「ご多忙」「ご多用」の意味と違い、目上の人への正しい使い方、注意点について、ビジネスメールの例文つきで誰よりも詳しく解説していく記事。
まずは基本として「ご多忙」「ご多用」の違いまとめると、
- 「ご多忙」:「とても忙しいこと」+尊敬語「ご」
- 「ご多用」:「用事が多くて忙しいこと」+尊敬語「ご」
となりますので、どちらもほとんど同じ意味といえます。
また、意味として同じため使い分けはどうしたらいいの?という疑問が残ります。
こちらも結論ですが、結婚式・出産お祝い、お見舞いメール、年賀状では「忙」という字を使わないこと。これは字面(じづら)の問題で、「忙」にふくまれる「亡くなる」という文字があるため、縁起の悪い言葉として避けるのが普通です。
※これを「忌み言葉」といいます。
だからと言ってビジネスメールに「ご多忙」を使えないか?というと、全くそんなことはありません(よく勘違いされていますが…)。
その他のビジネスシーンでは「ご多用」「ご多忙」を使い分ける必要はありません。どちらでも同じです。
使い方の例文は以下のとおりで、メール文末の締めくくりとして使われることが多いです。
- 例文①ご多忙(ご多用)の折、お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い致します。
- 例文②ご多忙(ご多用)とは存じますが、ご対応のほど何卒よろしくお願い致します。
- 例文③ご多忙(ご多用)のところ大変恐れ入りますが、〃同上
- 例文④ご多忙(ご多用)にもかかわらず、ご対応いただき、誠にありがとうございます(メール冒頭の挨拶)
※「何卒よろしくお願い致します」は「何卒よろしくお願い申しげます」に言い換え可。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
もっと詳しく例文つきで、意味、違い、使い分け、敬語の正しい使い方について解説していきます。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へどうぞ。
この記事の目次
「ご多忙」「ご多用」は意味としては同じだが・・・
「ご多忙(ごたぼう)」と「ご多用(ごたよう)」は意味としては同じです。
ところが冒頭で述べたとおり「ご多忙」は「亡くなる」という字を含むため問題があり、結婚式やお見舞いで使うのは不適切です。
※これを「忌み言葉と」いいます。他にも「苦」など多数ありますのでご留意ください。
※※普通のビジネスメールであれば同じように使って問題ありません。「お忙しいところ~」「お忙しい中恐れ入りますが~」などもOK。
重要なポイントですので、考えうる全ての「ご多忙がNGとなるシーン」を次項でまとめておきます。
注意!「ご多忙」が不適切となるシーン
絶対に守らなければいけない!という訳ではなく、受ける側がどう感じるか?という問題なので、何とも言えない部分はありますが…。
一般的な常識で「忙しい」「ご多忙」などの表現を避けるシーンは以下のとおり。
NG×結婚式のスピーチ・お祝い
まずは例文をご覧ください。
- NG例文×本日はご多忙の折、ご足労いただきまして誠にありがとうございます。
(司会のスピーチ、新郎のスピーチ)
ここでまずいのは「ご多忙」と「ご足労」の2点。「忙」がダメなのは言うまでもなく、「労」も「苦労」などを連想させるため、めでたい席のスピーチとしては不適切な表現です。
- 正解例文◎本日はご多用の折、お越しいただきまして誠にありがとうございます。
NG×お見舞いメール・手紙
「お見舞いメール」にはたとえば、事故や病気で入院された方に対するお見舞い、火災や台風などのお見舞いなどがあります。
「忙」という言葉を使うと「亡くなる」という最悪の事態を連想させるため、NGとなります。お見舞いメールに「ご多忙の折、〜」なんて使わないでしょうけど、念のため。
NG×「暑中/寒中/残暑見舞い」「年賀状」
暑中見舞いなども、文字どおり一種のお見舞いと考えましょう。また年賀状は、新年を祝う意味で送る手紙ですから、極力「忙しい」などの忌み言葉を使わないようにしましょう。
- NG例文×何かとお忙しいことと存じますが、くれぐれもご自愛くださいませ(メール文末)
- 正解例文◎何かとご多用とは存じますが、くれぐれもご自愛くださいませ(メール文末)
「ご多忙」「ご多用」は相手に配慮するために使う
「ご多忙」や「ご多用」をビジネスメールや手紙で使うときには、相手を配慮する目的で使います。
とくに何かのお願いがあるときに使い、
「ご多忙のところ恐れ入りますが〜」とすれば、「忙しいのに、私なんかのために時間を使ってもらって申し訳ない」の意味も含まれます。
これは相手が忙しいとか暇だとかは関係なく、配慮の気持ち・申し訳なく思う気持ちを表しているのです。
したがって、「ご多忙」「ご多用」のどちらを用いても丁寧な表現であり、目上の人やビジネスメールに使えます。
「忙しい」がビジネスメールに不適切なんてウソ!
ビジネスマナーを教えるサイトで「忙しい」「ご多忙」という表現は、ビジネスメールに使わないように。としている人が結構います。
でも「忙しい」「ご多忙」を使っても何ら問題はありません。
「忙しい」「ご多忙」にはよい意味もある!
「忙しい・ご多忙」という言葉のニュアンスには2つあり、相手への配慮の他に「ビジネスが上手くいっているからこそ忙しい = よい意味」もふくみます。
したがってビジネスメールで「忙しい」を使うのは、しごく当たり前のことなのです。
よく昇進のお祝いメールで「何かとお忙しいことと存じますが、くれぐれもご自愛ください」などといった表現を見ますよね。
これは、「昇進することによって仕事がより増えるだろうけど、お身体を大切にしてください」の意味。相手への配慮と、ビジネスが上手くいった(昇進した)ことに対するお祝いをニュアンスとして含んでいるのです。
【例文】「ご多忙・ご多用」を使ったビジネスメール全文
最後に「ご多忙」「ご多用」を使ったビジネスメールの例文を挙げていきます。目上の方や取引先に対して使える文章にしていますので、ご参にどうぞ。
例文①問い合わせメールへの返信(就活メール)
Re:2018年卒・新卒採用予定の有無(就活大学・就活一郎)
転職株式会社
転職 様
お世話になります。就活大学・就活です。
ご多忙(ご多用)にも関わらず、
丁寧にご返信いただき、誠にありがとうございます。
さて、本年度は新卒採用をご予定されていないとのこと、承知いたしました。
またご縁がありましたら、何卒宜しくお願いいたします。
メール署名
参考となる書き方:
例文②アポイントメール(ビジネス)
件名: 貴社訪問のお願い(転職会社・転職太郎)
就活株式会社
就活 様
突然のご連絡、失礼いたします。
転職会社・営業部の転職太郎と申します。貴社○○様からのご紹介で連絡いたしました。
この度は、弊社サービス「スーパー転職」のご紹介に伺いたく存じます。
よろしければ以下日程のいずれかで貴社へ伺いますが、
ご都合のほど如何でしょうか。
- 12月21日9:00~12:00
- 12月22日13:00~18:00
ご多忙(ご多用)の折、大変恐れ入りますが、
ご検討のほど何卒よろしくお願いいたします。
メール署名
参考となる記事:
まとめ
今回はこれでもかというくらい「ご多忙」「ご多用」について語ってみました。
これはとても便利な表現で、さまざまなビジネスシーンで活躍します。
ぜひ、ありとあらゆる場面を経験し、使い倒してください。頭でどうこうなるものではないので、ビジネスシーンで場数を踏んでくださいね。ではでは~~。