BtoBのルート営業が圧倒的に楽だと思う3つの理由

BtoB(法人相手)の営業が圧倒的に楽だと思う理由について、現役化学メーカー営業が解説する記事。

まずは基本事項を簡単におさらい。

BtoB とは?

Business to Business の略。
法人相手のビジネスのことを指す。

たとえば化学メーカー・素材メーカー・金融業界のホールセール部門などあり。参考記事→ BtoB と BtoC の違いとは?

なので、

BtoBの営業といえば法人相手の営業、つまり法人営業の意味になります。

あるいは、

既存の客ばかり回ることから「ルート営業=既存顧客への営業」と言われることもあります。

いずれにせよ、

「ルート営業・法人営業・BtoBの営業」の3つは同じように使われます。厳密にはそれぞれ違う意味を持つのですけど…

イロイロな企業の採用情報をみてたらもう、何でもありな感じになっていて使い分けすることは無意味です。就活や転職でこれらのワードがでてきたら、基本はおなじ意味だとお考えください。

BtoBのルート営業(法人営業)の仕事内容

そもそもBtoBのルート営業って何してる?という点について少し。BtoB 営業(法人営業)の仕事内容についてざっくりと紹介しておきます。

法人相手に営業する

BtoBのルート営業(法人営業)の仕事内容は?といえばこれだけ。

BtoB営業(法人営業)は文字どおり、個人ではなく法人を相手に営業します。なにも大したことじゃなく営業する相手が法人であればすべてBtoB営業となります。

たとえば以下のような仕事。

  1. テレビをつくるメーカーであれば…
    ・BtoB営業(法人営業):ヤマダ電機やビックカメラなどの小売店に販売する仕事
    ・BtoC営業(リテール営業):メーカー直販店の販売員
  2. 素材をつくる化学メーカーであれば…
    ・BtoB営業:ソニーやパナソニックなどの企業に素材や材料を売る仕事
    ・BtoC営業:該当なし
  3. 証券会社であれば…
    ・BtoB営業:地銀などに金融商品を売る仕事
    ・BtoC営業:リテール営業
ホントはもっとややこしく、化学素材メーカーであれば似たような化学メーカーに売る場合が多いですね。

BtoBの営業が楽である理由

営業職といえば…一般的には以下のように辛い仕事であることをイメージされるのではないでしょうか。

  • 客にコビて商品を売るストレス溜まる仕事
  • 営業ノルマを達成しないと売るまで帰れない
  • 客が無茶を要求してくるつらい仕事

確かにマンション投資の営業とか、生命保険の営業とか、新聞の勧誘とか…個人を相手にするリテール営業は「つらい仕事」であると言えます。

が、

BtoBのルート営業はそんなことなくって上手く立ち回れば楽な仕事です。

そこで「なぜ BtoB営業は楽なのか?」を解説します。

①営業ノルマが圧倒的にヌルい

BtoBのルート営業が楽である理由その一。

営業ノルマが圧倒的にヌルいこと。これは営業ノルマに対するプレッシャーがヌルいことと、営業ノルマの数字自体がヌルいこと、両方のことを指します。

BtoB営業にも営業ノルマは当然あります。でもわたしのような管理職が決して無茶なノルマを立てさせません。

なぜなら、チームノルマを達成しないとわたしの人事査定が悪くなるから。ノルマを高く設定すればするほど自分で自分のクビをしめる自殺行為になるだけなのですよね。

BtoBの営業におけるノルマ設定のたとえ

たとえば、

前年比300%売上増みたいな、はじめから不可能とわかっている営業ノルマじゃなくって前年比1%売上増みたいな数字をおきます。

もし売上が凹むとわかっているのであれば、前年比マイナスの営業ノルマなんてこともフツーにあります。

だから、

リーマンショックのような急激な変化がなければ、営業ノルマ未達になることは少なくて営業ノルマの10%増減の幅におさまることがフツーです。

そうでないと、

「どんな無茶な予算を立てたんだ!?」とノルマ決めプロセスが悪いことになります。

リテールの営業ノルマは辛い…

ところが個人相手のリテール営業をしているとそうはいきません。無茶な営業ノルマなんてフツーです。

今年は契約100件・売上1億円達成したから、じゃあ来年は契約200件・売上2億円な!

で、

達成できなかったらボーナス減額な!

いやいやそんな無茶な…という理不尽がフツー。リテール営業はマグロが動き続けなければ死ぬのと同じく、止まった時点で死ぬのですね。

②理不尽な「ツメ」が少ない

BtoBのルート営業が楽である理由その二。

営業ノルマ未達にる「ツメ」が少ないこと。「ツメ」とは上司から「お前はダメだ、もっと残業してアポイント取れ!」みたいなやつのこと。

先に述べたとおり、

まず達成不可能だと思われる営業ノルマは絶対に立てません。フツーにやれば手の届くようなノルマを課されます。

こんな感じなので営業ノルマが未達になることはそもそも少ないのですが、未達だったからといって査定が最悪になることはまずありません。

なぜなら、

BtoBのルート営業は経済の状況とか顧客の状況によって左右されやすく、リテール営業のように自分の努力で売上を増やせる訳じゃないから。

営業ノルマ未達なのに平均以上の査定?

