「よろしいでしょうか?」って目上の人(上司・先輩)に対して失礼?
そもそも「よろしいでしょうか?」は敬語として正しい?意味は?
という疑問を解消する記事。
まずは結論ですが、
- 「よろしいでしょうか」は敬語ではなく単なる「丁寧な表現」。
- だから「よろしいでしょうか」という日本語は正しい。
- ところが敬語うんぬんではなく、間違った使い方をしやすい。
- 間違った使い方をすると当たり前のごとく、目上の人は「失礼だ」と感じてしまう。
ということになります。
それでは、なぜ正しいのか?なぜ失礼だと感じるのか?間違った使い方にはどんなものがあるのか?という検証と、意味、正しい使い方の解説をしていきます。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。
この記事の目次
よろしいでしょうか?の意味、正しい敬語かを検証
よろしいでしょうか?の意味は「よいでしょうか?」
よろしいでしょうか?の意味は「よいでしょうか?」であり、「お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」などとして、相手の許可を求めるときに使います。
「よろしいでしょうか」に使われる「よい」の意味をまとめると、
- 許可できる
▼例文:〜してもよろしいでしょうか? - 差し支えない、支障ない、問題ない
▼例文:いつがご都合よろしいでしょうか? - どうでもよい、不要だ無用だ
▼例文:建前えはよろしいから、本音を述べよ。
こんな感じの意味として使えばよい、ということになります。
※その他にも「よい」は「頭が良い」「心がけが良い」などの用法もあります。
敬語として正しいかの検証
つづいて「よろしいでしょうか」が敬語として正しいかどうかを検証。言葉を単語に区切ってみていくとわかります。
「よろしいでしょうか」の言葉の成り立ちは、
- 「よろしい(宜しい)」は「よい」の丁寧な表現、敬語でもなんでもない
- 「でしょうか」は「だろうか」の丁寧な表現、敬語ではない(辞書によると・・・)
↓
別の解釈として、丁寧語「です」+疑問形「か」
となります。ということで辞書(Goo国語辞典)の「でしょうか」の解説を適用するのであれば、「よろしいでしょか」は敬語ではなく「丁寧な表現」ということになります。
いっぽうで別の「でしょうか」の解釈としては、丁寧語「です」+疑問形「か」というようにも考えられます。そうすると敬語として成り立ちます(どうでもよい)。
敬語であるにしろ、ないにしろ、丁寧な表現であることにはかわりないため、目上の人(上司や先輩)にも使えるような気がします。ただ敬語の難しいところは、丁寧な表現であればなんでもありではなく、言葉として適切かどうか?についても考えなければならない点。
よろしいでしょうか?の正しい使い方【例文あり】
つづいて「よろしいでしょうか」の正しい使い方について解説。ビジネスメールなどの例文とともにまとめておきます。大きく二つの使い方だけを押さえておけば、「よろしいでしょうか?」を使いこなせるようになります。
使い方①相手に「許可を求める」
尋ねる相手に「許可を求めたい」ときに「よろしいしょうか?」を使います。「よいだろうか?」の丁寧な言い方なので、目上の人(上司・先輩)や取引先にも使える表現です。
例文;
- 帰宅してもよろしいでしょうか?
- ここでタバコを吸ってもよろしいでしょうか?
- 部長、来週休みを頂いてもよろしいでしょうか?
- 入ってもよろしいでしょうか?
- お名前を伺ってもよろしいでしょうか?(電話対応)
使い方②相手に「支障(問題)がないか」を尋ねる
つづいて、尋ねる相手に「差し支えないですか?問題ないですか?」と相手の都合を確認するときに「よろしいでしょうか」を使います。使い方①②のどちらとも取れる表現もありますが、なんとな〜く、まとめてみます。
ちなみに「よろしいでしょうか」は「よいだろうか?」の丁寧な言い方なので、目上の人(上司・先輩)や取引先にも使える表現です。
例文;
- 「会社を辞めたい」という理解でよろしいでしょうか?(ビジネス会話)
- ご注文内容は、以上でよろしいでしょうか?(レストラン)
- 一点、質問してもよろしいでしょうか?(ビジネス会話)
- 今、お時間を頂いてもよろしいでしょうか?(電話対応)
使い方③その他
その他にも「よい」が使えるのであれば「よろしい」も、丁寧な表現として使えます。
例文;
- 私のことはよろしいから、お客様を手伝ってください(よろしい=どうでもよい)
- 仲がよろしいことで
こんな使い方はダメ!よろしいでしょうか?の間違った使い方
NG①よろしかったでしょうか?
まず最もやりがちな間違いに「よろしかったでしょうか?」があります。これは過去形「た」を使うことに問題があるのに加え、ふさわしくない場面で使われます。
NGとなる使い方にはたとえば、
- NG例×部長、今お時間いただいてもよろしかったでしょうか?
- NG例×お名前を伺ってもよろしかったでしょうか?
- NG例×ご注文内容は以上でよろしかったでしょうか?
