化学素材メーカー営業の残業代とノルマの話をしようと思う|就活・転職者むけ

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今更という感じもしますが、今回は化学素材メーカー営業を志望する就活生や転職者にとって気になるけど誰にも聞けない話題です。

「化学素材メーカーの営業ってノルマにどれだけ厳しいの?」

「化学素材メーカー営業の残業代ってどれだけ出るの?」

という質問に、現役大手化学メーカー営業マンがクビになること覚悟でお答えしていきます。

就職活動や転職活動のご参考になりましたら幸いです。

営業マンは残業代ゼロ円!?

以前の記事「化学素材メーカーの激務度を検証する」でも少し触れましたが営業の場合、ほとんどの化学メーカーでは残業代は出ません。商社の営業マンもそうだと聞いていますが、営業はどこから残業でどこまでがそうでないかの区別が非常に難しいからです。

たとえば、お客さんとの接待で深夜0時まで飲んでいた場合は残業なの?会社にいなかったのに誰が証明するの?という話です。←本来であれば飲み会も仕事なので、18時〜0時で4時間分の残業代が出ないとおかしいのですが…そうはなりません。

また出張に行くために始発の電車に乗ったけど、これって時間外だよね!?というケースもありますが、これも残業代を請求できません。

でもご安心を!!

残業代の代わりに月に数万円の営業手当て(会社によって異なる、相場は月に3万円)なるものをどの営業マンも一括で渡されます。これは100時間残業しようが、残業ゼロであろうが手当ては同じ金額です。

*2016年6月更新;この営業手当がつく「みなし労働制」は見直しが進んでいます。東レや積水化学工業では廃止されたとの情報あり。普通に残業した分を支払う方向になるのでしょうね。

  • 化学メーカー営業マンは何時間残業しようが固定額の「営業手当」が月に数万円(3万円程度が相場)つくだけ。残業ゼロ時間でも営業手当は出る。
  • 理由は営業マンにおける「残業」の定義が難しいから
  • 商社の営業マンも同様

営業ノルマを達成しないとどうなるの?

これも営業である以上、避けては通れない話題ですので総括しておきます。営業である以上、当然、営業ノルマと呼ばれるものは存在します。これを達成できなかった場合にどうなるかを解説しておきますね。

マネージャー以上=給料に影響

たいていの大手化学メーカー営業課長以上の年収は「年棒+自部署の業績による加算(ボーナス)」で決まります。従って自部署の営業ノルマが達成できていないと、業績による加算が少なくなり年収にモロに効いてきます。

たとえば「リーマンショック」があった年はボーナスが半額になったりしました…もちろん、大きく業績が上向いた場合には逆も然りです。そして、課長→部長→理事…と役職が上がるにつれてこの業績連動部分の比率が大きくなっていきます。

ただリーマンショックのようなことは20年に一回とかなので、天災みたいなものです。普通にやっていればノルマ未達になる可能性は少なく、ノルマに対する責任感があまりないです。←化学メーカー各社の売上と利益の安定感を見るとお分かり頂けるかと思います。

マネージャー以下=基本無害だが上司からの評価が下がり後の出世に影響する可能性あり

マネージャー以下の場合、ノルマを達成しようがしまいが給料にはほとんど反映されないので各営業マンはノルマ達成への意気込みは低いです。何としてでもノルマ達成しようという意気込みがまるでない。←私の勤める大手化学メーカーの場合です。でも日系の大手化学メーカーであればどこも同じでしょう。

たとえノルマが達成できなくても「中国の景気落ち込みでノルマ達成できませんでした、すみません…」と何となくロジックが成り立つ説明をすれば「なら仕方ないなぁ。」で終わりです。←ノルマのほかにも「後輩育成」などの評価ポイントがあり総合的に上司から仕事ぶりを評価されます。

ここでの評価が悪いと、のちの出世に影響あり。でも日系大手化学メーカーは採用人数が少ないため、課長(年収1000万円)までは仕事が出来なくてもエスカレーターで出世できるのでご安心を。

また化学メーカーは古くからやっている商売がほとんどなので、普通にやっていればノルマちょうどくらいの売上・利益となり、大きくマイナスになることは少ないです。←リーマンショックなどの大恐慌時のぞく。

  • 化学素材メーカーはBtoBのためビジネスが安定している。したがって普通にやっていればノルマ未達になることは少ない。
  • 営業ノルマには甘い業界。

営業ノルマを達成するためのコツ

自慢ではないですが、私はこれまで営業ノルマが達成できなかったことがほとんどありません。←もちろん未達ゼロではないです…

営業は実績が数字になって現れるのでシンプルで、どれだけサボっていようが売上と利益をあげていれば何となく許される雰囲気があります。そこでちょっとしたコツを伝授しますね。

「ノルマを極限まで低く抑える」

ことです。中国ショックだとか、市場が冷え込んでるとか…適当なネガティブ理由をつけて、営業ノルマの数字自体を低く抑えておくことがポイントです。決して見栄をはりません。無理もしません。もちろん、そうすると上司から「目標設定が低すぎる」といってノルマを水増しされるのですが、あの手この手を使って何とか低く設定します。←これはちょっと就活生には生々しすぎる話題なので省略しますね。

そうすると必然的に、何もしなくても営業ノルマを達成できるのです。←営業マンの悪い手本をお見せしてしまいましたかね!?私もスーパーマンではないので、極限まで手を抜くことを考えます。

営業ノルマを達成しすぎて怒られる!?

これは何度となく経験しました…化学メーカーは工場の稼働率が基本100%でないとビジネスが成り立たない業界です。したがって予算を立てる場合、稼働率が100%になるように何とか営業ノルマを作ります。

どうしても工場稼働計画が100%にならない場合には生産調整をしますが、粗利益が赤字で販売することになっても、限界利益さえ取れていればフル稼働を維持することの方が余程重要です。

最初から100%稼働率を組んでいるのに、ある営業マンが計画を超過達成しすぎたらどうなるでしょうか!?もちろん余剰生産能力がないので商品が供給できなくなり、どこかのお客さんを切らないといけません(苦笑)。

そしてキャパシティーが足りなくなって供給問題で大騒ぎになり、営業ノルマを超過達成しすぎた営業マンの責任になって生産の部署やら何やらに怒られます。さらには他の営業マンからも「モノが足りないのはお前のせいだ」と責められます。

まとめ

結局、化学メーカーにおける優秀な営業マンとは「営業ノルマをちょっとだけ達成する営業マン」です。超過達成しすぎてもダメ。もちろんノルマ達成しないのはあまりよろしくない。