「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解」意味と違い・使い方

「ご容赦 vs ご了承 vs ご承諾 vs ご理解」の意味と違い

  1. ご容赦(読み:ごようしゃ)
  2. ご了承(読み:ごりょうしょう)
  3. ご承諾(読み:ごしょうだく)
  4. ご理解(読み:ごりかい)

の似たような4つの言葉の意味と違い・使い方について、ビジネスメール例文つきで詳しく解説していきます。

意味・敬語の違い

まずは意味の違いについて。

敬語「ご容赦 vs ご了承 vs ご承諾 vs ご理解」のもとになる語で比較してみます。

容赦(ようしゃ)の意味は…
① ゆるすこと。大目に見ること
② 手加減すること。控え目にすること

理解(りかい)の意味は…
① 意味・内容をのみこむこと
② 他人の気持ちや立場を察すること

了承(りょうしょう)の意味は…
事情をくんで納得すること。承知すること、承諾

承諾(しょうだく)の意味は…
相手の意見・希望・要求などを聞いて、受け入れること

それぞれの使い方はどれも似たようなもの。

依頼・お願い/謝罪・お詫びなどのビジネスシーンで「ご理解(了承・容赦・承諾)くださいますようお願い申し上げます」などとして使われるフレーズ。

ちなみに敬語の種類は…

「自分がご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解する」のであれば謙譲語としての使い方。

「相手がご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解くださる」のであれば尊敬語としての使い方。

「お(ご)」は尊敬語と謙譲語の使い方があり、ややこしい敬語です。ご注意を

違いと使い分け

こうして辞書の意味だけ追っていてもわかりにくいため、たとえば…

「ご容赦ください」vs「ご了承ください」vs「ご承諾ください」vs「ご理解ください」

という敬語の意味と違い・使い分けをみていきましょう。すると以下のとおり。

ご理解ください = わかってください、察してください
・気持ちや立場を察する、の意味が強い

ご了承・ご承諾ください = 認めてください
・認める、承諾の意味あいが強い

ご容赦ください = お許しください
・より申し訳なく思う気持ちのときにつかう
・たとえば謝罪やお詫びのビジネスシーン

ちょっと分かりにくいですね…

そこでもっとわかりやすく
「ご理解ください」「ご了承ください」「ご容赦ください」の違いを説明すると…

  • ご理解ください だと
    「とにかく相手に伝われば、それでOK」

というニュアンスになり、

  • ご了承ください・ご承諾ください だと
    「相手に伝わって、さらに納得してもらいたい」

というニュアンスになり、

  • ご容赦ください だと
    「相手に伝わらなくてもいいけど、許しがほしい」

となるのですね。

丁寧なお詫びメールには「ご容赦」

ここでひとつ注意点を。

結局、肝心なのはどれがもっとも丁寧な表現か?
にあると思います。

以下のようにお考えください。

丁寧な順にならべると…
ご容赦 > ご了承・ご承諾 > ご理解
ただしビジネスシーンごとにどのフレーズがふさわしいのかを考えましょう。

実際にビジネスメール例文で比べてみる

▼「ご容赦」vs「ご了承 ≒ ご承諾」vs「ご理解」ビジネスメール

たとえば、上司・目上・社外取引先に製品の仕様変更をお願いするビジネスメールのとき。

-ビジネスメール例文-

メール件名:iPhone10仕様変更のお願い

株式会社ビジネス
資材部 ●● 様

いつもお世話になっております。
転職・ノマドでございます。

このたび、弊社では製品規格のグローバル統一化をめざし、iPhone10における製品仕様を下記のとおり変更いたしたく存じます。

対 象 製 品:iPhone10
カメラスペック:(現)100px → (改)1000px

なお、この仕様変更における品質への影響は軽微なものと判断いたしております。

以上

ご不明な点等ございましたら何なりとお申し付けください。

突然のお願いにて大変恐れ入りますが、
何卒ご承諾いただきますようお願い申し上げます。

*********
メール署名
*********

➡︎「ご承諾」「ご了承」「ご容赦」「ご理解」に言い換えても違和感がない

こんな感じでビジネスメールに使います。

例文に当てはめてみるとわかるのですが、このようなビジネスシーンで「ご承諾」「ご了承」「ご理解」「ご容赦」に言い換えたとしても何ら差し支えありません。

ですが…

このようなビジネスシーンでは相手の了承を得たいので「ご理解」ではなく「ご了承・ご承諾・ご容赦」をつかいたいところ。

結論は以上です…

「ご承諾 vs ご了承」は同じ意味

さきほど「ご承諾」「ご了承」とほぼ同じ意味であるとしました。

繰り返しにはなりますが、それぞれしっかりと比較してみます。

意味の違いはもとになる語「承諾」vs「了承」の違いをみていけばよく、比較すると以下のとおり。

  • 承諾」の意味は…
    相手の意見・希望・要求などを聞いて、受け入れること
    【例】メーカー側の承諾を得る
    【例】仕様の変更を承諾する
  • 了承」の意味は…
    事情をくんで納得すること。承知すること。承諾。
    【例】メーカー側の了承を得る
    【例】仕様の変更を了承する

で結局のところ…

「ご了承」vs「ご承諾」はどちらもほとんど同じ意味であり、使い方もほぼ一緒です。

ビジネスシーンで使い分けする必要はないと思いますね。どちらかお好みのほうをお使いください。

「ご了承 vs ご承諾」ビジネスメール例文で比べてみる

▼「ご承諾」「ご了承」ビジネスメール

具体的にはたとえば、社外取引先などに値上げのお願いをするビジネスメールのとき。

-ビジネスメール例文-

メール件名:エチレン価格改定のお願い(転職・ノマド)

