「いかがでしょうか」「よろしいでしょうか」意味と違い、目上の人への正しい使い方、注意点について、ビジネスメールの例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。
まずは基本として「いかがでしょうか」「よろしいでしょうか」の違いを、意味と使い方の両面でまとめます。
◎いかがでしょうか?の意味と使い方:
- 使い方①相手に「何かをすすめる」
→例文:お飲物はいかがでしょうか?
→例文:部長もおひとつ、いかがでしょうか?
- 使い方②相手に「感想・意見を求める」
→例文:部長のお考えは、いかがでしょうか?
→例文:ご都合いかがでしょうか?
◎よろしいでしょうか?の意味と使い方:
- 使い方①相手に「許可を求める」
→例文:帰宅してもよろしいでしょうか?
→例文:ここでタバコを吸ってもよろしいでしょうか?
→例文:部長、来週休みを頂いてもよろしいでしょうか?
→例文:お名前を伺ってもよろしいでしょうか? - 使い方②相手に「支障(問題)がないか」を尋ねる
→例文:今、お時間いただいてもよろしいでしょうか?
→例文:一点、質問してもよろしいでしょうか?
使い方と意味はざっくり、こんな感じになります。
したがって「いかがでしょうか」「よろしいでしょうか」の違いは、感想・意見を求めるのか、許可を求めるのか、ということになります。
上司に感想や意見を求めるのであれば、「いかがでしょうか」を使い、上司に許可を求めるのであれば「よろしいでしょうか」を使います。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
なぜこのような意味になるのか?どう使い分けるか?敬語の正しい使い方は?
という点についての解説を、ビジネスメール・ビジネス会話の例文を使って詳しくみていきましょう。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。
この記事の目次
いかがでしょうか?の意味と使い方
いかがでしょうか?の意味は「どうだろうか」
「いかがでしょうか?」の意味は「どうだろうか?」。
「いかが」は「どう、どのように」の意味であり、これに「だろうか」の丁寧な表現「でしょうか」を使っています。
「でしょうか?」の意味は辞書によると「未来のことや不確定なことについての疑問・質問の意を表す。だろうか?の丁寧な表現」とあります。
これらを合わせると、「いかがでしょうか?」は「どうだろうか?」を丁寧にした質問の表現であり、目上の方(上司・先輩)にも使える言葉、となります。
※辞書の解釈を使うと「いかがでしょうか」は敬語ではなく、丁寧な表現ということになります。
いかがでしょうか?の使い方は主に3つ
「いかがでしょうか?」の使い方は冒頭にも述べた通り、大きくは2つあります。2つに加え、ビジネス挨拶の決まり文句「いかがお過ごしでしょうか」もあり、まとめると3つの使い方を覚えればいい、ということになります。
- 使い方①相手に「何かをすすめる」
▼例文:お飲物はいかがでしょうか?
▼例文:部長もおひとつ、いかがでしょうか?
- 使い方②相手に「感想・意見を求める」
▼例文:部長のお考えは、いかがでしょうか?
▼例文:ご都合いかがでしょうか?
▼例文:部長、新しいソファーの座り心地は、いかがでしょうか? - 使い方③いかがお過ごしでしょうか?
▼「お元気ですか?」の意味で使われるビジネス挨拶。久しぶりに連絡する相手に使う。
よろしいでしょうか?の意味と使い方
よろしいでしょうか?の意味は「よいでしょうか?」
「よろしいでしょうか?」の意味は「いいでしょうか?」。
「よろしい」は「許可できる」「差し支えない、支障ない」の意味であり、「よい」の丁寧な表現。この「よい」は「〜してもよい?」のようにして使われる用法のためこのような意味となります。「良いスイングだ」の「よい」の用法と違う点に注意。
「でしょうか」は「だろうか」の丁寧な表現。「でしょうか?」の意味は辞書によると「未来のことや不確定なことについての疑問・質問の意を表す。だろうか?の丁寧な表現」とあります。
これらを合わせると、「よろしいでしょうか?」は「よいでしょうか?」を丁寧にした質問の表現であり、目上の方(上司・先輩)にも使える言葉、となります。
※辞書の解釈を使うと「よろしいでしょうか」は敬語ではなく、丁寧な表現ということになります。
よろしいでしょうか?の使い方は主に2つ
「よろしいでしょうか?」の使い方は冒頭にも述べた通り「許可を求めるビジネスシーン」で、目上の人(上司・先輩)や取引先に対して使う、丁寧な表現です。
- 使い方①相手に「許可を求める」
▼例文:帰宅してもよろしいでしょうか?
