「受け取る」を敬語にしてビジネスメールに使う方法を解説(もちろん例文つき)。
この記事では、
ビジネス敬語にかんする以下の疑問を解消していきます。
- メールを受け取ったことを伝えたいけど、どう返信する?
- 受け取る、の丁寧な言い換えは?
- そもそも受け取るの尊敬語・謙譲語・丁寧語は?
- (相手が)受け取ったか?を確認するには、どう尋ねる?
この記事の目次
受け取る はビジネスメールで使わない
まずは基本として、
私の1日500通くるビジネスメールでは、一度たりとも見たことがありません。正直に申し上げると「受け取る」を使わない理由を論理的に説明することは難しいのですが…
次項よりなんとな~く考察していきます。
受け取る に該当する謙譲語なし
ここからは私の勝手な考察。
ビジネスメールで使う敬語は、丁寧語「です・ます」ではなく謙譲語や尊敬語がメインとなります。ところが「受け取る」には「すっぽりとはまる謙譲語がない」のです。
だからビジネスメールでは使わないのだと思われます。
【間違い】「受け取る」の謙譲語は「頂く」ではない!!
こういうのを曲解といいます。
「受け取る」の謙譲語が「いただく」となるのであれば、以下例文のような「へんてこなビジネスメール」になってしまいます。
- NG例文①「メールを確かにいただきました。ありがとうございます」
- NG例文②「会議資料を確かにいただきました。ありがとうございます」
- NG例文③「商品を確かにいただきました。ありがとうございます」
たしかに例文①②では「メール(会議資料)をもらう」ですから、意味としては通じます。ところが例文③は「商品を(タダで)もらった」という意味になります。
「商品を頂きました」で「商品を受け取った」の意味にはどう曲解しても、なり得ません。以上のことから、「受け取る」の謙譲語を「いただく」とするのは間違いだとわかります。
受け取りいたす??
「する」の謙譲語「いたす」+丁寧語「です・ます」を使えば、なんとな~く謙譲語になります。
たとえば、
「連絡いたします」「報告いたします」「対応いたします」などがビジネスメールでよく使われますね。
で、
これを「受け取る」にあてはめてみると「受け取りいたします」「受け取りいたしました」となります。
んんん~~~、これも一度もみたことのない表現ですね。ということでやはり「受け取る」を謙譲語にするのは難しいという結論になります。
※間違いやすい敬語には「お伺いいたします」があります。これは間違いであり「伺う」「伺います」が正しい謙譲語。
受け取る の丁寧な言い換え
謙譲語がイマイチすっぽりとはまらない言葉であるために、ビジネスメールでは使わない「(自分が)受け取る」。
それでは、
「受け取る」をビジネスメールで使うにはどのように言い換えしたらよいでしょうか?みていきましょう。
言い換え「受領いたしました」
受け取る のポピュラーな言い換えが「受領する」。「領」にはもともと、「受け取る」の意味が含まれています。同じように「領収・拝領」も「受け取る」ということになります。
ただしこれらの言葉が少し違うのは、「受け取るものがなにか?」で使いわけするのです。代金など金銭を受け取るときには「領収」を使い、なんでも使えるのが「受領」です。したがって、「メールを受け取る」としたいときには「受領」が好ましいということになります。
話はそれましたが「受領いたしました」は「する」の謙譲語「いたす」に丁寧語「ます」を使って敬語にしています。目上の人にもビジネスメールにも使える丁寧な敬語表現ですね。
念のため、「受領」を使ったビジネスメールの例文を以下にまとめます。
- 例文「本日、カタログを受領いたしました。早々にご対応いただき、誠にありがとうございました」ビジネスメール返信
- 例文「本日、履歴書を受領(受理)いたしました。取り急ぎ報告申し上げます」就活・転職メール
- 例文「エントリーシートを確かに受領(受理)いたしました。これより1週間ほど書類選考に入り、結果については追って連絡いたします」就活・転職メール
もっとも丁寧な言い換えは「拝受いたしました」
拝受(読み方:はいじゅ) は「受け取る」の意味ですが、へりくだった表現になります。したがって「謹んで受け取る」「かしこまって受け取る」のような意味にとれます。
「拝受いたしました」は先ほどと同様に、「する」の謙譲語「いたす」+丁寧語「ます」を使って敬語にしています。目上の人にもビジネスメールにも使える丁寧な敬語表現ですね。
就活や転職、ビジネスメールでここまで丁寧な表現にするべきか?「受領いたしました」で十分じゃないか?と私は思いますが、本当に丁寧な対応を心がけたいときには、知っておいて損は無い表現ですね。
念のため、「受領」を使ったビジネスメールの例文を以下にまとめます。
- 例文「本日、カタログを拝受いたしました。早々にご対応いただき、誠にありがとうございました」ビジネスメール返信
- 例文「本日、履歴書を拝受いたしました。取り急ぎ報告申し上げます」就活・転職メール
- 例文「エントリーシートを確かに拝受いたしました。これより1週間ほど書類選考に入り、結果については追って連絡いたします」就活・転職メール
その他の言い換え(受理・領収・査収)
「受理」はとくに、書類・届け・願い事などを受け付けるときに使う「受け取る」の類語表現。
「領収」はとくに、代金など金銭を「受け取る」ときに使う類語表現。
「査収」はとくに、(書類などの)中身をよく調べて「受け取る」ときに使う類語。
となります。何を受け取るか?に応じて使い分けることもできますが、使い分けがめんどくさければ「受領」「拝受」だけで99%は乗り切れます。
使うときには「○○いたしました」と謙譲語にしましょう。
(相手が)受け取りましたか? の尊敬語
これまでは「(自分がメールなどを)受け取る」の使い方をみてきました。「受け取る」は謙譲語にはできませんが、尊敬語にして「(相手が)受け取りましたか?」とすることはできます。
お受け取りになる
「受け取る」を尊敬語にすると「お受け取りになる」となりますね。これに丁寧語「です・ます」をつけ加えて疑問文に直すと、
「(相手が)お受け取りになりましたか?」
となり、目上の人に使ってもビジネスメールに使うのにも、すばらしく丁寧な敬語表現となります。このほかには「お手元に届きましたか?」「お手元にございますか?」などが同じように使われます。
念のため、「お受け取りになりましたか?」を使ったビジネスメールの例文を以下にまとめます。
- 例文「たびたび失礼致します。先般、送付いたしました見積書はお受け取りになりましたか。お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご確認いただければ幸いです」催促メール
- 例文「5月10日に履歴書を添付ファイルにて送付いたしましたが、お受け取りになりましたか。お忙しいところ大変恐れ入りますが、ご確認くださいますようお願い申し上げます」催促メール