目上に「見送らせていただきます」はOK?意味・使い方・メール例文

「見送らせていただきます」は間違い敬語?二重敬語?
そもそも上司・目上に「見送らせていただきます」は失礼?

とご心配のあなたへ。

「見送らせていただきます」は敬語として正しく、ビジネスでは断りのフレーズとしてよく使われます。

使い方はたとえば、

  • 【例文】誠に遺憾ではございますが、想定予算を超過しており今回は購入を見送らせていただきます
  • 【例文】参加したいのはやまやまですが、あいにく先約があり参加を見送らせていただきます

こんな感じで使います。

「見送らせていただきます」が正しい敬語である理由とビジネスシーンでの使い方(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)、例文を紹介します。

「見送らせていただきます」の意味・敬語の解説

まずは基本となる「見送らせていただきます」の意味と敬語について。

順をおって解説していきます。

「見送らせていただきます」の意味は「見送らせてもらう」

意味としては「見送らせてもらいます」つまり「恐れ多くも見送らせてもらうよ、許してね」のようなニュアンスとなります。

元になる形「見送らせてもらう」は日本語としても正しいため、使っても差し支えありません。

ちなみに「見送る」のそもそもの意味は…

  1. やりすごす。さしひかえる。「参加を見送る」「購入を見送る」
  2. 今、事を行うのは不利と考えて、そのままにしておく。「時期尚早で計画は見送られた」
  3. 遠ざかる物や人をその後方で眺める。「飛行機を見送る」
  4. 訪れた人が帰るのにある場所までついていく。「ちょっとそこまで見送るよ」
  5. 出発する人をその場所まで行って送る。「駅で友人を見送る」
  6. 人が死ぬまで世話をする。「親を最期まで見送る」
  7. 葬送する。「亡き母を見送る」

たくさんありますが「見送らせていただきます」とするときは意味①の使い方をすることが多いですね。

もちろん「空港まで見送らせていただきます」としても使い方としては問題ありません。

断りの「見送る」と、人を「見送る」

「見送らせていただきます」の意味について少し補足を。

先ほど示したように「見送る」にはいろいろな意味があります。

ビジネスシーンで「見送らせていただきます」としたときには、

  1. 購入や誘いにたいして断りの「見送る」なのか…
  2. 上司・目上・取引先など人を「見送る」なのか…
  3. 亡くなった人を「見送る」なのか…

おおきく3パターンあり。

日本語ネイティブの私たちであれば、さすがに文脈や空気でわかるかとは思いますが…

いずれにせよ「見送らせていただきます」としたときには色んな意味がありますので、相手にわかるようにする配慮が必要です。

「見送らせていただきます」は間違い敬語ではない

「見送らせていただきます」は二重敬語ではありませんし、間違い敬語でもありません。正しい敬語です。

敬語の成り立ちをこまかく見ていくと以下のとおり。

  1. もとになる単語「見送る」
  2. 「させてもらう」の謙譲語「させていただく」で「見送らせていただく」
  3. さらに丁寧語「ます」で「見送らせていただきます」

「させてもらう」という単語に謙譲語をつかって敬語にしており、正しい敬語の使い方をしています。

二重敬語でもなく間違い敬語でもありません。

【補足】敬語の種類(ざっくり復習)

① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。

敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある

② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。

③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。

ここまでの解説ですべてを物語っているのですが説明不足かもしれませんので、

  • なぜ「見送らせていただきます」が正しい敬語なのか?
  • 「見送らせていただきます」のビジネスシーンにおける正しい使い方・メール例文
  • そもそも謙譲語って何?

という部分についてもくわしく解説していきます。

「見送らせていただきます」は日本語としておかしい?

これまでの解説から「見送らせていただきます」は敬語としては正しいということが分かりました。

ところが敬語うんぬんの前に…

「見送らせていただきます」が正しいかどうかをみるためには、そもそも日本語としておかしい表現じゃないの?というポイントに注意する必要があります。

日本語としても正しい「見送らせてもらう」

結論としては「見送らせていただきます」は日本語として正しいです。

なぜこう考えるのかというと…

もとの形「見送らせてもらう」で考えてみると分かりやすいです。

「させてもらう」の意味は辞書によると「相手方の許しを求めて行動する意をこめ、相手への敬意を表す」です。

つまり、

許しや許可が必要なときにつかう言葉です。

で、

「見送らせてもらう」だと「見送るために相手からの許しを得たい」という感じのニュアンスになります。

恐れ多くも見送らせてもらうよ、許してね

なにかを見送る、つまり断るとき相手からの許し・許可が必要でしょうか?

