目上の人に「お大事に」「お大事になさってください」「お大事にどうぞ」を使うと失礼?
相手を気づかいたいときに使う
「お大事に」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語を紹介する記事。
まずは要点のまとめから。
目上の人・ビジネスシーン(メール・手紙など)で使うと失礼にあたる。
目上の人やビジネスシーン(メール・手紙など)に使っても失礼ではない。
なぜ「お大事に・お大事にどうぞ」が失礼かというと…
動詞が省略された不完全な文章だから。
いかなる時にも省略された文章を目上のひと・ビジネスシーンには使わないほうが無難。
敬語の使い方には正解がないのですが、
すこしでも相手を不快にするおそれのあるフレーズはできるだけ避けましょう。
ざっくりとした解説はこれにて終了ですが、
それぞれの言い換え表現について、意味と敬語の解説、注意点を詳しくみていきましょう。
※長文になりますので、時間の無い方は「パッと読むための見出し」より目的部分へお願いします。
この記事の目次
目上の人に「お大事に」を使うときの丁寧な言い換え
まず「お大事に/お大事にどうぞ」は目上の人に使っても敬語としては成り立ちます。
ただし受け手の気持ちの問題で使うとマズイ場合があります。
なぜかというと「お大事に/お大事にどうぞ」は動詞が省略されていて、文章として不完全だからです。
そのような不完全な言葉を好まない目上の人もいます。
ほかにもたとえば、以下のフレーズもおなじ理由でNGとなるためご注意を。
- NG例文「よいお年を!」
よいお年をお迎えください とする - NG例文「お気をつけて!」
お気をつけてお過ごしください とする - NG例文「お元気で!」
一日も早いご回復をお祈り申し上げます
したがって目上の人に使うときは完全な文章にするか、
ほかの丁寧な敬語に言い換えをしましょう。
言い換え①お大事になさってください
「お大事に」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
まずは
「お大事になさってください」
「お大事に」の後ろに省略されている「する」をを付け加え完全な文章にしたフレーズ。
意味は文字どおり
「お大事に!」「体を大切にしてください」
使い方は
相手をきづかうビジネスシーンで使われるフレーズです。
敬語としてみると
尊敬語「お・ご」+「する」の尊敬語「なさる」+尊敬語「くださる」の命令形「ください」で成り立ちます。
したがって目上の人やビジネスシーンで使えるすばらしい敬語になります。
▼「お大事になさってください」の例文
- 例文①風邪をひいた上司への気づかい
目上の人「風邪ひいてたから早退するわ。申し訳ない…」
あなた「それは大変ですねぇ。お大事になさってください」 - 例文②お見舞いメール
「病院暮らしは何かとご不便もあろうかとお察しいたしますが、この際は、お大事になさって一日も早くご回復されますよう、心よりお祈りいたします」
「どうか」「くれぐれも」「どうぞ」などを文頭につけると、より丁寧な表現になります。
言い換え②お大事にお過ごしください
「お大事に」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
つづいて
「お大事にお過ごしください」
「お大事に」の後ろに省略されている動詞「過ごす(過ごしてくれ)」の尊敬語「お過ごしになる(お過ごしください)」を付け加え完全な文章にした言葉です。
意味は文字どおり
「お大事に!」「体を大切に過ごしてください」
使い方は
相手をきづかうビジネスシーンで使われるフレーズです。
敬語としてみると
尊敬語「お・ご」で「お大事に」+「過ごし」の尊敬語「お過ごし」+尊敬語「くださる」の命令形「ください」で成り立ちます。
したがって目上の人やビジネスシーンで使えるすばらしい敬語になります。
▼「お大事にお過ごしください」の例文
- 例文「季節柄 くれぐれもご無理なさらないよう、お大事にお過ごしください」
・お見舞いメール結び挨拶 - 例文「まだまだ暑い日がつづきますが、どうかお大事にお過ごしください」
・お見舞いメール結び挨拶 - 例文「寒さ厳しき折、くれぐれもお大事にお過ごしください」
・寒中見舞いの結び挨拶 - 例文「暑さ厳しき折、くれぐれもお大事にお過ごしください」
・暑中見舞いの結び挨拶
「どうか」「くれぐれも」「どうぞ」などを文頭につけると、より丁寧な表現になります。
言い換え③ご自愛ください(手紙・メール推奨)
「お大事に」の目上・ビジネスシーン(手紙・メール)にふさわしい敬語。
つづいて
「ご自愛ください」
意味は…
「自ら」「愛する」ということですので「自分の体を大切にしてね」の意味となります。
使い方は
相手をきづかうビジネスメールで結びとして使われるフレーズです。
話し言葉でつかうのは一般的ではなく、
お見舞いメールやお見舞い手紙・ハガキといったビジネスシーンで使われます。
こちらも「どうか」「くれぐれも」「どうぞ」などを文頭につけると、より柔らかい表現になります。
▼「ご自愛ください」の例文
- 例文「季節柄 くれぐれもご無理なさらないよう、ご自愛ください」
・お見舞いメール結び挨拶 - 例文「まだまだ暑い日がつづきますが、どうかご自愛ください」
・お見舞いメール結び挨拶 - 例文「寒さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください」
・寒中見舞いの結び挨拶 - 例文「暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛ください」
・暑中見舞いの結び挨拶
こんなとき どうする?ビジネスシーンごとの使い分け
こんなとき、どれ使う?