したがってノルマ未達の理由をもっともらしく付ければよく、

  • 言い訳例「EU金融危機のあおりを受け、顧客の稼働状況が悪く、結果としてノルマ未達となりました。いっぽうで新規商品の売り及び、新規顧客の開拓には成功しました」

みたいなことで平均以上の評価がつきます。実際にわたしは、営業ノルマの8割くらいしか達成できなかったにも関わらず5段階評価の最高クラスを獲得したことがあります。

これは上司へのアピール力により獲得した評価です(苦笑)。

自慢かよ?となってしまいましたが、ここで何が言いたいかというと…

BtoBのルート営業ではどれだけ結果を出したかはもちろん重要ですが、何をやったかというのも同じくらい重要なのです。

もちろん仕事をサボってて営業ノルマ未達になったのであれば、さすがの私も怒ります…
15年前まで営業ノルマ未達だと「期末押し込み」と呼ばれる、不必要にモノを売る「お願い営業」をしていたものです。が、さすがに大企業のコンプライアンスは厳しくなり今では許されません。そのお陰で営業ノルマにたいする厳しさがなくなったと言えます。

③顧客がリーズナブル

BtoBのルート営業が楽である理由その三。

顧客がリーズナブルであること。相手がベンチャーや中小企業であればオーナー自らが顧客となるケース多し、大企業であればちゃんとした教育を受けてきたヒトが顧客となります。

こういったBtoB営業の相手になる顧客って、

日本人としての礼儀とか、やってはいけないこととか、頭の良さとか…かならず平均以上の水準にあります。むしろ、そうじゃないヒトは採用しませんし中小・ベンチャー企業を経営できるハズもありません。

したがって、

それってあり得ないだろ!?みたいな要求が少ないのもいいですね〜。

【補足】
なぜ中小企業のオーナーがBtoBルート営業の顧客になるかというと…購買担当を置くと必ず癒着するから(苦笑)

個人相手の営業でみた数々の「?」

ところが個人相手の営業(リテール営業)だと、平均以下の教育水準しか受けてない人々も相手にしないといけないのです…

するとどういった問題が起きるのかというと、たとえば以下のようなことです(オンラインショップ経営での実体験)。

▼ 個人を相手に営業することのめんどくさい事例①

【客】さっき注文したんだけど納期はいつ?

(10分後)

【客】メッセージ見た?

(さらに10分後)

【客】早く返事して!

(さらに1時間後)

【客】ふざけんなバカ!どれだけ待たせるの?

極めつけは、たった数千円の注文でこの態度っていう…おいおい、納期のことなんて商品説明に書いてあるしそんなに急がなくてもいいだろ?

しかも、

その言葉づかいは何だ!?みたいな。こんな奴は客じゃなくてゴミと言いますね。

で、

もう一つ実際にあった話。

▼ 個人を相手に営業することのめんどくさい事例②

【わたし】(前略)納期は10月18日前後になります。

【客】えっ!?それじゃあ遅すぎるからキャンセルにして!明日には欲しかったのに…

【わたし】心の声 → このゴミ客がちゃんと説明をよく読んでから注文しろよ!バカか?納期2週間って書いてるじゃん…

実際には → ご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。商品説明に記載のとおり〜(後略)

個人相手のビジネスはマジで最悪だ

上記のように嫌なことがあっても最初のほうは広い心をもって接していました。

が、

こんなことが毎日のように起こるのです。さすがに続くと我慢ならなくなりますね。精神的にすり減ります。

こんなゴミを相手にする自分すらもゴミのように思えるので、BtoB営業の顧客ってかなりマトモなんだなぁと再認識。

しかも、

個人相手のリテール営業はサラリーマンの定時後・土日祝・お盆・正月に働かなければ契約がとれないので、フツーに休暇がとれないヒトも多いです。シフト制で別に休めるならまだいいのですが、それすらも許されないブラック企業もあります。

こんなのはBtoBのルート営業とは言わない!

ここで少しみち草。

よくあるBtoBのルート営業にある勘違いというか、求人をだしている会社が詐欺に近いというか…

新卒・採用サイトや転職サイトをみていると、あきらかにBtoB営業じゃないくせに「BtoBルート営業(法人営業)の求人」として紹介されているのがあります。

これは、

リテール営業(個人向け営業)とするよりもBtoBのルート営業(法人営業)とするほうが応募者を集めやすいからだと思われます。

一般的に、

リテール営業は「激務・ブラック・きつい仕事」というのが定着しているのですね。たとえば生命保険の営業、マンション投資の営業、住宅の営業とかとか…

で何が言いたいかと言うと、

こんなのはBtoB営業(法人営業)じゃないと思われる求人がありますので、注意してほしいということ。以下にその一例を紹介しますね。

×生命保険のホールセール(一部)

こんなのはBtoBのルート営業(法人営業)とは言わない!

まずは生命保険会社のホールセール。

ホールセールとはつまり、法人営業・BtoB営業のことなのですが…求人をみてダマされるのが悪いのかもしれませんが、これは詐欺です。

実際にはホールセール(法人営業)ではなく、企業に出向いて個人を相手に保険を売る仕事なので、リテール営業とやっていることは同じっていう…

ただし団体保険の営業とかは、企業の総務部が相手なのでBtoB営業となる。

×証券会社のホールセール(一部)

こんなのはBtoBのルート営業(法人営業)とは言わない!

つづいて証券会社のホールセール。生命保険のホールセールとおなじく詐欺求人のリスクあり。

ただし金融商品を地銀に売りつけたりする外資証券の法人営業はBtoB営業。

×銀行の法人営業(一部)

こんなのはBtoBのルート営業(法人営業)とは言わない!

つづいて銀行の法人営業。結局は中小企業の経営者個人を相手にするためBtoB営業とは言えない。ただし客層は経営者だけあって平均以上は期待できます。

必ずしもBtoBのルート営業が楽とは言えない事情

BtoBのルート営業が楽だ!!

とは言っても個人相手の営業(リテール営業)よりは圧倒的にマシだというだけの話。わたしのような化学メーカー営業(BtoB)はホントに楽していると思うことが多々ありますが、それも企業と上司によります。

で、

必ずしもBtoBのルート営業が楽とは言えない裏事情についても触れておきます。ーつづく