答えは「No、とくに必要はありません」

ただし「恐れ多くも見送らせてもらうよ、許してね」というニュアンスで使うため、ビジネスシーンでやんわりと誘いを断るときに活躍する敬語フレーズです。

したがって例えば「あいにく先約があり、今回は見送らせていただきます」というようなフレーズは正しいということになりますね。

ただしこれは受け手の感情次第であるため、なにが正解とは言えません…

「見送らせていただきます」がふさわしいビジネスシーン

とくに誘いを丁寧に断るときに「見送らせていただきます」というフレーズをよく使いますね。

ビジネスシーンでは、たとえば上司からの飲み会の誘いを断るとき「恐れ多くも見送らせてもらいますよ、許してね」というニュアンスだと考えれば自然な流れです。

具体的にはたとえば、

ビジネス取引先から「懇親会いかがでしょうか?」とメールで飲み会の誘いを受けたとき。

あるいは

上司から「今夜どう?」と飲み会の誘いを受けたとき。

「申し訳ありません。今回は見送らせていただきます。」「~のため見送らせていただきます」みたいに使うのもOKです。

堅苦しいビジネスシーンで「見送る」ようなときには「恐れ多くも見送らせてもらいます」みたいなニュアンスで「見送らせていただきます」を使うと丁寧です。

ようは何かを「見送らせてもらう」シーンであればOK

なにかを「見送らせていただきます」は要するに「見送らせてもらうよ、許してね」という意味です。

したがって「見送らせてもらう」シーンであればどんな時でも使えますね。

あまり難しく考えることはなく、よく使われる敬語フレーズだと思います。

「見送らせていただきます」使い方・ビジネスメール例文

つづいて「見送らせていただきます」の使い方をビジネスメール例文でご紹介します。

文字どおり目上や上司・社外取引先に「見送らせてほしい」と言いたいときに使えます。

上司・目上など社内メールにかぎらず社外取引先にも使える丁寧な敬語フレーズにしていますのでご参考にどうぞ。

使い方・例文①メルカリなどで購入を断る

【社内外・文例】
メルカリなど通販で購入を断るときの丁寧な断り方の例文。理由は細かく伝える必要なし。

メール件名:購入見送りのお詫び

○○ 様

お世話になっております。
早速のご回答ありがとうございます。

さて、ご提案の商品につき検討いたしましたが、探していたデザインと違う点がやはり気になりましたので、今回は購入を見送らせていただきます。

せっかくのご提案にも関わらず、このような返事となりましたことをお詫び申し上げます。

また機会がございましたら、その際にはどうぞ宜しくお願いいたします。

***********
メール署名
***********

使い方・例文②飲み会・接待・食事の誘いを断る

【社外・文例】
社外の相手から食事/飲み会/接待の誘いがあったとき。丁寧な断り方のメール例文。

【メール件名】返信Re: 会食のお誘い

ビジネス会社
営業部 ○○ 様

お世話になっております。株式会社転職・ノマドでございます。
このたびはお誘いくださいまして誠にありがとうございます。

さて、せっかくのお誘いにも関わらず心苦しい限りではございますが、どうしても外せないプライベートの予定があり、不本意ながら今回は見送らせて頂きます。

大変申し訳ありません。

よろしければ、また別の機会にご一緒させていただければ幸いです。何卒宜しくお願い申し上げます。

———————————-
メール署名
———————————-

➡︎ ビジネスメールにおける断り方のすべて

使い方・例文③上司からの誘いを断る

【メール件名】返信Re: 飲み会のお誘い

○○部長(社内上司)

お疲れ様です。
このたびはお誘いくださいまして、誠にありがとうございます。

さて、せっかくのお誘いにも関わらず心苦しい限りではございますが、あいにく先約があり、今回は見送らせて頂きます。

お心遣いを頂いておきながら大変申し訳ありません。

また別の機会にご一緒させて頂ければと存じます。宜しくお願いいたします。

ノマド

➡︎上司からの「飲み会の誘いを断る」ときの理由20選、メール例文

とはいえ「お見送りいたします」「お見送りします」でも十分に丁寧な敬語

ここまでの解説で「見送らせていただきます」は正しい敬語であり、ビジネスシーンでも使える丁寧な敬語フレーズであることがわかりました。

ここからは、

「見送らせて頂く」のほかにも使える言い換え敬語を紹介します。

さきに答えですが「お見送りいたします」「お見送ります」とすればよいだけ。

「お見送りいたします」敬語の補足

「お見送りいたします」はもとになる単語「見送る」に「~する」の謙譲語「~いたす」をつかい、さらに丁寧語「ます」をくっつけて敬語にしています。

謙譲語には他にも「お・ご〜する」「お・ご〜いたす」という使い方があります。

たとえば、

「ご連絡する」「(ご)連絡いたす」
「ご報告する」「(ご)報告いたす」
「ご挨拶する」「(ご)挨拶いたす」
「お願いする」「お願いいたす」

こんな感じでつかう敬語です。ちなみに丁寧語「ます」をくっつけて「(お・ご)〜します」「(お・ご)〜いたします」とするのが一般的。

➡︎「お伺いいたします」が間違い敬語である理由、正しい使い方

➡︎「お伺い致します/お伺いします/お伺いさせて頂きます」すべて間違い敬語!