いろいろなフレーズを紹介しましたのでまとめます。
ここまで紹介してきた敬語はどれも丁寧であり、目上のひと・ビジネスシーン(手紙・メールなど)で使うのにふさわしいフレーズです。
多すぎるためビジネスシーンごとに、
どの「お大事に」を使うとより丁寧となるのか?
使い分けをまとめておきます。
目上の人の体調を気づかう会話
こんなときどうする?
ビジネスシーン其の一。
上司の体調を気づうときにはどのフレーズを使うと丁寧なのか、以下にまとめます。
◎くれぐれも(どうぞ)お大事になさってください。
◎くれぐれも(どうぞ)お大事にお過ごしください。
◯お大事にお過ごしください。
◯お大事になさってください。
○お体にお気をつけてお過ごしください
△ご自愛ください。
△心よりお見舞い申し上げます。
△一日も早いご回復を、心よりお祈り申し上げます。
×NG お大事に〜。
×NG お大事にどうぞ〜。
×NG お大事にしてください。
×NG お元気で〜。
×NG 早く元気になるといいですね。
「◎」の表現はものすごく丁寧。風邪などの軽い病気だと大げさに聞こえるかもしれません。
「◯」の表現はビジネスシーンで万能に使えます。
「△」は会話ではあまり使うことの無いフレーズ。「ご自愛ください」などは、お見舞いメールや手紙で使うことが一般的です。
「×NG」は不完全な文章、または適切でない表現。
お見舞いメール・お見舞いの手紙
こんなときどうする?
ビジネスシーン其の二。
お見舞いメール、手紙に適切な表現を以下にまとめます。
◎くれぐれも(どうぞ)ご自愛ください。
◎心よりお見舞い申し上げます。
◎一日も早いご回復を、心よりお祈り申し上げます。
◎くれぐれも(どうぞ)お大事になさってください。
◎くれぐれも(どうぞ)お大事にお過ごしください。
◯お大事にお過ごしください。
◯お大事になさってください。
○お体にお気をつけてお過ごしください
×NG お大事に〜。
×NG お大事にどうぞ〜。
×NG お大事にしてください。
×NG お元気で〜。
×NG 早く元気になるといいですね。
仲の良い目上の人・友人レベルを気づかう
こんなときどうする?
ビジネスシーン其の三。
仲のいい先輩、友人レベルにたいする気づかいにふさわしいフレーズを以下にまとめます。仲の良い先輩などに対しては、そこまでかしこまる必要はありません。
◎お大事に〜
◎お大事にどうぞ〜
◎お大事にしてください
◎早く回復するといいですね
◯お大事にお過ごしください
◯お大事になさってください
○お体にお気をつけてお過ごしください
△くれぐれも(どうぞ)ご自愛ください
△心よりお見舞い申し上げます
△一日も早いご回復を、心よりお祈り申し上げます
△くれぐれも(どうぞ)お大事になさってください
△くれぐれも(どうぞ)お大事にお過ごしください
×NG お元気で〜