生保の総合職が激務ブラックって本当?現役大手生保マンが語るよ。

生保業界はよく激務ブラックだと聞くけど、実際のところどうなの?

総合職はホワイトって本当?

という誰にも聞けない就活生、転職活動者の疑問。現役の大手生保マン(総合職)に直接取材をして聞いた生保業界の裏側をご紹介します。

就活・転職活動のご参考にどうぞ。

他業界との比較:生保業界はトータルで見ればホワイト

皆さんは、その業界の働きやすさを考えるときに、何をもってブラックか、ホワイトかを判断するだろうか。

残業時間、仕事のきつさ、セクハラ・パワハラの有無、給与水準、休みの取りやすさなど、何を基準にするのかによって評価は変わってくる。

そこで、ここでは、残業時間や仕事のきつさという意味での「労力(激務度)」と、「給与水準」の2つの組み合わせから、ホワイト度合いを計っていこうと思う。

やや独断的ではあるが取材した生保マンを含め、他業界で働く知人・友人からヒアリングした情報をもとに、各業界の「労力」と「給与水準」を1~10の10段階でランク付けし、20点満点でホワイト度をまとめてみた。

各業界のホワイト度と比較してみた

業界 労力(激務度)

1がきつく10が楽

給与水準

1が低く10が高い

ホワイト度

合計

マスコミ 1 10 11
商社 2 10 12
金融(銀行) 4 9 13
金融(証券) 5 7 12
金融(生保) 8 8 16
金融(損保) 7 7 14
メーカー 8 6 14
公務員 10 1 11

このようにざっくりまとめてはみたものの。

当然おなじ業界でも、たとえば他社では作ることのできない製品を作っている会社と、大手の下請け的な業務をメインに行う会社とでは評価は全く異なる。

さらに。

証券会社の中でも営業であれば徹夜で働くこともあるため労力が1~3、給与水準は成果報酬の場合が多く1~10と幅が大きくなるため、状況によってはブラックにもホワイトにもなり得る。

ほかの激務高給業界よりもコスパ良し

ただ。

一部上場の上位企業の総合的な評価という前提であれば、概ね世間のイメージからは外れていないのではないかと思う。

生保の労力はマスコミや、商社、銀行、証券等、日本を代表する激務な業界に比べれば圧倒的に業務負荷はちいさく残業時間もすくない

その一方で給与水準では、大手生保であれば入社2年目で国内の民間給与取得者の平均年間給与421万円を大きく上回る。

そのため、これらの業界と比較しても、コスパが良いホワイト業界なのだ。

生保は営業ノルマがキツイ?

ここで皆さんは「あれっ、生保ってノルマがあるからきついんじゃないの?」と思われたかもしれない。

そのとおり。

生保にはノルマがあるが、それは生保レディの話であって、総合職の場合は営業であってもそこまで厳しいノルマは無い

※生保レディであっても今やそこまで厳しいノルマがあるわけではないが、それはまた別の記事で紹介することとする。

生命保険会社の職種別ブラック度

なお生保の中でも職種別のブラック、ホワイト度合いを示すと下記のようなイメージとなる。

最もホワイト)一般職の内勤 ≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧ 総合職の内勤 ≧≧≧ 生保レディ≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧ 総合職の拠点長 ≧≧≧≧≧≧≧≧≧≧ 営業総合職の拠点長(最もブラック

拠点長というのは生保レディを束ねる営業拠点のトップであり、自身が営業をして保険を販売するというものではなく、生保レディが保険を売れるようにマネジメントをすることが求められるポジションである。

