ジェネリック医薬品(=後発医薬品)とは何か?
知識ゼロの状態からデメリット・問題点などについて「わかりやすく解説」する記事。
まずは基本として、ジェネリック医薬品とは「特許ぎれとなった新薬のコピー商品」。新薬=先発医薬品にたいして、後発医薬品と呼ばれることもあります。
コピー商品というとネガティブな印象をうけますが「合法的なコピー」という点で、中国人のやっている「ミッキーマウスの違法コピー」とは違います。
また「ジェネリック医薬品はオリジナルの劣化版コピーだから、品質に問題がある」というのも間違い(くわしくは本文にて)。
それでは、
「そもそも特許ぎれとは何か?」という基本的なところから、「ジェネリック医薬品とは? → 注意点 → メリット・デメリット → 問題点 → どんな会社が作っている?」と順を追ってわかりやすく解説していきます。
※私はジェネリック医薬メーカーのスパイではありません。医薬品のことも多少は知っている化学メーカー勤務のおっさんです。
※※わかりやすくするために記事中では専門用語を一切つかいません。
ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品(=後発医薬品)は、ざっくりとは先ほど解説したとおり「特許ぎれ医薬品のコピー商品」です。
ジェネリック医薬品について理解するには「そもそも特許ってなに?」というところから理解しなければいけません。
そもそも「特許って何?」
そもそも「特許(読み:とっきょ)」とはわかりやすく解説すると、
「何か新しい発見をしたとき、自分たちだけが使えるようにする権利」のこと。
新しい発見を他の人にマネされないように、「オレが最初に発見したから、他の人には使わせない!!」という権利を特許庁という国の機関に申請します。
●特許の例;
たとえば、以下のようなものが特許になります。
- iPhone6の、これまでにない美しいデザイン
- 「味の素」という今までにないモノを作った
- 「スーパーアタック」という今までにない医薬品を作った
- めちゃくちゃ効く風邪薬をつくった
この他にも新しいモノ、新しいビジネスの仕組み、新しい作り方などなど…これまでにない「何か」を発見したのであれば特許を申請できます。特許を国に申請すると「これってホンマに新しいか?」といった部分を審査します。
こうして審査をパスした発見だけが「特許」として登録されます。
そうすると他の人はiPhone6を作れなくなります。味の素も作れなくなります。これが「特許により守られている」ということなのです。ちなみにルール違反した人には、かなり重たい罰金が科せられます。←「特許を侵害した」という。
そもそも「特許ぎれ医薬品」とは?
ところが、この「特許=新しい発見を自分たちだけが使える権利」には期限があります。日本で申請した特許あれば「期間は出願してから20年まで。それを過ぎると無効になる」と決まっているのです。
それはそうですよね。いくら「新しい発見」だったとしても、ず~~っと一人だけが使える権利だとしたら、ライバルとの競争が生まれません。
たとえば「新しい風邪薬」が永遠に一社しか作れないものだとしたら、会社は二度と新しいモノをつくる必要ありません。ライバルが永遠に現れないのですから。
このように、20年がすぎて特許が無効になったことを「特許ぎれ」「特許が切れた」といいます。
話はもどって「特許ぎれ医薬品」とは、「ある人の特許がきれてコピーし放題になった医薬品」という意味です。そうなるとコピーされた医薬品が世にでまわります。
これを「ジェネリック医薬品」というのです。
※ただし医薬品は開発に時間が必要なため、特例で期限を+5年延長することができる場合もあります。
ジェネリックと先発医薬品の違いとは?
ジェネリック医薬品(=後発医薬品)に対するのが、先発医薬品。
この2つの違いは簡単で、
- 「先発医薬品」とは世の中に今までなかった「新薬」のこと。
→ 先発医薬品メーカーは研究開発をマジメにやり、特許をだし、臨床実験し、国からの承認を得る…という一連のプロセスから新薬は生まれる(簡単に書いたが少なくても10年はかかる)。 - 「ジェネリック医薬品=後発医薬品」とは先発医薬品のコピーのこと。
→ ジェネリック医薬品メーカーはコピーするだけなので手間とお金を節約できる。結果、安くできる。国のジェネリック承認プロセスも大幅にシンプル。
このような違いがあります。
違いによる「デメリット・問題点」
デメリット・問題点は「ジェネリック医薬品」と「先発医薬品(新薬)」という2つの呼び方を作ってしまったことにあります。
本来「ジェネリック医薬品」なんて消費者は知らなくてもよい、マニアックな医薬用語です。実際にジェネリック医薬品が多く出まわっているアメリカでは、それと分かって使っている人はほとんどゼロに近い(経験則)。
ジェネリックであろうと新薬であろうと、医薬品は医薬品。
医師・薬剤師が「処方する医薬品」の使い方をしっかりと説明したら、それで終わりのハズです。ジェネリック医薬品なんていう単語はどこにも必要ありません。
なのに「ジェネリック医薬品だから、こうなんですよ」みたいなことを医師・薬剤師が言いだすからおかしくなる。これでは自分の説明責任を放棄しているとしか思えない。
ジェネリック医薬品は100%完コピじゃない!
ここでひとつ注意点を。
先ほどの私の「ジェネリック医薬品とは?」の説明は、ある意味まちがいでもあります。なぜなら、ジェネリック医薬品とは100%完全コピー商品じゃないから。
わかりやすく例えると、中国の違法でコピーされた「グッチの財布」が、オリジナル商品とやっぱり何かちがうなぁ~…というのと同じことです。
100%完コピではないものの、ジェネリック医薬品は決して「中国のニセモノ」のようにクオリティーの低いものではありません。
誤解を与える例えですみません…。
完コピじゃないことによる「デメリット・問題点」
いずれにせよ100%完コピできていないために、デメリットや問題点も出てきます。もちろん、完コピじゃないことが逆に、メリットになることもあります。
「ジェネリック医薬品だから問題ばっかりだ……」とひとくくりに言えるものではありません。
「このジェネリック医薬品のデメリットは○○だ」というように、商品ごとに見るのが正しいです。
で、どうしたらそれが分かるのか?という話ですが、結局は医師・薬剤師に聞いてみないことにはわかりません。
なにしろ、私たち消費者には情報が届かないのですから…。医師と薬剤師にしっかり説明責任を果たしてもらいましょう。