などがあります。「よろしいでしょうか」と許可を得る必要があるのは「今」であるハズで、「よろしかった」では過去の事に対して「許可を得ることができましたか?」という意味になります。
このNG例にまじめに返事をするのであれば「今は都合が悪かったよ」「昨日ならよかったよ、もう過ぎてしまったけどね」「注文OKだったなんて許可した覚えはない」などと、チグハグな返答になってしまいます。
正しい使い方は現在形の「よろしいでしょうか?」です。
NG②6月5日は、ご都合よろしいでしょうか?
「ご都合よろしいでしょうか?」は表現としてはOK。でも使い方に「?」が残るのがこれ。でも「6月5日はご都合よろしいでしょうか?」だと、言い方として強すぎる。
これだと6月5日はもうほとんど固まっていて、最後の詰めとして「6月5日は問題ありませんか?」というニュアンスです。
こんなときには、
「6月5日ではご都合いかがでしょうか?」とする方が「あくまで6月5日は私のアイディアであって、ご意見を伺いたい」という姿勢が表れています。
ただ、もし候補日が何もなくて「いつがご都合よろしいでしょうか?」と尋ねるのであればOK。候補日がある場合には「この中からどれがいかがでしょうか?」というニュアンスで尋ねるのが適切な表現です。
「ご注文は以上でよろしいでしょうか」は正しい!
「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」はレストランやファーストフードの店員が使う言葉。意味は「注文はもう終わり?もうない?」。
これについては「間違いだ!」とする意見が多いのですが…。現在形の「よろしいでしょうか」を使えば問題はありません。これは使い方②の「支障ありませんか?」の使い方であり、ふさわしい表現です。
「よろしかったでしょうか?」と過去形にするので間違いになるのです。詳しくは別の記事でまとめています。
参考になる記事:
よろしいでしょうか?いかがでしょうか?の違い
ところで「よろしいでしょうか」と似たような表現に「いかがでしょうか?」というのがあります。違いと使い分けはどうしたらいい?と迷うケースが多いのでまとめておきます。
いかがでしょうか?の意味と使い方
- 使い方①相手に「何かをすすめる」
→例文:お飲物はいかがでしょうか?
→例文:部長もおひとつ、いかがでしょうか?
- 使い方②相手に「感想・意見を求める」
→例文:部長のお考えは、いかがでしょうか?
→例文:ご都合いかがでしょうか?
よろしいでしょうか?の意味と使い方
- 使い方①相手に「許可を求める」
→例文:帰宅してもよろしいでしょうか?
→例文:ここでタバコを吸ってもよろしいでしょうか?
→例文:部長、来週休みを頂いてもよろしいでしょうか?
→例文:お名前を伺ってもよろしいでしょうか? - 使い方②相手に「支障(問題)がないか」を尋ねる
→例文:今、お時間いただいてもよろしいでしょうか?
→例文:一点、質問してもよろしいでしょうか?
使い方と意味はざっくり、こんな感じになります。
違い・使い分け方
意味と使い方をみてきたので、すでにお分かりとは思いますが、
◎よろしいでしょうか?→許可を求める、問題ないかを確認する
◎いかがでしょうか?→感想や意見を求める
という点で違います。
私の考え方ですが(完全に営業からの経験則ですが)、
◎より具体的に会話やメールを進めたいなら「よろしいでしょうか」
◎相手の意思を尊重し、ぼんやりとした感じで尋ねるなら「いかがでしょうか」
こんな感じで使い分けします。具体的なビジネスメールの例文や解説は、別の記事にしていますので、ご参考にどうぞ。
参考になる記事:
「よろしいでしょうか」のビジネスメール例文【全文】
つづいて「よろしいでしょうか」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。
例文①内容の確認メール(返信メール)
Re: WEBサイト制作お見積りの件
株式会社転職
転職 様
お世話になっております。株式会社就活の就活です。
早々にご対応いただき、誠にありがとうございます。
さてお見積の内容につき、一点、確認事項がございます。
お見積に消費税の記載がありませんでしたが、
消費税込みとの認識でよろしいでしょうか。
たびたび恐れ入りますが、
ご連絡のほど、何卒よろしくお願いいたします。
メール署名
例文②報告・提案メール
メール件名:新商品・開発スケジュールのご報告
株式会社転職
転職 様
お世話になっております。株式会社就活の就活です。
さて首記の件、ご依頼を頂きました新商品の開発に関しまして、
以下の通りに弊社での開発スケジュールを報告いたします。
〜6月:少量サンプル作成・送付
7月:改良および量産検証
8月:量産品製造・送付
9月:状況に応じてご相談いたしたく存じます。
上記の開発スケジュールにてよろしいでしょうか。
お忙しい中恐れ入りますが、
ご査収の上、ご連絡のほど何卒よろしくお願い致します。
メール署名
参考となる記事:
▼▼▼▼
かなり無理矢理に「よろしいでしょうか」を使ってメール例文を作ってしまいました…。例文①の「〜との理解でよろしいでしょうか?」は、何かを確認したいときに使える便利な表現。例文②は正直に申し上げますと「いかがでしょうか?」の方がふさわしいかと…。さらに最後に「ご査収〜」を使っているので、ここでの確認は不要とも言えます。
あまりよいメール例文が思いつかなくて申し訳ありません(言い訳)。
まとめ
今回はこれでもかというくらい「よろしいでしょうか?」について語ってみました。
これはとても便利な表現で、さまざまなビジネスシーンで活躍します。
ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。