生保・総合職の離職率は高い?低い?現役生保マンが語る業界の裏側

一般的に公開されていない生命保険会社・総合職の離職率について。すべての疑問を解決していくための記事(現役・総合職生保マン談)。

まずザックリまとめから。

生保の総合職が激務・ブラックって本当?」の記事でもご紹介したように生保業界の総合職は他の業界に比べて労力(激務度)と給与水準の面で圧倒的に恵まれた環境にあります。

したがって総合職に限って言えば「かなりのホワイト業界」であることをご紹介しました。

しかし。

それは必ずしも離職率に現れるわけではありません。

生命保険会社の総合職は、大体3年で約3割辞めると言われています。

これは特段低い水準ではなく、一般的な企業の平均的な水準と変わりません。

国内大手生保だと総合職の採用数は毎年150人~200人程度ですので、3年で45人~60人くらいが辞めていってしまう計算になります。

しかししかし。

これが不思議と3年を過ぎると離職率は一気に下がり辞める人は多い年で年に2~3人と、ほとんどいなくなります。

なぜここまで離職率が変化するのか不思議に思いませんか?

そこで今回は3年目までの離職率が(ホワイトな業界にもかかわらず)高い理由と、3年目以降の離職率が極めて低い理由をまとめてみました。

必ずしも全ての人に当てはまることではないのですが、実際に生命保険会社で勤務している人たちの話を聞いてまとめたものですので、就職活動や転職活動のご参考になりましたら喜ばしい限りです。

3年目までの離職率が高い理由1. やりがい無し!?

国内大手生保では、東大、京大、早稲田、慶應などをはじめとした超一流大学を卒業した社員も多く、総合職の採用は大学ごとに大学OBである社員が実施するリクルーター制度が取られています。

そのため。

国立大学や難関私立大学の採用チームによって、エリートコースを歩んできた学生が毎年採用されることになります。

※当然国立大学卒でも使えない人、弱小私立大学卒でも実力を認められて活躍している人はたくさんいます。

新卒で配属されるのは全国の支社

しかし。

どんなにエリートコースを歩んできたとしても、よほどの専門性が無い限り、新卒であれば基本的には個人営業保険部門の第一線に近い、全国の支社に配属されます。

支社は現場の泥くさい仕事も多い=激務ブラック

たとえば渋谷支社に配属されると、管轄している原宿営業部、恵比寿営業部、目黒営業部などの営業支援を行うことになります。営業支援という言葉だけを聞くと、何となくかっこいい響きですが、実態は泥臭い仕事がとても多いのです。

支社で顧客向けのセミナーを開くために会場の設営をしたり、早朝から深夜まで営業拠点の業績管理に追われたり、優秀な生保レディを表彰するイベントや旅行の企画をしたり、休日に顧客を集めたゴルフコンペを運営するなど…

まるでイベント企画会社や旅行会社のような仕事をしなければなりません。

当然、若手社員はこうした仕事では率先して動き回らなければならず、目が回るような忙しさになります。

支社での雑用に耐えられないエリート多数

こうなるとエリート街道を歩んできた新入社員たちは「おれはこんなことをするために生命保険会社に入ったんじゃない!!!こんな仕事にやりがいなんか無い!!!」と考えます。

結果として1~2年で会社を去って行ってしまうのです。

そう考えずに我慢しながら続けられた人は、次第に支社の業務が、会社に莫大な収益をもたらしてくれている生保レディが、気持ちよく生命保険を売れる環境を整備するという、めちゃくちゃ重要でやりがいのあるものであることに気付くのですが…

新入社員のときにはそれがなかなか実感できないのでしょう。

3年目までの離職率が高い理由2. 将来性なし!?

3分でわかる生保業界。現状と課題、今後の動向まとめ」の記事でも説明したように、生保業界の国内事業は、現在かつてない苦境に陥っています。

日本で既に生命保険に加入している人が8割を超えていることや、少子高齢化や人口減少によって、今後新たに生命保険に加入すると見込まれる人口は非常に少なく、国内マーケットは成熟しきっている状況です。

また。

日銀が導入したマイナス金利政策により、生命保険会社の主要な運用資産である日本国債の利回りもマイナスになり、運用益は毎年大きく減少しています。

簡単に言ってしまえば、生命保険に加入してもらえる人がいない、何とか加入してもらって集めた保険料を原資に運用しようにも、十分なリターンを得られる運用資産がないという状況なのです。

国内中心の事業運営の限界…

そうした背景もあり、生保各社は海外の保険事業、資産運用事業に力を入れています。

が。

これまで生命保険会社は100年近くにわたり国内を主要マーケットとして捉え、国内事業比率が9割超と圧倒的に大きかったため、語学力を備えた人材は少なく。

むしろ「語学ができないから生命保険会社に入社する」という人も多いのです。

そうした人達にとっては、国内事業は成熟しきっていてこれからはマーケットも縮小するだろうし、海外事業は自身の語学力がネックとなって活躍できないだろうと考え「自分はこの会社にいても未来が無い」と判断して辞めていくのです。

