営業職とは何か?就活・転職する前に知っておくべき全知識

営業職とは何か?就職・転職する前に知っておくべき全知識について、現役営業マンがわかりやすく解説する記事。

具体的には営業職にまつわる以下すべての疑問について、正しい知識を提供していきます。

①営業職とは何か?仕事内容をわかりやすく

②営業職にはどのような種類があるのか?

③営業職は「激務・辛い・きつい」仕事なのか?

④営業職は残業多いのか?また残業代はもらえるのか?

⑤営業職の年収は高いのか?

⑥営業職に向いている人・向かない人。適性について。

営業職の基本となる8つの機能(=仕事内容)

営業職とは何か?を正しく理解するために、まずは営業職の基本となる機能、あるいは仕事内容を解説していく。以下で示すように営業職は人工知能にとって代わることのない、きわめて人間的な職業である。

1.新規顧客の開拓

営業職とは何か?ときかれてまず思いつくのが「新しい顧客を開拓すること」である。営業職は受け身ではダメで、動き回って新しいビジネスを探さなければならない。そうしないと企業はいずれ成長を止める。

これはどんな企業・業界の営業職にも共通する仕事内容である。

たとえば不動産販売の営業職であれば、新たな顧客を求めて営業電話をかけまくる行為がこれにあたる。証券会社の営業職であれば、なんのアポイントもなしに個人宅に押しかける行為がこれにあたる。

新規開拓営業というとカッコいいのだが、中身は足で稼ぐ、かなり泥くさい仕事である。悲壮感のただよう言い方には「飛び込み営業」「押し売り営業」などがある。

とくに個人消費者むけに商品やサービスを売っている企業は、新規開拓営業がメインになりがちである。

2.既存顧客のフォロー

営業職とは何か?ときかれて続いて思いつくのが「すでにある顧客の世話」である。すでにある顧客もケアしていなければ、いずれ離れていってしまう。ライバル企業に取られたりするため、営業職には必要なファンクションである。

業界や企業によって、やり方はさまざまである。

メーカー法人営業であれば、定期的に訪問するなり、メールや電話で連絡するなりして、顧客の最新動向を常に把握しておく必要がある。

個人相手の営業であれば、今後も新たな売上が見込める重要な顧客だけ(つまりお金もちだけ)をフォローする。小さい売上の集まりであるため「カスタマーサポート」などと称してコールセンター、メールサポートなどで一括対応する場合がほとんどである。

3.商品の売込み

営業職とは何か?つづいては「商品・サービスの売り込み」である。これは新規開拓や既存顧客のフォローをしていく中で必要なアクションとなる。

ただし、売込み色が強くなりすぎると顧客は興味を失う。したがって相手の困りごとをちゃんと聞き、押し売りにならないようにそれとなくアピールする資質、困りごとに対して提案することが必要となる。

営業マンは、いつもくだらない世間話ばっかりしているかのように見られがちであるが、常に商品の売込みチャンスを伺っているのである(そうじゃない営業マンもいる)。

4.ニーズ・シーズの発掘

営業職とは何か?つづいては「ニーズ・シーズの発掘」である。

顧客ニーズとは「すでに見えている困りごと(欲しいもの・要求)」であり、顧客シーズとは「顧客自身もわかっていないけど、あったら欲しいもの」である。

企業は常に新しい商品や、新しいサービスを提供しつづけなければ、いずれ衰退する。

したがって顧客ニーズ・シーズの発掘は新商品の開発につながる、営業職にとって重要な仕事内容である。

5.顧客と自社をつなぐパイプ役

営業職とは何か?「社内と顧客とをつなぐパイプ役」でもある。営業職は自分ひとりでは成り立たない職種であり、顧客の話をきき、社内でさまざま調整をした上で顧客に提案する必要がある。

たとえば、ある顧客から「より軽いスマートフォンがほしい」というニーズを営業職が聞いてきたら、社内の開発なり生産なりと商品の改良をすすめていくことになる。そして、営業職は「方向性が見えましたので、いちど技術ミーティングいかがですか」といった提案をすることになる。

ここでのコミュニケーション・フローは以下のとおりになる。

  • 生産、開発
    ⇅ 社内検討
  • 営業
    ⇅ フィードバック
  • 顧客

6.お金の回収(与信)

営業職とは何か?つづいては「お金の回収」である。商品やサービスを売ったとして、お金を回収できなければ、営業職は失格である。

前受け金なのか、掛売りなのか、手形なのか、といった支払い条件を顧客と交渉して進めることも重要な営業職の仕事である。

実際にお金を回収できているか見張るのは財務部の仕事ではあるものの、営業職は顧客との間にたって交渉する必要がある。ただ中小企業のばあいは、営業職が交渉からお金の回収まで、すべてやっている企業もある。

7.情報収集

営業職とは何か?つづいては「情報収集」である。営業職は「ヒト対ヒト」のつながりの中で売上を伸ばす仕事であるため、顧客情報の収集は必須である。

たとえば、顧客の出身高校・出身大学・好き嫌い・趣味などの個人情報を何気ない会話の中から聞き、それとなくチェックしておく。顧客のビジネスの状況を常にチェックしておく、新しいビジネスにつながるネタがないかを情報収集する、などの仕事である。

