「受け取る」の丁寧な言い換えは「受領 or 拝受」どっち?

【例文】メール返信(就活メール)

メール件名: Re: 会社案内送付のお願い(就活大学・就活)

転職株式会社
人事部
転職 様

お世話になっております。就活大学の就活です。

さて昨日、会社案内パンフレットを拝受いたしました。
お忙しいところ早々にご対応いただき、誠にありがとうございます。

大変略儀ではございますが、
まずは資料拝受のご報告をいたします。
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メール署名
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【例文】受け取ったことを伝えるメール返信

メール件名: Re: お見積送付のお願い(就活株式会社・就活)

転職株式会社
営業部
転職 様

お世話になっております。就活株式会社の就活です。

先ほど、お見積書を確かに拝受いたしました。
お忙しいところ早々にご対応いただき、誠にありがとうございます。

甚だ略儀ではございますが、
まずはお見積書拝受のご連絡をいたします。
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メール署名
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【例文】返事を催促するメール

メール件名: FW: 履歴書送付の件(就活大学・就活)

転職株式会社
営業部
転職 様

たびたび申し訳ありません。
就活大学の就活です。

さて先日、履歴書を添付ファイルにて送付しておりましたが、
お受け取りになりましたでしょうか。
当方の手違いにより送付できていない可能性があり、
確認のため連絡いたしました。

お忙しいところ大変恐れ入りますが、
ご確認いただければ幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。
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メール署名
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※「こちらの手違いでお送りできていない可能性がございますので、再度送付いたします」と言い換えしたほうがよいかも。

面接辞退メールに“返信がこない”ときの対処法4つ 

「受領」は目上の人に使っても失礼じゃない!

先にも触れましたが、「受領」は「受け取ること」の意味であり、目上の人にもビジネスメールにも使える表現です。「受領」は上司に送るメールに使うべきじゃない!という人もいますが、言葉の本来の意味を考えると、「受領」は何も失礼ではありません。

問題なのは「受領しました」などと丁寧語「です・ます」を使うことにあります。ビジネスメールでは丁寧語よりも謙譲語・尊敬語を使うべきです(くわしくは後述)。

「受領する」の「する」を謙譲語「いたす」にし、さらに丁寧語「です・ます」のコンボを使えば「受領いたします/受領いたしました」となり、目上の人にも使えるすばらしい敬語表現になります。

敬語であれば何でもいいという訳じゃない!

敬語の難しいところは、敬語を使い丁寧な表現にすればなんでもありではなく、言葉として適切かどうか?についても考えなければならないところ。

たとえば先ほどの例で考えると、

「受領」という言葉は単純に「受領いたしました」とすればよい訳でなく、「受領」という言葉の持つ意味も考えなければならない、ということ。

「受領」がふさわしい表現であることを確認してはじめて、「受領いたしました」としてビジネスメールで使えるのです。

「拝受いたしました」は二重敬語ではない!

「拝受いたしました」という敬語について、「拝受」は謙譲表現であるから、さらに謙譲語「いたす」を使っては二重敬語になるのでは?という質問があります。

結論からのべると「拝受いたしました」は二重敬語ではありません。なぜなら「拝受」は「拝む(おがむ)」という謙譲表現を使ってはいるものの「謙譲語」ではないからです。

「二重敬語とは同じ種類の謙譲語を、同じ単語に2回つかうこと」

ですから、これは問題ありません。二重敬語となる表現にはたとえば「お伺いいたします」があります。

これは「伺う(行く・聞くの謙譲語)」に「お~いたす(する・の謙譲語)」となっています。伺うはすでに謙譲語なのに、さらに謙譲語「いたす」を使っていますよね?

これが二重敬語の例です。

「拝見いたしました」は受領・拝受とは違う

ところで「メール、拝見いたしました」って正しい使い方でしょうか?

「拝見」の意味は「見る」+「拝む」であり、「見る」の謙譲表現ですが…。たしかに「メールを拝見しました/いたしました」って「メールを見ました」ということであり、意味としては通じます。

ただ「拝見」と「受領・拝受」とでは、もともとの意味がちがうのでご注意ください。

たとえば「資料を拝見しました」だと「資料を見ました、読みました」の意味であり、「資料を受領いたしました = 資料を受け取りました」とは意味が異なります。

拝見と拝受・受領の違いは「見るほうは=拝見、受け取るほうは=拝受・受領」となります。ご留意ください。

「領収いたしました」も拝受・受領とは違う

普段なじみのある言葉に「上記、確かに領収いたしました(領収書の下のほうに書いてある)」という表現がありますが、これってどういうことでしょうか?

言葉の意味としては領収も受領・拝受も「受け取ること」ですが、何を受け取るか?という点において、使い分けされます。

「領収する」は、ニュアンスとしては代金とかお金を「受け取る」です。

「受領する」は、どんなものであろうと広く使えて「受け取る」の意味です。

ところがレシートに「受領書」とは書かず「領収書」と書きますよね。逆に「メールを領収しました」という使い方もしません。メールを受け取ることはあくまで「受領・拝受」であり、お金を受け取ることは「領収」なのです。

このあたりの微妙な使い分けは、シーン別に慣れていくしかないですね…。

「頂く(いただく)」も拝受・受領とは違う

また、間違った敬語の解説に「受領」の謙譲語は「いただく」としている人がいます。

これは100%間違いなのですが、「受領いたしました」の類語として「いただきました」が含まれるのも事実です。たとえば「メールを受領いたしました」「メールをいただきました」だと、どちらも「メールを受け取ったんだな」ということが分かります。

ところが「商品を頂きました」「商品を受領しました」を見比べてみるとどうでしょう?

「商品をいただきました」では「タダで商品もらったのかなぁ?」ということを想定しますが、「商品を受領しました」では「商品を受け取りました」の意味となります。

「商品をいただきました」では「受け取った」の意味にはどう曲解しても、なり得ません。以上のことから、「受け取る」の謙譲語を「いただく」とするのは間違いだとわかります。

目上の人に使える?間違いやすい敬語10選

目上の人やビジネスメールで使うかどうか、よく迷う表現としてはたとえば以下のようなものがあります。ーつづくー