「ご承認 vs ご了承 vs ご承諾」の意味と違い
- ご承認(読み:ごしょうにん)
- ご了承(読み:ごりょうしょう)
- ご承諾(読み:ごしょうだく)
似たような3つの言葉の意味と違い・使い方について、ビジネスメール例文つきで詳しく解説していきます。
「ご承認 vs ご了承 vs ご承諾」の意味
まずは意味の違いについて。
敬語「ご承認 vs ご了承 vs ご承諾」のもとになる語で比較してみます。
承認(しょうにん)の意味は…
① そのことが正当または事実であると認めること。
【例】知的財産の所有権を承認する② よしとして、認め許すこと。聞き入れること。
【例】政府の承認を得て認可される
③ 国家・政府・交戦団体などの国際法上の地位を認めること。
【例】国連に承認された国
了承(りょうしょう)の意味は…
事情をくんで納得すること。承知すること、承諾
【例】イチロー選手にTV出演の了承を得る
承諾(しょうだく)の意味は…
相手の意見・希望・要求などを聞いて、受け入れること
【例】イチロー選手にTV出演の承諾を得る
依頼・お願い/謝罪・お詫びなどのビジネスシーンで「ご承認・了承・承諾」くださいますようお願い申し上げます」などとして使われるフレーズです。
ちなみに敬語の種類は…
「自分がご承認/ご了承/ご承諾する」のであれば謙譲語としての使い方。
「相手がご承認/ご了承/ご承諾くださる」のであれば尊敬語としての使い方。
「お(ご)」は尊敬語と謙譲語の使い方があり、ややこしい敬語です。ご注意を
意味の違いは「承認=認める」「承諾=受け入れる」「了承=納得する」
こうして辞書の意味だけ追っていてもわかりにくいため、わかりやすく要約すると…
「ご承諾」「ご了承」はほぼ同じ意味で「受け入れること」
「ご承認」と「ご承諾・ご了承」はちょっと違い「承認」は認めるの意味合いが強い
ということで、
どれもほとんど同じ意味であり似たような使い方をします。
こんなときは「ご承認・ご了承・ご承諾」のどれ使う?
やはりなかなか違いが見えてきません。
ということで…
もう手っ取り早くビジネスシーンごとにどれが最適な敬語フレーズかを考えてみます。
上司に出張の許可を得たい!
こんなときは「ご承認・ご了承・ご承諾」のどれ使う?
その①上司から出張の許可を得たいときは…
認めるの意味合いがもっとも強い「ご承認」が最適。
以下のような表現を使うとよいでしょう。
- 【例文】ビジネス拡大のためプーケット出張をご承認いただきたく存じます
- 【例文】メール件名:●●出張ご承認のお願い
こんなとき、
「ご承諾」「ご了承」をつかうとなんだかシックリこない例文になります。
- 【イマイチな例文】ビジネス拡大のためプーケット出張をご承諾いただきたく存じます
- 【イマイチな例文】メール件名:●●出張ご了承のお願い
上司に有給休暇の許可を得たい!
こんなときは「ご承認・ご了承・ご承諾」のどれ使う?
その②上司から有給休暇の許可を得たいときは…
認めるの意味合いがもっとも強い「ご承認」が最適。
以下のような表現を使うとよいでしょう。
- 【例文】私事都合により10月3日に有給休暇をいただきます。ご承認のほどお願い申し上げます
- 【例文】メール件名:10月3日・有給休暇ご承認のお願い
こんなとき、
「ご承諾」「ご了承」をつかうとなんだかシックリこない例文になります。
- 【イマイチな例文】私事都合により10月3日に有給休暇をいただきます。ご承諾のほどお願い申し上げます
- 【イマイチな例文】メール件名:10月3日・有給休暇ご了承のお願い
社外取引先に製品スペック変更の許可を得たい!
こんなときは「ご承認・ご了承・ご承諾」のどれ使う?
