「お待ちください」は上司・目上に失礼?
ビジネスメールに使えるもっと丁寧な敬語ってなに?
とご心配のあなたへ。
「お待ちください」は目上に失礼とまでは言わないものの、親しい取引先や上司および社内のコミュニケーションにつかえる程度の丁寧レベル。
あるいは…
ビジネス電話で相手を待たせるときにはよく「少々お待ちください」をつかいます。
ということでつかっても失礼ということでは無いのですが…
ビジネス文書・メールや初対面の相手など気をつかうべきシーンではより丁寧な敬語に言い換えすると好感度UPします。
より丁寧な言い換えにはたとえば、
- 【例文】お時間をいただきたく存じます
- 【例文】少々お時間をいただければ幸いです
- 【例文】今週末までお時間を頂戴できればと存じます
などあり。
「お時間をいただく」「お時間を頂戴する」の丁寧な敬語フレーズをつかいます。
くわしい解説は本文にて。
それでは、
「お待ちください」の意味、目上につかえるより丁寧な言い換え敬語、ビジネスシーンでの使い方(電話・メール・手紙・文書・社内上司・社外取引先・目上・就活・転職)、メール例文を紹介します。
意味・敬語の解説
「お待ちください」は「待ってほしい」という意味。
なぜこのような意味になるのか?
そもそもの意味と敬語について順をおって解説していきます。
“お待ちください”の意味は”待ってくれ”
「お待ち」に「ください」をつなげて「お待ちください」としたときの意味は…
「待ってほしい」
「待ってくれ」
このように解釈できます。ここで「お待ち」するのは上司や目上・取引先などの相手であるため「お(ご)」は尊敬語となります。
相手に「待ってくれ!」「待ってほしい!」という意味になります。
使い方は文字どおり上司や目上・取引先になにかしら待ってほしいときのビジネスシーンで使われます。
「お待ちください」の敬語の種類
「お待ちください」を敬語としてみていくと…以下のようになりたちます。
- “待ち”に尊敬語”お(ご)”で「お待ち」
- さらに”くれる”の尊敬語”くださる”で「お待ちくださる」
- さらに命令形にして「お待ちください」
このようにして元になる語「待ち」を敬語にしています。つまり敬語としては何もおかしいところはありません。間違いではなく正しい敬語です。
ちなみに敬語「お(ご)」は…
「自分がお待ちする」のであれば謙譲語としての使い方。
上司・目上・取引先などの「相手がお待ちくださる」のであれば尊敬語としての使い方。
「お(ご)」は尊敬語と謙譲語の使い方があり、ややこしい敬語です。ご注意を
【補足】敬語の種類(ざっくり復習)
① 尊敬語とは?
相手をうやまって使う敬語の一種。
相手の行為にたいして使い、自分の行為には使わないことが基本。
敬語の種類はほかに②謙譲語、③丁寧語がある
② 謙譲語とは?
自分をへりくだって下にすることで、相手への敬意をあらわす敬語。
自分の行為に使い、相手の行為には使わないことが基本(例外あり)。
③ 丁寧語とは?
いわゆる「です・ます」口調のこと。
なぜ目上に敬語「お待ちください」はイマイチなの?
ここまでの解説で「お待ちください」が正しい敬語であることがわかりました。
つづいて、
なぜ目上や上司・ビジネスメールに敬語「お待ちください」はイマイチなのか?
という点について簡単に解説しておきます。
“お待ちください”の”ください”という敬語が問題
「お待ち」というフレーズ自体はビジネスシーンで使える日本語です。
ところが問題は「お待ちください」の「ください」の部分にあり。
なぜなら「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となるから。
ビジネスシーンにおいては社内メールや親しい取引先への社外メール、あるいは会話シーンに使える丁寧レベル。
ビジネスメールには堅苦しい敬語がオススメ
ビジネス会話・電話であれば「お待ちください」としてもまったく問題にはなりません。
あるいは…
親しい取引先・社内の目上・上司などあまり気づかいし過ぎする必要の無い相手にもOK
ただし、ビジネスメールにおいてはより堅苦しい敬語フレーズが好まれます。
なぜならメールは会話と違い、態度で敬意をしめすことができないから。メールにおいては丁寧な敬語フレーズを使うことが上司や目上のひとにたいする最大限の配慮なのです。
とくに、
あまり親睦のない取引先への社外メールや、きびしい上司・目上へのビジネスメールには言い換えするほうが無難です。
相手に「待ってほしい」つまり何かしらのお願い・依頼ビジネスメールに使うフレーズですので、より丁寧な文章を心がけたいものです。
丁寧な言い換え敬語
ここまでの解説で「お待ちください」が敬語として正しいこと、正しいにもかかわらず目上・ビジネスメールに使うにはちょっとイマイチだということが分かりました。
ここからは、
じゃあどういう風に言い換えすれば丁寧な敬語になるの?
