化学素材メーカーは激務になりようがないのですが、不幸が重なると総合商社マンのような激務状態になります。
以前にざっくりとは記事にしましたが、深堀してみますね。
この記事の目次
どれくらい激務だったか
1~6のようなことを約1年間続けました…
- 毎月22営業日の内、接待15日(社内外含む)。残りの7日はほぼ終電。会社泊まりこみするケースもある。
- 土日のどっちかは外人(社内外)の日本観光に付き合う。それがない時は社内外の接待ゴルフ。
- 始発で出張、深夜帰宅。出張行くときはほとんど毎回。泊まり出張の時は必ず接待で2〜3次回。閉店(~深夜1時)まで飲み続ける。顧客接待の後は深夜3時までレポート作成、さらに次の日も早朝から顧客訪問。この無限ループを繰り返す。
- 残業時間は月100時間越え。でも営業手当で一定額しか出ない。
- どんな時間帯であっても電話会議がスタートする(深夜、土日関係なし)。どんな時間帯でも電話に出ないと上司にキレられる。
- その他精神的な苦痛
このように総合商社マンのような仕事ぶりを化学素材メーカーでしていると…以下のようなことが起こります。
みなさんも気をつけて下さい。
その1;周りの社員に著しく迷惑がかかる
何度も述べているように化学素材メーカーは富士フィルムを除いて全然激務じゃないですし、そもそもハードに仕事がしたい人など総合職でも100人に1人くらいのものです。ところが一人とてつもなく働く人間がいると、周りの社員にも影響が…さらにそれが上司だったりすると、もう逃れられない運命。
開発担当者を深夜の電話会議に巻き込んだり、土日に社内メールのやりとりをしたり。今考えると研究開発担当者も上司でもなかった自分によく付き合ってくれたなぁ、と思います。本当に申し訳ない…
その2;段々と楽しみを覚えてくる
私はひょっとしたらドMなのかも知れません…ここまで激務だと精神をやられて、めちゃくちゃに働きまくることが逆に楽しくなってきます。一種のランナーズハイ!?
いやいや、明らかに常軌を逸しているのですが…
極限まで人を追い込んでマインドコントロールする、宗教でよくあるやつの状態。今では宗教にはまる人の気持ちがよくわかります。
その3;課の接待費を1人で予算の9割使う
ペイペイの営業マンが月に15日も接待(しかも毎回深夜まで)をしていると、普通なら軽く予算オーバーします。化学メーカーは客数も限られる上、重要な顧客しか接待しないため交際費予算は商社のように多くありません。
営業課は私一人で回している訳ではなく、他の営業マンも当然いるので先輩社員から大クレームです。そんな時は「絶対に必要な接待だ!」と主張して決して譲りません。そして最終手段は事後報告をして権利を勝ち取ります。
しかし保守的な化学メーカーで、よくこんなことが許されていたよなぁ…
その4;それでも実績が出るのは早くて5年後
これだけ激務に仕事をしているのだからすぐに結果が出るだろう、というのは大きな間違い。化学メーカーの材料は認証に時間のかかるものが多く、また開発期間も最低5年、長ければ20年以上を見る必要があります。
仮に営業が頑張っていたとしても商品が上手く生産できなかったり、開発が予定通り進まなかったりするのは日常茶飯事。
結局、今の仕事がちゃんと実績になるのは早くて5年です。つまり自分はその時にはもう担当変更になっているので、後任の担当が良い思いをするという何とも可哀想な話。頑張り損です。
その5;人事評価は最高ランクになる
化学メーカーでは実績がでなくても「仕事やっている感」を出しておけば評価は上がります。人事評価では数字以上に何をやったか、5年後に飯を食べていくためにどんな種まき仕事をしたかが重視されます。
仕事をしてもしなくても売上数字はさほど変わらないため、その4で書いたような、いいところだけを持っていく人に偏った評価をつけないようにするためです。
実績ゼロでも100時間残業していれば、最高ランク近い評価となるでしょう。周りに身を削って働く人がほとんどいないので、仕事をやっている感が際立つからです。←この辺りがみんな当たり前のように激務な商社マンとの違い
その6;虚しくなった末に…
こんな仕事の仕方は長続きしません。ふと気付きます。
これは正しい人生なのだろうか?
月100時間も残業して、営業手当とちょっとしたボーナス加算だけって…
舐めてるのか?
そうして初めて企業のマインドコントロールから解放されます。
そのあとは今の状態(定時出社・定時退社・飲み会しない・ゴルフしない・副業する)。
もう定時以降の電話には決して出ません。
当然、怒られることもありますが定時内に仕事を終わらせない上司の責任ですからね。
それもこれも、いつクビになっても暮らしには困らないという状態になっているからなのですが…