注意点①「お大事になさってください」などとする
「お大事に」はすでに敬語表現ですが「お大事に」単体は形容詞であり、動詞が抜けているため文章として成り立ちません。英語にすると分かりやすいのですが「お大事に~」「お大事にどうぞ」だと「Careful(気をつけて)」を単体で文章にしてしまっているのと同じこと。
「Please take care of yourself(お大事にお過ごしください)」というのが文章ですので、「お大事に」も同じように違う敬語を組み合わせて文章にしましょう。
そうすると、以下のような表現がビジネスメールに相応しい敬語ということになります。
- お大事になさってください。
- くれぐれもお大事にお過ごしください。
- ご無理なさらず、どうぞお大事にお過ごしください。
- どうぞ、お大事になさってください。
→「くれぐれも」「どうぞ」をつけると、より丁寧な敬語になる
上司や先輩といった目上の人への「お見舞い」では、「お大事に」をちゃんと文章として使うべきです。これはお見舞いメールだけでなく、話し言葉としても同じですね。友人同士や仲のよい先輩であれば「お大事に~」だけでもよいですが、そうでなければ「お大事になさってください」をちゃんと使いましょう。
注意点②ビジネスメールで使える「お大事に」の類語まとめ
「お大事になさってください」「お大事にお過ごしください」以外にもお見舞いのビジネスメールに使える、類語をまとめておきます。お「大事に」は上述したように、意味があいまいで好きになれない方もいらっしゃるでしょうから…。そういう場合には以下の類語メール例文をお使いください。
- 心よりお見舞い申し上げます。
- 一日も早いご回復を、心よりお祈り申し上げます。
- くれぐれも、ご自愛ください。
→「くれぐれも」「どうぞ」をつけると、より丁寧な敬語になる
ここまでで、目上の人に対する「お大事に」の使い方は完了です。ここからはもっと基礎的な「お大事に」の意味と、特にお見舞いメールでの注意点を考えていきます。ご興味のある方だけどうぞ。
そもそも「お大事に」の正しい意味とは?
「お大事に」の意味は「早くよくなってください」ではありません。
「お大事に」の意味は辞書によると「相手の体をいたわる挨拶表現」とあります。ですから「早くよくなってください」という意味は一般的でなく、「お大事に」は「体を大切にしてくださいね」の意味です。
メディアの誤情報にだまされている方が多いので、もう少し詳しく「お大事に」の正しい意味を理由つきで考えます。※長文ですので時間の方は見出しだけご確認ください。
意味①「お大事に」は「大事に」の敬語表現
ちょっと脱線しますが「お大事に」の正しい意味を考える上で重要なので書いておきます。「お大事に」を言語として考えてみると、「大事に」の敬語表現ということになります。「大事」の意味は辞書によると「名詞:重大な事柄、非常に心配な事態、大がかりな仕事」「形容詞:価値あるものとして大切に扱うさま」ということです。
ということですので「お大事に」は「大事にしてくださいね = 自分自身の事を大切にして、その結果として早くよくなるとよいですね~」という意味になります(意訳)。
意味②「お大事に」の正しい意味は「体を大切にしてくださいね」
ですから「お大事に」の正しい意味は「体を大切にしてくださいね、ゆっくり休んでくださいね」であり、その結果として「よくなる、回復する」わけです。
※誰が言い始めたか知りませんが「早くよくなってください」という意味ではない。この誤った意味として考えるのであれば「お大事にお過ごしください」の意味は「早くよくなるように、過ごしてください」となり意味不明です。ゴミメディアのゴミ情報に騙されないように。
意味③「お大事に」の正しい使い方は「相手の体をいたわる挨拶」
ということで「お大事に」は「相手の体をいたわる挨拶」の意味で使います。日常のビジネスシーンでは主に「お見舞いメール」で使われますね。
「お大事に」を使った、お見舞いメール文例(全文)
例文①入院のお見舞いメール
件名: お見舞い申し上げます(転職会社・転職)
◯◯株式会社
△△ 様
平素は大変お世話になっております。
転職会社の転職太郎です。
△△さまが入院されたとの知らせを聞き、大変驚いております。謹んでお見舞い申し上げます。
病院暮らしは何かとご不便もあろうかとお察しいたしますが、この際は、お大事になさって一日も早くご回復されますよう、心よりお祈りいたします。
《または「くれぐれもお大事にお過ごしください」だけを使う》
メールにて失礼とは存じましたが、まずはお見舞いを申し上げた次第です。
メール署名
例文②残暑お見舞いメール
件名: 残暑お見舞い申し上げます(転職会社・転職)
◯◯株式会社
△△ 部 御中
残暑お見舞い申し上げます。
貴社におかれましては、益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は、格別のご厚情を賜り深く感謝申し上げます。
私どもは、今後とも更なるサービス向上のため努力をしてまいりますので、ご愛顧を賜わりますようお願い申し上げます。
残暑厳しき折、貴社の皆様方には、くれぐれもご自愛くださいませ。
メール署名
お見舞いメールを出すときの注意点
注意点①メールを出すタイミングに注意!