という点についてみていきます。
①お時間をいただきたく存じます・頂戴したく存じます
目上・ビジネスメールに使える「お待ちください」の丁寧な言い換え敬語
- 例文「お時間をいただきたく存じます」
- 例文「お時間を頂戴したく存じます」
意味はどちらも「時間をもらいたいと思います」
「時間をもらいたいと思うのだけど…」という希望を相手につたえているため、相手に強制しない、やんわ〜りとした敬語フレーズになります。
相手への配慮が感じられ、目上・上司・取引先に使える丁寧な敬語であることがわかります。
敬語の種類は…
「いただきたい」は「もらう」の謙譲語「いただく」+希望「〜したい」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように成り立ちます。
使い方としては、
- 【例文】完成までに1週間ほどお時間をいただきたく存じます
- 【例文】大変申し訳ありませんが、確認に少々お時間をいただきたく存じます
のようにして「少々」「今週末まで」「1週間ほど」といった期日をくわえます。
「期日+お時間をいただきたく存じます」セットで使うと丁寧ですね。
「お時間をいただく」「お時間いただく」のどちらでも差し支えありません。以降はすべて省略します。
②お時間を頂ければと存じます・頂戴できればと存じます
目上・ビジネスメールに使える「お待ちください」の丁寧な言い換え敬語
- 例文「お時間を頂ければと存じます」
- 例文「お時間を頂戴できればと存じます」
意味は『時間をもらえたらと思います』
目上・取引先・上司などの相手に「時間をもらえたらなぁ…と思う」というようにやんわ〜りとお願いする敬語フレーズであり、とても丁寧です。
また敬語の種類は…
- 「いただければ」は「もらう」の謙譲語「いただく」+仮定の「れば」
- 「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように成り立ちます。
使い方としては、
- 【例文】完成までに1週間ほどお時間を頂ければと存じます
- 【例文】大変申し訳ありませんが、確認に少々お時間を頂戴できればと存じます
のようにして「少々」「今週末まで」「1週間ほど」といった期日をくわえます。
セットで使うと丁寧ですね。
③お時間をいただければ幸いです・頂戴できましたら幸いです
目上・ビジネスメールに使える「お待ちください」の丁寧な言い換え敬語
- 例文「お時間をいただけましたら幸いです」
- 例文「お時間を頂戴できれば幸いです」
- 例文「お時間を頂戴できましたら幸いです」
意味は『時間をもらえたら嬉しいです』
目上・取引先・上司などの相手に「時間をもらえたらなぁ…」というようにやんわ〜りとお願いする敬語フレーズであり、とても丁寧です。
使い方はこれまでと重複するため省きます。
また敬語の種類は…
- 「いただければ」は”もらう”の謙譲語”いただく”+仮定の”~れば”
- 「幸いです」は”幸い”+丁寧語”です”
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
使い方としては、
- 【例文】完成までに1週間ほどお時間をいただけましたら幸いです
- 【例文】大変申し訳ありませんが、確認に少々お時間を頂戴できましたら幸いです
のようにして「少々」「今週末まで」「1週間ほど」といった期日をくわえます。
セットで使うと丁寧ですね。
④お時間をいただけますでしょうか?いただけますか?
