「ご多用のところありがとうございました」意味と使い方・ビジネスメール例文

「ご多用のところありがとうございました」について、意味と上司や目上への正しい使い方、注意点をビジネスメールの例文つきで誰よりもくわしく解説していく記事。

まず簡単にまとめを。

「ご多用のところありがとうございました」の意味は「忙しい最中にありがとうございました！」であり、ビジネスシーンではとくにお礼メールに活躍する表現です。

相手が忙しいとかそうでないとかを関係なく使えます。

使い方としてはたとえば、

【例文】ご多用のところありがとうございます。
【例文】ご多用のところありがとうございました。

のようなシンプルなお礼のほかにも、

【例文】ご多用のところお時間をいただけるとのこと、誠にありがとうございます
【例文】先日はご多用のところお時間をいただき、ありがとうございました
【例文】本日はご多用のところご足労いただき、ありがとうございます
【例文】ご多用のところご連絡いただき、感謝申し上げます
【例文】ご多用のところご出席いただき、お礼申し上げます
【例文】ご多用のところご対応いただき、ありがとうございました
【例文】ご多用のところご教示いただき、恐れ入ります（恐縮です）

というように「～してもらい」の意味の敬語「お（ご）～いただき」というフレーズをくわえても丁寧です。

さらには「ありがとう」だけでなく「恐縮です」「恐れ入ります」などのお礼フレーズをつなげても丁寧。

また「ご多用のところ」は「ご多忙のところ」「お忙しいところ」などに言い換えてもOK。

どの例文も社内メールで目上の人（上司や先輩）につかっても、社外のビジネスメールにつかってもよい丁寧な敬語表現です。

ざっくりとした解説はこれにて終了。くわしくは本文中にて意味と使い方、注意点を述べていきます。

※長文になりますので、時間の無い方は「見出し」より目的部分へどうぞ。

【意味】ご多用のところありがとうございました

「ご多用のところありがとうございました」の意味は「忙しい最中にありがとうございました！」となります。

たとえば「ご多用のところご対応いただきありがとうございました」とすれば、「忙しい最中に対応してもらいありがとう」となります。

ご多用のところ＝「忙しい最中に」の意味
ありがとうございました＝「ありがとう」の過去形

これら２つの言葉をあわせているだけなのですが、念のためくわしく解説しておきます。

“ご多用”の意味

まずは前半部分。

ご多用（読み：ごたよう）の意味は・・・

用事の多いこと。忙しいこと。
多く使用すること。

もとになる語は「多用」であり、尊敬語「お（ご）」をくわえて「ご多用」という敬語にしています。

「多用」はたとえば、

【例文】ご多用の中恐れ入りますが、ご対応いただけますと幸いです。→「忙しいこと」の意味

【例文】MBA用語を多用する上司には耐えられない。→「多く使用する」の意味

のようにして使います。

“ご多用のところ”の「ところ」ってどういう意味？

「ご多用のところ」の意味は「忙しい最中」となります。

ここでつかう「〜のところ」は「〜の最中」「〜のおり」「〜のちょうどその所」という意味ですね。

「ところ」は他にもたとえば、

「やっているところです」といえば「やっている最中」
「宿題をしているところです」といえば「宿題をしている最中」

のようにして使われます。いずれも「最中」あるいは「ちょうどその所・時」の意味でつかいます。

ちなみに「中」に言い換えても似たような意味になります。

「お忙しい中申し訳ありませんが」といえば「忙しい最中にすみませんが」の意味
「お忙しい中ありがとうございます」といえば「忙しい最中にありがとう」の意味

というように言い換えできます。

【シーン別】”ご多用のところありがとうございました”の使い方

つづいて「ご多用のところありがとうございました」の使い方について。

「忙しい最中にありがとう！」という意味ですので、社内目上なり上司・社外取引先を気づかうフレーズとして使われます。

使えるシーンはたくさんありますが代表的なものを箇条書きにしてまとめます。

使い方①お礼返信ビジネスメールなど（冒頭に使う）

「ご多用のところありがとうございました」の使い方、まずは基本。

