総合商社を志望する就職活動生や転職者にとって、一番の魅力は平均年収の高さにあると思います。そこで今回は総合商社の年収ランキングをまとめてみました。
就職や転職のご参考になりましたら嬉しい限りです。
平均年収が高い企業ランキングによると…
化学メーカーの年収ランキング分析でも使用した、おなじみの表を使います。
この数字は適当な化学メーカーの平均年収と違い、商社については信憑性の高い数字だと思います。商社は一般職採用枠もあるとはいえ最近は派遣社員が多く、ほとんどが総合職ですから「商社の平均年収=総合職の平均」と考えてよいです。
「就職四季報2017年版ー東洋経済」の記事によると、最新の年収が高い企業ランキングのトップ10は以下のようになっていました。
全体順位 | 社名 | 業種 | 平均年収 | 平均年齢 |
1 | キーエンス | 電機・事務機器 | 1,648 | 35.6 |
2 | 朝日放送 | テレビ | 1,518 | 41.9 |
3 | 伊藤忠商事 | 商社 | 1,395 | 41.5 |
4 | 三菱商事 | 商社 | 1,376 | 42.6 |
5 | 三井物産 | 商社 | 1,361 | 42.5 |
6 | 毎日放送 | テレビ | 1,326 | 43.4 |
7 | 丸紅 | 商社 | 1,306 | 41.5 |
8 | 住友商事 | 商社 | 1,300 | 42.8 |
9 | ファナック | 機械 | 1,277 | 43.7 |
10 | 電通 | 広告 | 1,272 | 39.5 |
出典:東洋経済ONLINE
なんと!?
5大総合商社が全てトップ10に入っています!
もともと総合商社は平均年収が最も高い業界のひとつですが、それにしても平均年収1,300万円を超えているとは凄いですね。
総合商社の年収ランキングは?
「平均年収の高い企業ランキング」から7大総合商社のみを抽出してみると、下の表のようなランキングになります。
まぁ、順当すぎてつまらないですね…
平均年齢の若い豊田通商は平均年収1,000万円を下回っていますが、平均年齢が42歳程度であれば、双日と肩を並べるか上回ることでしょう。
また、三菱商事・三井物産を抑えて上位にいる伊藤忠商事は非資源分野で頑張っていて業績が良いので、それが給料に反映されているのでしょう。
業界順位 | 全体順位 | 社名 | 業種 | 平均年収 | 平均年齢 | 職種 |
1 | 3 | 伊藤忠商事 | 商社 | 1,395 | 41.5 | 平均 |
2 | 4 | 三菱商事 | 商社 | 1,376 | 42.6 | 平均 |
3 | 5 | 三井物産 | 商社 | 1,361 | 42.5 | 平均 |
4 | 7 | 丸紅 | 商社 | 1,306 | 41.5 | 平均 |
5 | 8 | 住友商事 | 商社 | 1,300 | 42.8 | 平均 |
6 | 26 | 双日 | 商社 | 1067 | 42.7 | 平均 |
7 | 38 | 豊田通商 | 商社 | 994 | 40.8 | 平均 |
出典:東洋経済ONLINE
10年前までは潰れそうだった5大総合商社
2000-2005年頃、5大総合商社は赤字続きで潰れそうな状態でした。これはバブル崩壊が主な要因で日本の企業はどこも潰れそうでしたが、伊藤忠商事はとくに酷く当時のデータによると平均年収は897万円でした…
しかし、このV字回復っぷりは見事ですね!中国ビジネス恐るべし…
約10年前の7大総合商社の平均年収
いちおう、他の5大総合商社の平均年収の最低値をまとめておきます。(同じく「東洋経済ONLINE」が出展元となっております。)
これって他業界の総合職と大して変わらない平均年収ではないでしょうか!?