3年目までの離職率が高い理由3. 厳しい上下関係

3年目までの離職率が高いもう一つの理由に挙げられるのが、上下関係の厳しさです。

先ほどご紹介したとおり生保業界ではリクルーター制が採用されています。

体育会系の採用がおおい

これは大学ごとに採用を行うものですが、その中にもさらに●●大学の体育会△△部という部活単位で採用が行われることもあります。

特に多いのが、野球部、アメフト部、ラグビー部、格闘技系。

そうした枠で毎年採用が行われるため、自ずと体育会系の色が会社全体に浸透していくこともあり、そうなると上下関係に厳しい社風が醸成されます。

また。

生命保険会社は金融業界の中では社風が緩く、規律もそこまで厳格ではありませんが、一般の企業に比べればやはりコンプライアンスや礼儀に厳しいです。

仕事できる・できないは関係なく年功序列

さらに年功序列意識が強く、仕事の実績よりも入社年次によってその人の地位が決まるというような会社が多いです。

そのため、自分より入社年次の高い先輩の言うことには従わなければなりませんし、上司から飲みに誘われたら断るという選択肢はありません。

また飲みの席では、常に上の人たちのグラスの残量を気にしてお酒を注いで回らないといけません(これは社会人として当然といえば当然ですが、苦痛で苦痛でたまりません)。

学生時代に体育会系の部活やサークル活動、アルバイトをしていた人にとっては問題ないのですが、そうでない人たちは、そうした状況に嫌気がさし、転職の道を選ぶのです。

3年目以降の離職率が低い理由1. 待遇は最高

生保業界の総合職の給与の高さや福利厚生の手厚さは、日本でもトップレベルです。

給与については初任給こそ他業界とそこまで変わらないか、むしろ低い方ですが、2年目から徐々に上がっていきます。

10年目にもなると800~1,000万円近い年収に到達します。

新卒の支社勤務を乗り切れば仕事もラク

いっぽうで。

業務の量や負荷はそこまで大きくなく、ごくわずかな激務の部署や生保レディの管理をする営業拠点の拠点長以外は、残業や休日出勤を恒常的にすることもほとんどありません。

生命保険会社から転職して、待遇を同水準、または良くしようとすると、商社や銀行、証券に転職するくらいしか無く、今よりも確実に激務な環境になります。

そのため、そんな茨の道を行くよりは、そこそこ働いて、持ち家も車も買うことができ、子供を2人くらい私立の学校に通わせてもまだ余裕がある生活に満足して、居心地が良くなってしまうのです。

3年目以降の離職率が低い理由2. 転職市場価値がない

生命保険会社は金融機関でありながら、証券や銀行と比べて専門性はあまり必要としません。

一度契約をしてもらえばあとは維持するだけの仕事

保険事業に関しては一度契約をしてもらったあとは、その後解約をされないようフォローをしたり、せいぜい追加の商品を提案する程度の広がりしかありません。

また。

資産運用事業に関しても、専門性を持った人材はいるにはいますが、生命保険会社の資産運用方針は、契約者から預かった保険料を原資に、安全性・収益性・流動性を基本原則とするものであるため、会社の外を出ると評価されないこともあるのです。

専門性をもつ人材は例外だが…

ただし。

生命保険の料率を計算したり、会社の収益を数理的に分析するような「アクチュアリー」と呼ばれる職種や。

あるいは一部の資産運用部門にいる優秀人材、システム・法務・コンプライアンス等の専門人材であれば別ですが…

ほとんどが井の中の蛙状態に…

会社を出ると(全くとは言いませんが)必要とされないノウハウやスキルしか身に付かない井の中の蛙状態になってしまうのが生命保険会社で働くということなのです。

そのため生命保険会社の社員は転職市場で価値がほとんどありません。結果として転職を諦める人も多くいます。

また。

そもそも生命保険会社に入社する人は保守的な人が多いため、今ある地位を捨ててこれまで培ってきたスキルや経験を他で活かすために転職や起業をしようと考える人は極めて少ないのです。

そういう人たちは大体入社3~5年目までに実行に移していることが多いので、必然的にそうした思考に至らない人たちが会社に残ります。

3年目以降の離職率が低い理由3. 強固な人間関係

強固な人間関係というのも、3年目以降の離職率が低い理由の一つです。

生命保険契約は長期に亘って提供されるサービスであるため、顧客との関係が長く続きますし、拠点長を経験している場合は、苦楽を共にした生保レディと戦友の様なつながりがずっと続きます。

また厳しい上下関係ゆえの先輩、後輩との繋がり、同期との絆など、生命保険会社の総合職として仕事をすると、否が応でも人とのつながりができていきます。

生命保険という業態は、人の命に関わる仕事をしているためか、金融業界の他業態に比べても人間味のある人たちが働いている業界だと思います。

今ある大切な人間関係を維持したいと考える人にとっては、仕事でどんな辛いことがあっても、これが支えとなるため、会社を辞めて人を裏切るようなことをしたくないと考える人が多いのです。

まとめ

生保業界の総合職の離職率に関するカラクリを紹介してきました。

この記事を見て皆さんはどのようにお感じになったでしょうか。

「やりがいがなさそう」「未来がなさそう」でも「裕福な生活が送れそう」「人間味がある働き方ができそう」などいろいろあると思います。

ぜひ他にもOB・OG訪問をするなど、生命保険会社で働く人の生の声も聴いてみてください。

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