商社とメーカー営業の違いとは?就活生にもわかりやすく仕事内容を解説!

商社メーカー営業の違いって何でしょうか?同じ営業であっても、その仕事内容は大きく違います。

ところで私は大手化学メーカーの営業マンとして働いていて、三菱商事・三井物産といった総合商社や長瀬産業・稲畑産業といった専門商社のどちらともビジネス上の付き合いがあります。従って、化学メーカー営業マンと商社営業マンの両面から仕事をみることができるのです。

そこで今回は、就職活動生のよくある質問「商社とメーカー営業の違い」についてお答えします。就職活動や転職のご参考になりましたら嬉しい限りです。

【参考】商社ってそもそも何?誰にでもわかるように教えて!というあなたはこちらの記事からご覧ください。商社の基礎をものすごくわかりやすく解説しています。

商社とメーカーにおけるビジネスの違い

仕事内容の前に、手がけているビジネスの違いをまずは説明していきます。誰でもわかるように説明をするとたったこれだけの違い。

●商社 = モノを右から左に流すビジネス

●メーカー = モノをつくるビジネス

メーカーが作ったものを商社が顧客に販売するというフロー。めんどくさい営業活動を商社がメーカーの代理で行ってくれるシステムで、この仕事によって販売価格の数%~数10%の中間マージンを商社がもらいます。

商社=総合商社と専門商社がある

ただ細かく言うと商社の中にも総合商社と専門商社があり、総合商社は右から左のビジネス以外に資源ビジネスといった投資家的なビジネスも手がけています。

一方で専門商社の場合には、ほとんど右から左へ商品を流すだけの仕事に特化しています。

商社とメーカー営業マン仕事内容の違い

そこで当然でてくる質問が、メーカー営業と商社営業マンって何が違うの?営業マンは商社かメーカーのどちらかだけでいいでしょ?という質問。

私の個人的な見解ですがメーカー営業マンがしっかりと仕事をしている限りにおいては、商社の営業マンは不要。

ただしメーカー営業マンは一般的にやる気がないので、めんどくさい客(小さい客、うるさい客)や仕事は全て商社に任せます。

一応は以下のような違いがありますので、解説しておきますね。

商社営業マン:お客さんとメーカー両方の御用聞き

メーカーがモノを販売するために商社を起用している場合、コミュニケーションは以下のフローになります。たとえばスマホができるまで、実は上流から下流まで無数のメーカーが関わっており、商社はそれぞれの間に入って御用聞きをします。

●メーカー1 ⇔ 商社 ⇔ メーカー2 ⇔ 商社 ⇔ メーカー3 ⇔ ・・・

お客さんは商社からモノを買っているのであって、メーカーから買っているわけではありません。またメーカーは商社に売っているのであって、お客さんに直接売っているわけではありません。したがって商社の営業マンはお客さんとメーカーの便利屋となって働く必要があります。

例を出したほうがわかりやすいので、以下の仕事例を参考にしてみてください。

商社営業マン仕事内容の例;

①お客さんからの要望を聞いてメーカーに伝える

・商品の納期を早めたい!
・値段を下げて欲しい!

②新たな材料のサプライヤー(メーカー)を探してくる

・新たな商品開発を考えていて○○という材料を調達したい!
・もっと安い材料ないの?

③お客さんの商品を別のメーカー3に売る

・ウチの商品の販売代理店もやってくれないかな?

④メーカーの商品を新たな顧客へ売り込む

・こんな商品を新しく作ったから、商社のコネクションを利用して売って欲しい!
・既存商品を別の顧客にも売って欲しい!

⑤日々の細やかなメンテナンス

・競合に商売を取られていないか?
・メーカーとお客さんの接待
・お客さんの情報収集(稼働率、ビジネスの状況などなど)

⑥メーカーが面倒くさくてやらないことをやる

・お客さんの工場の近くに倉庫を構える
・輸入品の場合には日本に倉庫を構えてオペレーションする
・製品のちょっとした加工
・商社は基本なんでも屋であることが求められる
・メーカーの海外拠点がない国に売りたいときに活躍する

⑦メーカーの代わりにお金を回収する

・経営が不安定でお金を払ってくれない可能性のある顧客とは、メーカーは取り引きしません。
・保険をかけたりするのがめんどくさいので、商社にマージンを支払ってお金の回収を代行してもらいます。

⑧新しい商売を探す

・メーカーの研究所に顔を出して新しいネタを探す
・メーカー営業と話して新しいネタを探す
・メーカーの工場に顔を出して新しいネタを探す
・新たな取引先(サプライヤー、顧客)を増やす

メーカー営業マン:商社の依頼をうけ社内調整+商社ができない仕事のカバー

一方のメーカー営業マンは、お客さんが商社に依頼する事項に対する社内の調整と、商社ではカバーできない仕事を担当します。

例えばこんな具合です。

メーカー営業マン仕事内容の例;

①商社からの依頼事項対応

・納期調整を言われたら;社内の生産スケジュール調整、出荷スケジュール調整
・値下げを要求されたら;交渉の進め方を社内協議の上、お客さんと交渉
・新たな開発を要求されたら;社内の開発部や生産部と協議し、顧客との打ち合わせ実施

②商社にはカバーできない仕事対応

・新しい商品の技術的なミーティング設定
・今ある商品の技術説明会
・見込み顧客への商品紹介
・値上げ・値下げ価格交渉
・製品クレーム対応

③顧客の接待

・商社ほど頻度が多くないですが、重要な顧客に対しては頻繁に接待します。

④自社商品のマーケティング

・売り方を考える(マーケティング)
・グローバル戦略を構築する
・その他いろいろ

【注意】メーカーの場合、営業とマーケティングが一緒の職種になっていることが多いです。

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仮に商社を起用していなければ、上述した商社の仕事をすべてメーカー営業マンがやることに…商社がいないと、メーカー営業は結構めんどくさいことになるのです。

【参考】化学素材メーカーの仕事内容・魅力についてもっと知りたい!

まとめ

商社は膨大なアイテムを取り扱っているので、一つ一つの商品知識が足りていない営業マンがほとんどです。一方で、メーカー営業マンは自社商品に対する専門知識がありますが、他のことは素人同然です。

そのあたりを上手くお互いに補いながらビジネスを進めています。

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↑商社には総合商社と専門商社があります。違いについての分かり易いまとめ。

【参考】総合商社ってなに?どんなビジネスをしてるの?

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