営業職の残業時間について、平均と残業多いかどうかを現役営業マンが検証する記事。
営業職というと一般的なイメージとして、
「営業ノルマに追い詰められる激務な日々…」
「売れるまで帰ってこれない残業の多い仕事…」
「接待(飲み会)ばかりで残業多い仕事」
というようなネガティブな印象ばかり持たれます…。
でも実際には営業職は、
「どんな業界で、どんな企業で、どんな上司で、誰に、何を売っているのか?」
で大きく仕事内容は変わりますし、残業時間の多い・少ないも変わります。営業職における平均の残業時間というのは意味のないものだと、理解しておきましょう。
それでもなんとな〜くですが営業職の残業時間について、平均とか多い・少ないの傾向を検証してみます。
「残業の多い仕事」だと勘違いされる営業職
私もメーカー営業職として働いているので、親戚や友人からまず間違いなく聞かれる質問に
「営業職って大変じゃない?残業多いし、ノルマもあるし、飲み会ばっかりだし、人に頭下げてばっかりなんでしょ?」というのがあります。
実際、営業職にはこういったイメージどおりの部分も多少あります。とくに個人を相手にする生命保険、証券、銀行員、不動産などのリテール営業マンはこれに近い部分があるかと。
いっぽうでメーカー営業(とくに素材系の営業)とか、商社マンとか、企業を相手にする営業職だと世間一般のイメージとはだいぶ違います。
営業職の残業時間に平均など、無意味
営業職の残業時間というのは、正確に計算できません。だから「営業職の平均残業時間」というような統計があったとしても信用しないこと。
なぜ営業職の残業時間に平均が出せないかというと、以下の部分があいまいだから。
- 営業職がオフィスで残業した時間を平均の残業時間としたのか?
- 飲み会の時間は平均の残業時間にカウントできてる?
- 外回りや出張の移動時間は平均の残業時間にカウントされてる?
- 休みの日に電話対応したのは平均残業時間にカウントされてる?
- 休みの日のメール対応は?
- 時間外に電話を受けたら平均残業時間にカウントされる?
これらをすべてひっくるめて「営業職の平均残業時間」は出さなければいけません。ところが、そんな細かく残業時間を管理できている人は誰もいません。せいぜい「オフィスで残業した時間を平均残業時間とする」というのができる最大の努力でしょうね。
オフィスで残業した時間を「残業時間」と定義したとき、営業職の平均残業時間はきわめて少なくなることでしょう。どの企業もほぼ平均残業30時間以内におさまると思われます。
でも出張や外出時の拘束時間も残業としたら、平均の残業時間はどうなるでしょうか?人によっては残業時間が月100時間とかになるでしょう。
したがって営業職の残業多い・少ない、というのは個人の感覚でモノを言う人が多いです(私も含めて)。営業職の正確な平均残業時間って実はだれにもわからないのです。
残業の多い営業職
残業の多い営業職というのは、だいたい業界で決まっていますので、以下まとめておきます。とくに個人に対して販売を行うような営業職は残業が多くなりがちですので、お気をつけください。
- 不動産販売会社
・マンション、住宅、戸建て販売、中古住宅etc - 金融業界リテール営業
・生命保険、銀行、証券、FX、投信、消費者金融、クレジットカード勧誘etc - その他の訪問販売
・オール電化、太陽電池、リフォーム、新聞勧誘、ウォーターサーバー、浄水器、外壁塗装、化粧品販売etc - 自動車ディーラー(営業職)
・自動車メーカーの運営しているディーラーの営業職 - 店舗型の営業職(販売職)
・デパートの化粧品売り場(ビューティー・アドバイザー)、ブライダルプランナー、家電量販店の販売員
→ 営業職で離職率の高い業界ランキング。5割が3年以内に辞めるって …
離職率の高い業界では営業職に限らず、すべての職種で残業時間が多いですね。または残業多いくせに年収が低いか、どちらかの理由によります。残業時間が多くても年収さえ高ければ、離職率は低くなります。
なぜ残業が多いのか?
