現役メーカー営業マンとして国内営業・海外営業のどちらも経験したおっさんが、違いについてかたる記事。
まず基本となる違いは、
「取引先が海外なのか、日本国内なのかということだけ」
① 国内営業は、顧客・取引先が日本国内。
モノとカネの流れは以下のとおり。
⇅ モノを売ってカネを受け取る
②三菱商事・三井物産・日系専門商社など
⇅ モノを売ってカネを受け取る
③末端顧客
※ モノは②商社に納入するときもあれば、③末端顧客へ直接納入するときもある
② 海外営業は、顧客・取引先が海外。
モノとカネの流れは以下のとおり。
⇅ モノを売ってカネを受け取る
②三菱商事・三井物産・伊藤忠・日系専門商社など
⇅ モノを売ってカネを受け取る
③海外ローカル商社
⇅ モノを売ってカネを受け取る
④末端顧客
あるいは②だけ使ったり、③だけ使ったりしている。上記はあくまで一般論。
※ モノは②③商社に納入するときもあれば、④末端顧客へ直接納入するときもある
「海外営業」っていうと何かすごそうに聞こえるのですが、実際にはすごい仕事をやっているわけではなく…顧客が海外にいるというだけであって、やっていることは国内営業と大して違いません。
むしろ国内営業よりも海外営業(駐在や現地採用)のほうが、上司・顧客からのプレッシャーや資料作成がすくなくて楽というのがメジャーな意見。
そんな中でもいちおう、
国内営業と海外営業の違いについて思いつく限りまとめておきます。
この記事の目次
①海外営業・担当エリア広い > 国内営業・狭い
国内営業と海外営業の違いその1。
まずは担当エリアについて。
海外営業・担当エリア広い >>>> 国内営業・狭い
こんな感じでエリアが違います。
海外営業マンは担当するエリアがとてつもなく広く、たとえば、あなた1人で数カ国をカバーするのとかは当たり前の世界。
そうでなくても、一国の営業戦略をすべて任されるというのは最低限の仕事です。
いっぽうの国内営業マンは担当するエリアが狭く、たとえば東北・北海道地区とか、せめてその程度のものですね。
②海外営業は広く浅く、国内営業は狭く深く
国内営業と海外営業の違いその2。
前述のとおり、
- 海外営業マンは担当するエリアがとてつもなく広く、その結果、仕事の質は広く浅くなります
- 国内営業マンは担当するエリアが狭く、その結果、仕事の質は狭く深くが求められます
結果として、
どちらの仕事も難易度はたいして変わりません。
③難易度は国内営業のほうが高い
国内営業と海外営業の違いその3。
よく「海外営業は難しい」と言われますが、
わたしにとっては国内営業のほうがあっとうてきに難しいですね。
やっぱり日本の顧客は技術レベルとか要求レベルがピカイチ高く、海外の顧客は結構テキトーでその場しのぎですから…国にもよりますが…
ミーティング前に緻密な準備が必要となるのが、国内営業。
ミーティング前に何も準備しなくてもなんとかなるのが、海外営業。
くわえて敬語の使い方とか上下関係とかビジネスマナーとか…日本の文化のめんどくささといったら右に出るものはいないでしょう。
国内市場のワガママな客にもまれていれば、海外営業になったときに「なんて簡単な仕事なんだ」と思えます。
こればっかりは、
残念ながらどちらも経験してみないとわかりません…
④宗教・文化・商習慣の違い
国内営業と海外営業の違いその4。
これは言うまでもないことですが、海外営業は担当する国の宗教・商習慣や文化をよくわかっていないと勤まりません。
とはいえ、
わたしたちは日本人なのですから最初は何も知らなくてあたり前。
担当してから現地人の話をよくきくようにすれば自然と身につきます。あなたが担当する国について興味を持つことが重要ですね。
⑤海外営業(とくに駐在員)は社内接待も重要
国内営業と海外営業の違いその5。
海外営業(とくに駐在員)ならではの仕事、という意味で社内接待があります。
海外駐在員は営業だけしていればよいわけじゃなく、社内の出張者を接待することも重要な仕事。
たとえば、
本社から営業部長が視察にくる、事業部長が視察にくる、社長が視察にくる、などなど。
ディナーにつきあったり、二次会であやしい店に連れていったり、土日にゴルフや観光したり…