ビジネスメール例文

例文をみたほうが分かりやすいので、ビジネスメールやその他のシーンで使える例文を紹介しておきます。

  • せっかくのお誘いではございますが、あいにく先約があり今回はお見送りいたします。(現在形)
  • 誠に遺憾ではございますが、あいにく出張の予定がありお見送りいたしたく存じます。(願望)
    ※存じますは「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」

ビジネスメールにおける断り方の基本

せっかくの機会ですので、ビジネスメールにおける断り方の基本についても少しだけ。

断りの敬語フレーズ基本構成

ビジネスメールにおける丁寧な断り方には一定のルールがあります。

具体的には…

断りの敬語フレーズの基本構成は以下のようになっていると素晴らしいです。

【例文】
前置き① せっかくのお誘いではございますが、
理 由② あいにく先約があり、
断 り③ 今回は遠慮させて頂きます。

【例文】
お詫び④ お心遣いを無にするような返事となりましたこと、深くお詫び申し上げます

こんな感じ。

すると…

-断りのビジネスメール例文-

(前略)

せっかくのお誘いではございますが、あいにく先約があり今回は遠慮させて頂きます。

お心遣いを無にするような返事となりましたこと深くお詫び申し上げます。

(後略)

というような素晴らしい断りの文章となります。

で、あとは応用。

この組み合わせに、

  • 前置き①には何を使う?
  • 理 由②には何を使う?
  • 断 り③どんな断り敬語を使う?
  • お詫び④どんなお詫び敬語を使う?

で色々な誘いに対する断りフレーズを作ることができます。

この基本さえマスターしておけば、
あなたの語彙が広がるほどに断るときの敬語の幅も増えていきます。

語り始めるとこれだけでひとつの記事ができてしまうため、代表的なものだけをこれから紹介します。

「仕事の依頼を断る」ときの敬語フレーズ

  • 【例文】せっかくご依頼を頂いておきながら心苦しい限りではございますが、ご希望納期での対応が非常に難しく、お受けいたしかねます
  • 【例文】せっかくの機会ではございますが、より魅力的なお仕事のオファーを受けたため辞退させて頂きます
  • 【例文】弊社内のリソースが不足しており誠に不本意ではございますが、本件お見送りさせて頂きます
  • 【例文】ご要望の予算内でお応えすることが非常に困難であるため、お受けいたしかねます
  • 【例文】せっかくの機会を頂いておきながら非礼この上ないことと存じますが、より魅力的な仕事の紹介があったため、辞退いたします

 「申し出・購入・提案を断る」ときの敬語フレーズ

※「申し出」は謙譲表現であるため「ご提案」「お誘い」「お気遣い」などとシーンごとにふさわしい語に言い換える。

  • 【例文】せっかくのご提案にも関わらず心苦しい限りではございますが、プロジェクト予算を超過してしまい、今回はお見送りいたしたく存じます
  • 【例文】素晴らしいご提案を頂いておきながら誠に遺憾でございますが、より魅力的なオファーがあったためお見送りさせて頂きます
  • 【例文】せっかくのご提案ではございますが、弊社内で精査いたしました結果、現時点では不要であるとの判断が下され、今回はお見送りいたします
  • 【例文】価格が想定予算を超過しており誠に不本意ではございますが、お見送りさせて頂きます
  • 【例文】せっかくのご提案を頂いておきながら非礼この上ないことと存じますが、より魅力的なオファーがあったため、今回はお見送りさせて頂きます

「誘いを断る」ときの敬語フレーズ

※「都合が悪い」とは言わず、別の表現に言い換える

  • 【例文】せっかくのお誘いにも関わらず心苦しい限りではございますが、あいにく先約があり、今回は遠慮させて頂きます
  • 【例文】せっかくのお誘いなのですが、あいにく出張で不在にしておりお気持ちだけ頂戴いたします
  • 【例文】お誘いを頂き至極光栄に存じますが、あいにく外出で不在にしており辞退させて頂きます
  • 【例文】お誘いを頂きとても嬉しく存じますが、どうしても外せないプライベートの都合があり今回はお気持ちだけ頂戴いたします
  • 【例文】せっかくお誘いを頂いておきながら非礼この上ないことと存じますが、急な出張が決まったためお見送りさせて頂きます

➡︎【完全版】断りの丁寧な敬語フレーズ100選(誘い・都合が悪いetc)

➡︎【完全版】誘いを断るときの丁寧な敬語フレーズ50選、メール例文

➡︎ビジネスメールにおける断り方のすべて

参考記事

➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選

➡︎「いただくことは可能でしょうか?」の敬語、目上の人への使い方
➡︎「ご連絡差し上げます」は間違い敬語?意味と正しい使いかた
➡︎【完全版】ビジネスメール締め・結びの例文50選

➡︎︎ビジネスシーンでの「お願い・依頼」敬語フレーズのすべて
➡︎︎ビジネスシーンでの『お礼・感謝』敬語フレーズのすべて
➡︎︎ビジネスメールにおける断り方のすべて