【総合化学メーカー特徴と違い比較】三菱・三井・住友化学etc…どう違う?

前回の記事に続き、就活生のために総合化学メーカーの違いをわかりやすく解説。今回は総合化学メーカー6社の違いと特徴を比較してみます。

「化学メーカーの志望動機」に役立つかは不明ですが、企業の違いをざっくりと把握しておくことには意味があります。

それでは進めていきましょう。

総合化学メーカーの違い比較①売上ランキング(2015年度実績)

総合化学メーカーの売上・営業利益比較2015年度実績

左から売上ランキング順に並べています。三菱ケミカルHDが化学素材メーカー国内ランキングNo.1。住友化学、旭化成、三井化学、昭和電工、東ソーと続きます。

同じ総合化学メーカーといっても、三菱ケミカルHDとランキング2位以下の売上差はなんと1兆7,000億円以上もあります。

営業利益率という観点では、三菱・住友・旭化成・東ソーはほぼ同等。三井化学と昭和電工が見劣りするといった結果に…2015年度の実績なのですが、過去の実績を追ってみても傾向は変わりません。

なぜ三井化学と昭和電工の利益率が低いかは、事項から解説する手がけるビジネスの違いによるところが大きい。詳しく見ていきましょう。

総合化学メーカーの違い比較②ルーツの違い

歴史を紐解いていくと各社の違いがより分かりやすくなります。

  1. 石炭化学から出発した三菱・住友・三井の旧3大財閥化学メーカー。
  2. 化学合成繊維から出発した旭化成。
  3. 無機化学(石灰石、アルミなど)から出発した東ソーと昭和電工。

それではもう少し詳しく歴史を見ていきましょう。

1.石炭化学から出発(旧3大財閥)

石炭化学から出発した会社は後に石油化学工業へシフトし、エチレンやプロピレンなどの基礎化学品を開始。その後、誘導体やフィルムなどの加工品も手がけて上流~下流までを一貫して生産するようになります。

旧3大財閥化学メーカーの違いは、創業のあと何に注力したかにある。

三菱ケミカルHDはアクリル関連事業と医薬品。住友化学は電子材料と農業関連。三井化学はポリプロピレンやフェノール、ウレタンといった汎用プラスチックの高機能化商品。20年前に既に勝負は決まっていた。

2.化学繊維から出発(旭化成)

化学合成繊維から出発した会社は、繊維が中国に負けて儲からなくなると化学繊維の原料から他の化学品を生み出し、化学素材メーカーへの業態転換をします。

帝人や東レ、クラレ、三菱レイヨンなどもこのパターン。

化学メーカーになりきれなかったのが、東洋妨と潰れそうなユニチカ。

3.無機化学から出発(東ソー、昭和電工)

無機化学から出発した会社は、無機化学ビジネスの深化を進めます。加えて多角化と称して昭和電工やデンカのように全く関係の無い有機化学へ多角化。

もしくは東ソーや信越化学工業のように無機物と有機物を合成させて、塩ビやシリコーンといった化学品を生産し始めます。

*用語解説(単純バージョン);
石炭化学=石炭を原料として作る化学品
有機化学=プラスチックやその原料
無機化学=鉱山の石や砂から金属系の原料をとりだし、手を加えた化学品

総合化学メーカーの違い比較③特徴(強み・弱み)

私がざっくりと総合化学メーカーの強み・弱みを分析するとしたら、以下の通りです。

ランキングNo.1;三菱ケミカルHD

  • 強みは基礎化学品~機能製品~医薬品と、ビジネスのバランスがよいこと。
  • 弱みは電子材料分野での技術力が足りず、上手く展開できていないこと。

ランキングNo.2;住友化学

  • 強みは電子材料、農業分野での技術。
  • 弱みはサウジアラビアに基礎化学品プラントの巨額投資をしてしまって、今のところ目だった成果がないこと。(通称ラーピグ計画)

ランキングNo.3;旭化成

  • 強みは多角化。ナイロン・レーヨン繊維から出発するも、上流の原料ビジネスを応用して化学品に進出、多角化に成功した。
  • 弱みは儲からない繊維事業を未だに続けていること。機能材料と原料を同じくするため、止めるのは困難。

ランキングNo.4;三井化学

  • 強みはいくつかの機能樹脂製品で世界トップシェアを持っていること。
  • 弱みは汎用化学品の売上比率が高いため、収益性が悪いこと。

ランキングNo.5;昭和電工

  • 強みは無機化学(アルミなどの金属)での技術力。昔からやっていた無機化学の技術を応用したエレクトロニクス事業だけでなんとか成り立っている。
  • 弱みは有機化学(モノマー、エマルジョン、プラスチック)に多角化するも、技術が無かったため汎用品ばかりで上手くいっていないこと。

ランキングNo.6;東ソー

  • 強みはソーダ灰事業で培った無機化学の技術を上手く応用し、機能商品の開発および拡大に成功したこと。
  • 弱みは汎用基礎化学品の売上比率が未だに大きいこと。

まとめ

元も子もないないことを言ってしまいますが、みんな化学品を製造・販売する化学メーカーであって仕事内容は変わりません。

ただ企業ごとに特殊品が得意だったり汎用品メインだったりする、というだけ。

従って志望動機には当たり障りのないことをアピールするしかないです。

「OB訪問で会った社員に共感したから」

「業界トップだから」

という程度にとどめておくこと。ESに詳しく書きすぎると墓穴を掘ります。

面接でツッコミを受けたら「社員の◯◯という姿勢が素晴らしく、一緒に働きたいと思った」の一点張りで押し通すのが正解。実際、それ以上の志望動機など存在しません。

すでに当ブログでは何度も説明してきましたが念のため…

 つづく;総合化学メーカー6社の課題克服戦略

ココから先は現状の課題(弱み)を克服するための戦略です。

内容がマニアックかつ細かいので興味のある方だけどうぞ。

《事項》総合化学メーカー6社は課題(弱み)をどう乗り越える?中長期経営戦略のポイントまとめ