製薬会社のMR職(営業)って激務?
MR職は「激務」あるいは「きつい・辛い」仕事ってよく聞くけどなんで?
という就活・転職者の疑問を解決するための記事。
MR職の人々は「激務・辛い・きつい」状況があたり前になりすぎていて、感覚がマヒしています。明らかに常軌を逸した仕事をしているのに気づいていない。
そこで、MRとはまったく関係ない化学メーカー営業からみた「MR職がなぜ激務か?きついか?辛いか?」についてまとめていきます。
就活・転職のご参考にどうぞ。
※この記事を作成するにあたり、知り合いのMR職、医薬品メーカー営業、医療機器メーカー営業および社内の医薬品営業に話を聞いています。
理由①MR職に対する扱いがヒドい
製薬会社MR職が激務(あるいは辛い、きつい)と言われる理由に、医療関係者からの扱いのヒドさがあります。MR職のポジショニングを解説すると、以下のような感じ。
- 医者 >>>>>> 薬剤師 >>>>> 看護師、医療事務ほか >>> MS > MR、医療機器メーカー営業
つまり、医療関係におけるピラミッドの中で最下層にいる仕事。
医者や薬剤師からはゴミのような扱いを受け、看護師や医療事務からは哀れみの目でみられ、という職業であることは理解しておきましょう。
関係を構築できるか?で決まるMR職「辛いレベル」
ただし営業は結局のところ、どんな世界においても「ヒト対ヒト」であるため、最初のとっかかりを作って医者・薬剤師と仲良くなれば、ある程度は楽できるようになります。
MR職とは医者・薬剤師と仲良くなるキッカケをどう作るか、という仕事。会社のカネで接待漬けにするのか、容姿で勝負するのか、トークで勝負するのか、まともな知識で勝負するのか…。いろいろと切り口はあるかと思います。
そうすると医師に話を聞いてもらえる確率も高くなりますし、少なくとも「辛いだけの仕事」ということにはならないかと。
ただ、医師・薬剤師と関係の構築ができなければMRは本当に辛いだけ、きついだけの仕事になり、すぐに辞めたくなってしまうでしょう。
※過剰な接待(ゴルフや料亭や、あまり公にできないアレコレ)は減る方向。←厚生労働省から釘を刺されているため各社、自主規制を取り入れている。と言っても抜け道はいくらでもあるけど…。
理由②MR職は誰からも必要とされていない
なぜ製薬会社MR職が、医者・薬剤師からゴミのような扱いを受けるのか?
というと「MRなんて別に必要ないから…」という一言につきます。どんな世界でもそうですけど、自分にとって必要ないヒトとは付き合いたくないし、メリットのない話なんて聞きたくないのですよね…。
常に忙しい医師を相手にするビジネスであれば、もっとシビアでしょう。
私のブログもメリットのある情報を提供しているから、たくさんの人に訪問してもらっている訳で…。ゴミのような情報を提供するメディアが相手にされないのと同じ理由です。
話はもどって、なぜMR職が必要とされないのか?理由は大きく以下3つ。
- MRは価格交渉しない
- 医薬品の情報はMRじゃなくてWebで事足りる
- MRは「医師のお財布機能」をもっていたが、今では接待規制でそれすらも少なくなった
製薬会社のMR職に関する説明は完全に「きれいごと」
ところで製薬会社のホームページにはMR職の仕事って、以下のように説明されています。
- 医薬品の情報提供を通じて人のためになる素晴らしい仕事だ!
- 患者さんのお手伝いができる、やりがいのある仕事だ!
だけどこんなこと、MR職の100人中1人くらいしか思ってないんじゃないかなぁ。実際には、患者の役に立つとかどうとか考えず自社商品が売れればいい訳だし、おおよそ患者の役に立つことなんてほとんどしていません。
価格交渉をしない営業なんて営業じゃない…
なぜ製薬会社MR職は必要ないといわれるのか?もっとも大きな理由は、医薬品の価格交渉をしないから。
なんとMRは医薬品の価格交渉をしない・できない、という決まりがあります(表むきは)。製薬会社は商社(医薬品卸)にモノを売っているのであって、病院には直接売らないからです。
価格交渉は医薬品を実際に売っている営業(医薬品卸のMS)がやります。もしくはMSが同行訪問して交渉します。MRって営業ではなくマーケティングとか、医薬品・自社商品の情報伝達が主な仕事になるのですよね(あくまで表むきは)…。
価格交渉をしないのに自社商品を売れっていうのは正直、ムチャクチャです。なぜなら、顧客にとって「価格」って採用を決めるのに重要なファクターのひとつだから。
「製薬会社MR職が必要ない」といわれる理由には、営業なのかなんなのか、はっきりとしない、その中途半端な立ち位置にもあります。
MR職が必要なときもある
ただしMRは100%必要ないか?