激務な上に年収も低いとあっては誰も総合商社に行かなくなりますよね?再びこのような事態にならないことを祈っています…でも、その可能性は十分にあると思いますよ。
年次 | 社名 | 業種 | 平均年収 |
2004年 | 伊藤忠商事 | 商社 | 897 |
2001年 | 三菱商事 | 商社 | 1,082 |
2000年 | 三井物産 | 商社 | 1,147 |
2003年 | 丸紅 | 商社 | 932 |
2000年 | 住友商事 | 商社 | 1,036 |
双日 | 商社 | No data | |
2000年 | 豊田通商 | 商社 | 761 |
三菱・物産・住商・伊藤忠・丸紅・双日の基本給は変わらない
実は7大総合商社のうち、三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅、双日の基本給は、ほとんど変わりません。三菱商事は物産と比べて入社3年目までの給料が安い、とかちょっとした違いはありますが、ほとんど同じ。
ではなぜ、平均年収に違いが出るのか?
ボーナス(臨時給与、賞与)で差がつくのです。
たとえば、総合商社が資源高で業績好調だった時代。年間のボーナスはなんと、基本給x12ヶ月分だったりしました。ボーナスによって給料が基本給の約2倍になっていたのです…。
もし、ボーナスが基本給x6ヶ月になったらどうでしょう?
- ボーナス12ヶ月:12+12 = 基本給の24ヶ月分が年収
- ボーナス6ヶ月:12+6 = 基本給の18ヶ月分が年収
ということですので、18/24で、年収が25%下がります。
したがって業績が悪いと仮定した場合、総合商社の平均年収は1000万円超えるくらいになります。この点については実際に三菱商事で働いている社員から聞いて、詳しく分析しています。
双日はボーナスがゴミ…
まずは双日の業績を以下の記事でご確認ください。
他の総合商社と比較すると、双日はしばらく業績が低迷しています。赤字ではないものの、まるで儲かっていない会社ですね。ボーナスは基本、業績に応じて増えたり減ったりするものなので、この業績ではボーナスは最低保証分くらいしか出ないでしょう。
となると、ボーナス4~6ヶ月がせいぜいのところ…。
したがって基本給は5大総合商社と同じもののボーナスで差をつけられ、年収が見劣りする形となっています。
※利益が伸びれば他と同じくらいの年収になる
豊田通商は基本給で劣る
7大総合商社のうち、豊田通商だけは基本給からすでに負けています。
これはトヨタグループに属しているためで、総合商社といえどもメーカーに近い給与体系になっています。
あとはボーナスがどうなるか?
ということですが、豊田通商のビジネスはクルマ関連が主体で、とても手堅く運営しています。したがって、大きく凹むことも想定できませんが、利益が倍になったりするようなことも、なかなか想定できませんね…。極めて安定的です。
結果として基本給が低い部分を安定したボーナスで補い、双日と同じくらいの年収となるものと思われます。
5大総合商社の将来性・安定性は低い
最後に、少しテンションの下がる話をしておこうと思います。年収ランキングは現時点のものよりも、20年後にどうなっているかを予測するのが大事なのです。
ということで、5大総合商社の将来性の話をしておこうと思います。
ここ数年、5大総合商社が平均年収ランキングの上位にいるのは資源高による資源ビジネスの好調が要因でしたが…中国景気の減速を発端とする世界の資源需要減の中で、果たしてこの業績と給料水準をどこまで維持できるでしょうか?
リーマンショック前~2015年までの資源高はモノを作る側からしたら、値上げがとても追いつかないほど急激で異常事態だったのです…メーカー営業マンである私は、ほとんど毎日のように値上げ交渉をしてましたから…
資源高だった当時は「値上げ→再値上げ→再々値上げ」みたいな無限ループで激務な状態に。
その裏で権益を持つ5大総合商社はウハウハだったでしょうね。私はこの状況が再来するとは思えないのです。企業の業績が悪化するとボーナスが悪くなり、結果として平均年収は下がります。従っておそらく2017年以降、5大総合商社の平均年収は下がっていくことでしょう。
※それでも年収の絶対額だけみると、メーカーよりは全然高いです
総合商社の年収をもっと詳しく!
実際に三菱商事の社員から聞いてます。