化学メーカー営業の仕事内容ってどうなの?
BtoBの業界って、やってることがイマイチ分からないから教えて!
という就職活動生や転職者の疑問にお答えするシリーズ、第2話です。ひょっとしたらこれで打ち切りになる…可能性も否定できませんが、体力と根性の続く限り更新したいと思います!
今回の第2話は化学メーカー営業に限らず、営業マンであれば必ず経験する「品質問題クレーム対応」で激務となってしまうパターンについて、私の経験を基に語ります!
化学メーカー理系総合職の生産や品質保証にも関わってきますので、ご参考になりましたら嬉しい限りです。
商品の中にあり得ないモノが!?
もう今となっては慣れたものですが、実はこれが最もよくあるクレーム。お客さんは当然、怒り心頭です。
顧客「商品を今日使おうとして箱を開けたら虫が入ってたんだけど、一体どういうこと?原料の在庫がなくなるから大至急対応してくれ!!」
私「大変申し訳ございません…取り急ぎ差し替えします!他にも問題があるかもしれませんので、同じロットの商品はご使用しないでください。」
顧客「何で密閉容器の中に虫が入るんだ!?頼むよ!」
いつものように突然バタバタ状態に!
「Made in Japan」品質ってこの程度なの?
すみません…化学メーカーの巨大工場で作られる製品の品質など、この程度なのですよ。
中国産の商品ならこんなことがあっても全然驚かないけど、紛れもなく日本製の商品なのです。しかしたとえ日本製の商品であっても、こういったエラーは避けられません。
医薬品を製造している工場なら異物混入は許されないでしょうが、こっちは馬鹿でかい工場を動かして、簡易的な建物の中で梱包しているのですから何かが途中で混入しても止むを得ないのです。←許してくださいね…
中国メーカー製品:スペックアウトするのが当たり前、異物発生しないことが珍しい。
日本メーカー製品:スペックアウトは絶対にないが、他のエラーが稀に発生する。
とまぁ、日本メーカー製品の品質レベルを中国メーカーと比較するとこんなイメージ。中国メーカーのレベルが低すぎるために日本製品のよさが際立ちます。
品質の信頼性は日本メーカーが圧倒的に高い…と信じたい!!
緊急の差し替え商品手配
ここはまた得意の土下座を使い、社内の関係者(工場・物流)に至急の差し替えを頼み込みます。
私「○○さん、○○という事情でヤバイです。緊急差し替えをお願いします!!」
工場関係者「今日の今日で急には無理だよ。どれだけ急いでも明日出荷で我慢してください。」
私「いや、もっと出来るはずです、本当にお願いします。貸しきり便でもなんでもいいから、今日中に出荷してください!!」
工場関係者「(めんどくさいなぁ…)。一応、物流会社あたってみますね。」
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差し替えた商品でまた同じような異物が発生したらどうしよう!?という不安が消えないのですが、そこは自社製品の品質を信じます。
とりあえずクレームの場合には急ぎで差し替え手配をして、お客さんの工場停止を避けることが最も優先される事項。ほかの事は後で考えるのです。
社内で情報の共有・発生原因の調査
ひと段落したら、問題が発生した営業日以内に社内レポートを作成。生産・品質管理などなど、関係しそうな人すべてにメールと電話で情報共有します。
夜中になろうが関係なく営業日中にレポートを完成させるのです…他の予定もあるので当然、激務になります。
品質保証の責任者にボールを投げるところまでが営業マンの仕事。そこからは、関係者がしっかり発生原因を調査するようにケツをたたきます。
当然、品質問題の場合にはスピードが最も重視されるので、品質保証や生産の部署はたちまち激務に!品質問題の場合にはみんなが激務になります。
とりあえずお詫びに飛ぶ
これは、どんなクレームであっても同じ。お客さんの状況整理と事実関係を調べるために、とりあえずはお詫びがてら顧客訪問します。
私「このたびは誠に申し訳ございません…現在、差し替え手配をしまして、明日中には商品をお届けします。原因のほうは…現在調査中でして追って報告します。」
顧客「虫が入るような工程管理をしてるの?ウチの製品でクレームが出たら、すべて損害を請求するからな!頼むよ…」
私「かしこまりました。原因究明・対策に全力を尽くします!」
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とはいったものの内心は…
虫が絶対に入らないようにするなんて、ウチの設備じゃ無理だよ。だいたい、顧客の製品も化学品なんだから虫の一匹や二匹、混入することもあるだろ?まったく…自社製品のことは棚にあげるんだから…たまったもんじゃないな、めんどくせぇ… ← おいっ!
虫が混入する原因ってなに!?
そんなの、工場の梱包ラインがしょぼいから…という理由しかないのです。だからといって、完全に密閉されたクリーンルームを作るとコストがものすごく上がって商売どころではなくなります…。コストをかけずに対策できる範囲で対応して、顧客には妥協してもらう必要があるのです。
この交渉(?)が営業マンの腕の見せ所。できるだけ工場の設備に手を入れず何もしないで済むように、顧客を説得するのです。
問題を闇に葬ることができればベスト! ← おいっ!
闇に葬ることができなければ社内で色々な対応を協議しなければならず、余計な仕事が増えて激務になります。
結局、闇に葬る
私「(公式レターを提出して…)原因は、梱包工程がある建屋が簡易的なので混入したと考えています。建屋を作り変えることは設備とコストの面から検討することができません。従って、虫除けの網を建屋の入り口に設置して防ぐ努力をします。」
顧客「ごちゃごちゃごちゃ・・・」
私「誠に申し訳ございません。こちらも今できるベストを尽くしていまして…何とかこれでご了承いただけないでしょうか?(頭を何度も下げる)」
顧客「・・・。わかった、今回は許してやろう。でも次回からはもっと厳しくなると思うよ。」
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もう問題の根本にはふたをして、何とか頭を下げて説得する!!
というだけの仕事。
顧客の要求にすべて対応していたらキリがないし、お金が無限に必要になりますからね。従って体裁だけ整えて終わりにするのが優秀な営業マンの仕事。
問題があっても問題ないようにできる。これはもう、営業マンの資質として必須ですね。これを達成するために営業マンは普段からの人付き合いを大切にしているのです。普段から顧客と仲良くしていれば、頭を下げるだけで何とか解決できる確率が急上昇するのですよ。