専門商社の営業は激務!?実際どうなの?

就職活動や転職をする際に必ず調べておきたい各業界の激務度。

私は大手化学メーカーの営業マンなのですが、専門商社を起用していて商社の営業マンと仕事をする機会が多いので、その実態は分かっているつもりです。

そこで今回は「激務といわれている専門商社の実態」に迫ります。

専門商社といっても数は腐るほどある、業界と会社によって激務度は違う

「専門商社」とひとくくりにしても、その分野は膨大です。

鉄鋼をメインに扱う「メタルワン」「伊藤忠丸紅鉄鋼」「JFE商事」といった鉄鋼系専門商社。化学品・化成品をメインに扱う「長瀬産業」「稲畑産業」といった化学系専門商社。機械をメインに扱う「岩谷産業」といった機械系専門商社。

その他にも食品系の専門商社やアパレル系専門商社などなど…

産業のあるところには必ずといっていいほど、専門商社の存在があります。その中からどこが激務でどこが激務じゃないかを見極めることは、就職活動生や転職者にはとても難しいでしょう。そこで、ある程度の傾向を把握できるように解説していきますね。

業界によって異なる激務度

激務度の考え方は結局、化学メーカーの分析と同じく「川上産業=比較的激務じゃない」「川下産業=激務」と考えてよいでしょう。

また、メーカー系専門商社(メーカーの商社部門)と独立系専門商社(オーナー商社)を比較すると、独立系商社のほうが激務になります。

川上産業=他と比べると激務じゃない

たとえば私の勤める化学メーカーで起用している専門商社は「長瀬産業」「稲畑産業」といった化学系の専門商社がありますが、彼らは川上産業なので比較的、専門商社の中でも激務じゃない分野に位置づけされます。

ちなみに化学系専門商社が激務になりにくい理由は、化学メーカー営業マンが楽な理由とよく似ています。

川下産業=激務

一方で川下産業に位置するアパレル系の専門商社「東レインターナショナル」といった会社は、化学系専門商社よりは間違いなく激務です。なぜ川下産業が激務かというと、主に2つの理由があります。

  1. 客の要求がどんどん具体的でシビアになってくる
  2. 取引先が多くなる

語り出すとキリがないので止めておきますが、“川上ラク・川下ゲキム”の法則です。※勝手に作りました。

メーカー系専門商社=激務じゃない、独立系専門商社=激務

メーカー系の専門商社、たとえばJFE商事などは同じ業界の独立系専門商社、たとえば阪和興業と比べて激務じゃないです。その理由は主に3つあります。

  1. 売る商品があらかじめ用意されている
    ▼メーカー系商社のミッションは決まっています。「バックにいるメーカーの商品を売ること」。メーカー系商社マンは最初から売るモノを与えられていて、あとはお客さんを如何に見つけるかというだけ。そう難しい仕事ではありません。一方、独立系の商社マンは新たなビジネスを初めるとき「売るモノ・お客さん」の両方を探す必要があり、とても大変。
  2. 新しいことをやる必要がない
    ▼メーカー系商社はバックにいるメーカーの便利屋。仕事はメーカーやお客さんから自動的に降ってきます。従って特に新しいことに手を出す必要がなく、あちこちから降ってくる宿題を終わらせるために仕事している感じ。
  3. ビジネスの安定感が抜群
    ▼①②のことよりビジネスは安定しています。業績が赤字になったとしても次の年にメーカーが補填してくれるので大丈夫。加えてあなたがやる気のない仕事をしていても商売を失いません。独立系よりも年収は低い傾向にありますが、給料・生活はとても安定しています。

参考 → 【メーカー系商社の強みと弱み】営業マンを見ていて思うことまとめ

会社によって異なる激務度

業界上位ランキング専門商社は激務

間違いなく会社による違いが存在します。専門商社の中でも、その分野のランキング上位に位置する会社は、当然ですが年収も高く激務です。

激務度の基準を”定時退社=激務じゃない”、”残業多い=激務”とした場合には、上位ランキングの専門商社は間違いなく激務ですね。

中小専門商社は楽すぎる

実は専門商社は把握しきれないほどの会社があります。モノを右から左に流すだけの仕事なのですから、やる気を出せば誰でも簡単に起業できるという理由。旧財閥総合商社から独立した人、稲畑産業から独立した人…などなど。

独立した個人商社を数多く知っていますが商社の場合、ビジネスは人に付いているといっても良いのでこういうことが出来るのでしょう。

100名前後の中堅専門商社もありますし、10名程度で会社を動かしている個人オーナー経営の中小企業が数多く存在します。

そのような会社に勤めれば仕事はそこまで激務ではなく、それなりに楽な会社人生を送れるでしょう。※年収は当然低く、会社が潰れる覚悟も必要ですが…

人によって異なる激務度

仕事はやろうと思えばいくらでも作り出せます。それをどこまであなたはやりますか?”という話。手を抜こうと思えばいくらでも手を抜けるし、逆に頑張ろうと思えばどこまででも仕事はあります。

化学メーカーの激務度を検証する際に、人による激務度の違いを解説しましたが同じように見ておけば良いでしょう。要約をすると以下4つの項目にあてはまるような性格のあなたは、必ず激務になります。そして、このような性格である限りは、どんな会社に就職しようと関係なく“激務”になります。

  • 特徴1;まじめすぎる人
  • 特徴2;責任感の強い人
  • 特徴3;無駄に向上心の高い人
  • 特徴4;無駄にアツい人

専門商社が激務になる理由

まとめると専門商社マンは化学メーカー営業マンよりも間違いなく激務です。なんでかというと、本当にわかりやすく説明すると“間に挟まれる者の苦しみ”とでも言うべきですかねぇ…

“間に挟まれる者の苦しみ”って何かに例えるなら、ちょうど中間管理職(課長クラス)の仕事をイメージして頂ければ良いかと。課長は、下(部下)からも上(上司)からも色々と仕事が降ってきて激務になるのです。

部下の指導やチームの管理によって、ただでさえ激務なのに、それに加えて上司である部長からも指示がたくさん降ってくる。結果、いつも忙しい状態に…

で、これを専門商社の仕事に当てはめると、下(サプライヤー・メーカー)からも上(客)からも色々と仕事が降ってきて激務になるのです。まさに“間に挟まれる者の苦しみ”です。

他にも商社にまつわる色々な記事を書いてますので以下、ご参考にしてみてください。

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