首都圏率40/42)|東京24、小田原15、千葉1、明石2
  • 関西ペイント(首都圏率:11/12)|平塚11、尼崎1
  • 大陽日酸(首都圏率:8/9)|山梨2、品川2、川崎4、愛知1
  • ADEKA(首都圏率:25/30)|東京15、浦和8久喜市2、三重2、鹿嶋2、明石1
  • 日産化学工業(首都圏率:27/31)|船橋15袖ヶ浦5、富士市3、白岡7、山口1
  • 日本ゼオン(首都圏率:12/15)|川崎12、高岡2、山口1
  • 田中貴金属(首都圏率:11/14)|平塚6伊勢原2、市川1、つくば2、富岡2、佐賀1
  • 日本化薬(首都圏率:27/37)|東京27、兵庫4、山口2、茨城2、群馬1、広島1
  • 三井化学(首都圏率:19/29)|千葉県市原市10茂原市1袖ヶ浦市8、山口県岩国市5、大阪4、福岡県大牟田市1
  • 三菱ガス化学(首都圏率:19/30)|東京17、新潟7、岡山県水島3、平塚2、鹿嶋1
  • 昭和電工(首都圏率:23/37)|千葉県市原市5土気3、川崎市10、秩父市3、兵庫県龍野市3、群馬県伊勢崎市2、大分市5、長野県塩尻市1大町1、山形1、栃木県小山市2、大阪府堺市1
  • DIC(首都圏率:28/54)|板橋5、千葉15、上尾8、鹿嶋9、愛知県小牧市2、大阪府高石市11、金沢4
  • 日本ペイント(首都圏率:8/19)|大阪10、東京8、岡山1
  • デンカ(首都圏率:10/27)|東京都町田市6、新潟県青海市8、福岡県大牟田市4、千葉県市原市4、群馬県渋川市2伊勢崎市3
  • 積水化学(首都圏率:14/53)|滋賀13、茨城つくば6、埼玉5、京都6、大阪8、群馬1、山口1、東京1、千葉2、北海道1、宮城1、愛知2、奈良1、岡山3、福岡1
  • 三菱化学(首都圏率:8/37)|三重県四日市市10、神奈川横浜市6川崎市1平塚市1、茨城県鹿嶋市6、岡山県水島市6、福岡県黒磯市5、香川県坂出市1、新潟県直江津市1
  • 住友化学(首都圏率:14/66)|東京都新川2、大阪市18、愛媛県新居浜市17、千葉県市原市7、兵庫県宝塚市13、茨城県つくば市5、大分市4
  • 日東電工(首都圏率:2/13)|豊橋4、尾道5、亀山1、茨木1、深谷2
  • 東レ(首都圏率:7/97)|滋賀45、愛知22、愛媛12、静岡6、東京3、神奈川3、石川3、岐阜2、茨城1

これに私が思いつく企業を感覚的に加えるとしたら、

東亞合成(つくば)、久光製薬(つくば)、日立化成(つくば)、日本触媒(つくば)、JSR(つくば)、カネカ(高砂、鹿島)、信越化学工業(鹿島)、クラレ(つくば、鹿島)などが挙げられるかと。あとは自動車メーカーですが、ホンダ(和光)、日産(神奈川)などもあります。

つまり大企業であれば、たいていは首都圏に研究所か工場があり、どの企業でも首都圏に配属される可能性はあるでしょう。

関東勤務がいい、ではなく○○がやりたいと言い続ける

これまで再三「運」が重要だと述べましたが、運を引き寄せるための工夫はできます。

ご自分の希望を叶えようと思ったら、毎年〜半年ごとにある上司との面談、キャリア相談の時に言い続けてください。10年後くらいに忘れた頃、チャンスは巡ってきます。とにかく、しつこく言い続けること。

ただし、この時のコツは「関東勤務だったら何でもいい」ではなく、

「コーポレートR&Dの仕事がしたい(=つくば研究所で働きたい)」

「技術サービスの仕事がしたい(=東京本社で働きたい)」

という言い方に置き換えること。なぜなら、総合職というのは本来、勤務地を選べない働き方を了解した上で成り立っているからです。ここで「関東勤務だったらどんな仕事でもいい」とストレートに言ってしまうと、ほとんど失敗します。なぜなら、あなたの希望を叶えることで、勤務地を選べない他の総合職に対して不公平が生じるから。

こういうのを会社では「わがまま」と言いいます。

ところが「○○の仕事を死ぬほどやりたいんだ!!」という言い方にすると、わがままではなくなります(本質的にはワガママなのですが、社会人としては前向きに捉えられます)。

ではでは。いつものようにオチもなく終わりますが、ご参考にどうぞ。