個人相手の営業は残業が多くなりがち。
理由は営業ノルマを高く設定され、それがクリアできないと「上司に詰められる」ことにあります。仕事そのものは簡単でマニュアルに沿って電話をかけまくれば良いだけなのですが…
あるいは店舗型の営業職(化粧品販売、自動車ディーラーなど)の場合だと、営業時間が長い、店舗の売上ノルマを達成できないと改善するために頑張らないといけない、などの理由により残業時間が多くなりますね。
上司による「詰め」には例えば以下のようなものがあります…。
- 今月ノルマ達成できなかったら減給するぞ!
- 今日たった5件しか営業まわってないのか?今すぐあと10件電話いれろ!
- 客に土下座してでもあと100万円、今日中にとってこい!
- 営業努力が足りてないからノルマ達成できないんだ、バカ!もっと残業しろ!
1日50件電話して1人でも話を聞いてくれたら万歳!!という極めて非効率な営業方法であり、さらには上司からの「詰め」もありとなると…
世の中に必要とされていない感が強く、人間を辞めたくなる可能性あります。土日出勤・サービス残業はあたり前、年収は(結果を出し続ければ)高い。
残業の少ない営業職
つづいて残業の少ない営業職をあげていきます。
とくに法人を相手にしている企業。または個人を相手にしていてもめんどくさい消費者への営業活動を外注化、あるいは商社に任せている企業です。ただし、上司や企業によるところが大きいのでご注意ください。
- メーカー営業職(とくに素材系)
・食品メーカー営業職、化学素材メーカー営業職、電子部品メーカー営業職、自動車メーカー営業職(ディーラーではなく本体に限る)、非鉄金属・鉄鋼メーカー営業職、その他メーカー(小売ではなく本体に限る) - 鉄道業界の営業職
・JR各社の営業職など - 電力会社の営業職
・東京電力、関西電力の営業職など。オール電化の訪問販売などは外注化しているか、子会社にやらせている。電力会社本体の営業職はやること少ない - ガス会社の営業職
・東京ガス、大阪ガスの営業職など。訪問販売などは外注化しているか、子会社にやらせている。ガス会社本体の営業職はやること少ない
ここにあげていない業界で、企業と人によっては残業時間の少ないところとしては、商社マンなどがあります。
なぜ残業が少ないのか?
メーカー営業職とかインフラ系の営業職はなぜ、残業時間が少ないか?
というと以下の理由によります。
- 客が土日祝休みであり、少なくとも土日祝は休める
- 競合が少ない、頑張らなくてもある程度は売れる
- 営業職の頑張りに売上が比例しない、頑張っても無意味
- 客の数が少ない(もしくは担当テリトリーがせまい)
- めんどくさい客は商社に任せるか子会社化、外注化している
私は新卒でメーカーに就職し、営業職として働いていますが不満も少ないですし、年収も仕事量のわりにだいぶ高く、おっさんになった今でもこの判断は間違っていなかったと思っています。
話は逸れましたが、最初の質問「営業職は残業多くて激務なんでしょ?」に対する私の答えはこうです。
「いや、私の勤めている企業の営業職はぜんぜん世間のイメージと違いますね。残業は少ないし、ノルマはあって無いようなものだし、接待も少ないし…。社内の飲み会もほとんどないですし。競合となるライバルが少ないのでそもそも、何もしてなくてもある程度は売れますからね。」
私の勤めるメーカー業界は、
お客さんはリーズナブルで頭のよい方々が多く、頭を下げれば買ってくれるような人じゃありません。接待をすれば買ってくれるような人もいません(苦笑)。
接待で高級レストランにつれていって頭を下げれば買ってくれるような客って、相当にレベルが低いと思うのですよね。営業職もこのような仕事ばかりだったら、もの凄く楽で助かります。
頭を下げたり接待をしても売れないから、営業職って難しいと私は感じてます。