▼例文:タバコを吸ってもよろしいでしょうか?
▼例文:部長、来週休みを頂いてもよろしいでしょうか?
▼例文:お名前を伺ってもよろしいでしょうか? - 使い方②相手に「支障(問題)がないか」を尋ねる
▼例文:今、お時間いただいてもよろしいでしょうか?
よろしいでしょうか?いかがでしょうか?の違い
意味と使い方をみてきたので、すでにお分かりとは思いますが、
◎よろしいでしょうか?→許可を求める、問題ないかを確認する
◎いかがでしょうか?→感想や意見を求める
という点で違います。
使い分けはどうする?
ここからは、少し感覚的な話になります。
「いかがでしょうか」「よろしいでしょうか」の使い分けはどうする?
という疑問に対する私の考え方(完全に営業からの経験則ですが)。
◎より具体的に会話やメールを進めたいなら「よろしいでしょうか」
◎相手の意思を尊重し、ぼんやりとした感じで尋ねるなら「いかがでしょうか」
という使い分けになります。もちろん、「コーヒーはいかがでしょうか」のように何かを「すすめる」ときは「コーヒーはよろしいでしょうか」と使うのはおかしいので、除きます。
いかがでしょうか?が適切なビジネスシーン
たとえば、上司に接待の承認(許可)をもらうとき。
「部長、三菱化学の○○さんとの会食を設定したく思います。予算は10万円ほどで考えておりますが、よろしいでしょうか?」
ここで「よろしいでしょうか?」だと、言い方としては強すぎる。予算10万円はもうほとんど固まっていて、最後の詰めとして「部長、予算10万円を許可してもらってもいいか?」というニュアンスです。
これだと返答する方は「10万円はやり過ぎだろ!?もっと抑えられないのか?」など、Yes/Noでの回答となりますね。
こんなときには、
「部長、三菱化学の○○さんとの会食を設定したく思います。予算は10万円ほどで考えておりますが、いかがでしょうか?」
とする方が「あくまで予算10万円は私のアイディアであって、部長のご意見を伺いたい」という姿勢が表れています。
こうすると上司からの返答は「そうだなぁ…三菱化学さんはお世話になっているから、予算10万円でもいいんじゃないか?」「そうだなぁ…相手一人に対して10万円はやり過ぎだから、5万円くらいにしといたら?」などと、部長からの「示唆」を受けられます。
よろしいでしょうか?が適切なビジネスシーン
たとえば、相手に電話をかけるビジネスシーン。
相手が今、話せるかどうかを確認するときに
「今、ご都合いかがでしょうか?」
こんな使い方をすると「今の都合はどうだろうか?」と尋ねているのであり、相手にはあなたの意図が伝わらない。
「今から訪問したいから、都合がいいのか?」と尋ねているようにも取れるし、「今、電話で話ができるのか?」を尋ねているようにも取れます。良くも悪くも「いかが」という言葉を使うと、あいまいな表現になってしまいます。
こんなときには、より具体的に許可を求める「よろしいでしょうか?」を使い、
「今、お時間いただいてもよろしいでしょうか?」
とするのが適切。「今、あなたの時間をもらってもいいか?」を丁寧に尋ねる敬語表現になります。こうすると相手にもあなたの目的が伝わります。
「いかがでしょうか/よろしいでしょうか」の間違った使い方
NG×よろしかったでしょうか?
まず最もやりがちな間違いに「よろしかったでしょうか?」があります。これは過去形「た」を使うことに問題があるのに加え、ふさわしくない場面で使われます。
NGとなる使い方にはたとえば、
- NG例×部長、今お時間いただいてもよろしかったでしょうか?
- NG例×お名前を伺ってもよろしかったでしょうか?
- NG例×ご注文は以上でよろしかったでしょうか?
などがあります。「よろしいでしょうか」と許可を得る必要があるのは「今」であるハズで、「よろしかった」では過去の事に対して「許可を得ることができましたか?」という意味になります。
このNG例にまじめに返事をするのであれば「今は都合が悪かったよ」「昨日ならよかったよ、もう過ぎてしまったけどね」「注文OKだったなんて許可した覚えはない」などと、チグハグな返答になってしまいます。
正しい使い方は現在形の「よろしいでしょうか?」です。
NG×不適切なシーンでの「いかがでしょうか?」
- NG例×(飲み会の席で)部長、お飲み物はいかがでしょうか?