と聞かれるとそんなことはありません。マニアックな医薬品の知識、世の中に情報が出回っていない新薬などの分野では、やはりMR職からの情報提供は必要。
たとえば、がんの治療薬(新薬)とか。治験データと患者に使用したときのデータでは、従来の医薬品に比べて完治する確率が50%上がりました!みたいな情報提供。
いっぽうでありふれた分野の医薬品、たとえば単純な風邪薬なんかは価格だけであり、MRは必要ないでしょう。
理由③朝が早い&夜遅い(会社・上司にもよる)
製薬会社MR職が激務&きつい、あるいは辛い仕事だと言われる理由には、「朝が早い&夜が遅い」つまり残業が多いというのもあります。
1日のスケジュールがたとえば、以下のような感じだとかなり激務になるかと…。
- 8:00 営業先に行く前にMS(医薬品の卸売)と打ち合わせ
↓ - 9:00-18:00 担当先の病院を複数、訪問
↓ - 18:00-20:00 会社に戻って報告書など作成 or 医師の接待
ただし、必ずしもMR職のみんながこんなスケジュールではありません。会社や上司にもよります(というよりほとんどは上司で決まる)。
売上さえ上げていれば(ノルマさえクリアしていれば)、直行直帰(会社に出社せずに営業先に行ってそのまま帰宅すること)しても何も言わない上司もいます。
たとえノルマをクリアしていても営業報告書をその日中に出さなきゃダメ、なんていう上司もいます。そして接待を過激にやらせる上司がいたら、もうダメ(時代に逆行するようですが、今でも過剰な接待は存在します。だいぶ減りましたが…)。
※MSとは医薬品卸・営業のことで、実際に価格を決め医薬品を販売するのはMSです。
結果を出さないMR職は論外で「辛い」
もちろん、結果を出してないMR職がもっとも「辛い仕事」になります。図式化すると以下のような感じで激務で辛い仕事になります。
- 上司からの(売上ノルマ)に対するプレッシャー増
↓ - ノルマ未達の理由を報告
↓ - 上司からの「教育的指導(パワハラ覚悟)」
↓ - より多くの報告、細かい報告が必要になる…
↓ - 激務できつい状況に追い込まれる… → 転職するしかない
今後のMR職のあり方としては、「報告書の作成など自宅でできることはやる → 直行直帰」がもう少し当たり前になっていくことと思いますが…。これはMR職だけでなく全ての営業職に当てはまります。会議のとき以外に会社にいてもあまり意味ないですから…。
仕事はいくらでも生み出せる
少し話は逸れますが「仕事はいくらでも生み出せる」ということについて。営業の仕事ってどんな業界でもそうですが、やろうと思えばいくらでもできちゃうのです。
たとえば、
今日はアポイント2件しかないけど、近くにある別の顧客にも顔だしとくか…。今日は夜の予定ないから〇〇の社長と食事に行こうかな、とか。週末なにもないから、お客さんでも誘ってゴルフ行こうかな、とか。
要は「どこまで手を抜くか、どこまでマジメにやるか」という話。
上司にツメられたって仕事を放り投げればいいだけなのです。ところが私たち日本人って、上司にガミガミ言われると「過労死」するほどマジメに仕事しちゃうのですよね…。
「定時きたのでこれ以上ムリっす」って言って、さっさと帰ればいいだけなのにね…そんなことしたって別にクビにならないし、給料も減らないのが日系企業のいいところなんですから。最大限利用することをオススメします。
※ただし不動産の営業、生命保険の営業など成果報酬だと「手を抜く=給料減る」なので気をつけましょう。
いつも記事を楽しみにさせていただいております。
もし可能であればDICの将来性についての記事を描いていただけたら幸いです。