アップルの下僕となった化学メーカー営業マン。激務度はどれくらい?

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故スティーブジョブズ氏の最高傑作「iphone」。開発を成功させたのは日本の化学素材メーカーの技術があったから。

ただしアップル(Apple)社と一緒に仕事をする営業マンと研究担当者は超激務になります。以前、ざっくりとは記事にしましたがもう少し具体的にします。

それでは化学素材メーカー営業マンが、アップル(Apple)社と一緒に仕事をするとどれだけ激務になるのかを語っていきますね。

*これはアップルと仕事をしていた営業マンへのインタビュー記事です。

化学素材開発にも首を突っ込むアップル

化学メーカーの素材は最終的にアップル社の製品に組み込まれるといっても、アップルに直接納入をする訳ではありません。

素材→1次加工→2次加工→…と幾つもの工程を経て「iphone」や「ipad」は作られます。

従って本来であれば末端製品を作る会社は素材のことなど分かりませんし、どうでも良いのです。普通は中国メーカーやシャープのようにAとBとCを組み立てたら終わり、ということしかしません。

ただしアップルは違います。彼らは素材から何から何まで、全て把握していないと気が済まない会社。化学素材メーカーの開発にまで首を突っ込んできます。

購買力がとんでもない

たとえば「ihpne6S」などの商品に素材が新規採用となった場合、とんでもない金額になります。それは工場を増設するとか何とかしないと供給できないくらい、もの凄い。

化学メーカーもその辺りは十分にわきまえているので、アップル社だけは特別扱い。←昔はシャープも特別扱いされていたものですが…

まるで下僕のように働かされる

でも化学メーカーの商品が彼らの目に止まったら終わり。まるで下僕のように働かされる羽目になります。でも文句は言えません。

彼らのスケジュールについていけなくなったら、莫大なビジネスチャンスを失うのですから。

アップル米国本社の責任者は寝ない

日本と米国といえば半日ほどの時差があります。日本の働く時間は米国では夜中〜早朝。でも、普通にメールや電話で指示が飛んできます。もちろん、米国が日中の時間帯もメールで山のように宿題が課せられます。

つまり、お互いにほとんど会社に泊まり込み状態

「日本人が働きすぎる」なんて絶対に嘘だよ…アップルの社員は恐らく私の倍以上、働いています。もちろんアップルと化学メーカー営業マンでは給料が全然違うので、彼らが激務になるのは当たり前。

でもこちらは残業を何10時間しようが給料に反映されないのだから、勘弁してほしい。

そんな弱音を許さないのがアップルの凄いところ。とにかく彼らの指示は脅迫に近く「絶対にやらなければならない」という気にさせるのです。

採用が決まると楽になる

一旦アップルの「iphone6S」に採用が決まったら後は楽勝です。品質の良い製品をアップル指定の加工会社に供給するだけ。品質・供給問題を起こさない限りは大丈夫です。

一時的な激務状態「生みの苦しみ」にどれだけ耐えられるかというのがポイント。

ただし次には当然「iphone7」向けにどんな素材を投入できるかを考えなければならない。結局、また同じような状態になるのですね…終わりの無いアップルとの戦いです。

共同開発と称して「独占供給契約」を結ばせる

「独占供給契約」これは化学メーカーにとってみたら、全ての終わりを意味します。アップルのライバルであるサムスンに同じ素材を売ることができないのですから。

だからアップルには完成された商品しか紹介しないようにします。←想定される特許を化学メーカーが全て抑え、製造技術も完璧にした上で紹介します。

まだ開発コンセプトしかないときに商品説明に行くと、9割以上の確率で共同開発契約を提案され、最悪の場合にはコンセプトだけで膨大な数の特許を抑えられます。←日系企業でもこんな会社は数多くあり、化学メーカーはブラック企業リストを保持しています。

アップルが化学メーカーに潰される

共同開発契約をするには理由があります。契約をしないと簡単にコピー商品を作られ、化学メーカーに潰されてしまうからです。この点についてはシャープの記事で詳しく解説しています。

素材の力を軽視する企業は真っ先に潰れる

結局、何が言いたいかというと、化学素材の力を舐めている会社は真っ先にコピー商品を作られるということ。過去の経験から日系企業はよくわかっていて、最近ではお客さんの口が固くなりました。

化学メーカーの営業マンは普段の何気ない会話の中で、中国メーカーに横流しする情報を常に探しているのですから。

その点、素材〜ソフトウェアまで全ての技術に関わっているアップルは凄い。ちゃんとビジネスの本質を分かっています。

彼らは工場を持っていませんが、その気になれば何でも作れることでしょう。