商社マンは激務だと言われるけど具体的にどんな仕事内容で、どんなことが激務なの?
という就職活動生や転職者の疑問にお答えしていくシリーズです。ひょっとしたら第1話で打ち切りになるかもです…が、私の気合と根性が続く限り更新していこうと思います。
商社マンの仕事内容を具体的にイメージするお手伝いができたら幸いです。そんなの商社の志望動機に役立つの?と期待してしまった方、すみません。全く役に立ちませんm(_ _)m
ちなみに、激務な化学メーカー営業の仕事1コマはこちらのシリーズにしました。同じ出来事を取り上げていますが、商社マンと化学メーカー営業マンではアクションが違うのです。
http://nomad-salaryman.com/chemical-industry-gekimu-human-error
平穏な昼下がり。突然の嵐
ランチ後の昼下がり。あくびを抑えながら顧客と面談をしていると…普段は何もトラブルのない別のお客さんから突然の電話。
「間違いなく何かのトラブルだ」経験的に察知。もちろん、トラブルが頻発する商社マンは面談中であろうがお構いなく電話に出ます。
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顧客「○○さん、オーダーしたのと別の商品が届いているんだけど、一体どうなってるの?このままだと原料の在庫がなくなりそうで、工場停止しないといけないぞ!なんとかしてろ!」
商社マン「大変申し訳ございません…どの商品を何と間違えていたのでしょうか?メーカー側に至急確認を取り、差し替え手配を進めます!!」
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さっきまであくびを抑えるのに必死だった商社マンも、すでに覚醒状態。この時点で、面談中の顧客のことなど完全に上の空。早く面談を切り上げてアクションを取らないと、工場停止の損害賠償を受けてしまう…
非常にまずい。
メーカー営業マンへ第一報
「誰の責任であろうと、商品を間違えて届けて顧客の工場が停まるのは事実。まずは顧客の工場停止を避けなければ…」
でも商社マンは商品を右から左に流すだけなので、自分では何も出来ない仕事。なんとかメーカー営業マンに商品の再手配をお願いしないと、どうしようもない。まずはメーカー営業マンに一報を入れなければ!!
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商社マン「○○さん、やばいです。顧客Aに間違った商品の手配をしていたみたいで、顧客がキレています。このままでは工場がストップするとのこと、最速で差し替え手配お願いします!!ミスの原因は分かりません。とりあえず今わかっていることは、このままでは確実に顧客の工場が停止するということです!!」
メーカー営業マン「マズイですね…これは日本から輸出しないといけないので、最速でも飛行機で5営業日かかります。つながりますか!?」
商社マン「確認します!」
予定を全キャンセル。顧客に土下座…
昼からの予定を全てキャンセルして、顧客へ土下座しに行かねば!(これは顧客の重要度によります)で当然、訪問したら顧客は激怒している!!
とりあえずはメーカーからの納期イメージを顧客に伝えて、工場停止を避けるべく最善の手を打たねば!
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商社マン「メーカーから、差し替えは最速5営業日で海外空港到着+1~2日で現地工場到着とのことです。いかがでしょうか!?」
顧客「全くお話にならん!こっちはあと5日分の原料在庫しかないのに、工場到着に7日かかったらアウトだ!飛行機便ならもっと速く到着するだろ!?なんとかしろ!!」
商社マン「承知しました!全力で対処します!」
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やばい、やばい、やばい…メーカーからの最速納期でも間に合わないじゃないか!
「承知しました」とは言ったものの…自分では何もできない…メーカーに土下座でお願いをして納期を少しでも速くして貰わなければ!
顧客とメーカーの板ばさみになる商社マンはなんてツライのでしょうか!?いざという時には、メーカーと顧客に頼み込むことしかできないのです。
というか、これって誰のせいでこんなことになったの!?
ここでようやく「なぜ、誰のせいでこのような罰ゲームな状況になったか?」を考えます。顧客の注文書は正しい商品が記載されてるので、商社のアシスタントが注文を間違えたか、メーカーが間違った商品を出荷してしまったかの2択。
メーカーのミスだったら救われたのに…
で、ここから更にマズイ事態であることに気づく…なんと、商社マンのアシスタントが間違えた商品をメーカーに発注していたのだ!!
もし顧客の工場を停止させたとなると、損害賠償金○億円はすべて商社に請求が来る事態に発展することを確信。
「そうなったら、俺の商社マンとしてのキャリアがほとんど終わりだな。」
精神崩壊の危機に直面…メーカー営業マンは生け好かない野郎だが、今回はどんな手段を使っても工場停止しないように商品を届けなければ。
メーカーに土下座
商社マン「さきほど顧客訪問して、侘びを入れたのですが…頂いたスケジュールでは工場停止が確実になってしまいます。もう一日でもなんとか早くなりませんか!?一生のお願いです!!」
メーカー営業マン「いやぁ。。。でも正直、かなり厳しいですよ。工場出荷準備2日、国内空港到着まで1日、税関1日、到着1日で現地空港到着まで5営業日が最速です!」
商社マン「いくらお金を使ってもこちらが全額負担するので、なんとかなりませんか?」
メーカー営業マン「わかりました。最大限の努力をします。」
商社マン「助けてください!!」
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工場停止の損害賠償を受けると思うと、まったく気が休まらない…
こういうときのために、サプライヤーである化学メーカー営業マンと仲良く(接待)しておけばよかった。まぁ今更、もはや手遅れだ。日ごろのツケがまわってきたと思って諦めるしかない。
待望の!?
待ちに待った、メーカー営業マンからの電話!
商社マン「どうでしょうか!?」
メーカー営業マン「3営業日で現地空港までお届けします。私の持てる力は全て発揮しました。あとはお任せします!貸しイチですよ!?」
商社マン「助かります!本当にありがとうございます。」
危機回避…家族のことがよぎる。
ここで終わらないのが商社マンの仕事のつらいところ。また、顧客と話をして最終決着をつけなければなりません。すぐに顧客へ電話!
商社マン「メーカー営業の○○さんのお陰で、3営業日で現地空港へお届けします。その後、通関、現地工場到着も含めて5営業日です、これがベストなようでして…いかがでしょうか?」
顧客「仕方ないなぁ…それならちょっとだけ稼動をずらす程度で済みそうだ。今回は許してやろう。」
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思わずガッツポーズ!
このお客さんの危機をなんとか回避できたことではなく、自分のキャリアが何とか繋がりそうなことに喜ぶ。
「商社マンとしてのキャリア終了が回避できた!」家族の顔が頭をよぎる。
でもまだ、やることは残っている。最終の詰めを誤ると足元を救われてしまうからね。
メーカー営業マン同行でお詫び
誰の責任であっても営業マンは絶対にお詫びに行くのが、業界のルール。これを怠ると商売を失う可能性もあるし、今後、些細なことでぐちゃぐちゃいわれる可能性もあるのです。
商売を円滑にするため、菓子折りを持って土下座しにいく。
この件で何回土下座したことか…もう正直、疲れたよ。
なぐさめ会
化学メーカー営業マンとの帰り道。しょんぼりするかと思いきや、とりあえずヤケ酒で発散!!飲まないとやってられないのですよ…
商社マンの仕事とは、なんというストレスの溜まる職種なのでしょうか!?
(オチなし…)
鉄鋼専門商社に勤めてます。
似た様な事態は何回か経験したことありますが、リアルな文章でした笑
私は今のところメーカーのミスでしかこういった対応はしていませんが、
今後も気を付けないとですね。