まず、ビジネスメールの鉄則としては「早ければ早いほどよい」というのがあります。ただし「お見舞いメール」はあまりに早すぎると、不要なトラブルを生むので要注意。具体的には、本当に重症で生死、安否の確認が取れていなかったりした場合。安否の確認がとれていないのに「お見舞いメール」を送ると、内容が相応しくないものになる恐れがあります。
したがって「お見舞いメール」を出すときには、以下のステップでタイミングを見計らってメール送信しましょう。
- まず相手の安否確認(家族経由なり)
- 次に相手の様子次第でメール内容と敬語レベルを考える
(重症であったら丁重なメールとし、軽症であったら簡単なものにする、など) - メール送信
注意点②お見舞いメールはビジネスに重要ではない
書くまでもないことですが「お見舞いメール」ってビジネスシーンにおいては、さほど重要ではありません。どうせみんな同じような文面で、同じような表現で「お見舞いメール」をする訳ですから、受け取る側にとっては大して嬉しくもありません。むしろ、大量にお見舞いメールを受け取りすぎてメール返信に困ってしまうでしょう。
そこで、相手が重要な取引先であったり、あなたにとって重要な人であれば、お見舞いメールよりも手土産を持ってちゃんと訪問することをオススメします。今の時代、何でもかんでもメールで済まされるので、こういった古風な取り計らいのできる人には価値が生まれますね。
ただ、価値が無いからといって、お見舞いメールを送らなくてもよいか?というと一概にそうとも言えません…。この辺りが日本のビジネスの難しいところですね。「社交辞令」としては、たとえ相手がメールを見なくても、お見舞いメールを出すのが正解です。
注意点③お見舞いメールには「お大事に」ではなく定型文を使うべき
ビジネスメールに「お大事にお過ごしください」を使っても失礼にはあたりませんが、他の表現を使ったほうが、より具体的で丁寧な意味になります。上のお見舞いメール文例では「お大事に」を無理やり使いましたが、言い換えると以下のようなメールになります。
いかがでしょうか?こちらの文例のほうが、具体的でわかり易いメールになりませんか?
注意点④「お大事に」を使うとしたら、ビジネス会話で使う
「お大事に」を「お見舞いメール」に使うのはどうか、という話をしました。もう一点、たとえば「ちょっと最近、腹の調子が悪くてねぇ~」みたいな話が相手から出たとしましょう。その時のリアクションとして「それは大変ですねぇ…。どうぞ、お大事になさってください。」のように使うのは適切な「お大事に」の使い方です。
他にも商談の時に相手がマスクをしていて「風邪ひいちゃって、大変なんですよ~」みたいな状況の時、「それは大変ですねぇ…。どうぞ、お大事になさってください。」と切り替えしに使うのも適切。
ということで「お大事に~」はメールに使うよりも、普段のビジネス会話で使うほうがオススメです。
あれっ…これまで散々、メールでの「お大事に」の使い方を説明してきたのに、矛盾していますね(汗)ご了承ください。
まとめ
さて今回は「お大事に」の正しい意味と正しいビジネスメールでの使い方について、これでもかというくらい語ってみました。
で、話は変わりますが既存のゴミメディアの情報が間違いすぎているという話。
すでにお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、私のブログの基本方針は「世の中にあるゴミメディアによるゴミ情報を修正する」ことなのです。
就活ネタも、転職ネタも、すべて情報の修正作業をしているだけです(苦笑)。
でもそれだけで、ひとつのメディアが完成してしまうから恐ろしい。Google先生の検索エンジンロボットも情報の信憑性を判断できるレベルまでいって欲しいですね…。DeNAのWELQ問題なんて氷山の一角でしかないのですから…。