その③社外取引先から製品スペック変更の許可を得たいときは…
「ご承認・ご了承・ご承諾」のどれでも使えます。
以下のような表現を使うとよいでしょう。
- 【例文】●●により製品の仕様を下記のとおり変更いたします。大変ご迷惑おかけいたしますが、どうかご承認(ご承諾・ご了承)くださいますようお願い申し上げます
社外取引先に値上げのお願いをしたい!
こんなときは「ご承認・ご了承・ご承諾」のどれ使う?
その④社外取引先に値上げのお願いをしたいときは…
「ご承認・ご了承・ご承諾」のどれでも使えます。
以下のような表現を使うとよいでしょう。
- 【例文】このたびの価格改定につき、どうかご承認(ご承諾・ご了承)いただきたく存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。
ということで…
いい加減うんざりしてきたのでまとめます。
結論としては…
上司には「ご承認」をもらうことが多い。
あとは結構フレキシブルに「ご承認・ご了承・ご承諾」のどれでも使える。
という程度のことしか言えませんね。
実際にビジネスメール例文で比べてみる
すでに登場しましたがビジネスメールの全文をいちおう書いておきます。
製品スペック変更のお願いビジネスメール
▼「ご承認・ご了承・ご承諾」ビジネスメール
たとえば、上司・目上・社外取引先に製品の仕様変更をお願いするビジネスメールのとき。
-ビジネスメール例文-
メール件名:iPhone10仕様変更のお願い
株式会社ビジネス
資材部 ●● 様
いつもお世話になっております。
転職・ノマドでございます。
このたび、弊社では製品規格のグローバル統一化をめざし、iPhone10における製品仕様を下記のとおり変更いたしたく存じます。
記
対 象 製 品:iPhone10
カメラスペック:(現)100px → (改)1000px
なお、この仕様変更における品質への影響は軽微なものと判断いたしております。
以上
ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。
突然のお願いにて大変恐れ入りますが、
何卒ご承諾いただきますようお願い申し上げます。
*********
メール署名
*********
➡︎「ご承諾」を「ご承認・ご了承」に言い換えても違和感がない
こんな感じでビジネスメールに使います。
例文に当てはめてみるとわかるのですが、このようなビジネスシーンで「ご承諾」を「ご承認・ご了承」に言い換えたとしても何ら差し支えありません。
値上のお願いビジネスメール
▼「ご承認・ご了承・ご承諾」ビジネスメール
あるいはたとえば、社外取引先などに値上げのお願いをするビジネスメールのとき。
-ビジネスメール例文-
メール件名:エチレン価格改定のお願い(転職・ノマド)
株式会社ビジネス
資材部 ●● 様
平素はお世話になっております。
転職・ノマドでございます。
このたび、○月×日付けの弊社プレスリリースにてエチレン価格改定を発表いたしました。昨今の原材料価格高騰およびユーティリティーコストの上昇がおもな背景となっております。
つきまして、貴社にてご使用いただいております「製品名:エチレンAB」につきましても下記のとおり価格を改定させていただきたく存じます。
記
現行価格:1000円/トン
改定価格:1050円/トン
※+50円/トンの価格改定をお願いいたします
※なお発表内容に関しましては以下URLをご参照ください
URL~~~
以上
誠に勝手を申し上げますが、どうか事情をご高察の上、
ご承諾くださいますようお願い申し上げます。
*********
メール署名
*********
➡︎「ご承諾」を「ご承認・ご了承」に言い換えても違和感がない
例文に当てはめてみるとわかるのですが、このようなビジネスシーンで「ご承諾」を「ご承認・ご了承」に言い換えたとしても何ら差し支えありません。
●●の程・くださいますよう・いただきますよう・賜りますよう・いただければ幸いです の違い
ところで「ご承諾/ご了承/ご承認」の使い方というか続くフレーズには、
「ご承諾/ご了承/ご承認くださいますようお願い致します」
「ご承諾/ご了承/ご承認のほどお願い致します」
「ご承諾/ご了承/ご承認いただきますようお願い致します」
「ご承諾/ご了承/ご承認賜りますようお願い致します」
「ご承諾/ご了承/ご承認いただければ幸いです」
というように主に5つあります。これって何が違うのでしょうか?