情報収集するための手段として、営業職は「接待」を使う。決して接待をすること自体が仕事ではない。飲み会でポロっと重要なことを漏らしてしまう顧客が、どれだけ多いことか…。

残念なことに顧客の重要な情報というのは、ニュースメディアやネットには決して出回らない。こういう類の情報は人工知能にもマネできない仕事であり、営業職が足で稼ぐしかないのである。

8.その他

営業職のその他の仕事内容としては、以下のようなものがある。企業や業界によって営業職のテリトリーが異なるため「その他」としている。

8.1.マーケティング機能

営業職はモノを売ることだけが仕事ではない。新たな商品を開発するための前段階として、市場の調査をしたり、ニーズを調査したり、売り方を考える、といったマーケティングの仕事もやっている。

ただし消費者を直接相手にするような企業、たとえばP&Gや花王、トヨタ自動車などは、営業職のほかにマーケティングチームを有している。

8.2.いろいろな契約の締結

営業職をしていると、とくによくある契約書の種類には「売買契約」「秘密保持契約」「共同開発契約」がある。

契約書の作成は法務部の仕事であるが、コミュニケーション窓口となって話を進めるのは営業職の仕事である。

契約を締結するときには「自社の法務部 ⇄ 営業職 ⇄ 顧客」というコミュニケーションのフローとなる。中小企業のばあい、契約の相談相手は法務部ではなく弁護士となる。

営業職のいろいろな種類

営業職には、業界特有の呼び方がある。一見すると営業職とはわからないようなネーミングとなっているケースも多いため、ご留意いただきたい。

ルート営業(=ルートセールス)

ルートセールスとは、すでに取引のある企業・顧客に対して商品やサービスのセールスを行う営業スタイルのことを指す。「飛び込み営業」「新規開拓営業」に対して使われることが多い。

法人営業

法人営業とは、名前のとおり法人(企業)を相手に取引をする営業のこと。ルート営業との違いは、ルート営業は法人相手・個人相手のどちらにも使うが、法人営業は法人相手の営業のことである。「BtoBの営業」と呼ばれることもある。

具体的な仕事内容は業界によってマチマチであるがメーカー法人営業だと、①新規顧客開拓、②既存顧客のケア、③情報収集、④マーケティングといった仕事がある。

リテール営業

リテールセールスとは、個人顧客に対して営業活動を行っていく仕事。リテール営業といえば金融、生保、損保、住宅、不動産、自動車(ディーラー)の営業職に使うことが多い。金融業界におけるリテール営業の具体的な仕事内容は、個人に対して預金、投資信託、保険商品、株式などの金融商品を売りこむ仕事である。

ホールセール

ホールセールとは金融機関における法人、機関投資家、公共機関などの大口顧客を対象とする営業のこと。結局のところは法人営業と変わらないが、ホールセールといえば銀行、証券会社で使うことが多い。具体的な仕事内容には、①融資、②株式や社債の発行、③資金調達、④そのほか金融商品全般の資産運用、⑤財務上の課題解決、などがある。

提案営業(=コンサルティング営業、企画営業)

顧客の困りごとに対して、さまざまな提案をしながら自社商品も売っていく仕事のこと。コンサルティング営業、企画営業とも呼ばれる。とくにシステム系の会社、IT会社、物流会社など、サービス業に多い営業スタイルである。

なにもない営業職との違いは、自社の商品を売ることに特化しているか、そうでないか。提案営業は、できる限り自社商品を売るために努力するが、そうでなくても構わないというスタンス。普通の営業は、自社商品・サービスを売ることにだけベストを尽くす。

※これは一般論であり実際には営業マンによる。

SIer職

SIerとは、システムインテグレーション(SI)を行う業者のことである。SIに「~する人=er」を付けてできた造語である。

具体的な仕事内容には、①ユーザーの業務を把握・分析する、②ユーザーの課題を解決するようなシステムの企画、構築、運用サポートをする、などがある。

提案営業、コンサルティング営業のひとつである。

製薬会社MR職

製薬メーカーの営業職のこと。といっても表向きは商品の売買をしないため、営業職ではない。でもやっていることは営業職と大して変わらない。

MR職の具体的な仕事内容としては、①医薬品の適正な使用と普及を図ること、②使用された医薬品の効き目や使い方を報告すること、③医薬品の安全性情報(副作用など)を報告すること、などが表向きには言われている。

だが実際には医師・薬剤師と関係を構築し、自社の医薬品をアピールする仕事である。

営業職の種類をシンプルに理解するための、2つのポイント

先に述べたとおり営業職には、いろいろな名前がつけられる。営業職についてシンプルに理解するためには以下2つの観点でみておくとよい。

  1. 営業のやり方は何か?
    ・新規開拓するのであれば新規開拓営業
    ・ルート(既存顧客)であればルート営業
    ・アポなしであれば飛び込み営業
    ・訪問せず電話で営業するのであれば、電話営業
    ・顧客の困りごとを解決していくスタイルであれば、コンサルティング営業あるいは、提案営業
  2. 誰に売るのか?
    ・個人を相手に売りこむのであれば、リテール営業
    ・法人を相手に売りこむのであれば、法人営業あるいはホールセール

営業職は「激務・辛い・きつい」仕事なのか?