とにかく出張者もあそび半分できているので、しっかりとアレンジしないといけません。ここで上層部の目に留まり出世コースにのる人もいるくらい…重要な仕事。
⑥日系企業の子守ばかりやる場合も…
国内営業と海外営業の違いその6。
とくに商社の海外営業は、取引先が日系企業ばかりで成り立つこともあります…
そうなると海外営業は、
海外進出する日系企業の子守ばかりするハメになります。
そうすると国内営業となにも変わらない仕事内容になりますね。
商社が現地会社と取引するのがむずかしい理由は、おおきく以下3つ。
(とくに途上国の海外営業)
- ワイロや汚職
・とくに途上国のローカル企業
・アポを取るだけで金品をせびる客もいる。何かを買ってもらうときには当然のようにワイロが必要となる - お金の回収問題
・海外顧客は支払いが遅かったり、払わなかったりするので直接取引が難しい
・モノを売ってもお金を回収できないリスクがあれば社内稟議を通らない - 独特な商習慣についていけない
・商品を買うから、友だちの商社を通して売ってくれ!とかいろいろ
とはいえビジネスを拡大するためには、どうしても海外現地会社との取引をしなければいけないのも事実。
そんなときには、
ワイロもOK、お金の回収もちゃんとできる現地商社を使います。
日系商社→現地商社→末端ユーザーという感じですね。
わかりやすくすると以下のとおりの商流でモノを売ることが多いです。
⇅ モノを売ってカネを受け取る
②三菱商事・丸紅・日系専門商社など
⇅ モノを売ってカネを受け取る
③海外ローカル商社
⇅ モノを売ってカネを受け取る
④末端顧客
あるいは②だけ使ったり、③だけ使ったりしている。
⑦激務度の違い;国内営業>海外営業
国内営業と海外営業の違いその8。
どちらが楽でどちらが激務というのは、一概には言えません。
これはなんとな~く、これまで国内営業・海外営業とやってきたなかでの経験則となります。
先にも述べたとおり、
国内営業は担当エリアがせまいぶん、せまく深く営業することがもとめられ、
海外営業は担当エリアが広いぶん、広く浅くという営業スタイルで許されます。
仕事に対するプレッシャーは海外営業のほうがぜんぜん少ない、というのがメジャーな意見。
海外ビジネスのことについて知っている人がすくなく、プレッシャーのかけようがなかったり、客のワガママにあまり付き合う必要がないからですかね?
とはいえ激務度は会社とか上司によりますけど…
→ 営業職は激務で離職率高いなんて嘘!ホワイト業界をこっそり教えます
⑧要求されるスキル・知識の違い
国内営業と海外営業の違いその8。
要求されるスキル・知識の違い
あとは細かいところで、スキル・知識で求められるものが違います。
海外営業をするうえでは以下のようなスキル・知識が必要となります。
- ある程度の英語力
目安:TOEIC700点 - 貿易の基礎知識
・LC、T/Tとはなにか?
・通関とはなにか?
・輸出入に必要な手続きと書類は? - 交渉術
・相手にいいようにやられないための技術 - コミュニケーション力
・取引先が英語をきっちりしゃべるわけではありません、わかるまで何度も聞きなおしたり、ちゃんと相手のことを理解すること、相手に的確に伝えることが求められます - 忍耐力、我慢強さ
・国内の常識は通用しません。 - 相手を許容すること、理不尽はあたり前だと思うこと
・国内営業のようにすべてが思い通りに動くなんてことはあり得ません。
「まぁ、海外だから仕方ないよなぁ」というように大目にみることも重要。 - 国ごとの文化や風習・商習慣への理解
ただ、
こんなことは海外営業していれば労せずとも身につくことですね。
海外営業だけを経験してきたひとは国内営業として使いものになりませんが、国内営業を経験してきたのであれば海外営業は簡単にマスターできます。
なんどもしつこいですが、
日本国内の客ってグローバルで見ても、ずば抜けて技術レベルやキッチリ度合いがすごくてビックリしますから。
裏を返せば、対応する国内営業マンは大変だということですけどね。
国内市場のワガママな客にもまれていれば、海外営業になったときに「なんて簡単な仕事なんだ」と思えます。
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