- NG例×プランA~Cよりお選び頂けますが、いかがでしょうか?
- NG例×部長、送別会の日程はいかがでしょうか?
これらの使い方はすべて間違いです。間違っている理由について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考にどうぞ。
参考となる記事:
「ご注文は以上でよろしいでしょうか」は正しい!
「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」はレストランやファーストフードの店員が使う言葉。意味は「注文はもう終わり?もうない?」。
これについては「間違いだ!」とする意見が多いのですが…。現在形の「よろしいでしょうか」を使えば問題はありません。「よろしかったでしょうか?」とするので間違いになるのです。
正しい理由ですが、「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」の意味をまじめに考えるとわかります。「注文は以上で許可できますか?」「注文は以上で差し支えないでしょうか?」となり、日本語として正しい使い方です。
これに対する返事は「はい、許可します/いいえ、許可しません」を丁寧にして「はい、お願いします/いいえ、まだ終わっていません」などとなります。
これがエスカレートして「ご注文は以上でお間違いないでしょうか?」は完全に間違い敬語。自分が間違える可能性があるのにもかかわらず、自分の行為を「お間違い」と尊敬語にし、自分をたてています。これは敬語の使い方として間違いです。
似たようなシーンでの「よろしいでしょうか?」
このバイト君と同じような場面、実はビジネスシーンでもよくあります。
上司:
会議の資料、プリントアウトしたから、まとめて持ってきて!
部下:
部長、先ほどご依頼の資料お持ちしました。こちらでよろしいでしょうか?
▼▼▼
バイト君の使い方と、この部下⇆上司のやりとり例で「よろしいでしょうか」の使い方は同じなのですが、人によっては「違和感あり」としています。
日本語としては全く間違っていないのですが、相手に変な顔をされたら「差し支えありませんか」などと言い換えするとよいでしょう。
「いかがでしたでしょうか」は正しい敬語!
ところで「いかがでしょうか」をより丁寧にした表現として「いかがでしたでしょうか?」を使う人がいます。これって正しい敬語でしょうか?
結論としては正しい敬語なのですが、詳しく解説してみます。
いかがでしたでしょうか?が敬語として正しい理由
「いかがでしたでしょうか」が敬語として正しい理由は、言葉を単語に区切ってみていくとわかります。
「いかがでしたでしょうか」の敬語の成り立ちは、
- 「いかが(如何)」は「どう、どのように」の意味、敬語でもなんでもない
- 「でした」は丁寧語「です」+過去形「た」
- 「でしょうか」は「だろうか」の丁寧な表現、敬語ではない(辞書によると・・・)
となります。ということで敬語としては成り立っています。詳しくは別記事にて語っています。
参考となる記事:
「いかがでしょうか」「よろしいでしょうか」を使ったビジネスメール例文【全文】
つづいて「いかがでしょうか」「よろしいでしょうか」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。
例文①お願いメール
メール件名:エチレン価格改定のお願い(三菱化学・転職)
株式会社就活
就活 様
平素はお世話になっております。
さて首記の件、すでにご承知かとは存じますが、
この度、○月×日付けの弊社プレスリリースにて、エチレン価格改定の発表をいたしました。
つきまして、貴社へ伺い詳細に関してご相談いたしたく存じます。
以下候補日程ではご都合いかがでしょうか。
1. ○月△日13:30~18:00
2. ○月□日9:30~12:00
3. ○月◇日、終日
お忙しい中、大変恐れ入りますが、
ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
メール署名
例文②面接日程調整メールの返信
Re: 面接日程調整のお願い
転職株式会社
採用担当者 様
お世話になっております。
就活大学の就活です。
この度は、次回面接のご案内をいただき、誠にありがとうございます。
さて面接日程の件、こちらでは特に希望する時間はございませんので、
○○様のご都合のよろしい日時にて、設定いただきたく存じます。
ご連絡のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
メール署名
書き方の参考となる記事:
まとめ
今回はこれでもかというくらい「いかがでしょうか?」「よろしいでしょうか?」について語ってみました。
これはとても便利な表現で、さまざまなビジネスシーンで活躍します。
ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。