「ご承諾/ご了承/ご承認くださいますようお願い致します」
の意味は「承諾/了承/承認してくれるようお願い」
※「くれる」の尊敬語が「くださる」
「ご承諾/ご了承/ご承認のほどお願い致します」
の意味は…
①承諾/了承/承認してくれるようお願い
②承諾/了承/承認してもらうようお願い
のどちらの意味にも取れる。
「ご承諾/ご了承/ご承認いただきますようお願い」
「ご承諾/ご了承/ご承認賜りますようお願い」
の意味は…
「承諾/了承/承認してもらうようお願い」
※「もらう」の謙譲語が「(お・ご)〜賜る/いただく」
「ご承諾/ご了承/ご承認いただければ幸いです」
の意味は…
「承諾/了承/承認してもらえたら嬉しいなぁ・幸せだなぁ」
となり「ご承諾/ご了承/ご承認くださる」なのか「ご承諾/ご了承/ご承認いただく」なのか「ご承諾/ご了承/ご承認の程」なのか「ご承諾/ご了承/ご承認いただければ〜」なのかでニュアンスが違います。
どれを使っても丁寧ではありますが使い分けについても考えてみます。
もっとも丁寧なのは「ご承諾/ご了承/ご承認いただければ幸いです」
いろいろと考えてはみましたがこれまで示した例文はどれも丁寧であり、使い分けする必要性はありません。
強いて言うのであれば「ご承諾/ご了承/ご承認いただければ幸いです」がもっとも丁寧なお願い・依頼のフレーズ。
これまでと同じようにビジネスメール結び締めとして使います。
かしこまった文章には「ご承諾/ご了承/ご承認賜りますよう~」
かしこまった文章、カチッとしたビジネスメールに好まれる敬語は「賜る」をつかったフレーズですね。「いただく」も同じく「もらう」の謙譲語ではありますが、「賜る」のほうが堅苦しい表現になります。
- 例文「ご承諾/ご了承/ご承認賜りますようお願い申し上げます」
- 例文「ご承諾/ご了承/ご承認賜りますようお願い致します」
のようにしてビジネスメールの結びに使うと丁寧ですね。
ビジネスメールによく使うのは「ご承諾/ご了承/ご承認の程」
「ご承諾/ご了承/ご承認いただければ幸いです」「ご承諾/ご了承/ご承認賜りますよう~」が丁寧なフレーズではありますが…
ビジネスメールでもっともよく使われるのは「ご承諾/ご了承/ご承認の程お願い申し上げます」「ご承諾/ご了承/ご承認の程お願い致します」です。
親しい取引先や上司・社内の目上などに対する普段のビジネスメールで、無駄にかしこまった敬語フレーズを使う必要はありません。
「いただく」vs「くださる」の使い分けは難しい
せっかくですので「ご承諾/ご了承/ご承認いただきますようお願い」「ご承諾/ご了承/ご承認くださいますようお願い」の違いを考えてみます。
たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう
すると…
「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」
「ご検討くださいますようお願い申し上げます」
「ご検討いただきますようお願い申し上げます」
こんな敬語フレーズをよく使います。
実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…
ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。
「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」
もうひとつ、
「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」
上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。
一般的には「お礼=いただく」「メール結び締め=くださる」
結び・締めに使うフレーズとしては「くださいますよう」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。
ただし本来であればどれも丁寧な敬語であり、使い分けする必要はありません。
参考記事
➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選
➡︎「いただくことは可能でしょうか?」の敬語、目上の人への使い方
➡︎「ご連絡差し上げます」は間違い敬語?意味と正しい使いかた
➡︎【完全版】ビジネスメール締め・結びの例文50選
➡︎ビジネスシーンでの「お願い・依頼」敬語フレーズのすべて
➡︎ビジネスシーンでの『お礼・感謝』敬語フレーズのすべて
➡︎ビジネスメールにおける断り方のすべて