上司や目上・社外取引先に何かしらお願いしたり、問い合わせしたり、教えてもらった後。

返信メールでお礼する時によくつかわれるフレーズです。

「ご多用のところありがとうございました」でひとつのお礼フレーズとしてメール冒頭・書き出しにつかいます。

使い方②ご多用のところ～いただきありがとうございました

「ご多用のところありがとうございました」の使い方、あとは応用編。

すでに紹介はしましたが…

「～してもらい」の意味の敬語「お（ご）～いただき」をくっつけて「ご多用のところ～いただきありがとうございました」という形でもつかわれます。

意味は「～してもらいありがとうございました」。

「～」の部分にいろいろな語をもってくるとお礼フレーズになりますね。

たとえば、

「ご多用のところご足労いただきありがとうございました」とすれば「忙しい最中にわざわざ来てくれてありがとうございました」の意味。
「ご多用のところご連絡いただきありがとうございました」とすれば「忙しい最中に連絡してもらいありがとうございました」の意味。

というように使います。あとは「～」の部分をシーンごとにいろんなフレーズに置き換えて応用しましょう。

なお「お（ご）～いただき」ではなく尊敬語「お（ご）～くださり」「お（ご）～くださいまして」をつかっても丁寧です。

例文

つづいて「ご多用のところありがとうございました」の使い方を例文でご紹介。

本当にいろいろありますが、よくつかうものだけを以下に紹介しておきますね。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

①ご多用のところご返信(ご連絡・お返事など)いただき～

たとえば上司なり社内目上・社外取引先にメール返信やメール連絡してもらったときは？？

「ご多用のところご返信（ご連絡）いただきありがとうございました」とすると丁寧。

他にもたとえば、

【例文】ご多用のところご返信いただきありがとうございました。
【例文】ご多用のところご連絡いただき恐縮です。
【例文】ご多用のところお返事いただきありがとうございました。
【例文】ご多用のところお返事いただき大変恐縮です。
【例文】ご多用のところご連絡いただき感謝申し上げます。
【例文】ご多用のところご回答いただきお礼申し上げます。
【例文】ご多用のところご回答いただき恐れ入ります。

というように、まずメールの冒頭・書き出しでお礼すると相手への配慮が感じられて好感がもてます。

なお著しく相手に負担をかけたのであれば…ありがとうではなく「申し訳なく思います」の意味で「恐縮です」「恐れ入ります」のようなフレーズを使ったほうがよいでしょう。

②ご多用のところお時間を(ご参加・ご出席)いただき～

「ご多用のところ～いただきありがとうございました」の「お（ご）～いただき」の部分には「ご返信・お返事・ご連絡…」だけでなく、いろいろなフレーズがきます。

たとえばアポイントや面談・打ち合わせを相手に了解してもらったときは？？

アポイント(面談・打合せ)を了解してもらったのであれば…
例文「ご多用のところお時間をいただけるとのこと、有難うございます。」
例文「ご多用のところ面談のお時間をいただけるとのこと、大変恐縮です。」
例文「ご多用のところ貴重なお時間をいただけるとのこと、大変恐れ入ります。」
面談/打合せが終わったあとのお礼には…
例文「先般はご多用のところお時間をいただき、ありがとうございました。」
例文「先日はご多用のところ面談のお時間をいただき、ありがとうございました。」
例文「本日はご多用のところお時間をいただき、誠にありがとうございました。」

あるいは上司なり社内目上・社外取引先に出席してもらう（もらった）ときは？？

これから出席（参加）してもらうのであれば…
例文「ご多用のところご出席(ご参加)いただけるとのこと、有難うございます」
例文「ご多用のところご出席(ご参加)いただけるとのこと、大変恐縮です。」
例文「ご多用のところご出席(ご参加)いただけるとのこと大変恐れ入ります。」
すでに終わったことであれば…
例文「先般はご多用のところご出席(ご参加)いただき、ありがとうございました」
例文「ご多用のところご出席(ご参加)いただき感謝申し上げます。」
例文「ご多用のところご出席(ご参加)いただきお礼申し上げます。」

