「お伺いいたします」が間違い敬語である理由、正しい使い方

「お伺いいたします（お伺い致します）」が間違い敬語である理由について、解説する記事。

まずは要点のまとめから。

×「お伺いいたします」が間違い敬語である理由

「お伺いいたします」が間違い敬語である理由は、「行く・尋ねる・訪問する・聞く」の謙譲語「伺う」に謙譲語「お～いたす」を併用しているから。これを二重敬語といい、マナー違反。正しい敬語は「伺います」である。

×他にもある「伺う」の間違い例文

・NG例文「お伺いする」
・NG例文「お伺いします」
・NG例文「お伺いしたいです」
・NG例文「お伺いしたく存じます」
・NG例文「お伺いできますでしょうか？」
・NG例文「お伺いしてもよろしいでしょうか？」
・NG例文「お伺いさせて頂きます」
・NG例文「お伺いさせて頂きたいです」

※これらの敬語は誤りではあるものの、文化庁の「敬語の指針」には「慣例としてOK」となっています。が、とくに私のようなおっさんは納得できません。

●「伺う」の正しい例文

・正しい例文「伺います」
・正しい例文「伺いたいです」
・正しい例文「伺いたく存じます」
・正しい例文「伺えますか？」

ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、

本文中にて、なぜ間違いなのか？どうしたら正しい使い方をマスターできるか？という点についてくわしく見ていきましょう。

なぜ「お伺いいたします」が間違い敬語？

まずは「お伺いいたします」が間違い敬語である理由を解説。

「お伺いいたします」がNG敬語になる理由

「お伺いいたします」は分解してみると、以下のような構成です。

「行く・尋ねる・訪問する・聞く」の謙譲語「伺う」
＋
謙譲語「お〜いたす」
＋
丁寧語「です・ます」

よくよく見ると「行く・聞く」の謙譲語「伺う」と「お〜いたす」という謙譲語を同時に使っているため、二重敬語に該当。この使い方はNGです。

※二重敬語とは、一つの言葉に同種類の敬語を2回使うことであり、ビジネスマナー違反です

※謙譲語とは「自分の立場を下げることで、相手が自動的に持ち上がる」という敬語で、自分の動作や行動に使います（本当は違う使い方もある）。敬語の種類には他に、尊敬語「目上の人に対して、相手を立てたいときに使用する」と、丁寧語「聞き手の人に対して、丁寧にしゃべる言葉」があります。

「伺う」の正しい用法を図式化

「お伺いいたします」はビジネスメールでもっともよくある間違い敬語。

ただしい用法は「伺います」ですが、覚え易いように謙譲語「伺う」と、それに派生する正しい敬語・間違い敬語の関係を図式化しておきましょう。

私もそうですが、普段なんとな～く使っている表現が間違い敬語だったりするので…。私自身、まだまだ勉強が必要ですね。

◎訪問する・尋ねる・行く・聞く（原型）
　↓
◎伺う（謙譲語）
　↓
◎伺います（謙譲語＋丁寧語）
◎伺いたいです（謙譲語＋丁寧語）
◎伺いたく存じます（謙譲語＋丁寧語）
◎伺えます（謙譲語＋丁寧語）
　↓
NG×お伺いする（二重敬語）
NG×お伺いします（二重敬語）
NG×お伺いいたします（二重敬語）
NG×お伺いさせていただきます（二重敬語）
NG×お伺いしたいです（二重敬語）

※「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」＋丁寧語「ます」
※「伺えます」は「伺う」＋可能の助動詞＋丁寧語「ます」