化学素材メーカー営業の必要スキル『客に使わせる』技術とは?

化学素材メーカーの営業に必要なスキルを公開しようと思います。志望動機や将来やりたい仕事のヒントがあるかも?

化学メーカー事務系営業職を志望する就活生や転職者のお役に立てましたら嬉しい限りです。

高機能商品を持っていないと何も始まらない

汎用化学品は価格だけ。日本の甘い顧客だけは長い付き合いの中でビジネスを維持できます。しかし海外の顧客はシビア、価格以外に違いを出せない。*アンダーマネーで何とかなる中国、インド、ベトナム、パキスタン、南米、ロシア周辺国除く。

ということで化学素材メーカーにとって最も重要なのは高機能商品を持っているかどうか。または開発・量産できる実力があるか。これがないと営業がいくら頑張っても無意味です。←経験あり

高機能商品の定義は簡単。同じ製品を作れるライバルが1社か2社しかいない商品。仮にPETといった汎用樹脂製品でも、高機能PETフィルムとか加工によって差別化できる場合があります。

ほとんどの顧客は高機能商品など必要ない

顧客には大きく分けて3つのパターンがあります。95%の顧客は新商品投入の初期段階では興味がありません。モノがあふれる世の中、無理に高機能化したい人など全体の5%いれば良い。このようなイノベーター顧客のみに集中します。

  1. コンサバ(50%):新しい材料、技術には何も興味がない。価格が安ければよい
  2. ノーマル(45%):業界の様子を見つつ新たな技術を取り入れる。
  3. イノベーター(5%):常に新たな技術に興味がある。

営業マンは「顧客に使わせるスキル」が必要!

「高機能商品を顧客に使ってもらう!」という姿勢では化学素材メーカー営業マンとして失格。「顧客に使わせる!」が営業の醍醐味、やりがい、正しい方向性です。顧客の未来を化学素材メーカーが描いてあげます。

具体的には「この材料を使えば御社の製品が劇的に進化しますよ」といったことをデータで示す。←技術系研究職の担当者にデータを採らせて営業がプレゼンします。

顧客も化学メーカーが取るデータなど信用していないので、ごちゃごちゃケチをつけられますが、営業マンはここで簡単に引き下がらない。

「ではどういったデータが必要ですか?」

「あなたの主張は間違っていると思います。なぜなら〜〜」

私が都合の良い方向に顧客を持っていきます。持っていけそうにないなら、どこを改善したら売れるのかを議論し次のアクションに繋げます。

そうこう話しているうちにこちらもレベルアップ。次の開発・改良に繋がるのです。化学メーカーは自分たちの商品の使われ方までをしっかりと分かっている訳ではない。こういった議論の中で、イノベーター顧客が何を目指しているのか?業界の技術はどこに向かっているのか?というノウハウを蓄積していくのです。

イノベーター顧客に使わせたら「グローバル水平展開」

イノベーター顧客に上手く使わせることができれば、この商品はグローバルに拡大することができます。次にノーマル顧客に売り込む、先ほどよりも超簡単。

「貴社のライバル企業はすでに採用していて◯◯という効果を実証しましたよ」

と営業すれば掴みはOK。あとはどう使うかを手取り足取り教えてあげるのです(技術営業、技術サービス、研究開発担当者の仕事)。それでも興味が無いと言われたら、すんなりとこう言います。

「そうですか。それではもうこの商品は二度と紹介しません。ウチの高機能商品を採用したライバル企業に負けると思いますよ。」

特に海外顧客は何か新しい技術を採用するのに消極的。その場合は勝手にしたらいいよ、といって無視します。10年後に必ず泣きついてくるのが目に見えていますからね。

まとめ

化学素材メーカーの営業マンは客の言いなりではダメ。自分の主張を押し通して高機能商品を使わせる!というやり方をします。従って顧客とのケンカや論争はあって当たり前、ビジネスなのですから。

もちろんケンカをした後には手土産を渡したり、飲み会で接待して仲直りします(苦笑)