目上・ビジネスメールに使える「お待ちください」の丁寧な言い換え敬語
- 例文「お時間をいただけますでしょうか」
- 例文「お時間をいただけますか」
- 例文「お時間を頂戴できますでしょうか」
- 例文「お時間を頂戴できますか」
というように疑問形にして使うこともできます。
とくに電話でアポイントをとるときなどによく使い、ビジネスメールではこれまで紹介した例文を使うケースが多いです。
「お時間をいただけますか?」で十分に丁寧な敬語ではありますが、より堅苦しい敬語にすると「お時間をいただけますでしょうか?」というようになります。
⑤ほかにも色々ある”お時間”の例文
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。
- 例文「お時間をいただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「時間をもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お時間をいただければ幸甚に存じます」
※意味は「時間をもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お時間をいただければ幸甚に存じます」
※意味は「時間をもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お時間をいただきたく、お願い申し上げます」
※意味は「時間をもらいたい、お願い」 - 例文「お時間をいただきますようお願い申し上げます」
※意味は「時間をもらえるようお願いします」 - 例文「お時間をいただけますようお願い申し上げます」
※意味は「時間をもらえるようお願いします」 - 例文「お時間をくださいますようお願い申し上げます」
※意味は「時間をくれるようお願いします」 - 例文「お時間を賜りますようお願い申し上げます」
※意味は「時間をもらうようお願いします」
・「いただきたく」は謙譲語”いただく”+願望”~たい”
・「いただければ」は謙譲語”いただく”+仮定”たら・れば”
・「お願い申し上げます=お願い致します」に言い換えOK
“お時間”をより丁寧にするコツ
あまり関係ないのかもしれませんが重要なので念のため。
お待ちくださいの言い換え”お時間”をより丁寧に使うためのコツをご紹介します。
前置きに強調するフレーズを!
お待ちくださいの言い換え”お時間”をより丁寧に使うためのコツ
「お時間」の前置きに添える丁寧なお願いフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」を使うとより丁寧な印象のメールとなります。
たとえば以下のようなフレーズがあります。
- どうかお時間〜
「どうかお時間をいただきたく存じます」
「どうかお時間をいただければと存じます」
「どうかお時間をいただければ幸いです」
「どうかお時間をいただきますようお願い申し上げます」 - 何卒お時間〜
「何卒お時間を頂戴したく存じます」
「何卒お時間を頂戴できればと存じます」
「何卒お時間を頂戴できましたら幸いです」
「何卒お時間を頂戴したく、お願い申し上げます」
あるいは申し訳なく思う気持ちをあらわすとGood
お待ちくださいの言い換え”お時間”をより丁寧に使うためのコツ
「お時間」の前置きには強調するフレーズ「どうか」「何卒(なにとぞ)」だけでなく、申し訳なく思う気持ちをあらわす語をもってきても丁寧です。
たとえば「大変恐縮ではございますが~」などと組み合わせ、以下例文のようにすると好感がもてますね。上司や目上にはもちろんのこと、取引先のメールにも使える丁寧な敬語フレーズです。
- 恐縮=申し訳なく思うこと
「お忙しいところ恐縮ではございますが、お時間~」
「お忙しいところ大変恐縮ではございますが、お時間~」
「たびたび恐縮ではございますが、お時間〜」 - 恐れ入る=申し訳なく思う
「お忙しいところ恐れ入りますが、お時間〜」
「お忙しいところ大変恐れ入りますが、お時間〜」
「たびたび恐れ入りますが、お時間〜」 - ご迷惑お掛けする=手間や面倒をかける
「大変ご迷惑お掛けしますが、お時間〜」
「ご迷惑お掛け致しますが、お時間〜」 - 勝手を申し上げる=自分勝手を言う
「誠に勝手を申し上げますが、お時間〜」
“お待ち”を使った言い換え
ここまでは「お時間をいただく・頂戴する」をつかった「お待ちください」の言い換え敬語についてみてきました。
念のため、
どうしても「お待ち」という語をいれたいときの、目上・ビジネスメールにつかえる言い換え敬語についてもご紹介します。
①お待ちいただければと存じます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「お待ちください」の言い換え敬語
どうしても「お待ち」にこだわる場合に使えるフレーズ
- 例文「お待ちいただければと存じます」
意味は『待ってもらえたらと思います』
「~してもらえたらと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「れば」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
②お待ちいただきたく存じます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「お待ちください」の言い換え敬語
どうしても「お待ち」にこだわる場合に使えるフレーズ
- 例文「お待ちいただきたく存じます」
意味は『待ってもらいたいと思います』
「~してもらいたいと思う」としているため相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズになります。