株式会社ビジネス
資材部 ●● 様

平素はお世話になっております。
転職・ノマドでございます。

このたび、○月×日付けの弊社プレスリリースにてエチレン価格改定を発表いたしました。昨今の原材料価格高騰およびユーティリティーコストの上昇がおもな背景となっております。

つきまして、貴社にてご使用いただいております「製品名:エチレンAB」につきましても下記のとおり価格を改定させていただきたく存じます。

現行価格:1000円/トン
改定価格:1050円/トン
※+50円/トンの価格改定をお願いいたします
※なお発表内容に関しましては以下URLをご参照ください
URL~~~

以上

誠に勝手を申し上げますが、どうか事情をご高察の上、
ご承諾くださいますようお願い申し上げます。

*********
メール署名
*********

➡︎「ご承諾」「ご了承」に言い換えても違和感がない

こんな感じでビジネスメールに使います。

まぁようするに「(要望などを)受け入れてほしい!」というシーンであればたいていは使えます。

例文に当てはめてみるとわかるのですが、このようなビジネスシーンで「ご承諾」「ご了承」に言い換えたとしても何ら差し支えありません。

●●の程・くださいますよう・いただきますよう・賜りますよう・いただければ幸いです の違い

ところで「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解」の使い方というか続くフレーズには、

「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解くださいますようお願い致します」
「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解のほどお願い致します」
「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただきますようお願い致します」
「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解賜りますようお願い致します」
「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただければ幸いです

というように主に5つあります。これって何が違うのでしょうか?

「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解くださいますようお願い致します」

の意味は「承諾/了承/容赦/理解してくれるようお願い」

※「くれる」の尊敬語が「くださる」

「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解のほどお願い致します」

の意味は…

①承諾/了承/容赦/理解してくれるようお願い
②承諾/了承/容赦/理解してもらうようお願い

のどちらの意味にも取れる。

「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただきますようお願い」
「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解賜りますようお願い」

の意味は…

「承諾/了承/容赦/理解してもらうようお願い」

※「もらう」の謙譲語が「(お・ご)〜賜る/いただく」

「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただければ幸いです

の意味は…

「承諾/了承/容赦/理解してもらえたら嬉しいなぁ・幸せだなぁ

となり「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解くださる」なのか「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただく」なのか「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解の程」なのか「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただければ〜」なのかでニュアンスが違います。

どれを使っても丁寧ではありますが使い分けについても考えてみます。

もっとも丁寧なのは「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただければ幸いです」

いろいろと考えてはみましたがこれまで示した例文はどれも丁寧であり、使い分けする必要性はありません。

強いて言うのであれば「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただければ幸いです」がもっとも丁寧なお願い・依頼のフレーズ。

これまでと同じようにビジネスメール結び締めとして使います。

かしこまった文章には「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解賜りますよう~」

かしこまった文章、カチッとしたビジネスメールに好まれる敬語は「賜る」をつかったフレーズですね。「いただく」も同じく「もらう」の謙譲語ではありますが、「賜る」のほうが堅苦しい表現になります。

  • 例文「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解賜りますようお願い申し上げます」
  • 例文「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解賜りますようお願い致します」

のようにしてビジネスメールの結びに使うと丁寧ですね。

ビジネスメールによく使うのは「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解の程」

「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただければ幸いです」「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解賜りますよう~」が丁寧なフレーズではありますが…

ビジネスメールでもっともよく使われるのは「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解の程お願い申し上げます」「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解の程お願い致します」です。

親しい取引先や上司・社内の目上などに対する普段のビジネスメールで、無駄にかしこまった敬語フレーズを使う必要はありません。

「いただく」vs「くださる」の使い分けは難しい

せっかくですので「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解いただきますようお願い」「ご承諾/ご了承/ご容赦/ご理解くださいますようお願い」の違いを考えてみます。

たとえば結び・締めに使う「お願い」するときのシーンを考えましょう

すると…

「ご容赦くださいますようお願い申し上げます」
「ご容赦いただきますようお願い申し上げます」
「ご了承くださいますようお願い申し上げます」
「ご了承いただきますようお願い申し上げます」
「ご検討くださいますようお願い申し上げます」
「ご検討いただきますようお願い申し上げます」

こんな敬語フレーズをよく使います。

実はこれらは「くださる」を使うのが一般的です…
「いただく」としても丁寧ではありますが…

ところが、たとえば何かをもらった時のお礼のシーンを考えます。

「たいそうなお品をくださりありがとうございました」
「たいそうなお品をいただきありがとうございました」

もうひとつ、

「いつもご利用くださりありがとうございます」
「いつもご利用いただきありがとうございます」

上記の例文はどれも敬語としては正しい使い方。
ただ圧倒的に「いただき〜」とするほうが多いですね。

一般的には「お礼=いただく」「メール結び締め=くださる」

結び・締めに使うフレーズとしては「くださいますよう」のほうが一般的で、お礼に使うフレーズとしては「いただきありがとう」を使うのが一般的です。

ただし本来であればどれも丁寧な敬語であり、使い分けする必要はありません。

参考記事

➡︎「教えてください」の代わりに使えるビジネス敬語、メール電話の例文
➡︎「ご教示」「ご教授」の意味と違い、使い方・メール例文
➡︎上司へお願いするときに使える敬語10の言葉と、例文50選

➡︎「いただくことは可能でしょうか?」の敬語、目上の人への使い方
➡︎「ご連絡差し上げます」は間違い敬語?意味と正しい使いかた
➡︎【完全版】ビジネスメール締め・結びの例文50選

➡︎ビジネスシーンでの「お願い・依頼」敬語フレーズのすべて
➡︎ビジネスシーンでの『お礼・感謝』敬語フレーズのすべて
➡︎ビジネスメールにおける断り方のすべて