というように、ビジネスメール冒頭・書き出しではまず出席してもらう（もらった）事にたいするお礼をします。

③ご多用のところご足労(お越し)いただき～

たとえばアポイントや面談・結婚式などのシーンで、相手にわざわざきてもらったときは？？

アポイント後のお礼
【例文】先般はご多用のところご足労いただき、ありがとうございました。
【例文】昨日ははご多用のところご足労いただき、ありがとうございました。
【例文】先日はご多用のところお越しいただき、誠にありがとうございました。
【例文】先日はご多用のところお越しいただき感謝申し上げます。
結婚式／その他式典のスピーチ
【例文】本日はご多用のところご足労いただき、ありがとうございました。
【例文】本日はご多用のところお越しいただき、ありがとうございます。
【例文】本日はご多用のところお越しいただき、誠にありがとうございます。
【例文】本日はご多用のところお越しいただきお礼申し上げます。

※「ご足労」の意味は「わざわざ足を運ぶこと」。「ご足労いただき～」だと「わざわざ来てもらい～」のような意味

ただし「苦労」などを連想させる「労」という語は結婚式・出産などのめでたいシーンではふさわしくないかも…

そんなときには「お越しいただく」に言い換えましょう。

④その他(ご対応・ご教示・ご確認・送付など)

あとはよくつかうものだけを以下に紹介しておきますね。

いずれも「ご多用のところ～いただきありがとうございました」の「～」に相手にしてもらう（もらったこと）を加えるだけで丁寧なお礼フレーズの完成です。

対応してもらう（もらった）お礼返信
例文「ご多用のところ早々にご対応いただき誠にありがとうございました。」
例文「ご多用のところご対応いただき恐れ入ります。」
例文「ご多用のところご対応いただき感謝申し上げます。」
例文「ご多用のところ早々にお取り計らい頂きありがとうございました。」
教えてもらった後のお礼返信メール
例文「ご多用のところご教示いただきありがとうございました。」
例文「ご多用のところご教示いただき感謝申し上げます。」
例文「ご多用のところご教示いただき恐縮です。」
確認してもらったお礼返信
例文「ご多用のところ、早々にご確認いただきありがとうございました。」
例文「ご多用のところご確認いただき誠にありがとうございます。」
送付してもらったお礼返信
例文「ご多用のところ、早々に送付いただきお礼申し上げます。」
例文「ご多用のところ、早速送付いただき誠にありがとうございます。」
例文「ご多用のところ、早々に送付くださいましてありがとうございます。」

上記はほんの一例。

ビジネスシーンにおうじて無限のバリエーションがあります。あなたの語彙が広がるほどにつかえる敬語も増えていくでしょう。

※ビジネスメールの冒頭・書き出しに使うことを想定しています。

【敬語・意味の補足】

・ご教示は「教えること」の意味

・幸甚（こうじん）の意味は「この上もない幸せ。大変ありがたいこと。また、そのさま」

・「恐縮」「恐れ入る」はどちらも「申し訳なく思うこと」の意味

・「いただく」は「もらう」の謙譲語

・「いただけるとのこと」は「もらえるとのこと」の意味の敬語（謙譲語）

【例文】ビジネスメール全文

こうして長々と読んでいてもイメージがつかみにくいかと思いますので、より実践的に。

ここでは「ご多用のところありがとうございました」の使い方をビジネスメール例文とともにご紹介。

どれも目上・上司・取引先にふさわしい丁寧な敬語にしています。ご参考にどうぞ。

例文①見積もり依頼に「お礼を返信する」ビジネスメール

【社外ビジネス取引先・初めて・検討を理由に回答保留】
・初めての社外取引先に見積もり依頼をし、受け取ったあとにお礼返信するビジネスメール例文。
・「受け取った」という意味の謙譲表現「拝受しました」を使うと丁寧。
・「検討いたします」として回答を一時保留する例文
・返答期日をあえて自分からもうける必要はない

メール件名: 返信Re: 見積もり送付のお願い（転職・ノマド）

株式会社ビジネス
営業部　●● 様　（社外取引先）

お世話になります。

先ほどお見積書のほう拝受しました。
ご多用のところ早々にご対応いただきありがとうございました。

それでは弊社内にてお見積もり内容につき検討し、結果につき改めて報告いたします。

また追加でご相談することもあるかと存じますが、その際にはお力添えいただければ幸いです。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

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