後述するが、これが大変大きなやりがいのある仕事でありながら、ブラックな仕事なのだ。

営業総合職は激務ブラック

ちなみに…

営業総合職というのは将来の幹部候補としての働きが期待される総合職とは異なる。

拠点長や営業拠点を統括する支社のトップである支社長など、営業のエキスパートとしての役割を求められる職種である。

そのため、彼らはいまだにパワハラが当然の軍隊の様な育成のされ方をされるうえ、長年業績が悪かったり、ターゲットとなる客層が良くなかったり…

あるいは問題を起こす生保レディがいるようなブラック拠点を担当することが多く、おなじ拠点長であっても、営業総合職の場合は超絶ブラックなのである。

回りくどくなったが総合職の場合は内勤であればホワイト、拠点長であれば少々ブラックという状況だ。

そこでここからは、一般的な国内大手生保の内勤と拠点長を想定し、それぞれどのようなところがホワイトなのか、ブラックなのかを紹介していきたい。

生保総合職<内勤>のブラック度・ホワイト度

生保の各部門には、それぞれフロントオフィス(以下、フロント)、ミドルオフィス(以下、ミドル)、バックオフィス(以下、バック)が存在する。

【職種の用語解説】

  1. フロントとは…
    直接顧客と接触を持ち、会社に利益を上げる部署のこと。顧客に自社商品・サービスを売り込む営業などがそれにあたる。
  2. ミドルとは…
    フロントで仕事をする人達のサポートで、営業マンや販売員が営業で成果を上げやすくするために販売促進の施策を立案するなどの営業支援を行う。
  3. バックとは…
    フロントのビジネス基盤を構築・整備する業務。営業に必要なシステムを構築したり、契約の事務手続きを行ったりするインフラ整備の役割を担う。

それぞれにホワイトな点、ブラックな点があるため分けて解説していくこととする。

フロントの激務度

個人保険のフロントは拠点長の業務になるため、ここでは、団体保険部門や代理店部門の営業を想定して紹介をする。

数字を挙げなければならないため、一定程度のプレッシャーがあるものの、成果を出していればいくらでもサボれるし、休んでも誰も文句を言わないというような風潮がある。

自分の頑張りがある程度ダイレクトに結果に跳ね返ってくるため、やりがいを感じながら仕事ができ、それぞれの取引を自分の案件であるという実感が持てるため、日付を超えて仕事をしても苦にならないという人も見られる。

団体保険部門であれば、企業の福利厚生の整備を担っているという自負を感じられる。また、代理店部門であれば、自身の働きかけによって他者に保険商品を売ってもらうことに面白さを感じられる。

銀行窓販に関して言えば、男性総合職は、若い女性行員を相手に仕事ができるというモチベーションもある。

いずれも営業成果が出ないからと言ってクビや降格になるわけではなく、部署異動をする程度である。

ミドルの激務度

最もブラックな働き方になりやすいポジション。

フロントのサポートを行う立場であることから、営業現場からは、販売執行やキャンペーンなどの販売促進、生保レディの給与水準に関して要望や苦情を直接受けることが多く、ストレスも多い。

ルーティン業務も少ないため、常にフロントのためになる施策を考え、生み出し続けなければならない。

ただし。

会社全体に影響を与える販売施策等を企画・立案・執行していくため、やりがいも大きく、またそれゆえに経営陣への報告も多く、役員に顔を覚えてもらえるというメリットもある。

近年は、生命保険会社は生命に関する仕事をする会社であるからこそ、その社員も健康であるべきとの考え方から、ワーク・ライフバランスを積極的に推進している会社も増え、労働環境は徐々に良くなっている。

バックの激務度

保険金・給付金の支払いを行うような事務部門などでは、既に確立されているルーティン業務をこなすことが多い。

したがって業務が大きくひっ迫することは無く、休みも取りやすい。

ただし。

システム部門の場合は、新たな生命保険商品が発売されたり、新たなサービスが開始されたり、関連会社同士のシステムを統合させるときなどには、SEと共に仕事を進めるため、場合によっては日付を超えて仕事をすることもあり、激務になる傾向にある。

また、自然災害などの保険金支払いが急激に増えるようなイベントや、システム障害などの突発的な事象が起きた場合には、他の部門と比べて業務負荷が急激に増える部門である。

生保総合職<拠点長>のブラック激務度

総合職であれば、通常、拠点長の業務を長く行うことは無く、キャリアの一環として2年~6年程度経験することが一般的である。

なぜなら先述のとおり、営業総合職という営業のエキスパートが存在する中、総合職が拠点長の業務を行うことの意味合いは、担当する営業拠点の業績拡大に加え、その経験を将来本社で管理職や役員として活かすことにある。

したがって。

基本的にはブラックな営業拠点ではなく、どちらかというと顧客の筋がいい、または優秀な生保レディが多い拠点をあてがわれることが多い。

基本的に激務

ただし。

いくら良い営業拠点をあてがってもらったとしても、業務内容は営業総合職の行う拠点長業務と変わらないため、労働環境はかなり厳しく、年中早朝から深夜まで働く人が多い。

数字が挙がらなければ支社の幹部から恫喝されることも当たり前にあるし、担当する拠点の生保レディも、必ずしも拠点長のことを良く思う人達ばかりではないため、全く言うことを聞かない人もいる。