「いただきたく」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+願望の「~たい」
「存じます」は「思う」の謙譲語「存じる」+丁寧語「ます」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
③お待ちいただければ幸いです
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「お待ちください」の言い換え敬語
どうしても「お待ち」にこだわる場合に使えるフレーズ
- 例文「お待ちいただければ幸いです」
意味は『待ってもらえたら嬉しいなぁ、幸せだなぁ』、つまり「待ってもらえたら嬉しいです」
相手に強制しない、とてもやわらか~いお願いの敬語フレーズですね。
「いただければ」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+仮定の「~れば」
「幸いです」は「幸い」+丁寧語「です」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
④お待ちくださいますようお願い申し上げます
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「お待ちください」の言い換え敬語
どうしても「お待ち」にこだわる場合に使えるフレーズ
- 例文「お待ちくださいますようお願い申し上げます」
- 例文「お待ちくださいますようお願い致します」
意味は「待ってくれるようお願いします」
「お待ちくださいますよう」の「くださいますよう」の敬語はややこしいため、くわしく解説しておきます。
- 「くれる」の尊敬語「くださる」の命令形
- 丁寧語「ます」
- ように
上記のようにして敬語にしています。
「ください」単体としての意味は「〜してくれ」「〜して欲しい」の丁寧な言いまわしと考えることができます。
が、
「ください」は敬語ではあるものの、結局のところ命令形であるために強い口調となります。
そこで「ますようにお願い」と続けることで「お願い」とすり替え、やんわ〜りとした表現にしています。とても丁寧な敬語フレーズと言えますね。
たとえば、
- ご査収くださいますようお願い申し上げます
意味「よく中身を確認して受け取ってくれるようお願い!」 - ご検討くださいますようお願い申し上げます
意味「検討してくれるようお願い!」 - ご確認くださいますようお願い申し上げます
意味「確認してくれるようお願い!」 - ご了承くださいますようお願い申し上げます
意味「納得してくれるようお願い!」
などのようにして使います。
これらはもともと「●●してください」という命令形なのですが、「●●くださいますようお願い〜」を使うことによって相手に強制しないやんわ〜りとした表現となっています。
ビジネスでは下手(したて)に出ることが基本ですので、強い口調を避けるためにこのような使い方をするようになったのだと推測します。
⑤お待ちいただきますよう・賜りますよう〜
目上・ビジネスメールにもつかえる丁寧な「お待ちください」の言い換え敬語
どうしても「お待ち」にこだわる場合に使えるフレーズ
- 例文「お待ちいただきますようお願い申し上げます」
- 例文「お待ち賜りますようお願い申し上げます」
意味は「待ってもらうようお願いします」
「いただきますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜いただく」+丁寧語「ますよう」
「賜りますよう」は「〜してもらう」の謙譲語「お(ご)〜賜る」+丁寧語「ますよう」
というように敬語にしており、目上のひとや上司・社外取引先につかえるとても丁寧なビジネスフレーズです。
賜る(たまわる)という敬語のほうがよりカチッとした表現になりますので、文書など公式なビジネスシーンではかならず「賜る」を使います。
普段のメールであれば「いただきますよう」でOK。
⑥その他いろいろな言い換え敬語
敬語の種類というのは本当にいろいろあります。
ほんの一例ですが他にもある使い方を例文にまとめておきます。
- 例文「お待ちいただけましたら幸いです」
※意味は「待ってもらえたら嬉しいです」 - 例文「お待ちいただけましたら幸甚に存じます」
※意味は「待ってもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お待ちいただければ幸甚に存じます」
※意味は「待ってもらえれば嬉しく思います」 - 例文「お待ちいただけますか?」
※意味は「待ってもらえるか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ - 例文「お待ちいただけますでしょうか?」
※意味は「待ってもらえるだろうか?」でとくに会話シーンで使われるフレーズ
・「いただきたく」は謙譲語「いただく」+願望「~たい」
・「いただければ」は謙譲語「いただく」+可能形+仮定「たら・れば」
参考記事
➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選
➡︎「いただくことは可能でしょうか?」の敬語、目上の人への使い方
➡︎「お待ち差し上げます」は間違い敬語?意味と正しい使いかた
➡︎【完全版】ビジネスメール締め・結びの例文50選
➡︎【社内】日程変更お知らせメールの書き方と例文(会議・訪問・打合せ)
➡︎【出欠の催促】ビジネスメール例文(飲み会・忘年会・結婚式・会議)
➡︎【社内】日程変更お知らせメールの書き方と例文(会議・訪問・打合せ)