就活において、応募者数の多い企業では「ES・履歴書書類選考」というのは名ばかりで、実際にはやっていない企業も多いです(本当は許されないのですけど…ココだけの話にしておいてください)。
有名企業・人気企業にはどれくらいの就活生のエントリーシートが送られてくるでしょうか?
就職人気のない化学メーカーですらES 10,000通を超えます。
就活人気のあるメガバンク、電力・インフラ、食品メーカーだと、もっと多いものと思われます(想像つきませんがケタひとつは違うと思われます)。
ところが、これだけの応募があるにも関わらず、新卒採用の担当者というのはどの企業もそう多くありません。
たとえば私の勤める化学メーカーの採用担当者は、「技術系担当2人+事務系担当2人+就活時期だけの応援3人=合計7人」みたいな構成です。
1通のESにかけられる採用担当の時間【20秒以内】
さて、エントリーシートの数を単純に採用担当の数でわってみます。すると「ES 10,000通/人事7人=1428通/人」となります。
書類選考の期間をかりに3日間として、1人あたりのノルマを計算してみましょう。
すると1人当たり、1日約500通のエントリーシートを読めばノルマクリアとなります。1通のエントリーシートにかけられる時間はおおよそ1分。
ただ、書類選考の期間が3日といっても実際には以下のようなプロセスで選考します(たとえばの話です)。
- ざっくりと気になるESだけを残す(1日)
↓ - 残ったESをさらによく読む(1日)
↓ - 書類選考の合否を決める(1日)
したがって、最初のフィルター部分で1通のESにかけられる時間は20秒くらいしかない、ということになります。ESの文字数は少なくとも1000文字くらいあるので、1000文字を20秒では読めるハズがありません。
※これは人気のない化学メーカーの場合ですので、人気のある業界だともっとシビア。
結果「全てのESを読むなんてやってられねぇよ!!」となります。それでは、書類選考には何の意味があるのでしょうか?
もっと効率的な採用方法はないか?
「20秒のジャッジタイム」で合否を決めるのはどうだろうか?もっとよい選考方法、効率的な選考方法はないのか?
ということで考え出されたのが、以下のフィルタリング方法です。
- 学歴フィルター
- 個別会社説明会の参加者のみES通過
- SPI
- TOEIC点数
- リクルーター制度(これも一種の学歴フィルター)
- 下位大学の教授推薦枠
- 体育会系
- 留学生・帰国子女
多くの人気企業で使われるのは①学歴フィルターですが、それでもまだまだ応募者は多いまま。そうすると、②~⑥の足きりラインをさらに設定していきます(応募数のおおい企業ほど細かな条件設定が増える)。
書類選考・SPIで落ちる = 学歴未達
ということで、書類選考をイチイチやるのは「バカらしい」「時間のムダだ」と思う企業は、まず①~⑧のようなフィルタリングを設定し、その上で採用活動を始めます。
でも就活生に「学歴フィルターにひっかかったので書類選考には通過しませんでした」と連絡したら、バッシングの嵐となります。
ではどうしたら世間体よく学歴フィルターを使えるのか?
というと、それが「書類選考+SPI」となるのです。
よくいわれている「SPI点数のボーダー」なんて、企業ごとに決まっているハズないのです(笑)。実際、私はSPIのある企業でほとんど回答していないにもかかわらず、面接まで呼ばれました。しかも対策ゼロだったのに…。
結局のところSPIも書類選考も以下のような目的で行われます。
- 高学歴層でもイケてない就活生のカット
- 低学歴層の足きり
- 低学歴層でも優秀な人材を吸い上げる
「キミは学歴がないからウチでは採用できない」
「キミは体育会系じゃないからウチでは採用できない」
とはいわず、
「残念、書類選考の結果、不合格となりました」
「残念、SPIの結果で不合格となりました」
のほうが就活生に納得してもらいやすいのですね…。
それなら募集要項のところに「ウチは旧帝大以上の就活生しか採用しません」と書けばいいのに…。くだらない世の中ですねぇ…。