また、生保レディの採用要件には学歴を高卒以上に設定する会社が多いが、実態としてはどこの会社も採用を増やすために学歴を問わないケースも多い。

そのため、これまで会社で大卒の同僚に囲まれて仕事をしてきた人にとっては、拠点長になった途端、社会人の常識が必ずしも通用しない、今まで接してこなかった人たちと一緒に仕事をする難しさがある。

一方で、自分の働きかけによって生保レディががんばってくれて、年間販売目標を達成したときには、何事にも代えられない達成感を感じることができる。

会社や上司によるブラック度の違い

他にも、その生命保険会社のブラック、ホワイト度合いを決める要素は、株式会社か相互会社か、外資系か国内生保か、上司がどのようなタイプなのか、などが挙げられる。

①会社形態(株式会社or相互会社)によるブラック度の違い

用語解説)

相互会社とは…

保険はお互いが助け合う相互扶助の精神に基づくものである、という考えのもと、契約者一人ひとりが会社の持ち主であるという考えのもと設立された会社形態。

株式会社は、当然であるが株主が存在するため、業績が落ちたり株価が低迷すると株主からの圧力を受けることになる。

そうした緊張感が経営陣にあることから、業績拡大、株価上昇のために会社として常に成果を出し続けなければならず、恒常的に忙しくなる傾向にある。

相互会社は、契約者が株主のようなものであるため、契約者のためになることだけをやっていれば良いし、一般の株主に比べて経営に対する口出しやプレッシャーも少ない。

そうなると良くも悪くも緊張感が少ないため、業務のひっ迫度合いは株式会社に比べて低いと言える。

②外資系か国内生保かによるブラック度の違い

外資系生保の場合、営業は完全に成果報酬型。

優秀な業績を挙げていれば億単位の年収も夢ではないが、そうでない人であれば国内生保の生保レディよりも稼げない場合も多く、そうした人たちは社内でかなり冷遇される。

そのため、デキる人にとってみれば外資系生保はホワイト企業、そこまで優秀でない人にとってはブラック企業になるだろう。

③上司による違い

当然だがどこの会社、部署も上司によって労働環境がブラックにもホワイトにもなり得る。

残念ながら、このIT社会、国際化社会、人員不足の社会においても、旧来の日本人的な働き方を貫き、それを他人にも強要する人間が残念ながら40、50代だけではなく、30代の比較的若い社員にも存在する。

効率的に仕事をすること=楽をすることという意識が強いため、経験と称して部下に不必要に時間や労力をかけさせたり、提携や業務のアウトソースはプライドが許さないため、全て自前でやろうとしたり、休みを取らずに長時間労働をしている部下を褒め称えたりするのである。

そのような上司にあたるとどんなホワイト企業、ホワイト部署でもブラックな働き方を強いられることになる。

まとめ 総合職の内勤であれば他の業界に比べて圧倒的にホワイト

取材をした生保マンが言うには、おなじ生保業界でも横のつながりがあるため、集まったときにはそれぞれの会社について色々と情報交換をしているが、総じてホワイト企業であるとのこと。

また。

おなじ金融業界の銀行や証券からは「生保は特に何もしていないくせに給料が良い」と妬まれることもあると言う。

生保業界は、新たに保険契約が取れなかったとしても、過去に獲得した保険契約から入ってくる保険料収入があるため、よほど大量の解約でも無い限り、何とか生きていける業界である。

当然、少子高齢化に対する危機感はあるものの、他の業界に比べるとその危機感は圧倒的に低い。

そのため、日本の金融機関をリードしたい!などという高い意識を持っている人には向いていない業界と言えるだろう。

そこそこの頑張りでたくさん給料をもらって豊かな生活を送りたい人にとっては、こんなコストパフォーマンスの良い業界はない。

また。

拠点長という辛い業務でも、生命保険の大切さを世間に広めたいという人にとっては大きなやりがいを感じられる業界である。

以上、生保業界のホワイトな点、ブラックな点を紹介してきた。就活・転職活動の参考にして頂ければ幸いである。