鉄鋼専門商社の違いを解説。「鉄鋼専門商社の志望動機」に役立つかは不明ですが、企業の違いをざっくりと把握しておくことには意味があります。
就活・転職のご参考になりましたら嬉しい限りです。
*鉄鋼商社の売上・年収ランキングの続き。業界研究が進んでいない就活生はまず、こちらの記事をご覧ください。
総合商社系列(非上場)
- メタルワン(三菱商事60%と双日40%の合弁)
- 伊藤忠丸紅鉄鋼(伊藤忠商事50%と丸紅50%の合弁)
鉄鋼業界再編の際、総合商社の一部門から切り離されて独立した会社。
非上場でそれぞれの総合商社が株を持ち合っているため、独自経営は困難。メタルワンであれば三菱商事の社員が出向してきたりする。
上層部のポジションはプロパーではなく出向者・転籍社で満席。
もともと総合商社の一部門であり、独立してからも給与体系を引き継いでいるようなので年収は高い。そしてもれなく激務。
まとめとして、総合商社系の鉄鋼商社と他系列の違いを以下に記す。
- 違い①総合商社なみの給与体系、年収高い。
- 違い②海外取引・輸出に強い
- 違い③事業投資ビジネス(メーカーとの海外合弁会社設立)も多く手がける
- 違い④総合商社からの出向者・転籍者で上層部は満席。プロパーは出世しにくい。
- 【共通】もれなく激務(飲み会・残業・社内付き合い)
メーカー系専門商社
- 日鉄住金物産(新日鐵住金が筆頭株主、上場企業)
- JFE商事(JFEが筆頭株主、上場企業)
- 神鋼商事(神戸製鋼所が主要株主、上場企業)
- 大同興業(大同特殊鋼)
メーカー系列の専門商社はメーカーの商品をメインで取り扱う。メーカーの完全子会社ではなく筆頭株主というだけなので、本来ならどんな商品でも取り扱える立場にあるのだが…
JFE商事が新日鐵住金の商品を売ったりすることはまずあり得ない。
従って取引の幅がどうしても制限される。
まとめとして、メーカー系の鉄鋼商社と他系列の違いを以下に記す。
- 違い①バックにいるメーカーの商品をメインに扱う
- 違い②商売の自由度が少なく基本はメーカーのいいなり
- 違い③自由度は少ないが安定している(商流から外されるリスク無し)
- 違い④バックのメーカーが倒れると共倒れ
- 違い⑤年収はメーカー基準で決められるため同規模の他系列より低い
- 【共通】もれなく激務(飲み会・残業・社内付き合い)
独立系専門商社
- 阪和興業(関西色つよい)
- 岡谷鋼機(東海色つよい)
- 小野建・佐藤商事・カノークス
独立系専門商社の代表格は阪和興業と岡谷鋼機。他は弱小。
正直、やっていることは他の商社と大して違わない。が、独立系と聞くと何となく営業力が強そうなイメージ。総合商社系やメーカー系が海外投資ビジネスを多く手がける中、ほぼトレーディングだけ(右から左)でやっている。
ただバックに誰もいない分、他の人たちよりも間違いなく頑張らないといけない。阪和興業や岡谷鋼機は年収も高いので、激務でも仕方ないだろう。
まとめとして、独立系の鉄鋼商社と他系列の違いを以下に記す。
- 違い①トレーディングがメイン。事業投資ほぼ無し
- 違い②国内顧客メイン。グローバル展開は日系顧客についていくだけ
- 違い③営業力
- 【共通】もれなく激務(飲み会・残業・社内付き合い)
【参考】鉄鋼商社の年収・売上ランキング
まとめ
元も子もないないことを言うが、会社ごとの違いなんてない。
みんな鉄を売る専門商社であって仕事内容は変わらない。ただ企業ごとに海外営業が得意だったりするというだけ。
従って志望動機には当たり障りのないことをアピールするしかない。
「OB訪問で会った社員に共感したから」
「独立系だから」
「業界トップだから」
という程度にとどめておくこと。ESに詳しく書きすぎると墓穴を掘る。
面接でツッコミを受けたら「社員の◯◯という姿勢が素晴らしく、一緒に働きたいと思った」の一点張りで押し通すのが正解。実際、それ以上の志望動機など存在しない。
この辺りの事情はどの業界・企業においても同じなので、以下の記事を参照すると良いだろう。